【感想・ネタバレ】名作をいじる 「らくがき式」で読む最初の1ページのレビュー

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Posted by ブクログ

名作の書き出しを引用し、傍線や書き込みでツッコミを入れていく。

そのツッコミに、いちいちハッとさせられる。
この筆者のヨミは只者ではない。
小説を読み込むとはこう言う事なんだな。

こう言う読みこむセンスというか、修行ができている人は、小説読めば読む程、どんどん小説の味を噛み締められるんだろうな。

筆者を尊敬してしまいました。

例えばの本文からの引用
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林芙美子は一見、この「ドライで切り詰めた文章こそが名文だ」という考えを実践しているように見えるかもしれません。でも、実際には冒頭に歌を引用し、しかも未練たっぷりにその歌から距離を置こうとすることで、かえってドライな文章が隠しもつ歌への憧れを漏れださせているとも見えます。『放浪記』の冒頭が力を持つのは、、歌を前にして頑張って「散文」で居続けようとする語り手の、その「がんばり」の過剰さに忍耐と義望とが見て取れるからです。

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2021年02月09日

Posted by ブクログ

文学者による、小説の読み方が分からない、という人に向けた読み方指南書。とは言いつつ、やっていることは、とてもお手軽で、より本を面白く読む上でとても参考になった。

著者は、小説を読むときの方法として、本文を「いじる」ことをお勧めする。ここで言う「いじる」というのは、思わず「なんじゃこりゃ?」と言いたくなる部分に、鉛筆で記しを付けて、どこがおかしいか、忘れないようにコメントを書き込むこと。難しい小説ほど、意味が分からず、先に進むのが面倒くさくなってしまうのだが、まさしく、そうなってしまう原因の部分に「どうしてこんなふうになっているんだろう?」「どうしちゃったの?」という疑問をぶつけて、その異様さを楽しもうと言う。

この「いじる」ということに関して、著者は「内容を読んで味わうとか、考えるとか、批評するといったややこしいこと」ではなく、「読む以前の行為」だと言っている。本書では、著者が実際に、名作の最初の1ページを「いじって」、そのいじりに対する自分なりの答えを解説している。プロが小説を批評するときに、その手前でやっていることを見せてくれていると言う意味で、面白かった。
小説をちょっと背伸びして読みたい、そんな人に読んでもらいたい。

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2023年08月16日

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