阿部公彦のレビュー一覧

  • 事務に踊る人々

    Posted by ブクログ

    事務という切り口から古今東西の書籍を取り上げる評論。
    表現的に小難しい嫌いはあるが、名は存じ上げている筆者のスタイルはこうなのかと、より専門書に傾いた物だったら断念していそうな中で読み終えられてひとまず今後の読書の参考にはなった。

    0
    2024年04月14日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    今、私が自由だと思っているものは本当に自由なのだろうかと考えた。秩序はたしかに大事だけれど秩序以上に大事なものを蔑ろにしていないか。
    国は私を守ってくれるが同時に傷付けも見捨てもする。安易にぬるま湯に浸かっていることの危険性。
    これから先の時間を生きる人が傷付き見捨てられないように今を大事にしようと改めて感じた。

    0
    2024年01月29日
  • 事務に踊る人々

    Posted by ブクログ

    事務という身近なテーマに興味を惹かれた。
    文学作品や作家に焦点を当て、事務との関係性を章立てしながら説く。

    文学という一見事務のような形式的で冷たい印象からかけ離れた題材にも、事務らしさから発せられる魅力を垣間見ることができる、事務の深淵さに触れたような心持ちになる。

    「注意の規範」というキーワードが提示される。事務は矮小化された部分への注意によって成立する。その徹底により成り立つ作品もあれば、そこからの逸脱が表現される作品もある。事務という基点から考察する作品の魅力に気付かされ、まだ未読なものがほぼだが早速読んでみたいという気持ちになった。

    個人的には第4章「ガリヴァー旅行記」の情報処

    0
    2024年01月06日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

    0
    2022年11月14日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対

    0
    2022年08月01日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    「知る」ことで「知らない」では感じられなかった物事が立体的に色彩を持って立ち上がってくる。
    ニュースを見て感想を抱くだけといった姿勢では流れに逆らうことはできないが、思考し行動することは人を新たな場所へ連れて行ってくれる。
    本書では各分野の著名人が各々の視点から考えを述べており、他人の視点、思考、背景等を感じながら読み進められるという点で対話的な(厳密には違うが)一冊になっている。
    自由を重んじる立場の方々の考えに多く触れることができて心地良さすら覚えるが、逆に反論する立場の人の意見にも触れたい気持ちになった。

    0
    2022年06月01日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

    0
    2022年03月08日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

    Posted by ブクログ

    初めて読む方の文章が新鮮で特に印象に残った。山田和樹さん、永井愛さん等。既によく読んでいる方の名前につられて本を手に取り、新しい方のご研究などに興味が広がっていくのがうれしい。
    この本を読んで逆に「自由」という言葉を簡単に定義し使うことが難しくなったが。
    自由を手放したくないし、奪われそうなら戦う!新たな自由をつかみ取りたい!そして次の世代に手渡したい。

    0
    2021年09月20日
  • ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う

    Posted by ブクログ

    だいぶ前から気になっていた、読解力と注意力の関係。自分が教えながら感じていたことが、やっぱりそうだったんだと再認識できた。

    0
    2021年07月23日
  • ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う

    Posted by ブクログ

    大学入試改革で「論理国語」と「文学国語」を分けていることから、文学は論理的ではないと国や経済界は思っているのではないかと感じる。
    しかし、文学(小説)を解するためには徹底的に論理的に読む必要があり、文学に論理性がないとは到底いえない。また論理国語とされる試験問題からは、文章の意味は一義的に定まるという考えが読み取れるが、そもそも人間の用いる「ことば」というものは複雑で、文脈や時代の情勢を織り込まないことには意味が正確に取れず、また受け手側のスタンスによっても意味の取り方が変化しうる。
    そのため、文学を取り出して囲い込むことは幾重にも間違った政策判断であるように思える。
    以上が本書を読んだ感想で

    0
    2021年02月09日
  • ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う

    Posted by ブクログ

    経済優先の世の中では数値化できないものが切り捨てられていく。そんな恐ろしさを新・大学入試共通テストのプレテストから感じてしまう。
    恐ろしさを感じると同時に、ここで語っている東大の5名の教授の言葉には胸を打たれるものがあり一筋の希望が見えてくるようだった。
    ことばの危機はことばだけの問題ではないことを改めて気付かされる一冊。

    0
    2020年07月28日
  • 世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今

    Posted by ブクログ

    タイトル通り各文学賞について複数の方たちが好き勝手(?)話をしたものが1っ冊の本にまとめられている。面白かったのは文学賞の背景であったり、審査の仕方であったり文学賞の周辺まで考察したり説明があったりで、なかなか読み越えのある本だった。世の中にはまだまだ知らない本がたくさんあるのでとても勉強になった。

    0
    2016年12月11日
  • 世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今

    Posted by ブクログ

    芥川賞や直木賞なんて世界の文学賞のうちに入るのだろうか?日本の作家が書いた日本語の小説しか対象になっていないのに。なんてことを思ったけれども、読んでみました。今年も話題になっているのは、もちろんノーベル文学賞。村上春樹さんがとるかどうか、メディアで騒がれました。この本を読むとわかるのですが、その根拠になっているのがカフカ賞。この賞をとった人が二人、ノーベル文学賞をダブル受賞しているんだそうで、まだ受賞してないのが村上春樹なんだそうです。カフカ賞はチェコ語の翻訳が一冊は出ていないと受賞できないそうで、村上春樹がとった2006年は『海辺のカフカ』が翻訳された年。タイトルがよかった?

    そのノーベル

    0
    2016年10月24日
  • 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために

    Posted by ブクログ

    学習指導要領、コロナ予防接種の注意点、広告、賃貸契約書などの文書の特徴を詳細に分析し、その分析をもとに文学作品(「坊ちゃん」「渋江抽斎」「卍」「蹴りたい背中」など)を解剖していく。

    本としてもはじめはとても面白く、学習指導要領から読み取れるお役所気質(「議論するつもりはないのです。文句など言われたくない。ただ従ってもらいたい。だから弱腰になるような態度はとりたくない。」P29)は、その通りだなと膝を打った。
    が、文学でない文章の分析があまりに続くと飽きてしまう自分がいる。なるほどと思いはするが、文学の文章のように面白くないし、分析すること自体に喜びがない。その特徴や性質を掴み、それを文学作品

    0
    2025年04月02日
  • 事務に踊る人々

    Posted by ブクログ

    夏目漱石が英語教師として
    考えていたことの章がおもしろかった。

    あと、フランス革命時代に
    処刑するための事務手続きをわざと遅らせて
    結果的に命を救った例があるそうで
    そこは手続き無視とかしないもんなんだ!
    と妙に感心してしまったわ。

    0
    2025年02月02日
  • 事務に踊る人々

    Posted by ブクログ

     事務のワードに釣られました。宇宙の影の帝国である事務がいかに文学を侵食していったかについて、文系先生(差別とかじゃないです!)による評論です。現国教科書の評論文のところに載っているような感じです(悪口じゃないです!)。
     こういう本は久しぶり。良く言えば縦横無尽、反対に、思いつきで大雑把とも感じます。私には難しく、理解困難な感じです。

     全12章、1・2章は「夏目漱石と事務」です。漱石ファンは必読でしょう(たぶん)。
     3章は、事務と言えば注意力、注意力と言えば発達障害、と展開します。なんか風が吹けば桶屋が儲かるを思い出します(バカにしてません!)。
     飛んで、9章エクセル思考で小説を書く

    0
    2024年05月14日
  • 事務に踊る人々

    Posted by ブクログ

    事務の持つ権力性や特性について、再発見する良い機会となった。
    事務手続きが行われなければ、実務が動かないような近代以降の社会の仕組み。

    複数の事務ルールが関連することにより、システムがより複雑化してしまい、ますます事務の力が強くなってしまうこと。

    事務文書の非感情的な側面、主観的、客観的な表現。

    社会システムが大きく変わらない限り事務は引き続き重要な位置を占め続けると思った。

    0
    2024年04月06日
  • 名作をいじる 「らくがき式」で読む最初の1ページ

    Posted by ブクログ

    文学者による、小説の読み方が分からない、という人に向けた読み方指南書。とは言いつつ、やっていることは、とてもお手軽で、より本を面白く読む上でとても参考になった。

    著者は、小説を読むときの方法として、本文を「いじる」ことをお勧めする。ここで言う「いじる」というのは、思わず「なんじゃこりゃ?」と言いたくなる部分に、鉛筆で記しを付けて、どこがおかしいか、忘れないようにコメントを書き込むこと。難しい小説ほど、意味が分からず、先に進むのが面倒くさくなってしまうのだが、まさしく、そうなってしまう原因の部分に「どうしてこんなふうになっているんだろう?」「どうしちゃったの?」という疑問をぶつけて、その異様さ

    0
    2023年08月16日
  • 文庫で読む100年の文学

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    帯「ポケットに世界文学全集を!」の通り、手に入る文庫本をセレクト。
    このコンセプトはいいのに、セレクションが微妙で、そして文章も短く不足。
    なんともいたしかゆしなブック・ガイド・ブック。

    0
    2023年07月10日
  • 文庫で読む100年の文学

    Posted by ブクログ

    まだまだ読めてない本があるなぁとペラペラと眺める。
    巻末の文庫化して欲しい本、が興味深く、こちらを見ていても、読みたい本がまた積み上がっていく…。

    0
    2023年06月18日