久住昌之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
考えさせられる、って意味では、故・くりた陸先生の『いただきます~給食のおじさん・三五十一~』に劣ってない、と私は感じているんだが、他の人はどうなんだろうか
重いってほどではないにしろ、リアリティがある、キャラの感情やストーリーの展開に
さすがに、この『サチのお寺ごはん』のヒロイン・臼井幸さんのメンタルをボロボロにしたトラブル全てを被った人は皆無だろうが、一つ二つくらいは似たような事がある人がいても不思議じゃない
彼女が壁にぶつかり、悩んでしまう姿に、自分が重なる漫画読みは、男にもいるだろう
男が読むべきっつーより、男が読んでも自分の糧に出来る、と表現するのが相応しい食系漫画なのは間違いない
決して、当人が悪い訳じゃないのに、不運に見舞われる者はいる
そんな時、不運とどう向き合うか、で人間力が計れるんじゃないだろうか
この(5)で、一人遊びの才能も乏しい事が判明したサチさんは人間力が高いとは言えないけれど、源導さん達と料理や仏教を通じて交流する事によって、不運を受け止める皿がちょっとずつではあるが、大きくなりつつあるんじゃないだろうか
それでも、溢れてしまう不運の波に飲まれてしまうサチさん
仕事を辞める決断を下すまで追い込まれてしまった彼女は、果たして、立ち上がる事が出来るのか
立つのにも、歩くのにも、人の手を借りるのは恥じゃない。誰も、独りじゃ生きていけないんだから
そこに、サチさんが確と気付けるのか、その辺りが(6)では楽しみだ
しっかし、石田の野郎は、ろくでもなさすぎるな。実際、いるんだろうな、フラれた腹いせに、こういう手段に出る奴は
たとえ、サチさんと親しい間柄じゃなかったとしても、私がこの職場にいたら、サチさんを悪意を持って追い詰める言葉を吐く口を拳で塞いでる
でも、自分は「正義」と思って行った行動で、逆に、迷惑をかけちゃう事もあるからな、感情的になりすぎず、冷静に石田みたいな奴を会社から追い出す方法を考えるべきだろう
石田と同じくらい、嫌な奴だなぁ、と感じたのは、源導さんとお見合いをした清川聖子だ。かねもり先生、何気に、名前に厭味を込めてないか
サチ相手に、ここまで牽制する姿を目の当りにすると、財産目当てなんじゃねぇか、と疑っちまうな
この台詞を引用に選んだのは、本の虫な人間からすると、心が満たされるので
書を読むだけが、読書じゃない。時には、周囲の喧騒に耳を傾け、それに眼を通すのも読書だ
読む際の集中力が上がらない時に、読んだって、中身は入ってこないし、面白さも存分には語れない
読めない環境の時は、潔く、本を閉じてみるのもアリか -
購入済み
あったかい
源導さんの女子力が高すぎ。(褒め言葉)
豆乳鍋のお話が一番好きです。源導さんだけなら少しお固い感じがするけど周りの人達がほんわかしてて良いバランスだなーと思いました。こう言う場所がほしい人、沢山いそうです。車麩とかお豆腐食べたくなる漫画です。お腹すいた。 -
Posted by ブクログ
女性向けのストーリーの深さ、この一点では他を寄せ付けないトコがある
仏教や精進料理がテーマに深く関わっているけど、あくまで、それは全体の良さを構築する一つのパーツなので、難しそうだ、と敬遠せずに読んでほしい食系漫画である、と改めて言いたくなった
この(4)を読んで、しみじみと思った
人間、幸福を掴むのは難しいなぁ。特に、恋愛関係となると
何を言ってるんだ、と呆れられそうだが、ほんと、この(4)を読むと、しんみりしちゃう
幸せになりたい、と願うのは悪い事じゃない。願望を成就するために、努力を惜しまないのは、むしろ良い事だ
けど、人生は、自分の思い通りになってくれない事ばかりだ。頑張っても報われぬ時は、どうしたってある。成功した者は須らく努力している、それもまた、心の支えになるけれども、本当に?と不安になるショックが、人生にはある
でも、人間として成長するには、このショックが必要なんだよな、とも考える余裕を、この『サチのお寺ごはん』は作ってくれる
仏教が一番に優れている宗教、とは微塵も思わないが、ショックから立ち直りたい時は、仏の教えが最も、日本人の感性には沿うのかもなァ・・・
不幸になったから、今度は幸せを掴める、そんな風に巧く行かないのも人生。けど、人間ってのは負け続けでいない生き物だ。敗北、失敗、挫折を受け入れ、そこから学び、次に活かす、それが成長だ
自分は不幸だ、と嘆いている内は、自分の傍にいてくれる人の優しさには気付けず、サイズは小さくとも、確かな幸福が転がっている事も見過ごしてしまうんじゃないだろうか
まぁ、誰にだって幸福になる権利があるとは言え、誰かの不幸の上に成り立てた幸福は長続きはせず、崩れた時、より大きな災難に見舞われる事を覚悟しておいた方がいい。幸せになりたいなら、自分の足元を均し、高さに見合った足場を地道に組み、一つずつ積み上げていくしかない
結局、人間ってのは食事で、「前向きに生きよう」って気持ちを取り戻せるんだな、とサチを見て感じた。確かに、サチの身に降りかかったアレは同情するレベルだ。慰めの言葉も、さすがに思いつかない。でも、傷ついたからこそ得た物もあったんじゃないだろうか・・・・・・そう、自分に言い聞かせないことには、やっちゃいられない
人間的に成長するチャンスを得たサチ、果たして、彼女は次巻で、どんな幸せの種を見つけるんだろう
サチの行く末も気になるとこだが、その点と同じくらい、源導の変化にも注目したいし、小木さんの恋人も気になる。良くも悪くも若さがある唐丸くんが、どんな壁にぶつかるか、も楽しみだ
どの回も好感が持てるものばかりだったが、個人的に推したいのは、第21話「心休め」だ。サチが、これまでの努力の成果をお母さんに見せる、ある意味、総集編みたいな感じが良い。子供ほどは一気に変わらないけど、大人は大人で、自分なりのペースで成長していけばいい
この台詞を引用に選んだのは、やっぱり、深いなぁ、と感じたので。心が荒んでいる時に言われると、「綺麗事だろ」と反発したくなっちゃうだろう。けど、人間は、そういう綺麗事を信じなきゃ、生きていられない。一人前の定義は色々だろうけど、人との出逢い、心に生じた喜怒哀楽、それらを心の糧にするように出来たら、ちょっとは周りから一目を置かれるようになる。まぁ、誰かに認められたいって野心で背伸びしすぎると、足を挫くのがオチだったりするが。ホント、人生は儘ならん。でも、面白い。まだ、もうしばらくは楽しもう -
Posted by ブクログ
あくまで、私個人の感覚だが、この『サチのお寺ごはん』、男の読み手は物足りなさを感じてしまうかも知れない
作中で作られる料理は精進料理ではあるが、ボリュームはあるし、味も最高だろう。なので、この「食べ物」って点に関しては、男の読み手も満足感をしっかりと覚えられるだろう
問題は、ストーリーだろうな
主人公の臼井幸がOLなので、会社員ならいいけど、他の職業に就いている男の漫画読みだと、彼女が仕事やプライベートで抱えている大小の悩みに対し、親近感を持ちづらいだろう
そもそも、男と女、性別の時点で生じる悩みは異なってくる
もちろん、男の抱えている悩みの方がエラい、なんてふざけた事を抜かす気はない
皆が皆、大変なのだから、自分だけ世界で一番の不幸だ、と嘆きを口に出していいのは学生までだ。成人ないしは社会に出たら、悩みは周りに相談してもいいいし、多少の愚痴もこぼしていいが、不幸自慢だけはしちゃいけない
とは言え、仏の教えは男女どちらにも通じる
幸の悩みには共感できずとも、この『サチのお寺ごはん』を読んでいれば、身近な女性の相談に乗る際の手助けとなるだろう
この『サチのお寺ごはん』の面白さは、やはり、キャラクターにある
ヒロインである幸、源導さん、小木さん、唐丸くん、彼ら全員が人間らしいのだ
心に苦痛を感じている他者に、癒しとなるコトバを諭す源導さんも、一皮を剥けば、父との関係がギクシャクしている一人の息子で、反抗をしつつも、より良い関係を築こうと努力している、どこにでもいる青年だ
そんな「ありふれた普通」が誇張なく描かれているからこそ、話の内容がすんなり入ってきて、読めば読むほど、面白さにハマっていける
精進料理と聞くと、つい身構えてしまい、家で作るのが難しい、と思ってしまう。実際、私にも、そういうイメージはあった
けれども、この『サチのお寺ごはん』では、家庭でも作る事が可能なメニューを紹介してくれており、新たな発見となった
肉もいいけど、その美味しさを感じるためにも、たまには肉食から距離を置き、体の中を綺麗にする食事もしていこう
この(3)の中で選ぶなら、「食事」は、第18話「幸せのさじ加減」で作られる、長芋と胡瓜の加減酢、だ。作るのは多少、時間がかかりそうだけど、その分、美味しさは一入だろうな。長芋と胡瓜の旬になったら、ぜひ、挑戦しよう
「ストーリー」なら、先にも書いた通り、源導さんの特別じゃない一面が視る事が出来た、第14話「春の知らせ」だ。いくつになっても、どんな家庭でも、父と息子の関係ってのは大して変わらんな
この台詞を引用に選んだのは、グサッと来たので。優しいストーリーの中だからこそ、名言の厳しさは生きるのだろう。怒り、は生きる上で必要だ。『双亡亭壊すべし』を読むと、しみじみ思う。でも、コントロールできない怒りが自分の心を蝕む毒に成る事を忘れちゃいけない。喜怒哀楽の中で、最も取り扱いを注意せねばならぬのは、怒りだろう。怒っていては、大切な事が見えてこない。愚かな人になりたくないもんだな、うん -
Posted by ブクログ
作・久住昌之、画・土山しげる『荒野のグルメ 3』日本文芸社。
都会という名の荒野にオアシスあり。その名は『小料理よし野』。主人公の某企業の課長は『よし野』で日常の疲れを癒す…
こういうワンテーマで、ゆっくりと時間の過ぎていく漫画というのも良いものだ。一年以上も前から酒を一切飲んでいないが、相変わらず酒の肴は好物。本書に描かれる『よし野』の女将の作る肴に魅力を感じる。
意図してだと思うが、初巻から『よし野』の女将の顔は描かれていない。読者それぞれが思い描いた顔が女将の顔ということなのか。それはそれで粋な演出。何しろオトナの漫画なのだから… -
Posted by ブクログ
やっぱ、食マンガで大事なのは、読み手のお腹を空かせられるか
この『花のズボラ飯』は、その条件を満たしてくれているから好きだ。西川魯介先生の『まかない君』と、実にイイ勝負だ
登場するメニューの大半が、タイトルに“ズボラ”と入っているだけあって、簡単にサッと作れるものばかり、ある意味、夜に読むのが危険な一冊でもある
下手に寝る前に、これを読んでしまうと、体型がヒロイン・花のそれに近づいてしまう危険性がある
全国放送なのかは定かじゃないが、6チャン(こっちではSBSだ)で日曜13:00から放映している『噂の東京マガジン』の1コーナーに、町を歩いている女性に料理に挑戦してもらう、「やってTRY」がある。それは、自信満々の女性が、それこそ、男性でも作れそうな料理を無惨に失敗するトコが面白い
この作品のヒロイン、花は生活こそだらしないけれども、料理スキルに関しちゃ、そんな挑戦者より上なので、女子力もとい主婦力、それの料理って点だけは勝っている、と言えるだろう
花のリアクションが、これまた、イイのだ
本当に美味しいモノを食べた時でなきゃ出ない、人間として素の反応だ
どういう打ち合わせをしているのか、そこは分からないが、美味しいとは何たるか、を知っている久住先生の組む原作ストーリーを、ハイテンポで男も女も笑えるギャグを得意とするうさ・・・水沢先生が魅力を引き出せている
この二人の相性は、ジャンルこそ違うが、『プリマックス』の柴田ヨクサル先生と蒼木雅彦先生にも劣っちゃいない
このまま、良好な仲を維持して、更にお腹が空く『花のズボラ飯』を続けて欲しいもんだ
また、この『花のズボラ飯』は、花とゴロさんのラブコメも軸となっているので、女性の読み手は花のズボラっぷりだけでなく、愛する旦那への真っ直ぐなラブラブ光線にも共感できているのだろう
どれも美味しそうだが、あえて、先に述べた、夜に読んだら危険って条件で選ぶなら、やはり、何を置いても、45皿め「ダイ・ハード茶漬け」だろう。お茶漬けってのはヘルシーだけれど、夜遅くに食べれば、当然、デブる要因に成り得る。そのリスクを侵してでもカッこみたくなるオーラが、この豚バラ肉が入っている茶漬けには立ち昇っている。話の展開が、これまた、微妙な緊張感を漂わせているもので、肩が震えてしまった
この台詞を引用に選んだのは、男の私にも同意できるな、と思ったので。ホント、美味しいモノを食べちゃうと無心になった後、こんな事が頭に浮かぶ。もちろん、それは勘違いで体重計に乗ると後悔が襲ってくるのだが、意外なもので、他の理由で抱く後悔より、すんなりと消えてくれる。けど、懲りずに、またやってしまうって短所もある