原田マハのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私はいま、インクルーシブ教育に携わっている。
今のところ正直、実地の、日々の体感として、その可能性に期待したい思いが3割、限界を感じる気持ちが7割である。それには、私自身のキャパシティと教育知識と技能と経験と、何より忍耐が足りないことが大いに影響している。
差別とかそういう意図は全くなくて、むしろみんながあるがままに生きやすい社会を望んでいるつもりだ。といいつつ、見る人によっては差別とうつるのかもしれない、と客観視もしている意見である。
気持ちが荒み、悩んでいた折にこの本を読んだ。
ここのところ、心の端に追いやられがちであった教育への熱、薄れる一方の社会への期待と自分への期待、蓋をして -
Posted by ブクログ
フィクションとノンフィクションをここまで巧みに混ぜ合わせ、「アート小説」という新しいジャンルの先駆者として書き続ける、「美術史小説家」の原田マハさんには感動する。
こんな風に現実と創作を融合させるのは良くないという教育者や学者、その他様々な人は沢山いると思う。
でもこのアート小説のおかげで、
美術というものの敷居を低く感じてくれる人がいて、美術館に実際に足を運んでくれる人が増えているのは間違いないと思う。
だったら全然ありなのでは?
読んでいて、「ここは美術史として学びに繋げられそうだな」って部分と、ここは「フィクションかな」と思い、知識としてではなくエンターテーメントとして楽しむ部分 -
Posted by ブクログ
ええもうそりゃあ一気読みよ…。面白かった。
この、圧のある表紙とページ数に反してほんま、するする読めると思う。
上巻は「十五少年漂流記」みたいなアクション小説みもあったけど、下巻は、絵画がどれほどすばらしいかという著者の熱量を読んだ。^^
どちらも面白かった。
絵画や、カラヴァッジョに対してわたしに知識があれば
「…!!」
ってなった箇所は多々あったんやろうけど、いかんせん…(笑)。
あと、上巻をすでに返却してしまったのを
「アホかーっ!!」
ってのたうち回った。
上巻でまいた伏線の回収をもっとじっくり味わえたのに…!
まあそれはそれとしても、面白かった。
あの時代にイタリアまで行 -
Posted by ブクログ
初めて出会う「アートの達人」そんな人たちの言葉、そして生き様に触れた。福武總一郎氏の「世の中で一番崇高なことは良いコミュニティを作ることだ」「物書きはお金が入るけど、こっちはお金を使う。大きな違いじゃないですか(笑)。そもそも大量生産でしかお金儲けなんてできません。でもアーティストたちは1点1点に自分の問題意識、社会に対するいろんな思いを込めて作品を作る。そう考えるとだんだん作品が「見えて」きます。」という言葉や、谷川俊太郎氏の「これだけはやった、今後これはしたい」というマハの質問に対して「結婚離婚を三回したこと。『ことばあそびうた』を出したこと。やってみたいことは『死ぬ』こと」などが印象的だ