田口俊樹のレビュー一覧

  • WIN

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    マイロン・ボライターシリーズの大ファンで、続編が翻訳されなくなって永らく寂しい思いをしていたところ、この本の存在を知りました。ウィン、ハイスペックで冷血で、暴力を愛する男。最高です。歳を重ねてほんの少し丸くなったか。ストーリーも申し分なく面白かったです。

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    2023年09月24日
  • カーテン

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    ネタバレ

    34か月間でポアロシリーズ読破!ヘイスティングスがポアロに呼ばれ一路スタイルズ荘へ。衰弱したポアロとの対面、いきなり「ここで大変な事件が起きるかもしれない」とポアロ。しかも犯人の目途は立っている。が、ヘイスティングスに真相は告げず。ヘイスティングスに犯人捜しを頼む。納得いかないが彼なりに慎重に住人と会話する。そこで医師の妻が自殺、別夫婦の妻への誤射、ヘイスティングスの殺人未遂、愛鳥家が拳銃自殺、ついにポアロが病死。複雑な真相はポアロの手記で明かされる。ポアロの幕引きは切なくも格好良かった。そうきたか~⑤

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    2023年09月17日
  • 長い別れ

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    力強く、わかりやすい文体。そして、ウイットに富んだ会話。私立探偵フィリップ・マーロウは、たまたま出会ったテリー・レノックスと友人になった。ある日、マーロウはテリーにメキシコに行くのを手伝ってほしいと頼まれる。ここから、マーロウは事件に巻き込まれて行く。かなり難関な事件が二重三重になってマーロウに襲い掛かる。しかし、マーロウは怯むことなく立ち向かっていく。マーロウの中心にあるのはテリーとの友情かもしれないけれど、真実を曲げない姿勢にぐっと来る。そして、この本に惹き込まれた、もう一つの理由は田口氏の訳文がとても魅力的だった点だ。何度でも読み返したくなるページが何ヶ所もある。
    読み応えのある本です。

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    2023年08月16日
  • 陽炎の市

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     ウィンズロウが最後の作品として世界にプレゼントしてくれる三部作は第二作。第三作は執筆中とのことなので、一年に一作、書いては出版するというけっこうリアルタイムかつ歴史的作業なのかと想像する。翻訳者も出版社スタッフも綱渡りな作業だろうが、内容的にも、作家ウインズロウのラストワークとしても、あまりに重要な歴史的三部作に携わる多くの方のGood Jobに敬意を表しつつ、大切に本書を手に取る。

     旅行業をしていると本に費やす時間が実は途切れ途切れで得られにくいのだが、8月に入ってようやく連続休暇が得られたので、二日くらいで一気に読ませて頂いた本作。分厚い作品だが、『業火の市』で故郷を追われた主人公ダニー・ライアンとその一行がウエストコーストに辿り着く状況と、そこでもまた張りつめる緊張と生死を賭けた日々に瞬く間にのめり込んでしまう。

     テンポが速いせいか、ぐいぐい読み進む。とはいうものの、登場人物の多さが読みにくさに繋がるので巻頭の人物表を百万回くらいめくりなおさねばならないのは前作と同様。何せ人間関係図は、この物語にとって大変重要なものだし、それぞれの人間関係の矢印は、いつでも裏返ったり引っくり返ったりし得る信用のならないものだからだ。スリリングで緊張感いっぱいの登場人物表。

     タイトルの「陽炎」は原語では”Dreams”。ちなみに具体化するとそれはハリウッド・ドリームだ。銀幕の世界。主演女優の魅力。札びらが舞う世界。夢という名の鉱脈が眠る土地。

     売れっ子映画女優の作品撮影に燃えあがるサンディエゴ。ダニーたちが辿り着いた太平洋の岸辺にある世界。メキシコの闇カルテルやFBIの権力闘争、そしてロードアイランド州プロヴィデンスに遺してきた敗北の過去。勝者イタリアン・マフィアの追撃の恐怖。ダニーは空っぽであるかに見える。組織はばらばらに解体したかに見える。しかしダニーが持ち去ったマネー(大半は海に投棄したとは言え)への追撃網は緩まない。緊張した逃走ドラマのさなかで、ダニーたちは身を隠す。新天地カリフォルニア。

     売れっ子女優ダイアン・カーソンの描き方が独特でウィンズロウらしい。そして映画製作現場の活気も、そこに寄せられる札束の気配も、男たち・女たちの欲望も。ダニーの母親はクールでリッチで悪女だが、それでも母親であり、ダニーの守護神でもある。ダニーの腹心のアルター・ボーイズは歩く凶器みたいなもので、スリリングな存在だ。いや、すべての腹心、部下たちが同じようなものかもしれない。何しろ彼らはギャング組織。影を踏んで歩く組織なのだ。

     そしてこの三部作はギリシャ神話に基づいた物語だと言う。ウィンズロウ人生最後のチャレンジ。運命の渦に巻き込まれ錐もみ状態になったダニーの運命は未だこの作品まででは半ばまでしか語られていない。全く幸福とは別次元に転がっているかに見える主人公ダニーと彼に近づく者たちの不幸が際立つ。ダニーの彷徨の人生は、煌びやかに輝くと思うと、次の瞬間には闇に閉ざされる。血の匂い。硝煙の匂い。ドラッグの夢。命の儚さ。いつも摑みきれなかった愛。

     本作もまた読後の興奮冷めやらぬところは前作同様。本当にドラマティックなクライマックスを予感させる最終作(本シリーズだけではなく、残念ながらウィンズロウの最終作)まで一年。今日のところは終わっちゃいない。気長に待つとしよう。

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    2023年08月06日
  • 陽炎の市

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    〈ダニー・ライアン〉3部作の2作目。抗争に負けたダニーは逃亡し、そこでFBIから取引を持ちかけられて自由を手にする。身を隠し、静かに生活していたなかで出会う1人の女性。そこからまた色々と動き出していく。今作は派手なアクションなどは少ないけれど、それでもその奥にある怒りや後悔、憎しみなどたくさんの感情が流れているのを感じることができる。ダニーの周辺がざわざわし始め、この先がどうなるのか。完結してほしくないけれど早く読みたい。

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    2023年07月09日
  • 陽炎の市

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    ドン・ウィンズロウ『陽炎の市』ハーパーBOOKS。

    『業火の市』に続く、ダニー・ライアン三部作の第2弾。

    確か『業火の市』の巻末にはこの第2弾の冒頭が『虚飾の市』というタイトルで収録されていたが、『陽炎の市』というタイトルに変更されたようだ。

    ドン・ウィンズロウらしいハードでストレートなギャング小説。圧倒的な面白さ。

    一人の女性を巡るマフィア同士の抗争に巻き込まれたダニー・ライアンが仲間と共に自由を求め、逃亡し、家族のために全うな人生を送ろうともがき苦しむ。やっと掴んだと思った幸せな時は砂漠の陽炎の如く消えていくが、それでもダニーは諦めずに安息の時を追い求める。


    プロローグ。1991年4月、カリフォルニア州アンザ・ボレゴ砂漠。仲間と共に捕まったダニー・ライアン最後のシーンが描かれる。この物語の結末はこんなに悲しいものなのか。結末は変わることはないのだろうか。

    1988年12月、ロードアイランド州。アメリカ東海岸で起きたイタリア系マフィアとの血塗られた抗争に破れたアイランド系マフィアのダニー・ライアンは残された仲間と共に西へと逃亡する。

    ダニーたちが持ち逃げしたヘロインを奪還しようとイタリア系マフィアとFBIが執拗に追跡し、次第に追い詰められていく。

    危機を感じたダニーはラスベガスの郊外に住む母親のマデリン・マッケイに助けを求め、母親の家に身を潜める。しかし、そこに麻薬取締局の捜査官が訪れ、ダニーに取引を持ち掛ける。

    その取引とはメキシコの麻薬カルテルに痛手を与えるために、彼らの隠し金を強奪する代わりにFBIの追跡を止めさせ、仲間と共に新しい人生を与えるというものだった。

    仲間と共に麻薬カルテルの隠し金を強奪したダニーたちだったが……


    またも巻末には来年の夏に刊行予定の三部作の最終幕『荒廃の市』からの一部抜粋が特別先行公開されている。

    『荒廃の市』の内容に触れてしまうと完全なネタバレになるので触れないが、全く予想外の驚愕の展開が描かれていることだけ述べておこう。

    来年の夏が楽しみだ。

    定価1,440円
    ★★★★★

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    2023年07月05日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    悲惨な戦争の描写もあるが比較的読みやすい。
    過酷な状況の中で生きていく当時の人々の様子が思い浮かぶような作品でした。

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    2023年06月22日
  • WIN

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    人生は悪くない ビールも悪くない
    いつも正しく行動する、それでも望み通りになるとは限らない
    人間関係は決してフィフティフィフティにならない、それを受け入れ構わないと思え

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    2023年05月21日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    恥ずかしながら私自身は本書を読むまで作品と名前が一致していなかったのだけれど、米国では誰もが知る巨匠エドワード・ホッパー。
    様々な作家の作品からなる『短編回廊』とは違って、一冊丸ごとエドワード・ホッパーの絵画から紡がれた物語はどこか懐かしく、登場人物とはこれまでもドラマや映画、小説などで出会っていたような不思議な既視感と絵そのものから漂う危うい気配にゾクゾクした。おもしろかった!

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    2023年05月10日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    読んでよかった。タイトルはダサいがピッタリとハマったタイトルでもある。詩的な部分も感じるがとても読みやすい

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    2023年01月16日
  • WIN

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    ネタバレ

    初のハーラン・コーベン。
    90年代に出版されたマイロン・ボライターシリーズのスピンオフで、ワトソン役のウィンザー・ホーン・ロックウッド3世が主役。
    本シリーズの方は流石に絶版状態で手に入らず。著者のことも寡聞にして今回初めて知りました。

    スピンオフ作品ということで付いていけるか不安だったが、そんな心配は全くなく、冒頭から主役のウィンに惚れ込んでしまう。
    いや、容姿端麗、超がつくほど大金持ち、冷血王子と言われていたほどのクールさ。それでいて狼のような獰猛さも垣間見える。こんなん惚れるやろ。
    作者と訳者の方の力か、ウィンの匂い立つような色気が読んでいても感じられた。

    富裕層用のビルで死体が発見されるところから始まり、フェルメールの絵の盗難事件、学生運動家が引き起こした事故、“恐怖の小屋”と呼ばれた暴行事件など、時代を跨いだ事件が複雑に絡み合うことになる。
    若干後出しジャンケンなところはあれど、意外な事実がこれでもかというテンポで提示され、登場人物のキャラ立ちもあってあっという間に読み終えた。

    個人的には、おすすめの一冊。続編も期待しつつ、そもそものマイロンシリーズの復刊もお願いしたい。

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    2023年01月13日
  • 狩られる者たち

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    先の見えない展開で、
    血生臭い話だけど嫌にもならず
    物語の中に引き込まれます。
    一気読みしたかった!
    結局、何日かに分けて読んだけど、あれどうなるんだろ?と他の事しながら先が気になる感じ。

    続編も訳されて発売されることを望みます‼︎

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    2022年12月17日
  • WIN

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     『カムバック・ヒーロー』を読んで間もなく『WIN』を読む幸せ。もちろん偶然。それも、なぜか神がかり的な偶然! 何と25年の時を経て刊行されたのは、スポーツ・エージェントのマイロン・ボライターを主人公にしたシリーズのスピンオフ作品。マイロン・シリーズに欠かせない相棒のウィンザーホーン・ロックウッド三世にしっかりと齢を重ねさせ現在形の主人公として起用あいなったのである。Wao!!

     ウィンはマイロンのシリーズでも相当魅力的な主人公であるばかりでなく、とても重要でインパクトのある仕事を果たす。知のマイロン。力のウィン。よくある私立探偵ハードボイルド・シリーズのコンビネーションを、そのままなぞったような、いわばアメリカン・スタンダード。

     どちらかと言えば無口な主人公であるウィンのなのに、なぜか本作は彼の一人称で語られる。減らず口の得意なマイロンですら与えられなかった叙述法。感情を示さない(感情が希薄と言った方が正解かな?)ウィンの一人称。これは、ある意味、謎めいた存在でもあるウィンの内面が改めて覗けるという点で、とても興味深いのだが、作者がこの手法を敢えて取ったこの作品。コーベン・ファン、さらにはウィン・ファンの関心を、強烈に惹きつけること請け合い。何せタイトルそのものまでが、”WIN”。

     あまり感情が動かない様子、プラス、ウィンの生きる方程式のようなものは、随所で本人によって語られるから、ウィン・ファンの読者には相当そそられる作品になるだろう。無論、ぼくもその一人。

     さて事件そのものは、けっこう時間枠でも空間枠でも大スケールなもの。1970年代に世界を騒がせながら、誰一人としてその後の行方がわかっていないテロ・グループ6人組のジェーン・ストリート・シックス。テロ行為の結果である某バス襲撃事件では、かつて多くの被害者が出ている。世界中が彼らを探し回ったのに、その後の行方は、一人として杳として知られぬまま。

     本作では、まず謎の「貯蔵家」の遺体が、発見される。事件現場では、ロックウッド家から失われた二枚の名画のうち一枚が発見される。フェルメール『ピアノを弾く少女』。もう一枚ピカの名画は『本を読む人』は何処?

     ウィルの父、亡き叔父など、ロックウッド財閥を巻き込むために、ウィルの家族、過去の謎めいた事件などが、この作品では改めて明らかになってゆく。中でも、森の中の小屋で監禁放置状態で汚物まみれになりながらも脱出を果たした従妹パトリシア・ロックウッドの存在は、最近のコーベン作品によく似た独特の奇妙さを有して不気味だ。この森の少女連続監禁事件では、パトリシアの脱出とともに他にも多くの少女が遺体で発見された。パトリシアは唯一の生き証人であった。しかし、それも22年前の未解決事件である。

     現在のフェルメール殺人事件が、過去の未解決事件とどうやって繋がってゆくのか。ウィンの捜査や冒険により、様々なもつれが徐々に解かれてゆく。その真実たるや、なかなかに重厚で複雑な人間絵模様とも言える。ウィンの視点で、彼自身の運命をも象ってゆく真実を、どちらかと言えば淡々とユーモアすら交えつつ(本人が意図しているかどうかはともかく)描かれ、読まされてしまうのはいつもながらのコーベン節。ウィンの性格をよく活用しているとも言える作品である。

     一ヶ月ほど前に読んだばかりの『カムバック・ヒーロー』ではラストシーンがウィンの行動で終わるのだが、これについては本作p494でウィン自身が振り返っているので、いわゆるネタバレ。なので未読の方は『カムバック・ヒーロー』を先に読んで頂いてから本書にかかるのはどうだろう。それ以外のマイロン・シリーズのどれか一冊でもよいのでそれを読んで頂いてからでもよいと思う。これを単体で読むよりもずっと深く、楽しく、ウィンの現在の物語を重層構造的に読むことができる。

     何であればウィンの個性を、この作品の後にマイロンのシリーズで追尾してみては? 楽しみは単なる二倍はなく、十倍にも二十倍に、いや百倍にも膨らむはずである。

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    2022年11月26日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    ネタバレ

    初のアルネ・ダール。
    翻訳ミステリ大賞シンジケートで紹介されていて読みたくなったので。

    評判どおり、物凄く面白かった!
    食傷気味だった北欧ミステリかつはみ出し刑事ものではあるけど、そんなこと吹っ飛ばすほどに面白かった。

    話の入りは北欧刑事ものではあるが、特に第二部の取調室の攻防以降、印象がガラリと変わる(この攻防自体も面白い)。ここまで先が気になり、ページをめくる手が止まらない小説も久しぶりだった。

    最後は、多分賛否両論なんだろうけど、個人的にはいい知れぬゾッとする感じも素晴らしいと思った。
    シーズンが続くというか。

    シリーズとしては5作くらい出てて、ただ翻訳は2冊目までらしい。非常に楽しみにしているので、どうか最後まで翻訳されますように。

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    2022年11月24日
  • 最後の巡礼者 下

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    第二次大戦、ドイツに占領されたデンマークとノルウェー、微妙な中立を保ったスェーデン、たったひとりで侵入者であるソ連に抗戦したフィンランド
    北欧諸国はヨーロッパ強国の趨勢に左右される。

    凄惨な殺人事件と、埋められていた三体の白骨死体から始まり、並行して語られる第2次世界大戦前後の物語が、次第に交差していく。
    二つの時代の出来事が1ページごとに繰り広げられる描写は、圧巻。

    オスロ警察本部所属刑事の主人公トミー・ハーグマンは、北欧ミステリーの主人公刑事として定石どおり私生活ではダメ人間、でも捜査には妥協がない。

    警察小説ではあるも、第二次大戦下のスカンディナヴィア半島での双方の諜報活動の様子は、ミステリーであることを忘れてのめりこんでしまった。

    あっという間の上下巻でした。

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    2022年11月21日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    現代アメリカ文学を代表する作家の1人であり、私自身も邦訳作品は8割方読んでいるポール・オースター。彼がオースターとしてのデビュー前にポール・ベンジャミンという名前で発表したハードボイルド探偵小説が本作である。

    オースターファンを自称しながらも、本作の存在を全く知らず、書店で見つけて勢いこんで買ったが、これが本当に面白くてたまらない一流の作品であった。私の中でのハードボイルド探偵小説といえば何と言ってもレイモンド・チャンドラーなわけだが、それに匹敵する作品といって何ら過言ではないと思う。

    実際、日本におけるアメリカ文学界の重鎮・奇才である若島正先生自ら「ある意味でショッキングな作品である。つまり、これをあのオースターが書いたとはなかなか信じられないくらい、完璧なハードボイルドなのだ」と語っており、そのクオリティの高さはお墨付きと言える。

    何ら難しいことを考えずに、最上質な作品世界に耽溺できること時間が過ごせること請け合いの傑作である。

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    2022年10月02日
  • その犬の歩むところ

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    戦争や貧困で傷ついたアメリカ人の再生の物語なので、アメリカ人の愛国心や反骨精神は興味深く読めたけど、復活のアイテムに犬を使わないで欲しい。
    最後には犬がヒーローみたいな感じでハッピーエンドにしても、犬はそんなもの求めてないと思う。

    と、辛口で評価しても面白かったことは否めない。ミステリーと言うほどの謎はない。どちらかと言えばロードムービー的。

    作者のボストンテランは覆面作家で性別すら謎だけど、最後に書評の人が「おそらく60代の女性」と推測してて、私は絶対男性だと思ったので、この人の他の本も読んでみようと思った。

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    2022年09月11日
  • ダ・フォース 下

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     夏休みは伊吹山2合目にある、ロッジ山へ。

     天気が悪く、外には出歩けなかったが、眼前に拡がる琵琶湖をテラスから眺め、終日本書を読んでいた。コーヒーを飲むこと、本を読むこと以外が無い、良い休日でした。

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    2022年08月21日
  • ダ・フォース 上

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     生産・流通を担っている麻薬カルテルを描いてきた著者が、一大市場であるニューヨークの麻薬市場を書いた作品が本書だ。麻薬を取り締まる警察官の活躍が描かれるが、蛇の道は蛇で、警察官の守る正義は一筋縄ではない。

     知らず知らずに正義を踏み外していく刑事たちは、なぜ踏みとどまれなかったのか。それは一歩一歩、少しづつ踏み外していったからだ。ただ、彼らの胸の内にあふれる正義感は熱くあふれている。

     冒頭で留置されている刑事が書かれ、過去にさかのぼり正義から逸脱していく様が語られる。終盤、伏線を回収するように逸脱の背景が書かれ、刑事たちの哀愁が立ち昇るように感じられる。

     市警察、市行政、連邦捜査局、アメリカの警察組織は複雑で、それを理解することもエンターテイメントの一つだ。映画を観ているような感覚で、一気にページがめくられていく。

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    2022年08月21日
  • 偽りの銃弾

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    おもしろかった!
    これは結末を知ってしまったら読む意味なくなっちゃうのであれこれ言えないけれど、なかなかインパクトのあるラフトだった。

    ジュリアロバーツがマヤをやるみたいだけど、アマプラ落ちてきたら絶対見よーっと。

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    2022年08月19日