吉川英治のレビュー一覧
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ちょっと前に、吉川英治さんの名前にひかれて買った本。
来年(2014年)の大河ドラマの主人公が、黒田官兵衛だということを紹介されていた平積みされていた本。でも、連続してドラマを見続けるのが苦手な自分としては、大河ドラマよりも本のほうがよい。
どちらかといえば官兵衛活躍の前半部分、特に秀吉が姫路城に入城するまでの期間を書いた作品。
当時の情勢、古豪毛利につくべきか、それとも新進気鋭の織田につくべきか?この地域でのその判断は非常に難しかっただろうと想像する。そしてその官兵衛の判断の一つの結果が、思わぬ事態を招くことになってしまった。
う~ん、官兵衛が騙され、信長が人を見抜けなかった。
どん -
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保元の乱と平治の乱の巻。
保元の乱は、血を分けたもの同士が敵味方に別れ戦うという、悲劇的な乱。
吉川英治も、その本文の中で「まことに、保元の乱を書くことは苦しい。」
と述べている。崇徳上皇がとても無念。
吉川英治の創作らしい、阿部麻鳥の存在で、やや救いを感じる。
叔父を自ら斬らなければならなかった清盛も悲劇だけど、
最後までどちらにつくか迷っていた父を斬らなくてはならなかった、
義朝は特に悲劇だった。
平治の乱では、熊野詣から引き返す際の家貞の用意周到さに心躍った。
源氏の人々がこれからどうなるのか、読み進めるのが楽しみ。
保元の乱、平治の乱をこの小説で、
武士の武力に寄り添って政変が起 -
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保延年間からはじまり、一巻は、鳥羽上皇の崩御までを物語る。
(1137年~1156年)
この小説は、「保元物語」、「平治物語」、「源平盛衰記」、「義経記」、
「玉葉」、「吾妻鏡」、「平家物語」を題材にし描き上げた大河小説である。
(巻末の作品紀行より。)
吉川英治の小説を読むのは、ほとんど初めてのため、
文章の調子に慣れず、なかなか読むのが遅々として進まない。
台詞が、角張っていて、現代の口語とは違って畏まっているが、
リズミカルで心地良い。
人望のある清盛、一癖ある時忠、忍耐の忠盛、
逆境にいながら凛々しい精神の為義・義朝、
子煩悩な(主に頼長に対して)忠実、温和な貴人の忠通、
威風と -
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とうとう足利尊氏が活動開始。と言っても、彼自身が精力的に動いた訳ではなく、まずは弟の直義が護良親王を斬ることにより火蓋が落とされる。そしてそれでも頑として動かない尊氏。直義に散々説得されようやく重い腰を上げる。三国志の劉備しかり、吉川英治氏が書く英雄はこんな鈍な一面を持つ英雄が多い。前巻までとは打って変わって流れるような話の展開であっという間に読めた。
一点だけ興味深かった点を列挙したい。
本作品ではあまり後醍醐天皇の心情は詳しく描かれないことが多いが、このセリフは中々粋だった。
「今の例は昔の新儀だった。朕の新儀はまた後世の先例となろう。藤房、そちには駸々たる時勢の歩が分からんとみ -
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第3巻まで400ページ前後だったのだが、本巻から500ページ超となってボリュームアップ!後醍醐天皇の隠岐島脱出、楠木正成の千早城籠城、足利高氏の決意と見所がたくさんである。特に、後醍醐天皇の島抜けは冒険小説のようで楽しい。2002年の夏休みに隠岐島を一人旅したため、だいたいの地理をイメージ出来、余計に興奮するのである。また、足利高氏の鎌倉出陣や佐々木道誉との心理戦はいよいよ始まる倒幕行動の始まりであり読み手をワクワクさせてくれる。当時、鎌倉幕府を倒すなどというのは紛れもない革命であり、相当の決意が必要だったはず。ただでさえ、北条高時に妻子を人質に取られているのだし。
ともあれ、全8巻だから折 -
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私が本作品において最も好きなキャラが佐々木道誉。婆娑羅大名の代表格である。ブログタイトルにあるとおり、私はファンキーなキャラが大好きなのだが、彼はまさにそれ。単なるファンキーではなく、仕事はきっちりこなし、上(佐々木道誉の場合、北条高時や後醍醐天皇)からの覚えも良く信頼され、本音は別のところに有ったり、好き放題人生を謳歌する…。まさに私の目指すもの。
本巻では佐々木道誉が主人公のようなものだった。想い人を追ったり、隠岐へ島流しされる後醍醐天皇を護送したり…。
そんな中で、足利尊氏に語った台詞がこれ。
「いや、元気なのは当たり前だ。お互いこんな時代にこの若さではないか。浮世が面白くて堪ら -
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職場の友人、SYUくんから頂いた、全8巻から成る吉川英治作品。私が吉川英治作品を読みのは、2011年の「三国志」、2012年の「新・平家物語」に引き続き三作品目。1年に1作品を読んでいる計算になる。
さて、本作品は平成3年(1991年)大河ドラマ「太平記」の原作である。実は私、それを知らずに読み始めたのだが、冒頭で主人公:足利又太郎と一緒に登場する側近の一色右馬介の文字を見た瞬間に「大地康雄」の顔が浮かんだ。そう、私が高校2年の時に観ていたあの大河ドラマの原作であることにようやく気づいたのである。この南北朝時代は正直、あまり得意な方ではないし、第一、大河ドラマでも「太平記」くらいしかこの時代