田口俊樹のレビュー一覧

  • プレイバック

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     レイモンドチャンドラーって面白い。前に読んだ時よりも、さらに。
    というのが最初の感想です。ハードボイルド小説の金字塔。タフでしぶとく、そして物悲しい主人公、フィリップマーロウは二大好きな探偵の一人です。名言も読めて、素敵な作品でした。

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    2025年11月26日
  • 神は銃弾

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    1999年に書かれた『神は銃弾』でノワールファンに衝撃を持って迎えられた本作。
    まさか2023年になって映画化するとは思ってもいなかった(映画自体はキャスト陣が演じるキャラクター造形は素晴らしいのだが、残念なことに映画は悪い意味で原作通りにやってしまったせいで、キャラクターたちの魅力を活かしきれてなかった)

    10数年ぶりに原作を読み直したくなって久々に表紙をめくったのだが、やはりめちゃくちゃスゴい。
    今読んでもこの容赦のないプロットと、ドライで冴え渡ったキレッキレの文章には惚れ惚れするくらい食らってしまう。
    そして600ページ近くある作品で、この文体で描かれるのは癖がありそうなのに、なぜかリ

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    2025年11月17日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    ネタバレ

    「ナイフの使い手だった祖父は18歳になるまでにドイツ兵を2人殺している」
    一体どんな経緯があってそんなことを?
    祖父が語る昔話は、第二次世界大戦下のロシア・レニングラードを舞台にした、卵をめぐる特別な1週間だった――。

    味方軍の大佐の娘の結婚式のために卵を1ダース探すのかふんふんと、あらすじから気軽に読めるコメディ小説かなと思って購入しました。
    そんわけあるか、戦争中の話やぞ。
    その上、舞台はレニングラード。ドイツ軍に囲まれ味方からの供給の途絶えたこの都市で、人々を苦しめるのは戦火だけではありません。冬の過酷な寒さと飢餓です。
    人肉、地雷、生きるために性的暴行を受け入れる人々……徐々に明らか

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    2025年11月08日
  • ゴーストマン 時限紙幣

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    現金輸送車から強奪された紙幣はアメリカ連邦準備銀行の爆弾付きなので、48時間以内に解除しないと爆発してしまうが、実行犯が紙幣とともに行方不明になったので、襲撃の司令役がゴーストマン(犯罪の後始末屋)に事態の収束を指示する…という犯罪小説。
    ゴーストマンが語り手の一人称小説だが、文体はドライでハードボイルド的。アクションシーンも多少あるが淡々と進む。
    電話のたびにプリペイド携帯を使い捨て感覚で毎回壊して捨てたり、使い終わった銃を分解して捨てたり車を燃やしたり船を沈めたり、プロの犯罪者は経費がかさむなあというのが印象に残る。

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    2025年11月04日
  • カーテン

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    ネタバレ

    老いて痛々しいまでに衰えてしまったポアロ、妻を亡くし娘を理解しきれないヘースティングスの様子が悲しい。ポアロが最後に追う謎の犯人「X」。ポアロ最初の事件の現場であるスタイルズ荘が最後の事件の現場になるのがまた悲しさを・・・。今までののポアロ・シリーズとは違いすぎる雰囲気で読み終わった後ちょっと立ち直るのに時間がかかる。

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    2025年09月20日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    映画『紅の豚』を見て、こちらの本を手に取りました。映画にも少し出てきた戦争の悲しさの要素が、詰まっていました。

    飛行機カッコいい! みたいな気持ちで読み始めたので、特に『カティーナ』の内容はショックでしたが、当時の飛行機に乗っていた人と、その周りの人々のリアルはこちらなのかな? と感じました。読んで良かった!

    『猛犬に注意』には、ミステリ要素も感じられ、素晴らしい短編でした。今後、著者の他の作品も読んでみたいです。

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    2025年08月25日
  • WIN

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    “手短に”書こう
    とても面白かった。

    〈マイロン・ボライター シリーズ〉は知らない。でも、主人公ウィンはとても小気味が良い。

    小説なんだから“出来すぎ”って、言っちゃダメ。
    執事やお嬢様の謎解きもあるし、猫だって謎解きする。

    面白かった。

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    2025年08月22日
  • 日々翻訳ざんげ

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    過去40年間に自分が訳したミステリ作品をとりあげ、どんな誤読や誤訳、ケアレスミスがあったのかという告白録(自慢話もあり)、全20回。とても参考になる。
    ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の回では、自分を含め8人の訳者の訳文を比較している。その8人とは、飯島、蕗沢、田中小実昌、田中西二郎、小鷹、中田、池田、田口……豪華競演。
    印象的だった失敗談。ジョン・ル・カレの作品を訳し終わって気分が高揚したまま、native checkを受けずに、彼にメールを送ってしまい、逆鱗に触れたことがあったという。知己でなければ、チェックなしのメールは危険。他山の石として、肝に銘じよう。

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    2025年07月15日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    Ⅰ、Ⅱ全体を通して印象に残るのは『味』『満たされた人生に最後の別れを』などに見られる上流社会やスノビズムに対するシニカルな視線が、農村を舞台にした『クロードの犬』などでも一貫しているところ。どれも一筋縄ではいかないし、快哉を叫びたくなるような結末も用意されないが、ギリギリとエピソードや描写を重ねて緊張感を高めていき、最後に解放される(時には宙吊りになる)感覚には中毒性がある。

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    2025年06月04日
  • 業火の市

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    ドン・ウィンズロウは『犬の心』3部作以外読めておらず、他の作品はわたしの好きなメキシコも関係なさそうだし、どうかな…?なんて思っていたけれど、もちろん杞憂も杞憂。めちゃくちゃ面白い。読み始めたら止まらん。
    今作も、誰が生き残るのか(ほとんど生き残らない)全然わからず、重要かと思われた登場人物があっけなく死亡したりして、予測のつかないエンタメを存分に楽しめる。
    「みんな救ってくれると信じておまえを見ている。だったら、救ってやろうじゃないか。」とか、文章もバチっと決まってかっこいい!少年漫画のようにテンションを上げてくれる。
    ラストは、ドラッグを憎む気持ちがすごく伝わってきた。次作以降も楽しみすぎ

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    2025年05月08日
  • 長い別れ

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    清水俊二、村上春樹に次ぐ田口俊樹による翻訳。

    前者2作品より、フィリップ・マーロウのセリフがより砕けたものになり、わかりやすくなった感があります。

    ただし、元が誰が翻訳しても色褪せぬ名作。ベストオブザベスト。どのページから読んでも味わい深いです。
    何も欲しがらない優しいマーロウ…
    卑しき街を行く孤高の騎士の魅力がつまった作品です。


    あんたにはさよならを言わなきゃならない友達がいた。」と彼は言った。「そいつのためなら留置場に入れられてもいいと思えるほどの友達がー」

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    2025年04月21日
  • 音もなく少女は

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    4.5

    初めて読む作家の作品。
    カメラと女性の相性は、いいな。
    どうしようもない男たち(イブの恋人など例外もあります)に人生を狂わされる女性たちが、手を組んで立ち向かう…そんなストーリー、かな?
    『音もなく少女は』という邦題は、主人公を表すのには最適なのだろうけど…これはこれで良い。
    証拠もないのに復讐に向かおうとする展開には、ハラハラさせられます。

    傑作だと思います。

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    2025年04月18日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    ポール•オースターのハードボイルド。野球はあまり関係ないが、球場の描写など素晴らしい。内容はしっかりハードボイルドだった。

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    2025年04月12日
  • 捜索者の血

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    怒涛のサスペンスで、読む手が止まらなかった。スピーディーなのに重厚で500ページを越える作品もあっと言う間で、逆にもっと主人公達と共にいたいと思う程だった。
    幼い我が子を撲殺した罪で刑務所にいる「私」。死んだ筈の息子の成長した写真を見せる義妹。脱獄を助ける刑務所長、「私」を追うFBI捜査官。逃亡しながらも真相を見い出そうとする「私」。
    Netflixで映像化が決まってるらしいが本当に早く観たい。

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    2025年04月06日
  • 終の市

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    前作でのハリウッド篇を受けて、今回はギャングと切っても切れないラスベガス篇。
    と言ってもバグジー・シーゲル以来のギャングが暗躍する世界ではなく、それらが一掃された世界で、実業家としてダニーが突き進む様子が描かれる。

    主人公がアイリッシュ系ギャングという事で、ギャング物、ハリウッドやラスベガスを舞台にするから「ゴッド・ファーザー」との相違点が取りざたされるのは当然だろう

    しかし、こうして3部作を読んでみると、この作品は、アイリッシュギャングのファミリーの一員として生を受け、そこで育ち、それ以外の価値観や規範を持てない男が、それ以外の世界で生き延びようと格闘し、もがく物語であり、ドラマとしての

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    2025年04月05日
  • 少年〔新訳版〕

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    私のイマジネーションの師匠と言っても過言ではないくらい、この人のお陰で私はこういう感性になったんだろうな、と思えるくらい、重要な存在であるダールさん。
    これを読んでなるほど納得、こういう少年期を過ごしたから、あのような作品たちが出来上がったんだなと…

    ダールさん、私自身、両方に重ね合わせてなんだか感慨深くなった。
    やはり子供の頃にどんな環境で何をしたかというのは、大人になってからも強く強く影響を受けているのだなと改めて感じました。

    早く「単独飛行」買わないと!

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    2025年03月29日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

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    短編は嫌いだったはずなのに、これは違った。そうかこれが名手と言われる作家の腕前なのか。続きをぜひ読まないといけないぞ

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    2025年03月28日
  • ダ・フォース 上

    購入済み

    グレー

    面白い。
    フィクション的な加工はあるだろうけれど、なんか生に近い迫力がある。
    これはニューヨークの話だけど、知り合いの警察官は、これに遠からずの現実のなかで仕事をしているのかも、とか想像したりする。
    結末がどうなるか、さきが気になる。

    #アツい #ダーク #深い

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    2025年03月24日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    【あらすじ】
    独ソ戦下のレニングラード。ドイツ軍に完全包囲された中で人々は飢餓に苦しんでいた。
    ユダヤ人で皮肉屋のレフと長身の美青年だがお調子者のコーリャ。デコボココンビの2人は大佐の命令で1ダースの卵を1週間以内に探す羽目になってしまった。
    荒廃したレニングラードを舞台に2人の冒険が始まる。

    【感想】
    冒頭から最後の最後までずっと面白い傑作小説。
    主人公レフのひねくれ者で小心者な所が等身大でとても良い。一方、コーリャの完璧超人でありながら好色でお調子者な所はアメリカンヒーロー的だ。
    2人の掛け合いの面白さで盛り上げつつも、冒険の中身はえげつない。
    人肉食夫婦に地雷犬、慰み者にされている少女

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    2025年03月18日
  • 王女マメーリア

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    大好きなダールの本を一冊読み終える度に、「うわ…またダールの話を初めて読む感動をひとつ、消費してしまった…」となってしまう。
    そう、名作映画を観ずに取っておくのと同じ心理です。
    でも最近、早く全て読み尽くしてしまいたい欲求が最上級に高まっていて、誘惑に負けてしまいそう。

    こんなにも本の世界に不思議な感覚で惹き込まれる作家さんは私に取って彼しかいないのである…!
    ずっとずっと大好き!!!!!

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    2025年02月25日