原田マハのレビュー一覧
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ゴウちゃんとローズ・バッドの友情に、最後の方は涙が止まらなかった。ゴウちゃんの人柄が現れているまっすぐな文面、心に響くよなあ。ばるたん君が最初に惹かれたのも、よくわかる。
個人的に好きなのは清音ちゃん。
歩が退職のデスク整理をしている時、ある報告書を見つけ、「いや。ください。お願い。だってこれ、歩さんの本心でしょう」と見抜き、シュレッターにかけさせまいと、『書類を全身で抱きしめた』。この描写に、人の想いを敏感に嗅ぎ取り、粗末に扱わず、丁寧に大事に包み込む。そんな彼女の人柄が出ているなと感じた。
国も言葉も違うゴウちゃんとローズ・バッドが、ブログを通してかけがえのない友情を育めたのも、翻訳をしてくれた清音ちゃんの存在があってこそだなと思う。
冒頭に『幕開けとともに一瞬にして観るものを別世界へ連れ出してしまう。名画とはそういうものではないか。』という一節がある。これは小説にも当てはまるなと思っていて、原田マハさんの小説はまさに読者を一瞬でその世界に引き込んでしまう魅力がある。
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川上澄生の初夏の風が出てきたが、確かに棟方志功と画風が似ていると感じた。棟方志功が富山へ疎開し、奥様が板を家財にくくりつけて疎開させて救われた事は有名。実話かは不明だが気を奮い立たせる源のひまわりが空襲で焼失したシーンは居た堪れないものがあった。
強く鮮やかな色面で構成される木版画は、絵の具を塗り重ねて陰影や奥行きを作り立体感を出す油絵の手法とは、技法も表現方法もまったく異なっていた。棟方が木版画に強く惹かれた理由のひとつは、弱視の彼の目に木版画の単調な鮮やかさがくっきりと美しく映ったからだった。それは幼い頃「目に飛び込んでくるみでだ」と夢中になったねぶたや津軽凧を思い出させた。
木版画は油絵制作とくらべてより身体的な動きを必要とする。油絵は筆触、つまり筆先の動きが重要だが、木版画は彫刻刀で彫り込むので、腕、肩、指、上肢の動きが必要になる。
目視よりも手先、技術力よりも集中力に出来栄えが左右される。かつて浮世絵は絵師・彫師・摺り師の共同作業で作られていたが、棟方はこの三つの作業のすべてをひとりで担った。構想を練り、下絵を薄紙に描き、それを裏返して版木に貼り、彫る。多色摺りの浮世絵の場合は、描線と色面を分けて彩色して摺るので、同じ版下を複数枚作るのが通例だった。つまり多色摺りには版木と絵の具が余計に必要になる。棟方には多色摺りの木版画を創る経済的余裕がなかった。彼が自黒の木版画に絞って制作したのには、そうした理由もあった。一方で棟方は、西洋では「色」と見られていない「黒」と「白」の魅力に気づいてもいた。日本には古来水墨画が存在している。また、やまと絵の基本は墨で描き出す描線である。日本人画家にとって黒と白は基本の色であり、れっきとした色彩だ。黒と白は棟方にとって赤と青であり、金と銀だった。どんな色にも変幻する、それこそが日本の色、黒と白なのだ。
何よりも棟方が夢中になったのは、版画がもつ広がりだった。わずか三•センチ四方の板に描く世界。それなのに無限な広がりがある。この世界のすべてを板上に表現できる気がした。 -
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原田マハの文章は、情景も心情も目や心に浮かんでくるから大好き!
本作上巻では、どこまでも真っ直ぐで自分の信じるものを疑わない、そんな宗達を主軸にストーリーが進んでいく。
宗達の姿は周りを明るく照らす太陽のようで、自然と人が集まってくる。でも、その真っ直ぐさは時に雷のように人々を驚かせ、時に風のように周囲を巻き込みながら、新しい景色を生み出していく、、、。
宗達だけじゃなくてマルティノたちも同じように、自分の信じるものを胸に生きているように感じた。その揺るがない芯があるからこそ人はこんなにも強く、美しくいられるのかもしれない、、、私もそんな風になりたいな。
信じるものは人それぞれ違う、けど!それでもそれを大切に抱き続ける姿には、不思議と心を動かされる!
信じるものがある人は強いというのは普遍で、いつの世も輝く星みたいにキラキラしてるのかな。宗達みたいに。
下巻では、宗達が巻き起こしたこの風がどこへ吹いていくのか、とても楽しみ!早く読みたい!明日からすぐに! -
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ネタバレ
本当に没入させるのが上手で、惚れ惚れ。
私の好きな飛行機とその時代の話。とは言っても、「ニッポン」や「アメリア・イヤハート」のことをほぼ知らなかった。欧米列強の時代に国産機で世界一周を果たしていたなんて、なんて偉大なことを成し遂げてくれていたんだと感動した。きっとフィクションだろうと思いながら読んでいた。そのくらい、原田マハさんはフィクションと史実を織り交ぜるのがお上手。だから、どこまでが本当で何がフィクションなのか想像しながら読むのも楽しかった。
恋愛の要素が散りばめられているなと思ったけれど、『ラブの要素』を求められていたというのが腑に落ちたし面白い後日談だった。
淡いようで情熱的で、そして切ない恋愛模様が心地よかった。こんなにも切ない、けれど側から見れば愛が通じ合ってるように思う行為があるのか、、。と思わされた。
エイミーが指輪を投げ捨てたの好き。
この物語では、飛行機が平和の象徴であり、証明できることを希望に世界一周を乗り越えようとしたクルー達に相反し、軍事利用や戦争へ導く道具であることを同時に証明できてしまった酷さ。
きっと人の運命というのは数奇で残酷でもある。
差別の模様が少し垣間見えて辛いなと思った。
本当に飛行機のこと、史実を詳しく調べて書かれているのが伝わった。勇気や感動をもらえる物語りであるとともに、今の時代に響く内容だった。
面白かった〜! -
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私のとっておきの一冊は、原田マハさんの『キネマの神様』です。
原田マハさんの作品は『本日は、お日柄もよく』に続いてまだ2作目ですが、この作品でも何度も感動の波が押し寄せ、涙なしでは読めませんでした。読後は、しばらく放心状態になるほどの余韻が残りました。
登場人物は現実には私の周りにはいなさそうな人たちなのに、不思議と身近に感じられ、「どうか皆が幸せになってほしい」と願いながらページをめくりました。その願いが叶った時には、物語の結末だけでなく、自分の心まで救われたような気持ちになりました。
本を閉じた後、「なぜこれまで原田マハさんの作品を読んでこなかったのだろう」と本気で悔やみました。一冊の本との出会いが、これから読みたい作家との新たな出会いにもつながった、私にとって忘れられない特別な一冊です。
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再読する少し前に京都に行った。冒頭で登場する智積院に行ったのだけど、もっときちんと見ておけばよかったと後悔。もしくはもう少し前に再読して智積院でじっくり長谷川等伯を見たかった。
美に対して尋常じゃない執着を見せる菜穂が少しこわい。一輝には同情を覚える。奈穂は一輝も母親も自分を信用していないと思っているけど、たかむら画廊の現状を知って、一輝からモネを売却しないか?と相談されていたらどうしていたんだろうと考えてしまうな。こういうのはやはりタイミングなんだなと思う。タイミングが少しでも違っていたら奈穂と一輝が別れたり菜穂が京都に残るという選択もしなかったのかもしれない。
この本を読むと京都に行きたくなるし、もっと京都のことを知りたくなる。