吉川英治のレビュー一覧
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私の中学生時分に宮本武蔵ブームがあって、マンガや大河ドラマなど、なんせ武蔵を目にすることが多かった。
そのマンガ『バガボンド』の原作ということで手を出した。
全8巻もある活字の本を読んだことのなかった自分にはちんぷんかんぷんであった。
それから15年ほど過ぎて、現在、武蔵の生まれ故郷とされている作州に住んでいることから、改めて読み返すことにした。
15年で多少は読解の力がついていたのであろう、驚くほどさらさら読める。
今になって読んでみると、武蔵の覇道よりも、又八がどう生きていくのかの方に関心が向かっている。
2巻以降もぼちぼち読んでいく。 -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 19/56
’16/10/06 了
長かった全八巻に及ぶ武蔵の物語もこれにて終幕。
宮本武蔵と佐々木小次郎による巌流島の決闘というクライマックスに向けて物語が収束していく。
お通さんと城太郎の再会、お通さんとお杉婆の関係の氷解、長い長い人生の回り道を経て夫婦となった又八と朱美……
そんな彼らが、武蔵の決闘の行方を見守ろうと、一所に集まる様は物語の最終局面を彩るものとして良かったと思う。
一方で姉弟であることが明かされてから相対していない伊織とお通さんなど、もう少し描いて欲しかった部分への言及が足りない気がしたのも事実。
小次郎と武蔵の -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 18/56
’16/09/16 了
「四賢一燈」と名付けられた、柳生但馬守宗矩、北条安房守氏勝、沢庵宗彭と武蔵の夜の一席から始まる第七巻。
安房守は将軍家御指南役に武蔵を推したいと考え、また三人ともお通さんを娶ることを勧めてくる。
結局、将軍家御指南役への推挙はお杉婆による風評被害から立ち消えになるが、世の賢人たちから支持を受ける人柄、闇に潜む柳生但馬守宗矩を看破する洞察力の鋭さなど、彼の非凡さがありありと見て取れる。
また推挙が取りやめとなったその日、武蔵は剣客としての力量のみでは無く、文化人としても非凡さを見せつける。
江戸城を辞す -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 17/56
’16/09/09 了
武蔵にとって生涯二人目の弟子、伊織との出会いが描かれた巻。
伊織とお通は道中で互いを知らずに行き会うが、肝心のお通と武蔵は出会わぬまま。
石舟斎の危篤の知らせを聞いたお通は江戸表を離れてしまう。
一方の武蔵はひょんなことから江戸の町で力を付けていた無法者たち、半瓦の弥治兵衛の勢力と敵対することになる。
その半瓦の弥治兵衛のところにはお杉婆と佐々木小次郎も出入りしているし、一方で朱美と又八は一つ屋根の下で寝食を共にしていた。
人の動きの激しいことこの上ない。
武蔵は吉野郷を出て依頼お杉婆にあること無 -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 16/56
’16/09/06 了
武蔵と吉岡一門との決着、お通さん・城太郎との再会と不意の別れ、夢想権之助との邂逅とお甲との再会。
又八によるお通さん拐かし事件。
奇妙な資産家・奈良井の太蔵と城太郎の出会い。
江戸表での小次郎とお杉婆の再会。
大きな動きはない巻だが、主要人物の多くが新天地江戸に集いつつある、各々の助走期間ともいえる巻。
一条寺下り松での決闘で、敵方の名目人・源治郎少年を斬ったことが心に残って離れない武蔵。
「われ事において、後悔せず」と心に立てた誓いも、源治郎の事に関しては揺らいでしまう。
また、九死に一生を得、自 -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 14/56
’16/08/12 了
武蔵と城太郎・お通さん組との擦れ違いにヤキモキする巻。
武蔵とお通さんの男女の関係に、関ヶ原の合戦の直後から武蔵に思いを寄せていた朱美も絡んでくるから大変。
本阿弥光悦との出会いを通じて武蔵に芸術を解する素養があることがあることが強く示されていて、これは絵を描いたり仏様を彫ったりといった後の彼の行動に繋がっていくことに気付く。
好敵手たる佐々木小次郎はとことんまで嫌な奴として描かれているし、その小次郎の名を騙って実力に伴わない大威張りをこいていたのが露見した又八の情けなさもここに極まれりといった具合。