田口俊樹のレビュー一覧

  • ゴーストマン 時限紙幣

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    一匹狼の銀行強盗の『私』は、何通りもの人間に変身し、自由に姿を消す『ゴーストマン』。5年前のしくじりで借りを作ったマフィアから、強盗に失敗し、120万ドルと共に姿を消した部下の捜索を強要される。期限は48時間。敵対するマフィアからも目をつけられ絶体絶命に陥っても、双方に決して主導権を渡さない『私』。5年前の失敗により、ゴーストマンとしての技をストイックに磨き上げた『私』が時折り見せる人間味が良かった。5年前のエピソードと交互に書かれているので、どのようにゴーストマンが完成されたかが分かる。エゲツない殺人方法がたくさん出てくる。決してクミンを一瓶イッキ食いはしてはいけない。

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    2021年01月24日
  • 石を放つとき

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    歳を重ねたマットに再び出会えたことに感涙。ぶっ飛びましたが、こちらも大人ですから動じません。ウィンズロウにしろブロックにしろ、老練の作品を読める至福に感謝。

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    2021年01月22日
  • 石を放つとき

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    本当に久々のマット・スタガーもの。もう新作は出ないものだと思い込んでいたので、本屋でこの新作を見つけた時は、すごく嬉しかった。
    前作は「償いの報酬」という本で、調べてみると2012年9月の発行。私は、このブログに2013年の1月に感想を書いていたので、マット・スタガーシリーズを読むのは、7年ぶりのことだ。
    この本は、アメリカで発行された短編集と最新の長編(というほどには長い話ではないが)の2冊を日本で独自に1冊にまとめた合本ということである。11編の短編と、書名になっている「石を放つとき」という長編が収載されている。単行本で500ページの本であるが、あっという間に読み終えてしまった。
    作者のロ

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    2021年01月21日
  • 音もなく少女は

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    ネタバレ

    「女、姉妹、友達、母」
    イヴという名前。

    毎回手のひらから滑り落ちていく幸せを、最後にようやく掴み取るのか…と思っていたら、そうくるか。

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    2021年01月20日
  • その犬の歩むところ

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    初読の作家さん。2018年のこのミスの8位だったのですが、ミステリ要素はあまりなかった。
    ギヴという犬をめぐってのストーリーだが、擬人化されておらず、犬目線でもなく、それがかえってギヴの存在を際立たせていたように思う。。特に犬好きではないけれど犬の存在が人類にとって素晴らしいものだと思えてくる。
    さほど重要でも無い登場人物でも印象に残る描かれ方がされている。
    そして文章がとても美しかった。ところどころ読み返してしまった。これは作家さん個性なのか訳者さんの翻訳が素敵なのか…。別の本を読んでみたいと思う。また新たな出会いに感謝を!

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    2020年11月20日
  • レイチェルが死んでから

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    わたしの中には常に燃料がある。その燃料に火がつき、今のわたしは炎に包まれている。

    現在形を多用した一人称で綴られる文章(「あなたに不利な証拠として」を思い出した)が素晴らしい。

    主人公がひたすら犯人を探し続けるシンプルなストーリーであり、容疑者とみなした者に対する主人公の行動にも些か常軌を逸したところがあるのだが、冷たくストイックな文章から伝わる姉への想いが切なく、物語から気持ちが離れない。

    本格ミステリーではないため、最後に明らかになる犯人は事前に推理不可能だが、不満は残らない。犯人も犯行に至る経緯も、それまでの姉の描写から十分納得がいくものであるからだ。

    映像の力だけで魅せる映画(

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    2020年09月01日
  • カーテン

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    再読。
    というか、もう5回目くらい。
    
    好きな本は 何度でも
    読み返します。
    
    ミステリ好きになったきっかけは
    小学5年生の頃
    学校の図書室で たまたま手に取った
    
    クリスティの『ABC殺人事件』
    だったのですが
    
    都合のいいことに
    
    クリスティの作品に関しては
    定期的に 犯人を忘れてしまうので
    
    もう 何十回も
    全作品を 読み直しています。
    
    "ポアロ最後の事件"と
    銘打たれた この『カーテン』。
    
    まず タイトルが秀逸。
    読み終えた後に ずっしりと
    胸に迫ります。
    
    相棒である
    人の良いヘイスティングズ大尉と

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    2020年08月13日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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     日本では8年前に『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査官』一冊しか邦訳されていないが、スウェーデン本国では大御所の作家であるようだ。複数捜査官による警察小説を得意としつつ、別名義で純文学を書き、文芸評論家であり詩人でもあるいわゆる表現のプロ。そのイメージはページを開いたところからがつんと来る筆力を見ると、なるほどごもっとも。

     冒頭、二人の少年の印象的なシーンから、いきなり犯罪現場らしき場所での警察突入シーンに視点が移る。読者はこれですぐに持っていかれるだろう。

     少女たちの連続失踪事件を追うベテラン刑事の目線で語られる一部から、マークされた怪しげな女性の事情聴取と尋問が始まるが、その辺りか

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    2020年08月15日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    ミステリーでは無いかもしれないが、少年の結末がどうなるのか 一気読み。
    面白かった。この時代が今に繋がっているのかと思うと現在のアメリカの悩みは深刻やなー。
    ボストン・テラン読もう。

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    2020年07月26日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    とても面白かった。
    痛快でいながら、戦争の悲惨さと意味のなさをよく伝えている。
    卵をめぐる冒険の仲間がどうでも良いようなことでなくなったときは
    悲しくて本当に残念だった。
    冒険の道中で出会った人々、
    その後も主人公のように生き抜いてほしいと願わずにいられない
    (ほど一人ひとりをユーモアと愛情をこめてよく表現していると思う)。

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    2020年05月07日
  • 怒り 下

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     フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。

     読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。

     続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シ

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    2020年03月27日
  • 怒り 上

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     フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。

     読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。

     続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シ

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    2020年03月27日
  • ザ・ボーダー 上

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    ネタバレ

    面白い。最後の一章は本当に身につまされた。この闘いに終わりがあるのだろうか。
    ハーパーコリンズさん出来れば3巻にして紙質を少し良くして欲しかった。

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    2020年03月06日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    19世紀半ば、人種差別が横行するアメリカ。父親の負の遺産を継ぎ、贖罪の旅を歩み出した少年の物語。
    出会いと別れが少年の血肉となる。冒険小説としての躍動と、虚構と言い切れない問題意識。
    読んで良かった。

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    2020年02月29日
  • ひとり旅立つ少年よ

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     南北戦争前、詐欺師の父がだまし取った金を、騙した名目の通り届けようとする少年の話。

     タイトル通り「ひとり旅立つ少年」なんだけど、ゆく先々で助けられる。というか、少年というのはあまりにもか弱い。子供である以上、どうしても庇護が必要なのだ。
     そのあたりが、切ない。
     容赦なく、周りに振り回され、自分ではどうしようもできない、その過酷さが悲しい。

     <まるで白人に見える黒人>というものの存在を始めて知った。
     もう、こうなると真実なんて意味がないよね。
     
     その意味のない世界で、父と自身の罪を贖うために歩き続ける彼は、尊い。
     
     人間の尊厳とか矜持とか、そういうものを考えさせられる作品

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    2020年02月29日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    レニングラード包囲戦という凄惨な戦争が舞台の小説。
    ユーモアに溢れるコーリャと、彼に振り回されるレフとの掛け合いに笑いつつも、戦乱による悲惨な情景描写に圧倒された。

    何よりも、作者のバランス感覚が素晴らしい。
    ユーモアの明るさと戦争の暗さを絶妙な塩梅で配分し、展開に飽きさせない構成。
    最後、読み終えてからプロローグを読み返しに戻った人が何人居るだろう?
    自分もその一人だ。

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    2020年03月06日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    ネタバレ

    下品で笑えて切なくて辛くて怖くて爽やかな話だった。

    人肉食、地雷犬、足を切断される少女など、あまりにもひどい場面にばかり出くわすものの、コーリャの明るさとおちゃらけた物言いにだいぶ救われていると思う。
    下ネタが思ったよりすごい多かった。

    娘の結婚式で使いたいというそんな理由のために命懸けで卵を調達させにいくのもそもそもやばい。
    戦争の理不尽さや怖さがいろんなところから滲み出てた。

    コーリャのことを私も読んでるうちにどんどん気に入っていたので最期は唐突で悲しかった。
    けど、コーリャらしいといえばとても彼らしかった。

    名狙撃主のヴィカもいいキャラしてたし、終わり方は爽やかで読んでいてこちら

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    2020年01月19日
  • ザ・ボーダー 下

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    犬の力から始まり「息子たち」世代の話になる麻薬戦争、三部作最後。
    このシリーズを読むとメキシコについて、麻薬戦争の現状について詳しく調べたくなる。
    少し調べただけでもこの小説に書かれていることは決して物語の中だけのことではないとわかる。
    ラストの見解についてはびっくり。

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    2020年01月11日
  • ザ・ボーダー 上

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    シリーズ3作目。読み応えがあり前作より読みやすく感じるが面白さは相変わらず。
    カランが出てきたあたりで三部作を最初からまた読み返したくなった。
    上巻最後に出てきたニコが今後どう関わっていくのか気になる。

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    2020年01月04日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    ネタバレ

    大傑作である.
    コソ泥として捕まったレニングラードの少年が,お調子者の脱走兵とペアを組まされ,卵を1ダース手に入れてくることを命令されるのだが,折しも900日にもわたった「レニングラード包囲戦」のさなかである.飢えに苦しむレニングラード市からドイツ軍の包囲網を突破し,どこかから期限までに卵を入手してこないと処刑されてしまうのである.
    青春小説で,冒険小説で,かつ,戦争小説であり,この世の地獄とも言える光景が何度も展開されるのだが,この二人のペアが対照的なキャラクターで,軽妙なやり取りが話にスパイスを利かせているおかげで,重苦しい雰囲気にはならない.
    人食い夫婦との対決,4人の囚われの少女との出

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    2019年10月30日