原田マハのレビュー一覧
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『さいはての彼女』
『旅をあきらめた友と、その母への手紙』
『冬空のクレーン』
『風を止めないで』
短編集なのに、軸となる部分は変わらない。
「生きてきて、よかった。」「人生を、もっと足掻こう。」
この短編に出てくる女性4人は仕事を逃げ出したり、家族のことを想ったりと振り返りしている。嫌悪感に近い部分もある。例えば、自分にとって不都合なことがあると脳内消去をしてしまうなど、逃げることがあるかと思うじゃないですか。それを引きずって行く人生なんてもったいないなと。
新たな一歩を踏むことはその壁を超えなければいけないし体力だっている。でも周りの人達との支えや言葉、行動がきっかけとなって進められる -
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指揮者の父とチェロ奏者の母のもとに生まれた和音。ある時突然いなくなってしまった母。父と2人で暮らしていた突然新しい母がやってくる。
原田マハさんというだけで前情報なしで購入したら、ラブカに続けてまさかのチェロと音楽に関わる人たちの物語。
大人たちはみんな、和音に自分たちが求めてきたり持っていた煌めきの欠片をを感じている。けれど今の和音には決して押し付けない。そばにいたり待ったりすることは難しいことだと思う。それが大切で期待する子ども相手ならなおさら。
真弓さんもお父さんもお母さんも親友の2人も、みんな素敵。愛があってだからこその厳しさもあって。原田さんのアートを題材にしたフィクションとノ -
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棟方志功美術館がその昔、私の家の近所にあり、身近に感じていた版画家だった。美術館は閉館してしまったけれど、原田マハさんが小説にしてくれたことによって、またもや身近な人となった。
彼の人生を観ていても感じるが、天才や才能ある人はすべての「もしも」の分かれ道に最善の道を選んでいる。そして自分を見出してくれる恩人との奇跡とも言える出会いがある。
妻、ちや子との愛情溢れた家庭で育った4人のお子さん達は幸せだったことだろう。
弱視の版画家。顔を板すれすれにこすりつけ、這いつくばって、全身で板にぶつかっていく。
見る者をおのれの世界へ引きずりこむ強烈な磁力の持ち主。
版画の可能性をどこまでも広げる驚異 -
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風神雷神を描いた俵屋宗達の物語である。風神雷神は、京都博物館で見た。また、建仁寺でも見た。
その雰囲気とバランス、二神の画面からはみ出た躍動感が素敵だ。色彩も鮮やかで、特に白の雷神と緑の風神の対比がいい。その作品を描いたのが、俵屋宗達である。
俵屋宗達、1570年〜1640年とされている。生まれた年も、死んだ年のもよくわかっていない。そして、素性も不明である。残された真筆の画は少ない。その時代は、織田信長1543年〜1582年本能寺で自害の時代だった。織田信長に寵愛されたのが狩野永徳、1543年〜1590年で47歳で死す。
それにしても、この物語の虚構性の着目が素晴らしい。天正遣欧少 -
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西洋美術系の原田マハさんの本は結構読んだことはあるが、この前板上に咲くを読んで以前から気になってた民藝にとっても興味が湧きこちらの本を読むことに。
大人になってからでも同じ興味を持ってる人とはこうも簡単に友達になれるんだなって羨ましく思ったし、こんな高い志を持った人々が民藝を広めたんだなと思ったら行動した結果がはっきりと歴史に残されていて納得がいった。
この本を読む前はなかなか覚えられなかった人物名も物語を読むことですらすらと頭に入ってきた。
そして何より私が大好きなイギリスが出てきてまた行きたいところが増えた。リーチポタリー行ってみたいなーランズエンドの方も。