原田マハのレビュー一覧
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沖縄の通信会社で派遣社員として勤務している女性、まじむが、社内ベンチャーに応募し、それまでなかった沖縄産ラム ー風の酒ー を作り上げるために、悪戦苦闘しながらも、多くの仲間たちに支えられ成長していく物語である。
もちろん派遣社員という立場であるし、ラムの作り方も事業の進め方の右も左もわからないので、次々と困難が押し寄せる。そんなまじむの支えになったのは、おばあの存在だ。厳しくも優しく、まじむのためを思って叱ってくれるおばあ。まじむは、そんなおばあを大好きで尊敬していたし、何よりまじむがラムを作りたいと思ったきっかけもおばあだった。
おばあ以外にも魅力的な登場人物は数多くいた。ラムをはじめて飲ませてくれたバーテンダーの後藤、初めは敵対していたが時間が経つにつれ協力的になる富美江、新規事業部長であり口数が少なくも影ながら大きな支えになっていた儀間、杜氏である瀬名覇、そして南大東島の島民たち。
まじむの熱意のみならず、周囲の仲間たちの支えにより、沖縄産ラムは成功の道を辿っていく。
本書で大きな役割を担うのはサトウキビ。サトウキビは強い風に吹かれながらも、吹かれればより強くなるような力強い植物に描かれている。
そしてまじむはまさにそのサトウキビのような存在である。数々の困難という風にぶち当たりながらも倒されず、むしろ強くなる。そうして成長していく。
そんなまじむのまっすぐな強さと、おばあを初めとした周囲の方々の優しさを心から感じられる、素晴らしい作品でした。
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Posted by ブクログ
やはりこの人の描く物語は、胸が熱くなる。
原田さんの思い描く世の中は、見ている世界は、どんなスケールのものなんだろう。脳みそを分けてもらいたいくらい、羨ましい。
戦争を経験したこともなければ、行ったことのある外国も数時間で着く韓国だけ。今あるすべてが、平和が当たり前すぎて、世界が繋がっているなんてわざわざ考えてこなかった。でもこれを読んで、世界はひとつなんだと信じたいと思った。そう思っていない人に伝えたいと思った。
だからこそ自分の身を持って、いろんな空の下で毎日を営んでいる人々に出会って、「世界はひとつ」なんだと感じてみたい、と思った。
エイミーのように、強く逞しく生きたい。
読み終えてから、飛行機を見るたびになんだか息を大きく吸いたくなる。清々しい気持ちになる。
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Posted by ブクログ
モネの作品には多くの睡蓮の花が咲いている。
そしてその睡蓮の花は、モネ自身が実際に見た睡蓮の花である。モネから見える睡蓮は、本当に美しく、永久的なものであり、多くの人を魅了してきた。そしてこの本の著者である原田マハさんはこう語る。
厄災や不穏、(不安や苦しい、悲しい時)も睡蓮は花開いている。モネは、自然の摂理にままらならぬ人の営みを重ね合わせて、大丈夫、いずれ花は開くのだからと、論してくれているのではないか。
何かが我々の中で起こったり、変化が起こったとしてもあの睡蓮の花は常にこちらを向いて語ってくれるのだ。モネ作品がさらに好きになった。
パリへ行く際に、この「モネのあしあと」と「ジヴェルニーの食卓」を必ず持って行きたいと感じた。 -
Posted by ブクログ
アートにまつわる短編集。
原田マハさんの本を読むと、美術館に行きたくなる。
収録作のほとんどは、物語の中に実在する絵画のエッセンスが入ってる感じ。
最後の「道」だけは、架空の絵画を巡る話だった。
この話が一番好きだった。
私自身は絵画というものに明るくないので、作品というより画家の背景に目を向けて見ることが多い。でもこの話を見ると、アートに対して抱く感情は人それぞれなのだなと。
それこそ、その人が生きてきた今までの生活で趣味趣向はそれぞれ変わるし、どんな作品が刺さるかなんて誰にもわからない。
上白石萌音さんのあとがきも良かった。
いまどれだけ有名でも、最初はみな無名の画家である。そこから誰かの特別になって、だんだんと世界に認知されていく。忘れがちだけど、何の価値もない最初の絵に価値を見出した人がいたから、こうして国を跨いで触れることができるんですよね。
私の場合、美術館に行くとなると有名画家の企画展ばかりになってしまう。それでも楽しいし、心は満たされているけれど、まだ知らぬ、自分だけの「傑作」には出会えていない気がする。
トレンドや知名度に踊らされてしまいがちな自分だけど、周りからの評判なんて気にせず、本当に心動かされる作品に出会うために美術館へ行きたい。