【感想・ネタバレ】あなたに似た人〔新訳版〕 IIのレビュー

あらすじ

植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは? 小説自動作製機は何を成し遂げるのか?教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は?……短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。従来未収録だった短篇2作を新たに加えた新訳決定版 【収録作品】 サウンドマシン/満たされた人生に最後の別れを/偉大なる自動文章製造機/クロードの犬/ 〔特別収録〕ああ生命の妙なる神秘よ/廃墟にて

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Posted by ブクログ

Ⅰ、Ⅱ全体を通して印象に残るのは『味』『満たされた人生に最後の別れを』などに見られる上流社会やスノビズムに対するシニカルな視線が、農村を舞台にした『クロードの犬』などでも一貫しているところ。どれも一筋縄ではいかないし、快哉を叫びたくなるような結末も用意されないが、ギリギリとエピソードや描写を重ねて緊張感を高めていき、最後に解放される(時には宙吊りになる)感覚には中毒性がある。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

「優雅で危険な笑み」

久しぶりの“ロアルドダール”
サッと読めるところは、いつでも健在
相変わらずの調子で“毒”を密かに撒く

とくに連作短編「クロードの犬」は
世の中に溢れた“泣ける……”とは程遠い、不穏な空気に包まれた、生きた人間たちの物語

刺激的でした。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

ちょっと苦手なスプラッタ話が出てきて
それ以降苦手気分が抜けなかったが、作者の短編書きの腕前は、やっぱり一流だと思った。売り上げのためとは言え、本書を2冊に分けてしまったのは残念だ。一冊の中にあるから気持ちよく読み終えられるのに。

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2025年04月08日

Posted by ブクログ

香草をそのまま食べる感じ、かな?
パクチーとかルッコラとかバジル?
料理とあわせるのがいいんだけど、
はまるとそのままいけちゃうやつ笑

「満たされた人生に最後の別れを」は、原題が「Nunc dimittis」、シメオンのカンティクムですね。内容はとても世俗的なのにタイトルが終課の聖歌。ラストで流れてたらと思うと…苦いですね。

有名な「おとなしい凶器」(Iに収録)の原題、Lamb to the Slaughterも旧約聖書にあるみたいですし、何かしら寓意がありそうです。知ったら知ったでさらに苦くなりそうですが…やっぱり香草。

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2023年01月29日

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短編集だ。ゆったりと軽妙で、どの作品にも「あなたに似た人」がいる。小心で適当で打算的。でも、憎めない。何度でも会いたくなる。そんな魅力や魔力が、この本にはある。イチオシです。

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2022年07月07日

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以前「あなたに似た人Ⅰ」を読んでようやく今回Ⅱを読むことができた。
読み始めた最初、あれあんまり面白くないかと思ったが、ページを捲るたびに引き込まれていった。
なぜだかはわからないが、展開が気になって仕方がないのだ。
自分が本作で気になったのは、「ああ生命の妙なる神秘よ」である。
話の展開が妙に頭に残る感じで好きな話だ。

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2021年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集。個人的に外れがなく面白かったです。
Ⅰより好きです。性格の良い登場人物がいないので
彼(彼女)が失敗しても遠慮せずに笑えます。

サウンドマシン…植物の声を聴いてしまったら。

満たされた人生に最後の別れを…ロマンチックなタイトル
だけど内容は切なくもおバカな男性の末路を描いている。

偉大なる自動文章製造機…将来的にはできそうな機械。

クロードの犬…私とクロードの短編集(「ネズミ捕り
の男」「ラミンズ」「ミスター・ホディ」
「ミスター・フィージー」)。
ああ生命の妙なる神秘よ…ラミンズとクロードの話。

クロードは憎めないけど、実行力はある切れ者ではないっていう人は実際にいるし、だいたいめんどくさい。

廃墟にて…2Pの短編。ピシッと収まっていて素晴らしい。食べちゃうのかなぁ。

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2021年05月05日

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読後感の悪いショートショートを書かせたら天下一のロアルド・ダール短編集。印象的なのはやはり表紙にも出てくる「クロードの犬」。
他の作品と違って複数の独立したチャプターに分かれているので、登場人物への感情移入が自然と強くなる。話としては全然関係ないが、映画「ロック・ストック・トゥースマーキングバレルズ」を連想してしまった。イギリス人はこういうの好きなのかね。

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2020年10月11日

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サウンドマシン。良い。
1よりSF色強めかも。

クロードの犬はどろどろ。

短編はどうしてもゆっくりしか読めない

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2015年03月03日

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特に前半、人間の業の深さを「皮肉」や「ブラックユーモア」、あるいは「奇妙な味」として表現しているようにうかがえる。

後半は『クロードの犬』というクロードを主人公とする連作短編だが、この連作短編は正直あまり面白いとは感じなかった。

一方で前半の短編が面白く、『満たされた人生に最後の別れを』『偉大なる自動文章製造機』はそれぞれテーマ性があって非常に面白かった。

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2025年11月08日

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あなたに似た人Ⅱ 2025/2/24
初読。Ⅱもおもしろかった。
『偉大なる自動文章製造機』は生成AIが実用化された今の時代に読んだからこそ、いっそうおもしろいと思った。
『サウンドマシン』は医者がかわいそうだった。

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2025年02月24日

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「あなたに似た人I」に引き続きブラックな短編集。
自分の中にもあるよなぁ〜と、自分の小ささを確認させられる 笑

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2023年12月26日

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作品紹介・あらすじ

植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは? 小説自動作製機は何を成し遂げるのか?教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は?……短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。従来未収録だった短篇2作を新たに加えた新訳決定版 【収録作品】 サウンドマシン/満たされた人生に最後の別れを/偉大なる自動文章製造機/クロードの犬/ 〔特別収録〕ああ生命の妙なる神秘よ/廃墟にて

第1集を読んだ時の感想で「ダークで毒の強い作品は好きな方なのだけれど、この人の毒は僕の体には合わなかった。第2集も手元にあるので、とりあえずそちらも読んでみようかと思う。もしかしたらそちらの毒は体に合うかも」と書いたのだけれど、結局この第2集も体には合わなかった。僕の好きな作家ではない。ただ最後の「廃墟にて」だけは別。たった2頁だけの短い作品なのだけれど、悲惨な情景がくっきりと瞼に浮かんでくるような、ダークなディストピア作品だった。願わくば現実にならないことを祈って。

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2023年01月31日

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人間の言語を介さないコミュニケーションやプレッシャーの掛け合いのままならなさと抗い難い魅力、思い込みと自意識によって失敗する人間が表現されている。
登場人物たちの多くは常識人で突然、極限状態に放り込まれるが、彼らの思考や動揺はタイトル通り、私たちに似ているのが面白い。
「極限状態でその人の本性が現れる」というが、ダールは人間の本性というものが、案外似通っているということに気がついていたのかもしれない。

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2022年07月22日

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少し前に「Ⅰ」も読んでるので、こちらも。
「満たされた人生に最後の別れを」はわかりやすかったけど、最後がジワリ。嫌いじゃない。
他の2編も複雑すぎる内容。
「クロードの犬」は1回読むだけじゃわからない。
海外の短編は高難度だわ。

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2021年03月12日

Posted by ブクログ

あなたに似た人Ⅱです。短編6つを収録。最初の3つは面白かった。どんなオチなんだ?という好奇心でワクワクしながらどんどんページをめくっていった。残りの4つは同じシリーズ的なものでびっくりするくらい面白くなかった笑 読み進めるスピードの遅いこと、遅いこと笑 まあ、好みもあります。

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2020年08月16日

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サウンドマシン、満たされた人生に最後の別れを、他2編。プラス特別収録2編。

チョコレート工場の作者と知らず、結びつかなかったけれど、文章自動製造機が少しそうかも。

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2017年11月25日

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作者であるロアルド・ダールは、「チャーリーとチョコレート工場」など児童文学の作家だと思っていた。
表紙にイラストの描かれたこの本を読み始めた時、シニカルな笑い(正直笑えないのだが)に驚いた。
確かに映画の「チャーリー・・・」は、子供じみてエキセントリックな感じのするオーナーのワンカさんが強烈に印象に残ってはいるけれど、小説自体もおもしろく、子ども達にずいぶん人気のようだ。

それと比較すると、辛口。
こずるい人や嫉妬深い人。儲け話に躍起になる人。
他人を疑うあまり、その感情に絡め取られ、自滅の道を突き進む人。
それらが乾いた調子で描かれている。
ざらついた後味が残る短編集。
読んでいるときから、眉をひそめてしまうような出来事があれこれ起こる。
訳の妙味というか、どこか外国の生活感が漂っていて、第三者の目線で読んでいけるのがありがたいとすら思う。

ドッグレースでひと稼ぎしようと企む男たちが仕組んだ悪巧みとその周りにいる抜け目のない男たちとの駆け引きとその顛末を描いた、第4話『クロードの犬』。日々の生活の中で出くわす悪意に気づいても、ふたをすることへのためらいのなさ。

植物と話す術を身につけたと信じる男が周りの人たちとの間に巻き起こす出来事を書いた、第1話『サウンドマシン』
今、ちょうど読んでいる梨木香歩さんの『家守奇譚』の善良な登場人物とはずいぶん造詣が違っている。

日本の風土や歴史など、思考の土台となっているものからすると、『家守』の方がなじみやすい。そう思うのは私だけではないと思うけど。

ちょっと困った人たちに対するストーリーは、落語のように、「おまえらほんとに困ったヤツだね。おれもその一人だけどさ」というのが、聴き手も含めて根底にあり、その困ったところを笑いながらも、滋味のある語りで全部まとめてOKを出してくれるから、じんわりしたり元気になったり。そういうどちらかというと、救いのあるオチを求めてしまうのかも。

一見「うわー、ヒドイ!」と思いながらも、いや待て、この毒がもう少し薄まったら、似たようなこと、あるんじゃない?。

私から見たあなたとばかり思って読んだが、『あなたに似た人』とは、あなたから見た私のことなのではないか?はたと気づいて、自分の中のブラックな一面の存在に、ドキッとした。

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2014年10月04日

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