久住昌之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドラマ、映画でも人気作ということで原作を読んでみました。
映像版はわりとのほほんとしていて、入った店は全部当たり、という印象を受けていたのですが、原作は意外とそうでもない。
一人飲食アルアルの宝庫でした。
まず、一人で飲食店に入る時の緊張感。
これはどこから来るのかというと、自分がその店の雰囲気に馴染めるかどうかがわからない、というところにあるのだと思うのです。
一度入ってしまったからには、たとえその場が居心地の悪いものであったとしても、オーダーせざるを得ない。
食べて支払いを済ませるまで、その居心地の悪い場所に身柄を拘束されてしまう。
そんな危険性を伴うのが、一人飲食かつ初めての店だと思うのです。
本作では、そうした危うさにまつわる事例がいくつも描かれます。
料理は「うまい!」んだけど、自分を取り巻く店の雰囲気は微妙。
このアンバランスさが、とてもリアリティを持っているのだと思います。
そして、前はあったはずの店がなくなっていた時の焦燥感。
時代の流れを感じながらも、また気になる店に入ってみる。
料理はおいしいけれど、どこか複雑な心境になる。
これもまた、一人飲食アルアルです。
一冊読んでみて思ったのは、どの話も陰と陽が合わさっているということでした。
ただ「おいしい」「楽しい」だけでは終わらない。
少しの不安や気まずさ、時代の移ろいのようなものが混ざっているからこそ、ぐっとリアルになる。
このバランス感覚の素晴らしさよ……。
映像版とはまた違う魅力を発見できた一冊でした。