ポアンカレと聞いて何かを連想する方はどの位居られるのでしょうか?
ここで言うポアンカレとは「ポアンカレ予想」でこの世に名を残した大数学者を指しており、本書の主人公「捜査官ポアンカレ」は彼のひ孫と言う設定です。
何だかルパン三世みたいですが、しかしポアンカレの方は以下でご紹介する粗筋からも伺える様に、
...続きを読むかなり成熟したキャラクターです。
なお、本書の特徴として結構長いミステリーとなっている他、フラクタルにちなんだ挿絵が随所に差し込まれている等があり、独特の"風味"を持つ一冊となっています。
では前置きはこの位にして以下で粗筋をご紹介。
長年インタポールの捜査官として第一線で活躍してきた主人公、ポアンカレ。
そんな彼のもとにアムステルダムで起きた数学者爆殺事件の捜査が舞い降りてくる。
この事件には軍用ロケット燃料と言う特殊極まりない爆薬が使用され、また現場となったホテル最上階の居室のみが「まるでレーザー砲に切り取られた」様に綺麗に吹き飛ばされたいた状況から、捜査開始当初は容疑者はかなり絞れるのではないかと見られた。
しかし、その予想に反して捜査は難航。
一方、かつてポアンカレが逮捕した旧ユーゴスラヴィアの戦犯が彼の家族を狙い始め・・・
ハッピーエンドとそれとはほど遠い物が入り混じった終わり方をしています。
その為、単なる"苦い"ストーリーではなく、最後に奇妙な"甘さ"をも感じるミステリとなっています。
本書をあえて一言でまとめると、「人生は続く」と言った感じになるのでしょうか?
訳者の後書きによれば、本書は著者のデビュー作にして「捜査官ポアンカレ」シリーズの記念すべき第1巻目との事。
早めにシリーズ続巻の和訳版が出てきて欲しい所ですね。