田口俊樹のレビュー一覧

  • ジキルとハイド

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    ジキル博士は内なる善と悪にそれぞれの肉体を与え、自分は善の肉体で生きようとし悲劇始まっていく。
    はじめのほうで弟アベルを殺害したカインについて触れられていることから
    アダムとイヴの時代
    イヴが善悪の木から実を食べてしまってから
    罪が入り込んでしまったことが思い起こされる。
    それならばジキル博士がどんな薬を作ったとしても神のように善のみでは人は生きられない
    それができるのは神のみなのかもしれないと。

    人の心には善と悪両極だけには分けられないいくつもの心が共存している。
    それを自分自身だと受け止めることから本当の人生は始まるのではないかと強く感じました。


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    2026年07月12日
  • ジキルとハイド

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    ネタバレ

    1886年に書かれたのかと関心してしまうほど、新しい構成のように思える。
    今では登場人物が、最後に回想することは珍しくはないが、当時は新しかったのかもしれない。

    翻訳が読みやすいのか、とてもさらさら読めて、今までの海外小説の中でもダントツで好みだった。

    ヘンリー・ジキルとエドワード・ハイドが同一人物であると言うことを知ってはいたが、同じ人間の中に渦巻く二重性、葛藤や苦悩が語られていたり、使用人たちが恐怖する場面も面白かった。

    もし結末を知らなかったら、より面白いミステリー?小説かもしれない。

    200年も前にこのような作品が書かれたことを本当に素晴らしく思う。

    英語版でも読んでみたいと

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    2026年07月07日
  • エージェントは二度推理する

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     ハーラン・コーベンの第一の魅力は、どのページに至っても、どの文章に至っても、とにかく読んでいて楽しいことだ。気の利いた描写力も素晴らしいが、何よりも会話の絶妙さが素晴らしい。セリフが素晴らしいということは、そのセリフの持ち主であるキャラクターたちが、おのおの個性的ということだ。いわゆる<キャラが立っている>。それがこの作家の一番の特徴である、と言っても過言ではあるまい。

     最近は独立作品が多いコーベン。ポライター・シリーズの共演者であるウィン(時には主人公を食ってしまうくらいの強烈な個性)を初の主人公とした『WIN』という待望の作品が2022年に邦訳されたときは小躍りして喜んだものだが、マ

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    2026年06月22日
  • カーテン

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    ネタバレ

    ポアロ最後の事件。

    タイトルのカーテンはカーテンコールのカーテンかな。

    ポアロはスタイルズ荘で始まり、スタイルズ荘で終わる。
    そして、アガサ・クリスティのデビュー作はスタイル荘であり、遺作がカーテンなのは、人生そのものだろう。

    しかも、数々の事件を解決してきた名探偵ポアロが最後に死んでしまうのは、遺作に相応しい(というか、狙っているのだろうが)。

    ポアロは犯人をほぼ特定はしているが、証拠はなく、連続殺人を止めるには自ら犯人を殺すしかない。
    そして、殺人を犯してしまったので自殺。
    似たパターンのエラリー・クイーンのレーン最後の事件がなければ文句なしの傑作なのだが。。

    といっても、伏線な

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    2026年05月30日
  • ランナウェイ

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    私は推理小説を読む時、犯人当てをするのが好きだ。
    むしろ犯人当てをしたくて、推理小説を読み漁っているが、当たったためしはない。

    今回もいい線はいった(と思う)が、当たらなかった。
    そんなことよりも、もっと大変なことが物語では起こっていた。

    読み終わった後、私はどうしていいかわからなくなった。
    モヤモヤが止まらない。

    どうしてこんなにモヤモヤしているのか、自分でもよくわからない。
    家族ってむずかしい。

    おもしろかった。

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    2026年05月28日
  • エージェントは二度推理する

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    ネタバレ

    大好きなシリーズ。四半世紀ぶりのマイロンは、期待を裏切らない極上の一冊でした。泣いちゃった。

    マイロンがウィンをおまえさんと呼ぶのは以前もそうでしたっけ?おじさんになったからですかね。

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    2026年05月04日
  • THE MATCH

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    ネタバレ

    前作「森から来た少年」の主人公ワイルドが活躍するシリーズ第2弾。本作でもワイルドは自分の親族を探している。物語はいくつかの遺伝子鑑定会社(ネットサイト)を使って調査しているシーンから始まる。

    ワイルドの親族探しが1本の大きな柱、もう1本の柱がリアリティ番組で有名になった男の行方探し。この2本柱がくっついたり離れたりしつつ、SNSの異常偏執投稿やリアリティ番組での人格や価値観崩壊(日本でも自殺者でてたヤツ)、警察などを挟みながら、物語が進んでいく。

    前作との一番の違いは、伏線回収の見事さ。置いてけぼりにされてる問題はほぼなく、前作で拾えなかった伏線も綺麗に回収していく。あまりに見事すぎて「え

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    2026年04月25日
  • ジキルとハイド

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    読み始めたホームズパスティーシュに出てくるけれど「二重人格」という代名詞でしか知らないなと思い、初めて通しで読みました。

    顕現した悪魔的自分に、本来は紳士であるはずの博士がじわじわと呑み込まれていく描写が異様で怖かった…「単純な二重人格」の話ではなく、そこに至るまでの博士の葛藤や日々の抑圧された生活の苦しみ、ハイドと入れ替わったまま元に戻れないのではという恐怖、効かなくなる薬、もう1人の自分が起こしてしまった事への責任の取り方…と沢山のテーマが内包されていて、読んでいてとても刺激的でした。

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    2026年04月14日
  • キス・キス〔新訳版〕

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    ダール短編集の中で一番、印象に残っている話が多いイメージ。
    本当に本当に、ダールの大人向け作品がもうこれ以上読めないなんて…
    訳されてない埋もれた作品とかないのかなあ。

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    2026年02月11日
  • カーテン

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    仕掛けが何重にも施されているにもかかわらず、矛盾のないストーリー展開が続くのは見事です。
    さすがクリスティ。
    最初にポアロの物語が始まったところでポアロの物語が幕を閉じます。
    改めてポアロものを読んでみたくなる一冊です。

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    2026年02月09日
  • マット・スカダー わが探偵人生

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     懐かしのマット・スカダー・シリーズの驚くべき最終編。第一長編『過去からの弔鐘』から本シリーズを読み始めたのが1991年10月で、割と遅めのスカダー読者だったのだが、驚くべきことに、その10月だけで『慈悲深い死』までの7作を読み終えているから、ぼくのこのシリーズにへの惚れ込みようは押して知るべし、である。そこから2012年の『贖いの報酬』でこのシリーズは一端途切れる。このシリーズのみならず、ローレンス・ブロックの他のシリーズ作品も含めて、2014年をもって全翻訳作品が途切れたのである。

     作者の高齢化やそれにまつわる状況がそうした空白を産んだのかもしれないが、その後も印象的な翻訳短編集が出て

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    2026年01月25日
  • 最後の巡礼者 下

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    話は長いし捜査も全然進んでる気配ないし、主人公の恋愛事象の描写は必要か?とか思いながらも次々に明るみになる真相に目が離せなくなって。最終的な結末も予想外だったし、決して後味のいい結末ではないものの、それでもとにかく面白かった。
    しかも著者はこれが処女作らしいし、北欧のミステリ賞3冠も納得。次の作品も期待したいです。

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    2025年12月05日
  • ザ・ボーダー 下

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    数年前に読んだ時はトランプをモデルにした政治家と麻薬カルテルの繋がりに「さすがにやり過ぎだろう」と思ったが、ウィンズロウはリアリティにこだわる作家。綿密な取材の上、確信があって書いたことだったのだろう。現在の情勢を見れば本書こそフィクションではなくリアルだと言える。トランプこそ麻薬との戦いをダシに敵対勢力を潰し、甘い汁を吸っているのだと。

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    2025年12月04日
  • プレイバック

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     レイモンドチャンドラーって面白い。前に読んだ時よりも、さらに。
    というのが最初の感想です。ハードボイルド小説の金字塔。タフでしぶとく、そして物悲しい主人公、フィリップマーロウは二大好きな探偵の一人です。名言も読めて、素敵な作品でした。

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    2025年11月26日
  • 神は銃弾

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    1999年に書かれた『神は銃弾』でノワールファンに衝撃を持って迎えられた本作。
    まさか2023年になって映画化するとは思ってもいなかった(映画自体はキャスト陣が演じるキャラクター造形は素晴らしいのだが、残念なことに映画は悪い意味で原作通りにやってしまったせいで、キャラクターたちの魅力を活かしきれてなかった)

    10数年ぶりに原作を読み直したくなって久々に表紙をめくったのだが、やはりめちゃくちゃスゴい。
    今読んでもこの容赦のないプロットと、ドライで冴え渡ったキレッキレの文章には惚れ惚れするくらい食らってしまう。
    そして600ページ近くある作品で、この文体で描かれるのは癖がありそうなのに、なぜかリ

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    2025年11月17日
  • ゴーストマン 時限紙幣

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    現金輸送車から強奪された紙幣はアメリカ連邦準備銀行の爆弾付きなので、48時間以内に解除しないと爆発してしまうが、実行犯が紙幣とともに行方不明になったので、襲撃の司令役がゴーストマン(犯罪の後始末屋)に事態の収束を指示する…という犯罪小説。
    ゴーストマンが語り手の一人称小説だが、文体はドライでハードボイルド的。アクションシーンも多少あるが淡々と進む。
    電話のたびにプリペイド携帯を使い捨て感覚で毎回壊して捨てたり、使い終わった銃を分解して捨てたり車を燃やしたり船を沈めたり、プロの犯罪者は経費がかさむなあというのが印象に残る。

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    2025年11月04日
  • カーテン

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    ネタバレ

    老いて痛々しいまでに衰えてしまったポアロ、妻を亡くし娘を理解しきれないヘースティングスの様子が悲しい。ポアロが最後に追う謎の犯人「X」。ポアロ最初の事件の現場であるスタイルズ荘が最後の事件の現場になるのがまた悲しさを・・・。今までののポアロ・シリーズとは違いすぎる雰囲気で読み終わった後ちょっと立ち直るのに時間がかかる。

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    2025年09月20日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    映画『紅の豚』を見て、こちらの本を手に取りました。映画にも少し出てきた戦争の悲しさの要素が、詰まっていました。

    飛行機カッコいい! みたいな気持ちで読み始めたので、特に『カティーナ』の内容はショックでしたが、当時の飛行機に乗っていた人と、その周りの人々のリアルはこちらなのかな? と感じました。読んで良かった!

    『猛犬に注意』には、ミステリ要素も感じられ、素晴らしい短編でした。今後、著者の他の作品も読んでみたいです。

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    2025年08月25日
  • WIN

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    “手短に”書こう
    とても面白かった。

    〈マイロン・ボライター シリーズ〉は知らない。でも、主人公ウィンはとても小気味が良い。

    小説なんだから“出来すぎ”って、言っちゃダメ。
    執事やお嬢様の謎解きもあるし、猫だって謎解きする。

    面白かった。

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    2025年08月22日
  • 日々翻訳ざんげ

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    過去40年間に自分が訳したミステリ作品をとりあげ、どんな誤読や誤訳、ケアレスミスがあったのかという告白録(自慢話もあり)、全20回。とても参考になる。
    ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の回では、自分を含め8人の訳者の訳文を比較している。その8人とは、飯島、蕗沢、田中小実昌、田中西二郎、小鷹、中田、池田、田口……豪華競演。
    印象的だった失敗談。ジョン・ル・カレの作品を訳し終わって気分が高揚したまま、native checkを受けずに、彼にメールを送ってしまい、逆鱗に触れたことがあったという。知己でなければ、チェックなしのメールは危険。他山の石として、肝に銘じよう。

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    2025年07月15日