原田マハのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
明治から大正を生きる一人の少女が、人生の荒波に揉まれながらも、人々に感動を届ける小説家へと成長していく物語。
途中、主人公の“山中すてら”に大きな影響を与える
ゴッホやセザンヌ、モネの作品が登場したり、大原孫三郎と児島虎次郎、武者小路実篤、夏目漱石らと
相見える場面が描かれたりする。
極めつけは「劇中劇」ならぬ「小説 中 小説」が挿入されるなどアートと小説とが見事に融合する力作となっていた。
読んでいくうちに、主人公の“すてら”がマハさん自身のように見えてくる。これまで幾多のアート小説を手掛けてきたマハさんだからこそ描くことのできる世界だから。
「書いて、書いて、書きまくらなければ。私も、ヴァン・ゴオホみたいに。」これはマハさん自身の独白のようにも思えた。
-
Posted by ブクログ
ゴッホに憧れ青森から上京した棟方志功が貧困生活を経て世界的画家になるまでを、妻のチヤ視点で描いた作品。
私には棟方の物語であるとともに、夫婦の愛の物語のようにも感じました。
大好きな作品がまたひとつ増えました!読み終えて、棟方志功と妻・チヤへの愛が膨れ上がっています。
棟方はもちろんすごいのですが、チヤさんも本当にすごい。
ゴッホにおける弟・テオのように、日本の植物学の父・牧野富太郎にとっての妻・スエのように。
何事かを成し遂げた人だけでなく、献身的に支え続ける人の存在の大きさにも感じ入る読書でした。
夫を支えると決めたチヤの覚悟と愛。
良き友であり理解者である松木。
いくつもの「もしも」が重なってつながった奇跡。
棟方を創作へと突き動かすエネルギーに圧倒され、決して諦めない姿勢に感情を揺さぶられました。
子どものように無邪気で純粋で人を惹きつけてやまない棟方は、チヤにとって愛おしい存在ですが、私にとってはチヤもまた愛おしい存在でした。
読書をしていてときどき思いますが、誰の視点で描かれているかで、その作品の景色も印象も大きく変わってくる。それがおもしろく、様々な視点で見ててみたいと思う。
でも、こちらはチヤ視点で描かれたからこそ、より血の通った棟方をすぐ近くに感じられたし、こんなにも魅力的な作品になったんだろうなぁ。
棟方が一流画家として認められるまでの軌跡と同じくらい、夫婦の軌跡も良かった!
二人を見ていると微笑ましくて、自然と頬が緩んでしまいます。愛すべき二人、好きだなぁ。
作品全体に流れる柔らかな雰囲気もいい。
画家・棟方志功のすごさと人間的魅力を感じる大満足の読書でした。
また間隔を空けて再読したい。 -
Posted by ブクログ
『楽園のカンヴァス』を読み終えた直後、その余韻に浸りながら手に取った一冊。
ピカソを愛し、《ゲルニカ》の魅力に取り憑かれた二人の女性。時代を隔てて描かれるその物語は、どこまでが真実でどこからが虚構なのか分からなくなるほどリアルで、読み進めるほどに引き込まれていきました。
私自身、小学生の頃に親に連れられて大塚国際美術館で《ゲルニカ》の陶板画を見たことがあります。上からは暖色の照明が当てられていたはずなのに、心に強烈に残ったのは物悲しく冷たい感情でした。困惑や恐怖。作中で描かれるゲルニカを前にした人たちの感情は自分の記憶と重なり、強く共感しました。
人生で初めてピカソを意識したのがこの《ゲルニカ》だったため、主人公とは違い私はずっとピカソや彼の作品に苦手意識がありました。美術作品というより、もっと生々しい「何か」に触れてしまったような感覚。その正体がこの物語を読んで少し分かったような気がします。もう一度《ゲルニカ》を見に行きたくなりました。
※ 巻末に池上彰氏の解説がありますが、個人的には彼自身の思想や政治色が感じられました。物語の余韻を大切にしたい方にはおすすめしません。
原田マハ氏や本書そのものに対する講評ではなく、あの解説で締めくくられるのは大変残念です。 -
Posted by ブクログ
無意識に棟方志功を主人公として自分に気づいて驚いた。がそれも間違いではないのかも。妻チヤからみた太陽の様な存在。彼女の人生の主人公は棟方志功だったんだ...何度も感動して涙を流した。そして疎開先での気付き。チヤのこの愛の深さにずっと静かに感動し続けている。
時代が時代だから、女性のこの在り方をどう受け止めるかを考えたけれど、これは男か女か立場がどうかではなく、深い愛の話だったとわかった。
また、前編を通して子供の時わからなかった棟方志功の魅力を楽しめる年齢になった。と感じた。
青森美術館に行く前に読みたかった。
『板極道』を読み直したい。 -
Posted by ブクログ
美術館がすきで、興味があって読んでみた。
上野にある国立西洋美術館の基となった「松方コレクション」。西洋美術館に展示収蔵されることになった歴史について書かれている。
西洋美術館には何度も行っているので、「松方コレクション」が基になっていることは知っていた。松方さんはお金持ちだったんだなぁ~ぐらいの認識だった。
その裏にお金持ちだっただけでない、日本に美術館を作って、若者に本物の美術品を見せたいという熱い思いがあったことを知った。個人で所有して満足するのではなく、未来を創る若者のために、と考えられるのが本当の資産家だなと思った。
時代に翻弄され、せっかく購入した絵画を手放さざるを得なかったり本当に残念だったが、今も多くの人が、あなたが熱い思いで買い集めた芸術品を見に行っていますよ、と伝えたい。