原田マハのレビュー一覧
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引きこもりの青年が、祖母の昔ながらの米作などを通して更正していく物語。その更正の過程での人との関わりと繋がり、あえての面倒な作業からの気付きとか、大切な人への思い、相互の思いやり思いやられ関係とか、心暖まる素敵な物語でした。引きこもりもそうだけど、父の死、祖母の認知症、介護とか、身近な社会問題にもなっているような題材もあり、切なくもありいろいろと考えさせられたけども、やっぱり人の一生は、人の繋がりでできてるんだなと思いました。
父を癌で亡くした経験も相まって、初めの年賀状のエピソードは、目が熱くなっちゃいました。電車では読めませんね(笑) -
Posted by ブクログ
「本日はお日柄もよく」は私には合わなかったんだけど、こちらはめちゃくちゃ良かった。
フランスとアメリカと日本。
ルソーにまつわるストーリーが世界を舞台に繰り広げられる。
ティムと織絵の距離感も抜群に良かった。
あぁ、ほんとに素敵な物語だったなぁ…
感嘆。
関係ない話だが、この本を読む時にずっとお気に入りで使い込んだ深緑色の革のブックカバーをつけていたのだけれど、この小説に「緑色」がよく出てくるので、なんとなくこの小説のテーマカラーとして合っていたような気がして、満足度が非常に高かった。
ブックカバー付けずに読む方、もし良ければお気に入りを探してぜひ本につけてみてほしい。
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Posted by ブクログ
現代社会で懸命に生きてきた女性たちが、それぞれの旅先で新しい景色を見たり、人と出会ったりすることで、ゆっくり息をしながら自分を見つめ直して、新たな一歩を踏み出していくようなそんな短編集。
一生懸命ぎりぎりと生きていると、知らない間に視野がギュッと狭くなっていることがある。私にもそんな時期があった。そういう時に、一生懸命頑張っていたことが上手くいかなくなると、その一本の柱がポキリと折れてしまう。その時の絶望的な気持ちたるや。まさに「なにやってんだろ、あたし」だ。
社会的な肩書きを外した丸裸の自分が、舞台を降りた途端にどれだけ無力でちっぽけな存在か。社会から振り落とされまい負けまいと必死に食らい -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編小説のようになっていて、
それぞれが女性の物語であった。
私が印象に残ったのは、夏をなくす。
夫の心舞い上がってるっていうメッセージを見た時の主人公の強さ。
自分も不倫してるからただ頭を抱えただけなのかもしれないけど。
乳がんになったことを夫に言えなくて、不倫相手とは関係がおわりそうで。
そこであの決断をしたあの島に残るとして、生き抜くことを決めた女性は強いとおもった。
青柳が事情を抱えているのも驚いた
幸せになって欲しいとおもう
青柳が海におしっこしてるシーンで
海とセックスしてるみたいって言ったセリフが
何故か頭にすごく残る
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Posted by ブクログ
日本の美術館に所蔵されている絵画にまつわる6篇の短編集。登場人物は皆それぞれが人生の壁にぶつかり、悩み、もがき、疲弊してしまった者たち。そんな彼らが絵画を通して、人との繋がりや希望を見出し、新たな道を切り開いていく。
この作品のタイトルでもある、「〈あの絵〉のまえで……」という表現が色んなシチュエーションで多用されている。その表現と絵画の描写を通して、人との出会いへの感謝、奇跡の再開への願いや、清々しいまでの爽やかな惜別など、それぞれが抱く様々な感情が自分の中に流れ込んできたように思う。
どのエピソードも生き生きとした感情描写があり、読むごとに心が軽くなるような、豊饒な気持ちになれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私は沖縄に行ったことがない。近くて遠い沖縄。日本だけど、日本ぽくない場所、沖縄。 この小説を読んで、沖縄に行ってみたいと思った。 沖縄から見る、日本やアメリカはかなり本州から見るのとは違うのかもしれない。
この小説は第二次世界大戦直後に米軍沖縄基地に派遣された若きアメリカ軍医と沖縄の地元民の交流のお話。アメリカ兵の目を通しての日本人、いや沖縄人の明るさ、哀しみや苦しみ、強さなどが繊細に描かれている。
原田マハさんの小説を読むと、最後のページを閉じた瞬間に自分の気持ちもそこで止まるのではなく、むしろそこから様々ま想いや考えが湧き出てくる。今回も、自分のアイデンディティ、戦争、さらにはこの小