田口俊樹のレビュー一覧

  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

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    「まったく人間っていうやつは、愚かで自分勝手でときどき突拍子もないことを仕出かす」……あなたに似た人……そう、読んでいる私にもどこかにそんな要素を含んでいる。

    クスっと笑うかもしれない
    結末に啞然とするかもしれない
    なんだか嫌な気持ちになるかもしれない
    頭のなかが???だらけになるかもしれない

    作者の名前は知らなくてもジブリ映画「紅の豚」の中にある「飛行士たちの墓場」のエピソード短編『彼らは齢をとるまい』や、映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作もこの人。

    この本にある短編は、どれもむかしのTVドラマ「トワイライトゾーン」を思わせる素朴なゾクゾク感がたっぷりで、楽しかった~(たん、た

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    2021年11月26日
  • ザ・ボーダー 下

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    15年かけてこの3部作を読み終えた。
    終盤の公聴会での長い証言は40年以上に及ぶ麻薬戦争の歴史だ。
    最高傑作と言っていい。
    連続ドラマになったら必ず見たい。

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    2021年11月05日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。
    アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー

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    2021年09月24日
  • カーテン

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    読んで欲しい。できればポアロシリーズを数冊読んでから。

    【読みやすさ】10
    【衝撃】7
    【推し度】100
    【引き込まれ度】100
    【ポアロ大好き感】10000

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    2021年09月02日
  • 狩られる者たち

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    「サム・ベリエル」シリーズ第二弾。前作『時計仕掛けの歪んだ罠』の驚きのラストを経ての今作。物語を通して不安や、焦燥、恐怖のようなものが流れている。刑事を辞め信じられるものがないなかで追い詰められていく展開と二転三転する捜査。犯人側の不気味さ、ベリエルの感じているもの、シリーズとしての謎の提示と今作も読み応えはたっぷりでまだ二作目だけれどこの先も信頼できるシリーズ。次作も邦訳されることを願うばかり。

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    2021年07月24日
  • 日々翻訳ざんげ

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    おもしろくてイッキ読み。

    過去のご自身が訳されたものを再読して、それについて徒然なるままに語る、という趣旨の本なのだけれど、いろんな「やらかした」エピソードが告白されていて、その正直さ、飾らなさに驚くと同時に、すごく好感を持ってしまった。

    私はミステリはあまり好んでは読まないので、著者の訳された本はほとんど読んでいないのだけど、この本はちょっと変わった読書案内にもなっていて、いくつかは読んでみたいと思った。
    やっぱり本の解説はその本の翻訳者が書いたものが他を圧倒して秀逸だなと思う。翻訳って、精読中の精読だものね。

    トピックは翻訳技術よりも、その本を翻訳していた時の裏エピソードが多い。編集

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    2021年07月05日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    「視線を交わしたその燃え上がるような一瞬、ふたりは一生分の思いを語り合った」
    「その犬の歩むところ」に続き二冊目のボストン・テラン。奴隷制度に立ち向かう内容それ自体も感動的なのですが、それを表現する著者(と訳者)の文章が深く心に入り込んできます。要所要所で出会う心打たれる文章を二度読みして味わいながら読みました。
    「眼にしたすべてのものが少年の一部となり、少年もそのすべてのものの一部になる」
    奇しくもこの本を読んだのは7月3日4日でした。

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    2021年07月04日
  • カーテン

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    ネタバレ

    エルキュールポアロ最後の事件に相応しい内容だった。
    これを読んでしまったらポアロとお別れするようで、中々読まずにいたが、大変面白かった。
    最後のポアロの決断には賛否両論あるかと思うが、彼の悪を許さない強い気持ちと、これから犠牲者を出さないために、禁断の手を用いたその覚悟に、私は拍手を送りたい。

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    2021年06月20日
  • 石を放つとき

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    「夜と音楽と」と「石を放つとき」
    短編集と新作中編、時間軸もまったく違うふたつの章からなる一冊。
    「まえがき」のおかげで
    自分がなぜマット・スカダー・シリーズに惹かれ、今も忘れられないのかしみじみ思い出し一気読み。
    ミックやTJに会えたのも嬉しいし、老いて尚、衰えぬマットとエレインふたりの関係には完敗…。
    相変わらずハードボイルドで最高でした。

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    2021年06月15日
  • ランナウェイ

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     家族、親子、夫婦、ドラッグ、暴力、ネット、メディア、拡散、殺人、失踪、新興宗教、携帯、遺伝子、etc. etc。現代のミステリーは、犯罪の内容も、手段も、情報も、捜査方法も、過去のそれとは大きく異なってきている。そのことを嫌というほど感じさせる作品。

     ハーラン・コーベンを読むのは実は初めてなのだが、本書を読む限り、本物の香りを芬々とさせる、濃厚なテイストの、誠実で間違いのない作家、と言うに尽きる。

     グリーン家という家族で構成されるユニットを、さらに父、母、兄弟、姉妹、という具合に、それぞれの関係を多角的に描きつつ、あくまでも主人公は長女を探す父サイモン、という設定で貫く。副主人公とも

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    2021年04月30日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    映像化にピッタリの非常に面白いお話だった。
    コメディとアクションとシリアスとヒューマンドラマの配分が抜群で、どれもしびれるほど良い。
    残酷描写と下ネタに抵抗のない人なら100%お勧め。

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    2021年04月20日
  • 八百万の死にざま

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    アルコール中毒の元刑事、マット・スカダー。 今では伝手を頼ってやってくる依頼人からの仕事を受けながらのホテル暮らし。 別れた妻子への送金も滞りがちで、酒を断とういう苦闘を続けていた。

    売春婦キム・ダッキネンからの依頼は、ヒモのチャンスと手を切りたいということだった。 マットが交渉するとチャンスはあっさりと承諾したが、その二日後、キムは惨殺死体で発見された。 警察はチャンスを有力な容疑者として疑うが、チャンスはマットに真犯人を探し出してほしいと依頼した。 許可証もない探偵として、マットは調査を始める。

    変容してゆくアメリカ社会の中で、犯罪はどのように変わってゆくのか。 警官時代に、心ならずも

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    2021年04月11日
  • キス・キス〔新訳版〕

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    ロアルドダール3冊目の短編集だが「あなたに似た人」よりも完成度が高いと思っている。「女主人」「牧師のたのしみ」「ジョージイポーギイ」「ほしぶどう作戦」「誕生と破局」など皮肉で残酷で見事な結末のドンデン返し。最後の最後ですべてがひっくり返って景色がガラリと変わる。予期せぬ出来事を存分に愉しませてくれる全11編。

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    2021年03月24日
  • 神は銃弾

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    ドラッグ、暴力、SEX。
    欲望のすべてが、この穏やかな表現の下にうごめいている。

    欲望をつかさどる神はなんだ?
    伝統の神と、新参のカルト教祖が交錯する中、すべてをコントロールするのは銃弾だ。
     表現は静かで、映像的。暴力を表出させながら、深い愛を書いている。

     暴力が支配するカルトから更生を目指す女性と保安官が、誘拐された娘を救出に向かう。強烈な暴力のやり取りは、偏執的なカルト主宰者の来歴と憎悪が発端だ。反目しあう二人の間に、次第に通い合うものが育まれ、退屈させる間なく展開するストーリーに感慨は深まる。読後は充実感に包まれる。

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    2021年03月20日
  • 日々翻訳ざんげ

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     田口俊樹翻訳作品で自分の読んだ本を数えてみたら54作であった。特に翻訳者で本を選んでいるわけではないのだけれど、ぼくの好きな傾向の作家を、たまたま多く和訳して頂いているのが田口俊樹さんということであったのだと思う。特に、完読しているローレンス・ブロック作品は、ほぼ全作田口さん訳なので、ぼくのように読書歴にブロックのあの時代があったミステリー・ファンは、少なからず田口俊樹訳で読んでいることになるのです。

     他に田口訳作品でお世話になったところでは、フィリップ・マーゴリン、トム・ロブ・スミス、最近の(パーカーBOOK版になってからの)ドン・ウィンズロウ。いずれも大変な作家揃い。

     最近では、

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    2021年03月07日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
    そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
    18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ

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    2021年03月07日
  • 最後の巡礼者 下

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     ノルウェイのミステリーといえばジョー・ネスポとサムエル・ビョルクくらいしか読んでいない気がするが、本書は「ガラスの鍵賞」他、北欧ミステリーで三冠を挙げた警察小説であるらしい。それも本邦初訳となる作家。それにしてもぐいぐい読める本とは、こういう作品のことを言うのだろう。

     2003年の猟奇的殺人事件を捜査するオスロ警察のトミー・バークマン刑事。1945年戦後に起こるミステリアスな殺人。1939年に始まるイギリス籍ノルウェー人女性アグネス・ガーナーによるスパイ活動の物語。これらが、場面と時代を変えて語られてゆく。最初はわかりにくいジグソーパズルの断片に見えるものが、次第に一枚の絵を完成させてゆ

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    2021年02月24日
  • 最後の巡礼者 上

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     ノルウェイのミステリーといえばジョー・ネスポとサムエル・ビョルクくらいしか読んでいない気がするが、本書は「ガラスの鍵賞」他、北欧ミステリーで三冠を挙げた警察小説であるらしい。それも本邦初訳となる作家。それにしてもぐいぐい読める本とは、こういう作品のことを言うのだろう。

     2003年の猟奇的殺人事件を捜査するオスロ警察のトミー・バークマン刑事。1945年戦後に起こるミステリアスな殺人。1939年に始まるイギリス籍ノルウェー人女性アグネス・ガーナーによるスパイ活動の物語。これらが、場面と時代を変えて語られてゆく。最初はわかりにくいジグソーパズルの断片に見えるものが、次第に一枚の絵を完成させてゆ

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    2021年02月24日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    とても良くて、忘れられない本になりました。ジブリの「紅の豚」の原作の一つ。戦争が人を変えてしまうということのリアリティ、虚しさが静かに伝わってくる。最終話「あなたに似た人」は、やり切れなさを抱えて酒を飲む、その感情がひしひしと伝わってくる。

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    2021年02月20日
  • その犬の歩むところ

    購入済み

    重厚

    重厚なスリルと感動。
    かわいそうで顔をしかめてしまう箇所もあった。
    犬の善良さがひしひしと伝わる。
    残酷だけど下品さがない。
    素晴らしい本を読んだ。

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    2021年02月09日