田口俊樹のレビュー一覧
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ドン・ウィンズロウ『ダ・フォース 下』ハーパーBOOKS。
これは非常に面白い作品。
下巻。窮地に陥ったデニー・マローンの運命や如何に…破滅の結末は上巻の冒頭で既に見えているのだが、FBIのネズミに成り下がり、少しずつ泥濘に嵌まっていくデニー・マローンの物語から目を反らすことが出来ない。
通称『ダ・フォース』、麻薬や銃犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部を率いるデニー・マローンだったが、FBIの汚職警官捜査の渦に巻き込まれ、踏み出すべきではない一歩を踏み出したことから破滅への道程が始まる…
正義の側にあるはずの警察の腐敗はギャングやマフィア以上に進んでいたという皮肉。金と権力が進 -
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ネタバレ米国人気TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の共同プロデューサーで脚本家・小説家でもあるデイヴィッド・ベニオフが書いたベストセラー小説。
ベニオフが自分の祖父から聞いた戦時中の体験談という体裁になっているがフィクションだそうである。
ドイツの包囲攻撃を受けているレニングラードに住む17才の少年レフ・ベニオフ(デイヴィッド・ベニオフの祖父)は、仲間と共に街に落ちたドイツ軍パイロットの死体から備品をとっているところを軍に見つかり捕まってしまう。
彼は収監された刑務所で背の高い金髪碧眼の脱走赤軍兵士コーリャと出会う。
軍の大佐が娘の結婚式の料理に使うからという理由で、レフと
コーリャは免罪(死 -
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ネタバレ傑作!この小説はいい。
舞台は近代戦最長の900日に及ぶ包囲戦下のレニングラード。飢えと戦争被害に苦しむレニングラードの描写、その戦下日々を必死に生きる主人公が、ひょんなことからイケメンで下品で饒舌な脱走兵とコンビを組み、赤軍士官の命令で玉子1ダースを探すことになる。
人間ってほんま愚かで、その骨頂が戦争だと思う。生産性も幸せも食べ物すらない悲惨な状態を、人間は凝りもせず何度も何度も繰り返す。この本でも戦争の悲惨さ愚かさは繰り返し描写される。ただでさえ気候条件が厳しい冬のレニングラードで、なんでこんなバカな行為を…。
主人公レフと相棒コーリャのタマゴを探す冒険も実に愚かである。支配者の欲 -
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とある犬と、人々の物語。
ディーン・クーンツの「ウォッチャーズ」が人を犬好きにする一番の作品って思ってましたが、そこに一石を投じられることになるとは。
も、最後の方は涙で字がにじんでたよ。
生まれた環境によって虐げられた人間が、自分の力で足で歩きだそうとする姿や、どうしようもなく傷ついた人が、やはり自分の力で再び立ち上がろうとする、そこに寄り添う犬。
純粋なものの存在は、無垢であるからこそ、シンプルに力になるのだろうか。
シンプルだからこそ、自分自身の内なるものを見つめ、結局のところ、自分自身が行動を起こすしかないのだと、悟らせる。
無垢なものの意味は、そういう -
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三種類の女がでてくる。
ナチスの迫害を生き抜いたものの、女としては致命的な傷を心身に負った孤高の女・フラン。暴君のような夫に虐げられる生活の中でも良心に根ざす信仰を失わず、障害を持って生まれた娘に無償の愛情を注ぐクラリッサ。
そんな二人に慈しまれ、銃の代わりにカメラを武器にしなやかに成長していくイヴ。
女と女の友情の話である。
イヴと名付けられた希望の種を巡る、女たちの静かで激しい戦いの記録でもある。
中でも魅力的だったのはクラリッサ。横暴な夫の虐待を耐え忍び、幾多の悲劇を乗り越え強く在ろうとした姿が感動をよぶ。
立場と性格は違えど同じ逆境を体験した者同士、相通じるものがあるフランと共に屋上で -
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毎年恒例、プーチン大統領が国民の質問に丁寧に答えてくれる
よという茶番劇…じゃなかった、TVショーが今年もロシアで放送
された。
そこに登場したのが誰あろう、エドワード・スノーデン氏である。
そう、アメリカ政府の情報監視活動を暴露した、元NSA(米国
国家安全保障局)の元職員だ。
アメリカ政府による監視活動んいついて述べた後、ロシアも
同じような監視活動をしているのかというのがスノーデン氏
からの質問だった。
プーチン閣下曰く「情報収集に関しては法律を順守して行って
いるが、アメリカみたいに豊富な予算し、技術的能力もないさ」。
あぁ…元KGBがこんな答えですよ。なんたる茶番。
さて、 -
一般市民に対する集団監視とは?
一般市民に対する盗聴、盗撮の拡大による実害は、最近ネット上で散見する『集団ストーカー』というものにも関係しているのでは?と思っています。この本でのスノーデンファイル序文には次の文章が記載されています。 『・・・社会から爪弾きにされた若者が 軽微な違反を犯し、世界最大の監獄制度の中で耐え難い結果に苛まれようと、私たちは社会全体として見て見ぬふりを決め込んでいます・・・』 そして2014年、NBCニュースで のスノーデンのインタビューでは『・・・he called it ,could get inside your thought process・・・』と言っています。
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ネタバレ●海事大学は私に”規律”を教えてくれたー当時の私に一番必要だったものだろう。そして真面目に生きることの重要さも学んだ。船上ではその場ですべえを解決する必要があり、ふざけてなどいられない。意味のない仕事などなく、すべての仕事が重要な価値を持つ。
●人は怒鳴り散らされると逆に従う気が失せるだけだという事を私自身、身に染みてわかっていたからだ。完璧をめざしたところで、やろうとしてもできない者は必ずいる。歩くことより、とにかく這ってでもまえに進むことをめざすべきだ。そうすれば、いずれ走ることも考えられるようになる
●船長がひとつのことだけにーたとえば乗組員がビールを一本か二本飲んだかどうかなどとい