【感想・ネタバレ】業火の市のレビュー

あらすじ

かけがえのないものを奪われたとき、
男たちは血で染まる道を歩み始める――
鬼才ウィンズロウが放つ
新3部作の幕開け!
「『ゴッドファーザー』以来、最強のギャング小説」
――CWA受賞作家スティーヴ・キャヴァナー

ギャング小説の新たな金字塔。
絶賛の声、続々!

「“新米マフィアのドン”。ダニー・ライアンを待ちうけるのは光か闇か? ベテラン作家のドン・ウィンズロウを待ち受けるのは、称賛と喝采だ!! 傑作だ!!」 井上 順(俳優)
「巨匠の新作の誕生に立ち会えるだけでも、この不安と混迷の時代を生き延びる価値はある」小島秀夫(ゲームクリエイター)
「過熱する抗争劇と肉厚の人間ドラマに終始圧倒」宇田川拓也(書店員)

1986年アメリカ東海岸。
ダニーは通称ドッグタウンを仕切るアイルランド系マフィア・ファミリーの片隅に身を置いているが、昔からの仲間と平穏に暮らしている。
ところがある日、長らく共存共栄してきたイタリア系マフィア・ファミリーとの間に小さな諍いが起き、歯車が狂い始める。
やがて報復は一線を越え、ダニーは否応なく復讐と裏切りに血塗れた抗争に引きずり込まれていき――。
壮大な叙事詩の幕開け!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ドン・ウィンズロウは『犬の心』3部作以外読めておらず、他の作品はわたしの好きなメキシコも関係なさそうだし、どうかな…?なんて思っていたけれど、もちろん杞憂も杞憂。めちゃくちゃ面白い。読み始めたら止まらん。
今作も、誰が生き残るのか(ほとんど生き残らない)全然わからず、重要かと思われた登場人物があっけなく死亡したりして、予測のつかないエンタメを存分に楽しめる。
「みんな救ってくれると信じておまえを見ている。だったら、救ってやろうじゃないか。」とか、文章もバチっと決まってかっこいい!少年漫画のようにテンションを上げてくれる。
ラストは、ドラッグを憎む気持ちがすごく伝わってきた。次作以降も楽しみすぎる。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

★5 生き残るのは誰か… 血肉にまみれた欲望が膨れ上がる、圧巻のマフィア抗争劇! #業火の市

■あらすじ
1980年代のアメリカ、ダニーはアイルランド系マフィアに所属し、日々シノギをこなしながら暮らしていた。先代からイタリア系マフィアとは縄張りを分かちながら仲良く共存をしていたが、ある日トラブルに見舞われる。

その諍いをきっかけに二つのマフィアは抗争に発展、ダニーはいかに生き残っていくのか…

■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろい!

冒頭のゆるくエロいバカンスシーンから始まるものの、その後とんでもないことになる犯罪小説。アイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの抗争劇です。

誰しも一度くらいは見たり聞いたりしたことがある『ゴッドファーザー』『グッドフェローズ』『レザボア・ドッグス』なんかを思い出しますね。

ドストレートの喧嘩劇場で、次々とやり合い、化かし合い、裏切りが続く。どこまでも血肉にまみれた欲望が膨れ上がった結果、こんなにも恐ろしい泥沼になるのかと思うと怖すぎてビビる。

物語自体はもう何もいうことがないくらいの最高なんですが、私が大好きなのはキャラクターの色合いなんですよ。

まずなんといっても主人公のダニーが最高。幼い頃からの恩義がありつつも、ナンバー3,4といった立ち位置でいつも苦い汁を吸わされている。とは言え愛する仲間や妻にも囲まれ、平穏で幸せに暮らしてはいるんです。

いつも複雑な感情に苛まれる彼が、愛おしくて愛おしくて仕方がない。このえげつない抗争の中、どんどんリーダーらしく成長していくところが読みどころで、これが不謹慎ながらカッコイイんだよね。

イチ推しキャラはリアムですね、クズofクズ。こういう奴がいると、犯罪小説として引き締まります。こんな奴とは関わらないのが正解なんだろうけど、もし自分がボスや仲間だったらどうすりゃよかったんだろうか。むしろ人生勉強になるわ。

他にもいっぱい強烈キャラが登場しますが、胸に刺さるのは女性たちですね。様々な背景を経て、女として、母として、マフィアの世界で懸命に生きている。

ひとりひとりの人生劇場、特段間違ったことはしてないんだけどな… なんでこんなにも幸せを継続するのって難しいんでしょうか。

そして物語のクライマックスは超ドエンタメな展開です。これまでの悪逆なマフィア抗争だったはずが、人間同士の争いとなり、最終的には生き物の食い散らかしになっていく。この生命力とプライドのうねりが凄まじさは圧巻でしたね。

次作以降も気になる本シリーズ、楽しみに読みたいと思います!

■ぜっさん推しポイント
犯罪小説ではあるんですが、これは完全に人間ドラマです。ほんと絶対に近寄りたくない奴らなんですが、読んでると何故かイイ奴にも思えてくるんすよね… もっともっと人間の本質を知りたくなる作品でした。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

 読後の興奮冷めやらず、すぐにレビューが書けないほど、この本のカオスにやられた。そしていつもながら、ウィンズロウの文章にやられた。ともかくキックの強い作品なのだ。いつも。キャラクターたちの運命が神の視点で書かれてゆく悲喜こもごもの人間絵図。愚かで、強欲で、弱くて、それでも必死に生きてゆき、時に美しく、明るく、悲しく、それぞれの生を楽しんでいながら、運命の残酷に翻弄されざるを得ない男たち、女たち。

 この初夏、この本の出る少し前の頃、大画面TVに新調した我が家で、ぼくはコーエン兄弟のTVドラマ『ファーゴ/FARGO』シリーズ4作に、遅まきながらはまっていた。ユーモアと残酷を取り混ぜながらの人間の愚かさ、可笑しさ、運命の皮肉などを抽き出してゆく脚本と演出は、昔から変わらぬコーエン兄弟の元気っぷりを見せてくれるが、中でも家族対家族というやくざ一家同士の対立を描くシーズン2と、人種の違いによる長年の二大やくざ組織の平和と対立を描くシーズン4は、それぞれが、ミネソタ州ファーゴ、ミズーリ州カンザスシティが舞台である。

 アメリカの中心とは決して言えない田舎町での殺し合いや絶滅を描くプロットが、実はロードアイランド州プロビデンスという田舎町を舞台にした本書とイメージで重なる。多くの共通点や違いを比べながら本書を『ファーゴ』ともども楽しむことができたのは幸運だったように思う。

 さて本書に集中しよう。手に汗握る展開、個性あふれる語り口、展開の妙、全体の構成、人間喜劇のような皮肉極まる展開、そして終わってみれば愚かな一握りのキャラクターによって引き起こされる大きな悲劇。累々と転がる屍のトレール。どちらも運命の皮肉を痛感させながら、かくも愚かなる闘争に巻き込まれてゆかざるを得ない業と欲にまみれた人間たちの悲劇。

 本書は、ウィンズロウがこれまで数限りなく描いてきた、愚かでありながら精いっぱい人生の海を漕いでゆこうと足掻いてゆく若者たちの姿を、再度、舞台を変え、時代を変え、生き生きと描く三部作の第一篇である。この一作だけでも一端完結しているが、巻末には次作のエピローグというサービス・ページが寄せられている。ここでやめられなくなる次なる地獄への手引きのようだ。

 これまでに巨大麻薬カルテルと執念の保安官の対決や、メキシコからの密入国者たちの運命などを大掛かりに取り混ぜて書いてきた感の強いウィンズロウだが、本書では一端既存の作品をリセットして、人生最後の作品と作者自ら豪語して書き始めた、いわゆる魂の三部作なのである。これまでの他シリーズを読んでいなくても、本書で改めてウィンズロウの作品の魅力、読みやすさ、不思議なその文章の引力、などを体験されることを望みたい。

 長年に渡って全作を読んできたこの天才作家の超愛読者のぼくとしては、最後の作品が、ロードアイランド州プロビデンスという、大都会でもメキシコ国境地帯でもない海の町を舞台にしているところが、一時書いていたブーン・ダニエルズ・シリーズや映画化もされている『野蛮な奴ら』みたいで新鮮であった。のっけからビーチで仲良く遊ぶアイルランド系とイタリア系の二大ファミリーの姿が登場。この辺りの描写がとても書きなれていて上手いのだ。しかしここで登場する二大ファミリーが運命の決裂によって如何に愚かな争いに巻き込まれてゆくかという、例によって時間軸でのスケールが大な物語である。

 人物たちの個性と、運命の歯車が回ってゆく様子を、巨大な人間絵図として見て頂きたい。ウィンズロウのラスト三部作は、何とギリシア神話を基にした人間悲喜劇の現代版=ウィンズロウ版だそうである。壮大な構想。本書だけでも満腹になる内容だが、これは三部作のまだアペリティフに過ぎない。嘘だろう、とそんな風に思わず呟きたくなるけれど、大いなる序章として、まずは十分に満足である。

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2022年07月16日

Posted by ブクログ

ドン・ウィンズロウ、これで絶筆って聞いて残念がってたけど本屋に行ってみればまさかの三部作!!
これはどんどん分厚くなる予感!!
一年おきくらいで出るのかな。
待ち遠しいよ!!

相変わらず主要な登場人物がバンバン死ぬのが非常にしびれますね!!
パムは何かしら隠してるのかなと思ったけど単に美女なだけだったな笑

さて続きはどうなるのやら。
一気にイアンの話になったりして!!?

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2022年06月12日

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80年代のアメリカが舞台のギャング小説。アイルランド系マフィアの一員のダニー。冒頭はあまり不穏な空気もなくイタリア系マフィアともうまくやっているような日常が描かれているのだけれど、じわじわと緊張感が増していく。その感じが堪らない。そこから一線を越え報復がありまた復讐がありと止まらない。組織同士の抗争とその裏で起こるダニーの家族のこと。終盤は読んでいるのが苦しくなるほどの感情に襲われる。これが三部作の一作目ということでこの先が本当に楽しみなんだけど次作発売が一年後。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

ドン・ウィンズロウ『業火の市』ハーパーBOOKS。

新しい3部作の第1弾。

ドン・ウィンズロウらしいハードでストレートなギャング小説という感じだ。角川文庫の『犬の力』とか『フランキー・マシーンの冬』に雰囲気は近いだろうか。まだ第1弾なので壮大な物語の発端に過ぎないのだろうが、大いに期待出来そうだ

1986年のアメリカ東海岸の通称ドッグタウンを仕切るアイルランド系マフィアのファミリーの中で、ダニーは昔からの仲間と共に平穏に暮らしていた。ダニーに不満があるとすれば、ファミリーのドンの娘と結婚しながら地位が上がらないことだった。

ある日、ダニーが所属するファミリーの一員がイタリア系マフィアといざこざを起こし、次第に抗争へと発展していく。ダニーも血塗られた復讐と暴力の波に飲み込まれていく。

巻末にはこの夏に刊行予定の第2弾の『虚飾の市』の冒頭を収録。

本体価格1,309円
★★★★★

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2022年05月29日

Posted by ブクログ

「ゴッドファーザー」をジャンル分けしにくいように、この作品もジャンル分けしにくい。

NYの外れ、狭いエリアで共存していたアイルランド系ギャングとイタリア系ギャングの友情と反目、抗争を描いている。
そのきっかけが一人の女性から、というところが話のポイント。麻薬でも金でもない。そこが話のサイズを象徴しており、従来の「犬の力」などとは大きく違う。

長く共存していたことから、2代目達は小さい頃から一緒に育った仲間・知人で会ったにもかかわらず、やがてそれぞれのコミュニティに属するギャング(と言っても日本の小さな任侠ヤクザという感じ)になって、互いに望むことなく闘いに身を投じていくさまがリアルで、切ない。

オープニングのパーティシーンがどこか「ゴッドファーザー」とダブる。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

 アメリカ東海岸の港湾都市を仕切るアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの対立を描いた小説で、3部作の第1作にあたる。作者のドン・ウインズロウが本シリーズをもって筆を絶つ宣言をしているので、心して読まねばと意気込むが、巻頭の登場人物一覧表と、人物相関図を見ると、憶えきれるかどうか不安が沸き起こる

 不安は杞憂に終わり、読み始めこそ相関図を確認するが、キャラクターが立っているので自然に全体が把握できる。アイルランド系マフィアの一人が主人公となり、悪徳FBI捜査官と組んだイタリア系マフィアに追われる形で、彼らのシマである東海岸の港湾都市を追われることになる顛末が魅力的に描かれている。いろいろな事件、エピソードが連鎖し、あっという間にストーリーが展開していく。小説の力だ。

 妻をがんで亡くし、まだ赤ん坊の息子と、かつて有力者であった父親と少数の仲間とともに西海岸に向かうまでが本作だ。残る2作も楽しみだ。

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2024年09月28日

Posted by ブクログ

長年均衡を保っていた関係が、些細なこと(あるいは1人の身勝手な行動)で急激に崩れ去る。そんなマフィアの物語です。主人公は今のところ何をやっても上手くいってないですが、第二部以降の巻き返しに期待します!

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2024年05月27日

Posted by ブクログ

ウィンズロウ新三部作。

ロードアイランドのアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアはそれぞれの縄張りをもって、共存していた。

しかし、一人の女性が現れたことにより共存が崩れていく。

たった一人の女性で過去からの共存が崩れるのか?とも思うが、そこはウィンズロウのうまいところ。ストーリーを破綻させることなく、現実味を帯びた展開で読む人を腹落ちさせる。

ネタバレになるので、多くは語らないが今までのマフィア物長編とは違うタッチで進むのも面白い。

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

CL 2022.9.4-2022.9.6
アイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの抗争。復讐に次ぐ復讐。負の連鎖。
そんな暴力の最中にあっても人は人を愛する。
夫や親友や愛する人を殺されれば深く深く傷つき哀しむ。家族や仲間を無条件に愛して守ろうとする。

ギャングも紙おむつや粉ミルクを買うお金に苦労するし、まして病気には歯が立たない。

パットもマーヴィンも、ほかにもゴロゴロ死んで、ダニーが死なないのが奇跡みたいに思えてくる。

3部作だということで、次作が楽しみだけど、どれくらい覚えていられるかが問題。

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2022年09月06日

Posted by ブクログ

86年、ロードアイランド州プロヴィデンスはアイルランド系とイタリア系マフィアが仕切っていた。前者マーフィー家の娘と結婚したダニーが主役。前者の厄介者リアムが後者モレッティ家の息子の女に手を出す。諸悪の根源はここから始まった。

面白面白かった。読みやすい&先が読めない。「ゴッドファーザー」をまた観たくなった。

「 犬の力」は途中脱落した。短文を連ねる叙事詩的描写が合わなかったから。しかし、もう一度読むと違うかも。

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2022年07月26日

Posted by ブクログ

登場人物が多すぎて訳が分からなくなりました、当然イタリア系かアイルランド系かもわかりませんでした。
ただストーリーは分かりやすく一気に読み終わりました。

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

ときどきやってくる「翻訳も読んでみよう」という気分から。
初めての作家さんでした。
なんと続くんですね。
たくさん人物がでてくるので巻頭の人物一覧と相関図はありがたかったです。
主人公が嫌いではなかったので次巻も読んでみたいと思います。

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2022年12月18日

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