原田マハのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ友達から借りた本。
原田マハさんは絵画を題材としたものを書く人…という認識があったので、純粋に『音楽も?!』と思いつつ読み始めました。
今まで読んできた原田マハさんのものよりもずっと読みやすく冒頭から話にのめり込みました。
音楽エリートの家に産まれ物心つく前からチェロを教え込まれていた娘。
母親のために弾いていて自分は全然楽しくない…と、チェロを11歳で諦めやめてしまう。
そして母は家を出てしまった。
15歳の時、演奏旅行に出て留守の多い父親が再婚することになり新しい母親ができた。
頑なだった娘の気持ちはほぐれて新しい母親とも仲良くなりどこか壁を作っていた学校の友人とも親しくなった。
そしてついにはチェロを再び手にする。
今度は自分の意志で。
新しい母親、真弓はガシガシと土足で入り込んでくるような感じではなくスルーっと、馴染んでしまう。この真弓がとってもいいっ!とても好き。
真弓は準主役なのだけど、彼女に泣かされました。
もう、涙が止まりません。
本当に良いお話しでした。
-
Posted by ブクログ
中村すてらは実在の人物なのかと思ってしまうくらい、12歳からのすてらの人生に没入して読んだ。その当時の実在の人物の名前がいっぱい出てくるので、著者は誰か実在の人物の伝記的な小説を書いたのかと思ったが、実は中村すてらは原田マハなのではないかと読み終えて思った。
「リーチ先生」は原田マハさんの伝記小説でそれはその時代の雰囲気を味わうには楽しかった。この小説は中村すてらと言う架空の人物を著者が創作して、物語テラーとして、読者を喜ばせるハッピーエンドの小説だと思う。小説を書くことと美術を言葉で愛でること。まさに原田マハの内面を映し出しているように思う。
-
Posted by ブクログ
いやぁ、映画って本当にいいもんですね。
大好きな映画作品のこと、ままならない人生や家族が少しずつ立ち直っていくこと…序盤からかなり泣かされ、終盤もかなり泣き、片桐はいりさんの解説にもほろりとさせられた素晴らしい作品だった。
私は決して映画人と名乗るほどたくさんの映画は観ていないけれど、物語のキーとなる『ニュー・シネマ・パラダイス』や『フィールド・オブ・ドリームズ』は大好きな名作。ゴウちゃんの感想に頷いたり、ローズ・バッドの反論になるほどと思わされたり、とても楽しくブログ『キネマの神様』を読ませてもらった。
物語を最後まで読んで、表紙に小さく書いてあった副題に初めて気付き、また泣いた。
実はこの本、もう何年も前に買って積読していたものだったが、今、主人公の歩と近い年齢になって読んだことで感情移入しやすく、読むべきタイミングで読むべき作品を読むことができたなと思えて嬉しかった。
素晴らしい1冊に出会うことができて良かったです。 -
Posted by ブクログ
読み終えて、この哀しくも温かく美しい物語が実話に基づいていると知り、深く心打たれました。
物語の舞台は、第二次世界大戦後のアメリカ占領下の沖縄。沖縄米軍基地の精神科医と、生きることに必死な沖縄の芸術家たちの交流が描かれています。
本土の日本兵とともに地上戦に巻き込まれ、さらに敗戦によってアメリカの支配下に置かれた沖縄の人々。その翻弄され続けた苦しみが伝わり、とても心が痛みました。
また、沖縄がかつて「アメリカであった」という事実を、改めて突きつけられました。
愚かな戦争は、国や立場の違いだけで憎しみを生みます。
こんなにも、人と人が出会えば、国や人種を超えて交流し、良き友になれるのに。
それだけに、歴史から十分に学ぶことなく、今も世界各地で戦争が起きていることが、つらいく悲しいです。
実在した「ニシムイ美術村」。
こうして物語を通してニシムイの記憶を残してくれて、そして読んで知ることができて本当によかったです。
読み終えた後、改めて表紙の、モデルとなったアメリカ人医師の肖像画を見つめました。
力強い視線。その視線の向こう側にいるであろう沖縄の画家。
2人が心を通わせたことに思いを馳せると、胸が熱くなります。
-
Posted by ブクログ
原田マハの板上に咲くを読んだ。
読み始めるまで、棟方志功の一生を描いた内容だとは知らなかった。
チャッピーに勧められた一冊だった。
棟方志功は、版画家ということぐらいは知っていたが、何でも鑑定団でよく偽物が出てくる巨匠というイメージぐらいだった。
作品はあまり知らなかった。
改めて、棟方志功の作品を見てみたいと思った。
本書は、棟方志功のことが描かれているが、妻のチャの目を通して描かれている。
ある意味、チヤの物語でもある。
白樺の表紙のゴッホのひまわりに衝撃を受けたというのだから、凄い
食べるものも無くそこまで没頭できるのは、やはり才能で、それを見出してくれる人と出会えるのも才能だろう。
脇道にそれるが、文中に軍歌の海ゆかばが、出てきた。
すっかり忘れていたが、今、海ゆかばを知っている人はあまり居ないだろう。
歌詞を今風に言うなら
「海へ行くなら海に沈んだ屍となり、山へ行くなら草の生い茂る中の屍となろう。天皇のお側で死ぬことになっても、それを悔やんだり後ろを振り返ったりはしない」
戦前で無ければ受け入れられない歌詞だ。
チャッピーに聞いたらもともとは
歌詞は大伴家持が『万葉集』に詠んだ歌が元になっているということだった。
ただ、元になった大伴家持の歌は、現代の戦争歌として作られたものではなく、「君主に対して忠誠を尽くし、命を惜しまない」という古代の武人・貴族の精神を詠んだもの。
それを昭和の戦時下に取り上げて、出征する兵士が国のために死ぬ覚悟を示す歌として使われたということだ。
話をもとに戻すと、本書は棟方志功の偉人伝のようでもあるが、ただ普通の偉人伝と少し違うのは、棟方志功本人だけを格好よく描いていないところでしょうね。貧乏だし、家族は大変だし、周囲から見れば「この人大丈夫か?」というところもかなりある(笑)。それを妻のチヤの側から描くことで、
「偉人が偉人になる陰では、いったい誰が支えていたのか」
という話にもなっていたと思い。
棟方志功だけの一代記だったら、もっと「天才・棟方志功物語」になってしまったでしょうが、チヤがいることで人間ドラマになっている。そこが原田マハらしい。
それにしても、あれだけ根拠なく自分を信じられるのも才能の一つだなと思いました(笑)。普通なら途中で「やっぱり無理かな」となってしまう^^;
才能そのものももちろんあるけれど、まだ誰にも評価されていない段階で、自分だけは自分を信じ切れる。これは普通の人にはなかなかできない。
しかも棟方志功の場合は、少し滑稽なくらい一直線で(笑)、周りが呆れても生活が苦しくてもやめない。その「やめられなさ」まで含めて天才なんだと思う。
天才って、出来上がった作品だけを見ると「すごい人」で終わりますが、『板上に咲く』は、その裏にある執念とか迷惑さとか、支える家族の苦労まで見せてくれたのが面白かった。
それにしても、結婚していて隣の部屋にはチヤがいるというのに、「独身です」と言ってしまうところには笑ってしまった。天才ではあるけれど、なかなか困った人でもある(笑)。 -
Posted by ブクログ
マハさんを、たっぷりと堪能できた小説だった!
マハさんの描かれる、困難に立ち向かう女性。
主人公すてらは、病気の父の治療代を稼ぐため、
わずか12歳で、工場で働くなんて、たくましすぎる。
大原孫三郎、児島虎次郎は実在の方で、
大原美術館のホームページも見たが、
この本の中のストーリーに生き生きと溶け込み、
素晴らしい人格者であり、感動した。
小説家とアートを絡めた、マハさんだからこそかけた小説だ。
ラストでイサから託された小石、胸がキュンとなった。
うまいな~!
「書くことをやめない力がある」とイサからの言葉。
「書くことをやめないのは、生きることをやめないから」
小説家も芸術家も、本人の才能はもちろんのこと、
あきらめずに打ち込む意欲、
そして、それをサポートする力が絶対必要だ。