原田マハのレビュー一覧
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原田マハさんのアートをモチーフにした短編集。
女性たちの挫折と成長がテーマの物語なので、美術に興味がなくても楽しめます。
傷ついたり、落ち込んだりしている人に読んでほしい物語です。
8月6日生まれの広島の女性のお話『ハッピー・バースデー』は、母子の絆をひろしま美術館のゴッホの絵が繋いでくれます。 すごく心が掴まれる物語です。
他にも、肉親を亡くしたり、ハラスメントで心を削られた女性たちが、偶然出会ったアートによって生きる力を取り戻す姿が描かれています。
作者も略歴も知らなくていい。ただ〈 あの絵〉のまえで純粋に絵をみつめること。きっと、それが大事なんだと思います。 -
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『お帰り キネマの神様』は、原田マハさんの小説『キネマの神様』の続編ではありません。
山田洋次監督によって映画化された『キネマの神様』の内容を新たに小説化したものです。
例えるなら「原作→映画→新作」でしょうか。そもそも、このノベライズ企画は山田洋次監督が『キネマの神様』を映画化する際、原作をかなり改変してしまったからなんです。
山田洋次監督は『小さいおうち』の時もちょっと原作のイメージと違う映画だったから、原作ファンは嫌なんだよなあ…。
そしてまた、映画のノベライズを原作者にやらせるなんて、いくら巨匠とはいえさあ…。
と思ったら、面白いんですこれが!
映画全盛期のワクワク感と、家族 -
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原田マハさんの作品はいつも“実物を見たい!”と思わせてくれる。
今回のテーマは、パブロ・ピカソ作《ゲルニカ》。
ピカソの絵画はいままで興味をもてず、知識もなかった。そんな私でも、ピカソの代表作として思い浮かべるゲルニカ。恥ずかしながら、漠然とした絵画のイメージは浮かぶものの何がどのように描かれているのか全く知らなかった。ゲルニカの描かれた背景、時代、込められた想い、発するメッセージ。戦争やテロの愚かさを絵画で訴える勇気のある行動。なかなかできるものではない。ピカソに対する興味が湧いた。
いつもながらマハさんの作品はフィクションが含まれているとは思えないようなその時代への没入感がある。1人 -
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恩田陸の作品を読んだ後だったこともあり、ドビュッシーやラヴェルといった19世紀末から20世紀初頭の音楽家に触れたことを思い起した。彼らがパリで印象主義を音で表現する際の源泉となったのが、ドガやモネが描いた滲み出る色彩であった。その描写を通じて、当時のフランスの空気をうかがい知ることができた。
モネらが印象派へと移行できた背景には、写真・蓄音機・印刷機といった技術革新がある。芸術が記録や複写の役割から解放され、より自由な表現が可能になった。また、その芸術が広く民衆に行き渡り、華やかな時代を築いていたことが伝わってくる。
さらに、本書では多くの女性が評価される立場を求めながらも、不条理な社会に -
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2025/08/31
主人公の和音は、日本を代表するオーケストラ指揮者の梶ヶ谷奏一郎の娘なのだが、ある日母親が家を出て行き父と2人で暮らすことになった。家政婦が全てをやってくれるため父親からの愛情を感じられなかった。
そんな時に父親の海外行きが決まりついてくるように言われるが断固拒否。さてどうするというところに突然父と結婚して母親になることになったという破天荒な女性の真弓が現れる…というユニークなスタートの物語。
音楽家の娘だけど音楽を拒み続けてきた自分と真由美をきっかけにして段々と向き合うようになっていく。
本当の母の行く末も後々分かるのだが、先は気になるし読めば心もあったまるしとても読みや