田口俊樹のレビュー一覧
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ネタバレマット・スカダーの最新作。
短編集と新作が入った一冊。
良かった。
最初のこの作品群を読んで育ったという読者の話も良かったし、
何度も夜を過ごしたミックの店の最後の日の話も良かったし、
昔のマットの話も良かった。
新作はストーカーに追われる女性を
警察とのつながりも、昔の仲間も、体力もない中で救うお話。
ウーバーや携帯の地図アプリ、マップクエストを使いこなすマット・スカダーと、
隔世の感がある中でも、
マット・スカダーはマット・スカダーだった。
そして、TJ!
とても印象的だった登場人物のその後が、
ほんのさわりだけでも知れて良かった。
しかも、正規に入学したわけでもなければ
学費も払っていないにもかかわらず、
その熱心さゆえに教授たちが受講を許す話はちょっと感動した。
また、似顔絵描きのレイが、
思い出の家族たちを描き出した話にも
心を打たれた。
長年紡がれた物語の黄昏時とあっては、
非常なる期待感をもって読み始める訳だが、
その期待を裏切らない、珠玉の作品だった。
夜の闇の中に、
昼間の日常や繁忙やざわめきが溶け出すような、
快さを感じる。
時が漂ってはいるが、澱んではいない
とある夜。
これが最後なのだろうか。
(蛇足ながら知らない方のために。
エレインが作った料理の
<ポール・ニューマン>のマリナラソースは、
俳優のポール・ニューマンが創設し、
その利益を寄付した食品会社のトマトソース。
びんにポールニューマンの顔が描かれていている。
また、<デイヴス・インサニティー>のホットソースは、
デイヴス・グルメというメーカーのホットソースのひとつ
こちらのびんに描かれているのは、
浜辺らしき場所でサングラスをかけて、
日光浴をしている赤唐辛子。
いずれも現在のアメリカらしい小道具だ。) -
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マット・スカダーはその後どうしているんだろう、と思ったことは一度や二度ではない。本書はそうした古いハードボイルド・シリーズのファンに応える今のマットと今に至るニューヨークを描いた、アフター・ザ・ハードボイルドといった趣の洒落た作品集である。
最初の数作は、ブロックの短編集などでお目にかかった再録作品であるが、この際想い出すためにもすべてを読み返した。『窓から外へ』『夜明けの光の中に』『バックレディの死』今更ながら秀逸だ。美味なカクテルのようにパンチのきいた短編である。マットとともにニューヨークという都会をしっかり描いている気がする。
新たに邦訳された短編群では、探偵になる前の警官時代、最初の家族との生活の時代、などシリーズ以前を舞台にした作品、そしてシリーズ後、新たに書き下ろしたその後のマットを主体にした作品など、マット・スカダー・ファンにはたまらない掘り出し物が多い。
ニューヨークとジャズと夜と犯罪と。マットを取り巻く環境は今も変わらないのかもしれないが、マットとエレインの夫妻はこの作品集のページとともに歳をとってゆく。ハードボイルド・ヒーローであったかつてのマットは、作者や読者と同じように歳月を重ね、今に至る生を育んでいる。まずはそれほど作者が魂を吹き込んでいることに驚きである。書物の中のもう一つの作者の現実ででもあるかのように。
作者は、おそらく自分の生きた時代と年齢とを、意図してマットとエレインに投影している。造形した人間たちへの作者愛と、彼やその関係者という架空のキャラクターたちに命を吹き込んでいる。世界と時代とを生きる彼らへのオマージュを改めて贈りたかったのだろう。
そんな過去の作品と、キャラクターたちへの愛着が、この一冊全体に感じられてならない。ブロック・ファンなら読み逃せない貴重な作品集なのだ。ミック・バルーとの深夜の語らい。アームストロングの店。AA集会。『八百万の死にざま』『聖なる酒場の挽歌』に夢中になっていた、あの頃のぼく自身。
『石を放つとき』では、奇妙なリズムを変奏曲のように見せながら、今のマットを描く。そう、老後のマットだ。警察時代も探偵時代も過去、しかし禁酒は今も続けている。かつての10%献金。ローソクを灯し、自分を保つ生き方。あの時代の大揺れだったマットの不安定さ。なけなしの良心が絞り出していた事件への執念。
この本と向かい合うことは、読者にとって、あたかもかつての自分と向かい合うことのように思う。911を含めニューヨークや世界に起こったこと。ぼくらと共通の時代と向き合うように書いてきたブロックという作家。彼の大切にしてきた宝箱みたいな素敵なこの短編集。彼の作り上げた男と女たち。かつてこの作家の作品を大切に心の中に抱え込んできた愛読者たちへ、現在の作者からの心のこもった謙遜ぎみの挨拶、みたいに見える一冊である。 -
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一匹狼の銀行強盗の『私』は、何通りもの人間に変身し、自由に姿を消す『ゴーストマン』。5年前のしくじりで借りを作ったマフィアから、強盗に失敗し、120万ドルと共に姿を消した部下の捜索を強要される。期限は48時間。敵対するマフィアからも目をつけられ絶体絶命に陥っても、双方に決して主導権を渡さない『私』。5年前の失敗により、ゴーストマンとしての技をストイックに磨き上げた『私』が時折り見せる人間味が良かった。5年前のエピソードと交互に書かれているので、どのようにゴーストマンが完成されたかが分かる。エゲツない殺人方法がたくさん出てくる。決してクミンを一瓶イッキ食いはしてはいけない。
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本当に久々のマット・スタガーもの。もう新作は出ないものだと思い込んでいたので、本屋でこの新作を見つけた時は、すごく嬉しかった。
前作は「償いの報酬」という本で、調べてみると2012年9月の発行。私は、このブログに2013年の1月に感想を書いていたので、マット・スタガーシリーズを読むのは、7年ぶりのことだ。
この本は、アメリカで発行された短編集と最新の長編(というほどには長い話ではないが)の2冊を日本で独自に1冊にまとめた合本ということである。11編の短編と、書名になっている「石を放つとき」という長編が収載されている。単行本で500ページの本であるが、あっという間に読み終えてしまった。
作者のローレンス・ブロックは1938年の生まれということなので、80歳を超えている。読み終えて「しまった」という書き方をしたのは、次作を読めるかどうか分からないから。
ハヤカワが読者投票により、海外ミステリーのベスト100を選出、発表したのが1991年のことだ。ちょうどこの頃私は海外ミステリーばかりを読んでいた時期で、このハヤカワのリストに助けられて多くの作家を知ることが出来た。このローレンス・ブロックも、ベスト100の中に入っていた「八百万の死にざま」から読み始め、すぐに発行されているものは全部読んでしまった記憶がある。そのようにして読んだ作家は沢山いる。私のお気に入りだったのは、他には、ロバート・パーカー、レイモンド・チャンドラー、ギャビン・ライアル、コリン・デクスター、マイクル・リューイン、P.D.ジェイムズ、ロス・マクドナルド、トマス・ハリス、ジェイムズ・エルロイ・・・、等、いくらでも出てくる。
久々に、以前好きだったシリーズの本を読むことが出来て、昔のことを思い出してしまった。これらの本の多くは、ハヤカワの文庫で読んだものだ。この間、書店でハヤカワの文庫本のコーナーを、これも本当に久しぶりに覗いてみたが、ここにあげた作家の本は、ほとんど置いていなかった。当たり前だけれども、時代は移っていくのだなと、あらためて思った次第だ。 -
Posted by ブクログ
わたしの中には常に燃料がある。その燃料に火がつき、今のわたしは炎に包まれている。
現在形を多用した一人称で綴られる文章(「あなたに不利な証拠として」を思い出した)が素晴らしい。
主人公がひたすら犯人を探し続けるシンプルなストーリーであり、容疑者とみなした者に対する主人公の行動にも些か常軌を逸したところがあるのだが、冷たくストイックな文章から伝わる姉への想いが切なく、物語から気持ちが離れない。
本格ミステリーではないため、最後に明らかになる犯人は事前に推理不可能だが、不満は残らない。犯人も犯行に至る経緯も、それまでの姉の描写から十分納得がいくものであるからだ。
映像の力だけで魅せる映画(キューブリックなど)を見たような気分になった。 -
Posted by ブクログ
再読。
というか、もう5回目くらい。
好きな本は 何度でも
読み返します。
ミステリ好きになったきっかけは
小学5年生の頃
学校の図書室で たまたま手に取った
クリスティの『ABC殺人事件』
だったのですが
都合のいいことに
クリスティの作品に関しては
定期的に 犯人を忘れてしまうので
もう 何十回も
全作品を 読み直しています。
"ポアロ最後の事件"と
銘打たれた この『カーテン』。
まず タイトルが秀逸。
読み終えた後に ずっしりと
胸に迫ります。
相棒である
人の良いヘイスティングズ大尉と
ポアロの最初の出会いが
『スタイルズ荘の怪事件』。
そのスタイルズ荘に
年老いて病を抱えたポアロが
戻ってきました。
いったい 何のために?
まだ起きていない 殺人事件のために。
罪を犯す者の『人間性』を
常に見つめ続けてきた
ポアロが 最後に対峙する"悪"。
まだ 発生していない
殺人事件の犯人を
どのように 裁くのかー。
どんな事件でも
コミカルな持ち味を忘れなかった
ポアロが
この作品では かなり
ハードボイルドです。
そして 人生の晩秋を迎えた
ポアロとヘイスティングズ大尉の
ほろ苦い心象風景も
この年齢になったからでしょうかー
染みます。
出来れば
ポアロとヘイスティングズの作品を
いくつか読んだ後の方が
より一層 その関係性を
楽しめると思います。 -
Posted by ブクログ
日本では8年前に『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査官』一冊しか邦訳されていないが、スウェーデン本国では大御所の作家であるようだ。複数捜査官による警察小説を得意としつつ、別名義で純文学を書き、文芸評論家であり詩人でもあるいわゆる表現のプロ。そのイメージはページを開いたところからがつんと来る筆力を見ると、なるほどごもっとも。
冒頭、二人の少年の印象的なシーンから、いきなり犯罪現場らしき場所での警察突入シーンに視点が移る。読者はこれですぐに持っていかれるだろう。
少女たちの連続失踪事件を追うベテラン刑事の目線で語られる一部から、マークされた怪しげな女性の事情聴取と尋問が始まるが、その辺りから本編は逆転に次ぐ逆転という驚くべき展開を見せる。すべては見た通りではなく、錯綜した裏がある。
そう。最初に見えたのがすべてではなく、次に見えてくるものも不確かと思えてしまう捩じれた世界。事件の全体像が見えるまでの緊張はラストまで途切れることなく続くが、作中の世界は変容を重ね、真実が幾様にも姿を変え、人間たちは見たままではなく、意外な展開を見せてゆく。
挿入される少年たち少女たちのシーンが驚きの展開を見せ、作品に重要な光を投じる。現在と過去は複雑に繋がる。フーダニットのミステリーから、プロットを楽しめる全体像となってゆく。何よりもこれは新シリーズの第一作なので、この事件のその後まで気になるという驚くべきシーンで終わりを迎える。いや、始まりを迎えるのか?
登場人物の多さも、この後の作品への布石になるのかもしれない。予想外の死体発見シーンが読者を混乱させ、何一つ確信させてくれないところが、日本語タイトルにも反映された何ものかであるのだろうか。
印象的な部分は、主人公と犯罪者の双方の、時計へのこだわり。各章が月日と時刻でしっかり刻まれる。仕掛けへのこだわり。組織同士の化かし合い。時に過去が入り込むこと、などなど。
二人のヒーロー&ヒロイン像の個性とパフォーマンスが良いので、今後のシリーズに期待ができる。次作の邦訳も進められているという巻末の解説に少しほっとするし、これは二作以降も読まざるを得ない。決着のついていないことが多いように思う。次作まで持ち越しの宿題なのか?
全体的にエンターテインメントとして申し分のない読書時間を供給してくれた作品である。次作が待ち遠しい。 -
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シャツキは一度ワルシャワに帰ったらしいが、現在は北部の地方都市オルシュティンで本業以外に講演を仕事を依頼されたりしている。前作までの事件ですっかり事件を解決する一匹狼の保安官イメージをまとったシャツキは、ポーランドで最も有名な検察官となっているらしい。しかも常にぴしりと決めた硬派ファッション。白髪。五十代に手が届きそうな年齢。
彼は、一人娘のヘレナ、新しい恋人・ゼニアと三人で奇妙かつ綱渡り気味の生活をしている。ヘレナはすっかり大人に近づき、本書ではとても重要な役を割り振られる。
ポーランドの町は相変わらず暗く、被征服国家としての歴史の重さに打ちひしがれている。季節は12月で、雪になり切らぬ冷たい着氷性の霧雨と分厚い雲に覆われている。
事件もまた相変わらずエキセントリック。見つかった白骨は過去のドイツ兵の亡霊だとばかり思いこんでいたものの、一週間前に溶かされたものと判明。なんて奇妙な!
新しい街なのでシャツキを取り巻く捜査陣はまたも新たなキャラクターばかり。風土描写ばかりではなくキャラにも決して手を抜かないのがジグムント・ミウォシェフスキという作家である。シャツキを取り巻くのは、個性豊かな存在感抜群の男女ばかり。前作で印象的な登場を果たした精神分析医クレイノツキも相変わらずの個性とドンパチの的中度を誇るが、解剖医のフランケンシュタイン博士(まさに実名までもが)は衝撃的なまでに印象に残ることだろう。
取り上げられるテーマはDV。家庭内で決して誰にも気づかれることなく精神的に追い詰められてゆく静かな被害者たちと、仮面の加害者像が、時折カットバックのように挿入される。無名で。そして次第にシフトアップ。街の緊張が高まり、シャツキの表情がこわばる。静かな家族たちとその裏側に奥行きを見せる影なる暴力。
街に跋扈する復讐の足音。過酷なまでの制裁。後半は、なぜかシャツキ自身が巻き込まれてゆくことで物語に疾走感が生まれる。ページターナー。予断を許さぬ展開。予測を超える真相。シャツキの物語の終焉はどうなるのか? やはりこの三部作は順番に読まなくてはいけない。日本の読者にとって如何に不幸な出版順序であっただろうか? 順番通りに読むことのできた幸福が、この本を閉じるときにしっかりと胸を満たしてくれたのは言うまでもない。 -
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シャツキは一度ワルシャワに帰ったらしいが、現在は北部の地方都市オルシュティンで本業以外に講演を仕事を依頼されたりしている。前作までの事件ですっかり事件を解決する一匹狼の保安官イメージをまとったシャツキは、ポーランドで最も有名な検察官となっているらしい。しかも常にぴしりと決めた硬派ファッション。白髪。五十代に手が届きそうな年齢。
彼は、一人娘のヘレナ、新しい恋人・ゼニアと三人で奇妙かつ綱渡り気味の生活をしている。ヘレナはすっかり大人に近づき、本書ではとても重要な役を割り振られる。
ポーランドの町は相変わらず暗く、被征服国家としての歴史の重さに打ちひしがれている。季節は12月で、雪になり切らぬ冷たい着氷性の霧雨と分厚い雲に覆われている。
事件もまた相変わらずエキセントリック。見つかった白骨は過去のドイツ兵の亡霊だとばかり思いこんでいたものの、一週間前に溶かされたものと判明。なんて奇妙な!
新しい街なのでシャツキを取り巻く捜査陣はまたも新たなキャラクターばかり。風土描写ばかりではなくキャラにも決して手を抜かないのがジグムント・ミウォシェフスキという作家である。シャツキを取り巻くのは、個性豊かな存在感抜群の男女ばかり。前作で印象的な登場を果たした精神分析医クレイノツキも相変わらずの個性とドンパチの的中度を誇るが、解剖医のフランケンシュタイン博士(まさに実名までもが)は衝撃的なまでに印象に残ることだろう。
取り上げられるテーマはDV。家庭内で決して誰にも気づかれることなく精神的に追い詰められてゆく静かな被害者たちと、仮面の加害者像が、時折カットバックのように挿入される。無名で。そして次第にシフトアップ。街の緊張が高まり、シャツキの表情がこわばる。静かな家族たちとその裏側に奥行きを見せる影なる暴力。
街に跋扈する復讐の足音。過酷なまでの制裁。後半は、なぜかシャツキ自身が巻き込まれてゆくことで物語に疾走感が生まれる。ページターナー。予断を許さぬ展開。予測を超える真相。シャツキの物語の終焉はどうなるのか? やはりこの三部作は順番に読まなくてはいけない。日本の読者にとって如何に不幸な出版順序であっただろうか? 順番通りに読むことのできた幸福が、この本を閉じるときにしっかりと胸を満たしてくれたのは言うまでもない。 -
Posted by ブクログ
南北戦争前、詐欺師の父がだまし取った金を、騙した名目の通り届けようとする少年の話。
タイトル通り「ひとり旅立つ少年」なんだけど、ゆく先々で助けられる。というか、少年というのはあまりにもか弱い。子供である以上、どうしても庇護が必要なのだ。
そのあたりが、切ない。
容赦なく、周りに振り回され、自分ではどうしようもできない、その過酷さが悲しい。
<まるで白人に見える黒人>というものの存在を始めて知った。
もう、こうなると真実なんて意味がないよね。
その意味のない世界で、父と自身の罪を贖うために歩き続ける彼は、尊い。
人間の尊厳とか矜持とか、そういうものを考えさせられる作品だった。
にしても悪役が怖すぎて…。まじ怖かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下品で笑えて切なくて辛くて怖くて爽やかな話だった。
人肉食、地雷犬、足を切断される少女など、あまりにもひどい場面にばかり出くわすものの、コーリャの明るさとおちゃらけた物言いにだいぶ救われていると思う。
下ネタが思ったよりすごい多かった。
娘の結婚式で使いたいというそんな理由のために命懸けで卵を調達させにいくのもそもそもやばい。
戦争の理不尽さや怖さがいろんなところから滲み出てた。
コーリャのことを私も読んでるうちにどんどん気に入っていたので最期は唐突で悲しかった。
けど、コーリャらしいといえばとても彼らしかった。
名狙撃主のヴィカもいいキャラしてたし、終わり方は爽やかで読んでいてこちらも微笑んでしまった。