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Posted by ブクログ
三種類の女がでてくる。
ナチスの迫害を生き抜いたものの、女としては致命的な傷を心身に負った孤高の女・フラン。暴君のような夫に虐げられる生活の中でも良心に根ざす信仰を失わず、障害を持って生まれた娘に無償の愛情を注ぐクラリッサ。
そんな二人に慈しまれ、銃の代わりにカメラを武器にしなやかに成長していくイヴ。
女と女の友情の話である。
イヴと名付けられた希望の種を巡る、女たちの静かで激しい戦いの記録でもある。
中でも魅力的だったのはクラリッサ。横暴な夫の虐待を耐え忍び、幾多の悲劇を乗り越え強く在ろうとした姿が感動をよぶ。
立場と性格は違えど同じ逆境を体験した者同士、相通じるものがあるフランと共に屋上で鳩を抱く場面の無垢なる美しさは言葉にできない。
文章は類稀な詩情に溢れ繊細で美しく、灰色の現実の中でも決して色褪せない真実の宝石を写真の如く切り取っていく。
撃鉄を落とすようにシャッターを押し、自分を弾圧する人生への対し方を学んでいくイヴ。
冒頭、イヴと恋人が手話で交歓するシーンに溢れた素朴な信頼と愛情は、物語を追ってイヴという少女の過酷な前半生を知ればこそ、それがどれだけ得難き価値のあるものか得心がいく。そしてイヴが撮った写真、肌の色が異なる家族が食卓で手を繋ぎ輪になる情景にこそ聖俗併せ呑む愛の核心が集約されるのだ。
本作には素晴らしいもの、尊きものが散りばめられているが、それらを脅かす唾棄すべき悪の存在もまた容赦なく描かれる。しかしだからこそ、弱き女たちが自分よりさらに弱きもののために戦いに挑む姿は、精神の気高さから生まれた崇高な美しさを保ち得るのだ。
「自由の女神が聾唖でもいいじゃないの」
これは母と子と希望の物語だ。
Posted by ブクログ
子供を産んで育てることがむつかしい時代になってきている。母性が本能とは別な道を歩き始めたのだろうか。ペットや家族愛のドラマを見て、やくざが泣いているシーンは喜劇でしかなくなったのだろうか。
ブルックリンの極貧家庭に生まれた、耳の不自由な少女イヴが勇気のある女たちに守られ成長していく物語。
母のクラリッサは、耳が聞こえないという障害を持つイヴを、将来味わうだろう人生の荒廃から救うために、教育を受けさせようとする。
そこで教会で顔見知りになっただけのフランに相談する。
イヴを育てることでクラリッサとフランは親友になる。
フランには過酷な過去があった。
彼女の愛した青年も耳が不自由だった。
フランの両親は傷害のある子供たちを教育する私立学校を経営していた。
そこに彼は入学していた。
家系に障害のある子供がいると、優生保護のために断種手術を受けなくてはならなかった。
彼女は青年と逃げるが、子宮を摘出され、恋人は射殺された。
その後、彼女は一人小さな店を持って暮らしていた。
三人の女性が、運命と卑劣な男たちに翻弄されながら勇気を持って生き抜くものがたり。
文章は繊細でダイナミック、時には詩的で、上質な文学的な香りを持っている。
彼女たちが、過酷な出来事に打ちのめされながらも、立ち上がるたびに、読んでいても何度か胸が一杯になる。
ストーリーを思い出しながら、もって生まれたイヴの障害について母親がとった手段や、フランを襲う過酷な社会通念や国の方策について考えてみた。
優性保護については、今でも法以外では解決されているとは言えない。法的に問題がないとしても、子供の誕生について親の根源的な愛情を計ることはできない。
アメリカの一女性が提唱した優性保護のあり方をWikiで調べてみた。深い学問的な理論はわからないながら、人の生きる権利、産むことの自由を強制的に定めることは、産み育てる苦しみよりも育てることができない苦しみも様々な形を含めて深いのだと言える。
今なら宇宙論かと思える意見を見つけた。
「遺伝的に不適当な」人物をターゲットとして優生学者がすすめた社会的介入法としては、選択的な生殖、断種、安楽死が含まれた。例えば1932年にサンガーは、「悪い家系」を断つための断種と隔離を行う「強固なポリシー」について触れている。
20世紀初めのアメリカ合衆国では、サンガーも強力に押し進めていたこの優生学運動は強い影響力を得た。アメリカの優生学者の努力の結果、何万人単位で断種が行われたり、コロニーに強制隔離される人が出たりしたほどの力があった」
「大家族の子供に対してできる最も慈悲深いことは、殺すことである」
「(黒人)は遺伝的に劣った人種である」「人間の雑草(黒人・移民・障碍者など)を駆除しなければならない「向こう見ずに繁殖する者たち、、、子供をうじゃうじゃと産みつける、、、決して産まれるべきでなかった人々がいる」
Wikipediaより
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