角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ「このところ、なんでもないときにふっと思い出すのである。……好きで買って、ある時期よく着ていた服のあれこれが、さーっと頭をかすめていくのである。そして驚くことに、こう思うのだ。『捨てなければよかった』」
その後に続く文から、捨てなければよかったと思う服をまた着て街を歩きたいという実用性を求めているのではなく、思い出を噛みしめて若かった頃の服にまた袖を通してみたいという気持ちだとわかります。
私もその気持ちがわかります。あのキラキラしていた時代の服をまた手に取って眺めたいという気持ちになることがあり、その気持ちがありながらも涙を飲んで処分した服を思うと後悔の気持ちがむくむくと浮かび上がります。
それはまた着るかもと思うのとはまた違った感情だと思います。私の場合、そのどちらの気持ちもあるので、一向に服を捨てることができずにいます。 -
Posted by ブクログ
いろんなことでバタバタして、
とにかく読み終わるまで時間がかかってる。
角田先生の短編はライトで相変わらず読みやすい。
本作もどこかでありそうすぎる日常の5編。
他人から見たら充分に見えても、
自分なりの不満というのは誰もが抱えているよな。
みんなそれぞれに納得したラストだったけど、
果たして次の日にも同じことが思えるだろうか。
物語のように一度納得したって、
次の日には考えが戻っていることだって、
現実にはさらさらある。
そうやって生活していくことが生きていくということなんだろうけれど。
月が笑う、こともなし、どこかべつのところでが好きだった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ作中で、智のことを「根無草」と表現した文があった。
それはそうかもしれないけど、そもそも生まれたときから根っこなんてなかった直子・智親子。
正直、「よく生きてこられたなぁ」と思った。随分と「ただれた人生」だったーーー(汗)
感じたことのない感情で胸焼けして、何故か麦茶をガブ飲みしたくなった。
読み進めている最中、直子だけが突出して「モンスター」みたいに錯覚したが、実はこの作品に出てくる女性達、ほぼ全員おかしいと気がついてから、一気にページを捲る手が止まらなくなった。
どこか狂気を孕んでいて、常識という枠なんて最初から知らない・または気付かないふりをしているような気もする。
そして、それぞれの女性達の特徴は、少なからず誰しもが抱く感情・言動だと感じた。
非常識な他人の行いのせいで、人の人生が捻じ曲がるなんて、実はそうそうあることではなく、
むしろそれはただのきっかけにすぎず、本当は自らの選択でいかようにも転がるものなんじゃないか。
作中の泰子の心情にはそう書かれていて、あー作者が言いたいのはここだと思って、共感できた唯一の内容だった。
直子のような根無草人生を羨ましいと思う人は、実は相当数いるんじゃないか。
知らない・考えない・差し伸べられた手は全て掴む…楽だし悩むことなんてなさそうで、実に「簡単」に見えるからだ。
それをしないからこそ、「一人前の大人」だし、自分を律するというのは、一生をかけた努力と習慣の連続なのだと思うからだ。
初の角田光代作品がこれでよかったのだろうかww
次にどんな本を読むべきか、読後感はとても複雑。 -
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ネタバレ1990年代の話で、少し今とは違うなと思うところがあったけど 根本的には同じで母親達の抱えているものは変わらないと思う。
私は所謂お受験 みたいな環境に身を置いていなかったので実感としてはないけれど、ママさん達の関わりだとか関係性みたいなところは、よくわかる。
学校のクラスメイトだったら、仲良くしてないグループの人でも母親になると 子供達との関わりでグループとして活動しなくてはならない なんて場面はよくあるし合わない人だって、そりゃいる。
いつだって人間関係は心を擦り減らす。
今の人たちはもう少しドライに関係性を築いているんだろうか。
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・浮舟‥薫大将は近頃宇治に通ってるらしい。そんな素晴らしい女がいるのか?好奇心旺盛な匂宮は辛抱たまらずこっそりと宇治に行き、浮舟の部屋に忍び込む。おっとこれはいつぞやの女と気がつくが、彼女の素性はわからない。なんとなく妻、中の君にも似ているが‥匂宮はどっぷり浮舟にはまってしまい、足繁く通うようになる。もちろん薫大将に見つからないように。そして京に邸を建て、住まわせる計画まで立てる。薫は薫でやはり浮舟用の部屋を作り、受け入れ態勢を整えている。二人の色男に言い寄られて、さぁ大変。匂宮の宇治通いを薫大将が知ることとなり、浮舟の心は穏やかではない。母や中の君にも申し訳なく、ついに死ぬ覚悟を決めた。
・蜻蛉‥浮舟は川に身を投げ命を絶った。宇治の侍従たちはさっさと自分たちで葬儀をあげてしまい、薫大将と匂宮、どちらの力も頼ろうとしない。二人のの嘆きようは痛々しいほどだった。
ところが悲しみの中でも女性ハントに余念がない。
薫大将は小宰相の君(明石の中宮に仕える女房)と女一の宮(匂宮の妹)、匂宮は亡き式部卿宮(蜻蛉の宮)の娘‥と、止まるところを知らない。
・手習‥なんと!あの浮舟が生きていた!川に飛び込む勇気もなく、大木の根元で泣いているところを僧都とその母親と妹の一行に助けられたのだ。妹の尼君は亡くした娘のことが忘れられないでいたので、美しい女君との出会いが嬉しく、小野の邸まで連れ帰り、甲斐甲斐しく看病した。そんなある日、故娘の婿殿がことのついでに妹の尼君の邸を訪れた。女の気配に興味が湧き、会わせてほしいと頼んだが、女君に激しく拒まれ、その日は仕方がなく帰った。が、どうしても諦めきれない。何度も手紙を出すが、相手にもされない。浮舟にしてみれば、これ以上の色恋沙汰はみっともなく、早く出家して俗世間から離れてしまいたい。妹の尼君はそれを許してくれないので、彼女が出かけている隙に僧都に頼み込み、慌てて出家の儀式を済ませてしまう。
ところでこの僧都は、明石の中宮の祈祷も行っており、浮舟と出会った奇妙な体験を、つい中宮に話してしまう。それを耳にした小宰相の君(薫大将といい仲)、寝物語にその話をし、薫大将は浮舟がまだ生きているということを知ることとなる。
・夢浮橋‥居ても立ってもいられない薫大将は、浮舟の弟を連れて山深い横川へ僧都を訪ね、事の顛末を聞き出す。会うことはやめた方がいいと僧都に諌められ、その場は諦めるが、後日、弟を使いにして小野の浮島へ手紙を渡しに行く。しかし浮島は頑なに返事を拒み、弟にさえ打ち解けない。なんと強情な‥可哀想に思い、面倒をみてきた妹の尼君にしてみれば、腹立たしいほど可愛げがない。
長い物語はここで途切れる。あれから千年の間に数多の人が続編を書いてきた。でも薫と浮舟の恋の行方は闇の中。読者の想像に任せるしかない。
食わず嫌いだったね、私。イケメン貴族光源氏の恋物語、どうでもいいよと思いながら読み始めた。が、意外と話の展開が激しく、皇族間での恋愛しか認められていないので狭い世界ながら、家系図見ながらでないと誰のことだかわからないぐらい複雑な人間関係。なんだかんだ言いながら結局最後まで読み切った。話が面白いことに加えて、男女間の告白の仕方、歌詠みに始まり歌詠みに終わる。情事後の翌朝にはできるだけ早く手紙を出さなければならない(後朝の文きぬぎぬのふみ)、とか、女性は易々と男性に顔を見られてはいけない、とかマナーが色々あって興味深い。その他、四季折々の風景、草花のこと、行事のこと、衣装のこと、食事のこと、楽器や踊りのことなど、情景が目に浮かぶようで、紫式部の才能に心底感服する。 -
Posted by ブクログ
前半は旅に関して、後半はお金を中心としたエッセイ集。恐らくは週刊連載なので、ネタを探しつつオチをつけるといった流れが小気味いい。寝る前などに読むのにピッタリな内容である。
著者の旅のスタイルは、基本的にはアジアへのバックパッカーであり若い人向けのスタイルを30代まで続けてきたという。そこからある程度の経済的・時間的余裕を持った中年期の旅のスタイルが確立していく流れについては、個人的にも理解できる。観光名所やイベントをガチガチにスケジュールしてチェックポイントを回るような旅から、ゆったりと食や現地の人々との交流を楽しむスタイルへと変遷していく様は、まさに旅の醍醐味と言える。
一方で著者の興味が割とお酒や買い物に向いているのは、個人的な趣向とは違っていたのでまぁそんな話もあるのか程度に読み流した。その辺の価値観が好きな人にとっては共感できるのだろうが、そこはかとなく疎外感を持ってしまったのがマイナスポイントではある。