原田マハのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「屋根でも、垣根でも、飯でも、何か創ってさえいれば、おれたちはご機嫌なんだ。なんにもなくなったんなら、
また創ればいい。それだけさ」
本当にたくましい。物資不足でも、
台風に村を吹き飛ばされても、明るく創作を続ける。
創ることから、生きる原動力を見出すことができる。
人間だけが持つ強さだなあ。
ニシムイの人たちのために、
砂糖や小麦粉を都合してくれる食堂のナビー。
危険とわかっていても、
米軍基地にエドの自画像を渡しに走るタイラ。
守衛に殴られたタイラを追い返さず診てくれた
エセックス院長。ヒガの眼の治療も引き受けてくれた。
メグミがバーに勤めざるを得ない事情を察し、
俺も絵を買う、と不器用ながらも約束するジョン。
現実は厳しいことも沢山あるし、
こんなに甘くないとわかってはいるけど、
やっぱり、沖縄の人とアメリカ人が助け合っている
こうした優しいエピソードが好き。
アートをはじめ、文化はいろんなものを飛び越えて、
人と人を繋いでくれるすごい力がある。
ヒガが少佐に無理強いされてメチルアルコールを飲み
目がおかしくなってしまったところは、本当に悔しい。
やっとヒガの絵を認めてくれる人が現れて、
アルコール依存から脱して復職して、
これからだったのに。ヒガの惨状をみてニシムイを
飛び出し、少佐をボコボコにしたその夜から、
翌朝までずっとニシムイの画家たちが心配して
ゲート前で待っていたと知ったときは
涙が止まらなかった。
最後、ウィルソンにも帰国命令が出され、
ニシムイに積極的に通っていた二人ともが居なくなる。
でもウィルがお別れのときに、「おれも、
ようやく行ってみる気になったよ‥ニシムイに」
そう言ったから安心した。
ウィルソンが作ったニシムイとの繋がりは、まだ続く。
タイトル「太陽の棘」は、帰りの船に向かって
ニシムイの画家たちが鏡を使って放った光のことだった。自画像を描くためにプレゼントした鏡が、
ここで出てくるとは!感動だった。 -
Posted by ブクログ
これは、西洋美術館に足を運びたくなる!
原田マハ=「アート小説」なんて軽い単語で結びつけていた自分が、なんだか恥ずかしい。戦争の裏側を覗いてしまったような、、松方コレクションを守り続けたという当時の一般人が到底知り得ない実話を知ることができて、感動( ・∇・)
また、わたしは翻訳モノをあまり読まないので、世界大戦中の日本以外の国の様子が描かれた小説を読んだのは初めてだったかもしれない。
自分の視野の狭さを痛感(>_<;)
仕事で使っている中学生の美術の資料集を引っ張り出して、本著に登場するモネやゴッホ、ピカソ、ロダンといった作品を眺めながら、読み進めました。
中高校生に読んでほしい本リストにもれなく加わる良書だと感じました。
今後、原田マハ作品を制覇したい! -
Posted by ブクログ
最後に劇的な変化が起きるわけではなく、誰かの少しづつ移ろいいく日常を垣間見せてもらった気がした。その誰かに自分の心情を重ねてみたり、そういった考えもあるよなって思ってみたり。これからの自分の人生を考えるきっかけを与えてくれる本だと思う。私も誰かにとって大切な人。きっとそうでありたいと願う。誰かの一番じゃなくても、大切な人。昔は一番にこだわってた気がする。でも大人になって思うのは、一番なんてそうそう選べないということ。この部分では一番だけど、全てにおいての一番はいない。人となればそれこそ。そう思うし、そうありたい。欲張りかもしれないけど、自分の大切なものは全て守りたいし、大切に持っていたい。
-
Posted by ブクログ
読み応えがあり、アートの偉大さに感銘を受けた作品だった。
名画《ゲルニカ》の制作過程に触れることで、ピカソの反戦への強い思いと、芸術が持つ力の大きさを実感させられる。
物語は、ピカソの展覧会を企画する主人公が《ゲルニカ》の展示実現に向けて奔走する現代パートと、ピカソ自身が《ゲルニカ》を描き上げるまでの過去パートが並行して進行する構成となっている。
この二つの時間軸が交差することで、一枚の絵に込められた意味が立体的に浮かび上がる点が秀逸だった。
著者はかつて美術館の学芸員として働いていた経歴を持つだけあり、美術に関する描写は非常に緻密でリアリティがある。
単なる知識の披露にとどまらず、現場感のある描写として物語に深みを与えているのが印象的だった。
一番印象的だったのは、《ゲルニカ》の前でピカソがドイツの武官に「この絵を描いたのは貴様か」と問われ、「いや、作者はあんたたちだ」と返す場面である。
この一言に、戦争への痛烈な批判と芸術の持つ告発力が凝縮されており、本作を象徴する名シーンだと感じた。 -
購入済み
黄色
ドラマの宣伝を見て、どうしてもストーリーが知りたくて読み始めた。マハさんはsuper eightの安田さんが出演された演劇の原作ということで存在を知った。ゴッホをテーマにしたそのストーリーは出演された安田さんの色と同じ青。純粋なゴッホの悲し過ぎる生涯がテーマを描いたストーリー。優しくても、報われないと印象が強く残り過ぎて、あまり好きなれなかった。もちろん演劇としても脚色されていて、マハさんの世界からは少し離れていたのかもしれない。でもその後、ストールを探していたら、綺麗な青に白い花のゴッホの絵の物を見つけ、少し悩んで手に入れた。マハさんのゴッホの世界に惹かれていたのだなと思った。この作品の紫苑の薄紫の景色も素敵だなと思っが、血のつながりはないけれど家族の本質に触れたこの作品のイメージカラーは最果ての春の菜の花の景色の、優しく輝く黄色だと感じた。孤独を感じさせながら、強い優しさに溢れる作品だった。