あらすじ
心が疲れて泣きたくなった日は、お寺のごはんが助けてくれる。仕事に恋に、いろいろ凹みがちな臼井幸。緑泉寺の源導さん、唐丸くん、小木さんと一緒に精進料理を作るうちに少しずつ日々が変わってきて…。
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読んでいてよだれが出てくるマンガ。白黒で描かれているのに、リアルで美味しそうな食材たち。茄子の揚げ浸し食べたくなったし、筍も食べたい。
教え
今回は住職さんの言葉が身に沁みました。一日一生かぁ。それに幸ちゃんたちがストレスを抱える上司のことなど、他人事ではなかったです。アスパラ料理もためになりました。
Posted by ブクログ
あくまで、私個人の感覚だが、この『サチのお寺ごはん』、男の読み手は物足りなさを感じてしまうかも知れない
作中で作られる料理は精進料理ではあるが、ボリュームはあるし、味も最高だろう。なので、この「食べ物」って点に関しては、男の読み手も満足感をしっかりと覚えられるだろう
問題は、ストーリーだろうな
主人公の臼井幸がOLなので、会社員ならいいけど、他の職業に就いている男の漫画読みだと、彼女が仕事やプライベートで抱えている大小の悩みに対し、親近感を持ちづらいだろう
そもそも、男と女、性別の時点で生じる悩みは異なってくる
もちろん、男の抱えている悩みの方がエラい、なんてふざけた事を抜かす気はない
皆が皆、大変なのだから、自分だけ世界で一番の不幸だ、と嘆きを口に出していいのは学生までだ。成人ないしは社会に出たら、悩みは周りに相談してもいいいし、多少の愚痴もこぼしていいが、不幸自慢だけはしちゃいけない
とは言え、仏の教えは男女どちらにも通じる
幸の悩みには共感できずとも、この『サチのお寺ごはん』を読んでいれば、身近な女性の相談に乗る際の手助けとなるだろう
この『サチのお寺ごはん』の面白さは、やはり、キャラクターにある
ヒロインである幸、源導さん、小木さん、唐丸くん、彼ら全員が人間らしいのだ
心に苦痛を感じている他者に、癒しとなるコトバを諭す源導さんも、一皮を剥けば、父との関係がギクシャクしている一人の息子で、反抗をしつつも、より良い関係を築こうと努力している、どこにでもいる青年だ
そんな「ありふれた普通」が誇張なく描かれているからこそ、話の内容がすんなり入ってきて、読めば読むほど、面白さにハマっていける
精進料理と聞くと、つい身構えてしまい、家で作るのが難しい、と思ってしまう。実際、私にも、そういうイメージはあった
けれども、この『サチのお寺ごはん』では、家庭でも作る事が可能なメニューを紹介してくれており、新たな発見となった
肉もいいけど、その美味しさを感じるためにも、たまには肉食から距離を置き、体の中を綺麗にする食事もしていこう
この(3)の中で選ぶなら、「食事」は、第18話「幸せのさじ加減」で作られる、長芋と胡瓜の加減酢、だ。作るのは多少、時間がかかりそうだけど、その分、美味しさは一入だろうな。長芋と胡瓜の旬になったら、ぜひ、挑戦しよう
「ストーリー」なら、先にも書いた通り、源導さんの特別じゃない一面が視る事が出来た、第14話「春の知らせ」だ。いくつになっても、どんな家庭でも、父と息子の関係ってのは大して変わらんな
この台詞を引用に選んだのは、グサッと来たので。優しいストーリーの中だからこそ、名言の厳しさは生きるのだろう。怒り、は生きる上で必要だ。『双亡亭壊すべし』を読むと、しみじみ思う。でも、コントロールできない怒りが自分の心を蝕む毒に成る事を忘れちゃいけない。喜怒哀楽の中で、最も取り扱いを注意せねばならぬのは、怒りだろう。怒っていては、大切な事が見えてこない。愚かな人になりたくないもんだな、うん