田口俊樹のレビュー一覧
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本当に久々のマット・スタガーもの。もう新作は出ないものだと思い込んでいたので、本屋でこの新作を見つけた時は、すごく嬉しかった。
前作は「償いの報酬」という本で、調べてみると2012年9月の発行。私は、このブログに2013年の1月に感想を書いていたので、マット・スタガーシリーズを読むのは、7年ぶりのことだ。
この本は、アメリカで発行された短編集と最新の長編(というほどには長い話ではないが)の2冊を日本で独自に1冊にまとめた合本ということである。11編の短編と、書名になっている「石を放つとき」という長編が収載されている。単行本で500ページの本であるが、あっという間に読み終えてしまった。
作者のロ -
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久しく、マンケルロスが応えたこの秋「ノルウェー国防省上級顧問」の執筆❔北欧ミステリ3冠王!という記事に飛びつき、予約。結構早い入手で読み始めると、脳みそをぐぃっと捉まれ息もつけぬ面白さ。読み終えるのが勿体なく、先は知りたいものの、わざとゆっくり読み進む。1945・2003年パートが交互に展開。露vsノルウェー諸国に英国の絡みは最近海外映画でよく見てどうやら理解できて来たが、ナチスに北欧が連合軍絡みでこう関わって行く闇の政争は良く知らなかった。懐かしき地名~ヨーテボリ・リレハンメル。難儀な名前多出すれども、何れの時代にも出てくるのが作品のキ―パーソンだから、すぐ頭に入った。バーグマン刑事・・これ
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わたしの中には常に燃料がある。その燃料に火がつき、今のわたしは炎に包まれている。
現在形を多用した一人称で綴られる文章(「あなたに不利な証拠として」を思い出した)が素晴らしい。
主人公がひたすら犯人を探し続けるシンプルなストーリーであり、容疑者とみなした者に対する主人公の行動にも些か常軌を逸したところがあるのだが、冷たくストイックな文章から伝わる姉への想いが切なく、物語から気持ちが離れない。
本格ミステリーではないため、最後に明らかになる犯人は事前に推理不可能だが、不満は残らない。犯人も犯行に至る経緯も、それまでの姉の描写から十分納得がいくものであるからだ。
映像の力だけで魅せる映画( -
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再読。
というか、もう5回目くらい。
好きな本は 何度でも
読み返します。
ミステリ好きになったきっかけは
小学5年生の頃
学校の図書室で たまたま手に取った
クリスティの『ABC殺人事件』
だったのですが
都合のいいことに
クリスティの作品に関しては
定期的に 犯人を忘れてしまうので
もう 何十回も
全作品を 読み直しています。
"ポアロ最後の事件"と
銘打たれた この『カーテン』。
まず タイトルが秀逸。
読み終えた後に ずっしりと
胸に迫ります。
相棒である
人の良いヘイスティングズ大尉と
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日本では8年前に『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査官』一冊しか邦訳されていないが、スウェーデン本国では大御所の作家であるようだ。複数捜査官による警察小説を得意としつつ、別名義で純文学を書き、文芸評論家であり詩人でもあるいわゆる表現のプロ。そのイメージはページを開いたところからがつんと来る筆力を見ると、なるほどごもっとも。
冒頭、二人の少年の印象的なシーンから、いきなり犯罪現場らしき場所での警察突入シーンに視点が移る。読者はこれですぐに持っていかれるだろう。
少女たちの連続失踪事件を追うベテラン刑事の目線で語られる一部から、マークされた怪しげな女性の事情聴取と尋問が始まるが、その辺りか -
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分厚い熱気の塊のような長編小説を書き続ける日々の合間に、作家の中から零れ落ちそうになった別の物語たちを、この機会にきちんとした形で作品化させ、出版させるということになり、本書は登場したという。どこかで零れ落ちそうになっていたこれらの物語を今、6つの中編小説というかたちで読める幸せをぼくは感じる。
それとともに本書はウィンズロウのこれまでの作品の総括であり集大成ででもあるように見受けられる。かつてのシリーズや単発作品の懐かしくも印象深い人物たちがそこかしこで、しかも今の年齢なりに成長したり歳を重ねたりして登場してくれるからだ。読者は作者の創造した魅力的なキャラクターたちにこの一冊を通じて再 -
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ドン・ウィンズロウ『壊れた世界の者たちよ』ハーパーBOOKS。
ドン・ウィンズロウの新作は、なんと700ページにも及ぶ大ボリュームの6編収録の中編集。
ドン・ウィンズロウ作品の集大成とも言える、いずれも過去の傑作を彷彿とさせるような重厚で読み応えのある作品ばかりが収録されており、ウィンズロウのファンならば非常に大きな満足感が得られる。ファンでなくとも読んで損は無い。いや、絶対に読むべき作品だ。恐らく年末恒例の『このミス』の上位にランクインするのは間違いないだろう。
『壊れた世界の者たちよ』。『ダ・フォース』のような血で血を洗う復讐劇を描いた重厚な暴力小説。ニューオリンズ市警のジミー・マク -
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フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シ -
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フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シ