原田マハのレビュー一覧
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我が道をゆくルソーワールド全開。ルソーの想像力の豊かさとその世界観を細かく表現しているところに奥ゆかしさを感じた本。
見た人を陶酔させ、心を離さない。
唯一無二の、ルソーにしか表せない魅力があるのだと思った。
ティムやオリエ、バイラー、ヤドヴィカ、ジョゼフなど、彼らがルソーを愛する姿、ピカソがどこか一目置いている姿が深く描かれているのが良かった。
何より、ピカソの言動がかっこよくて、癖になる。気づけばピカソとルソーの絡みを待っている自分がいた。
絵を鑑賞する上で、技術的な視点だけではなく、絵から受ける第一印象、フィーリングも大切にしたいと思った。 -
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『楽園のカンヴァス』を読み終えた直後、その余韻に浸りながら手に取った一冊。
ピカソを愛し、《ゲルニカ》の魅力に取り憑かれた二人の女性。時代を隔てて描かれるその物語は、どこまでが真実でどこからが虚構なのか分からなくなるほどリアルで、読み進めるほどに引き込まれていきました。
私自身、小学生の頃に親に連れられて大塚国際美術館で《ゲルニカ》の陶板画を見たことがあります。上からは暖色の照明が当てられていたはずなのに、心に強烈に残ったのは物悲しく冷たい感情でした。困惑や恐怖。作中で描かれるゲルニカを前にした人たちの感情は、当時の自分の記憶と重なり、強く共感しました。
人生で初めてピカソを意識したのがこ -
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無意識に棟方志功を主人公として自分に気づいて驚いた。がそれも間違いではないのかも。妻チヤからみた太陽の様な存在。彼女の人生の主人公は棟方志功だったんだ...何度も感動して涙を流した。そして疎開先での気付き。チヤのこの愛の深さにずっと静かに感動し続けている。
時代が時代だから、女性のこの在り方をどう受け止めるかを考えたけれど、これは男か女か立場がどうかではなく、深い愛の話だったとわかった。
また、前編を通して子供の時わからなかった棟方志功の魅力を楽しめる年齢になった。と感じた。
青森美術館に行く前に読みたかった。
『板極道』を読み直したい。 -
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美術館がすきで、興味があって読んでみた。
上野にある国立西洋美術館の基となった「松方コレクション」。西洋美術館に展示収蔵されることになった歴史について書かれている。
西洋美術館には何度も行っているので、「松方コレクション」が基になっていることは知っていた。松方さんはお金持ちだったんだなぁ~ぐらいの認識だった。
その裏にお金持ちだっただけでない、日本に美術館を作って、若者に本物の美術品を見せたいという熱い思いがあったことを知った。個人で所有して満足するのではなく、未来を創る若者のために、と考えられるのが本当の資産家だなと思った。
時代に翻弄され、せっかく購入した絵画を手放さざるを得なかったり -
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史実とフィクションを掛け合わせることで、まるでその当時、その場所で、確かに彼らが出会い、物語を紡いでいたと、錯覚してしまうような没入感で、胸に込み上げてくるものがあった。
フィンセントとテオの互いを思いやる気持ち、苦悩と葛藤、すれ違う姿に心が苦しくなる。
もっとも大切な人であり、お互いがお互いの全てであり、まるで呼応するかのように生きていた。
1番理解したいと思い、それでいて理解しきれないもどかしさ。
幸せな場面が描かれれば、かえって切なさや孤独を感じてしまう。
生きている間、世の中に理解されなかったフィンセント。それでも、周りの人々が彼の才覚を感じとり、渾身的に支え、来るべき時、次世代に -
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心揺さぶられる一冊。
ピカソのゲルニカは10年ほど前に実際に鑑賞することができた。中学校の教科書にも載るほどの傑作は、そこにあることが当たり前のように力強く存在していた。
あの時、必死にこの絵からメッセージを読み解こうとしていたことを思い出しながら読んだこの小説は、ピカソに心を揺さぶられた人達の物語だと思う。
そして、戦争という誰のものでもないが、僕たちの物語として、避けることのできない出来事に振り回された人々の物語でもあると感じた。
ゲルニカの作者はピカソではなく、攻撃を行ったナチスのもの。そして、ゲルニカは人類皆のもの。
ゲルニカは作者や国境を越えて今もなお、戦争に対してのメッセージ