田口俊樹のレビュー一覧

  • 八百万の死にざま

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    数年ぶりに再読した。
    初めて読んだのはまだ高校生か大学生の頃だった。ずっとこのマット・スカダーシリーズを読んできていたからか、ラストシーンで泣いたのを覚えている。

    その頃、マットのように「いきつけのバー」で「いつもの席でいつものもの」を頼めるような大人になりたいと思っていた。ちょうど、マットとダニー・ボーイの会話のように。

    そして今、マットと同じようにお酒を飲む大人になった。
    お酒を飲んでいない時にはわからなかった、マットが酒に浸る気持ちが少しづつ分かり始めている。


    キムという娼婦が殺された。
    ほんのちょっとすれ違い、ほんのちょっと人生の後押しをしてあげただけの、たったそれだけの関係

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    2015年07月25日
  • 八百万の死にざま

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    久々に魂を打たれた。(あくまで俺の中で)嫌みにならないギリギリのカッコよさの文体。スカダーの独白や、ふとしたセリフが石をうつ水滴のようにゆっくりと心にくる。

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    2015年02月13日
  • キャプテンの責務

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    外務省のHPによると2003年以降の世界全体の海賊事案発生件数は200〜450件の間で推移しており、そのうちシージャックの発生は10〜20件程度だったのが2008年から2011年までは50件ほどのシージャックが発生した。この間増えたのはほぼソマリア沖、アデン湾のもので海賊事案全体の半数、そしてシージャックの8割ほどを占めていた。国際的な取り組みにより2012年以降は海賊の発生を抑えており、2014年の場合9月までの累計で事案が10件、シージャックは0となっている。現在海自の護衛官2隻が派遣され1隻はアデン湾を往復しての護衛を行い、もう1隻は割り当てられた海域の警戒活動を行っている。ほかにP−3

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    2015年01月19日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    政府による通信の無差別監視。実際に行われていたという話には暗澹とした気持ちになります。しかもアメリカがやるとなれば世界的な影響があります。インターネットのインフラも、人気のあるサービスもアメリカに集中しているわけですし。

    スノーデンは日本のNSAにデルの社員として派遣されていた時に、機密情報のリークへの気持ちを強くして行ったようですが、日本で何を見たのかがきになります。「それまでより高次元の監視上の機密」「無人機によって殺される運命にある人々の監視映像を見たこともあります」等記述はありましたが。

    この本では当然触れられていませんが、日本政府がこの件をどう捉えているのか、今後どういうスタンス

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    2015年01月07日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    GoogleもfacebookもiphoneもOfficeも使う気なくすな、これ読むと。
    エドワード・スノーデン氏をアメリカの機密情報を暴露した極悪人と評価するか、NSAの極度のプライバシー侵害を公にしたヒーローと評価するかによって、この本の評価も別れるだろうが。

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    2015年01月05日
  • 風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった

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    昨年、身近な人か有名人か忘れてしまったけど、この本をおすすめしていて、気になっていたら文庫化されていました。

    世界最貧国の一つと言われるマラウイの少年が飢饉や貧困にも負けず向学心を保ち、風力発電の仕組みを独学で学び、完成させる実話。
    想像を遥かに超える飢餓、古くからの慣習が残る村、学校どころではない環境、それらを乗り越えた時に少年に待っていた世界に心が震えました。

    でも多感な時期に読めばもっと感動したと思いました。ちょっと残念。。
    読書感想文におすすめしたい本です。

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    2014年12月16日
  • 捜査官ポアンカレ 叫びのカオス

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    ネタバレ

    とにかく濃密な文章でその世界に引き込まれる。ポアンカレという主人公からして数学的な世界の設定が濃厚だが、それにカオス理論、終末論的カルトなどが絡んで物語が奥深く展開する。しかし意外と謎自体はオーソドックス。しかし、際立った人物造形と多彩な舞台が用意してあって全く最後まで飽きることなく読めた。残念なのはあまりにもポアンカレの試練が辛いことで、ここらは読んでて痛い。しかし、一作目からこのレベルの作品と言うのもスゴイ。完成度の高い文章や魅力的な人物設定にさらには作者の博学ぶりには驚く。果たして次作は?

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    2014年11月19日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    世紀の情報漏洩。「スノーデンファイル」よりも一層具体的で解りやすかった。いまだにgoogleやfacebookを使っているけれど、考えないといけない。米英が国家権力を乱用して政治的障害を不法かつ強引に取り除こうとする様が恐ろしかった。報道機関の多くが腰が引けていて、本来の姿を失っているのも残念。現代社会はあからさまじゃないけれど、大アメリカ帝国と、同様に英語圏である英国連邦のアングロサクソン白人国家4カ国が世界を牛耳っているんだな、と糞面白くない結論に至りました。とっても差別的な世界で怒り心頭。

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    2014年10月08日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)というアメリカ二大情報機関に籍を置いたエドワード・スノーデンの暴露本。
    WEB履歴もメールも電話もメッセンジャーも全てログを取られ傍受されている。そんな時代は普通に来ている。
    国家レベルの秘密情報を扱う機関は国産の機器やサービスを使うことがいかに重要か。
    スノーデンの暴露によって白日の下にさらされた時代を変える実話。
    最高峰の「事実は小説よりも奇なり」を味わえる一冊。ヤバイ!

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    2014年10月06日
  • キャプテンの責務

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     素晴らしい。
     最後の数ページにぐっときた。解説もなくすーっつとフェードアウト。この色んな思いの表現の術を知らない。

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    2014年09月29日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    米国のインターネット盗聴を暴露したスノーデン。その情報を得て発表した記者グリーンウォルドによる、事の顛末とその影響を描いたノンフィクション。ロシアに逃れたスノーデンは、米国政府の引き渡し要請や国防観点からの非難があり、いまだ進行中の案件である。情報を渡していた米IT業界の各社についても、秘密情報の保持という点で信用を落としており、これまでのように無条件に信頼を得れらる存在ではなくなっているようだ。

    世界の通信情報を収集するという「PRISM」の存在についてはスノーデン以前から噂にはなっていたものの、自分としては現実のものとも思えずトンデモの類かと思っていた。本書を読み、本当にここまでやってい

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    2014年12月31日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    驚きの事実だ。CIAやFBIが何が入っているかわからないからLenovo製PCを使うなと通達を出したが、それ以上のことをしている。シスコから定期的にルーターの新製品を納めさせ、チップを加えてまた新品にして返してくる。メールアドレスがわかればどんな情報も取得することが出来る。一度でもネットに繋げばマルウエァを埋め込み、たとえPCの電源を切っていても起動させることが出来る。唯一秘密が保たれるは、一度もネットに接続されていないPCだ。こんな事が自由主義、オバマ政権で実施されている。

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    2014年06月29日
  • キャプテンの責務

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    ネタバレ

    ソマリア海賊に襲われ、誘拐され、救出された船長の自伝の実話。
    興味本意で買ったけど、中身は様々な教えの詰まった素晴らしいものでした。
    船長というリーダーシップを求められる仕事からよいリーダーとは何かかたってますし、語ってますし、海賊に襲われたあとは精神を強く保つ大切さを語っています。

    学ぶところの多い良い本でした。

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    2014年02月04日
  • 八百万の死にざま

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    [不条理の交差点で]ある出来事が引き金となりアルコールから抜け出せなくなった私立探偵のスカダーは、コールガールから「ヒモとの縁を切りたい」との依頼を受ける。男との話し合いもつつがなく進み、何事もなく幕が引かれると思ったのだが、男とそのコールガールが面会をした翌日、彼女がとあるホテルの一室で惨殺されたという報がスカダーの下に届き…...アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞を1983年に受賞したハードボイルド・ミステリーです。著者は、映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の脚本も手がけているローレンス・ブロック。訳者は、ミステリーの翻訳を主に手がける田口俊樹。


    (限りなく良い意味で)小説から漂

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    2013年12月19日
  • 捜査官ポアンカレ 叫びのカオス

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     小説を読むとは大なり小なり痛みを伴うものだ。もちろんどの小説もというわけではないだろうけれど、ミステリ読みのぼくにとっては、殺人や暴力が扱われることにより犠牲者の痛みを洞察せざるを得ない機会が少なくない。痛みを余儀なくされるという意味では、この作品ほど痛切な鋭さを持って読者に挑戦してくる小説は他に類がないような気がする。

     インターポールの捜査官という主人公設定は珍しいのでないだろうか。アメリカ小説でありながら、独特のヨーロッパの深みを与えた世界を描き切っている作者の腕が見事である。捜査官ポアンカレはフランス人であり、リヨンやパリなど、ぼくにとっては訪れたことのある地であることから、想像し

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    2013年12月06日
  • 捜査官ポアンカレ 叫びのカオス

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    ポアンカレと聞いて何かを連想する方はどの位居られるのでしょうか?
    ここで言うポアンカレとは「ポアンカレ予想」でこの世に名を残した大数学者を指しており、本書の主人公「捜査官ポアンカレ」は彼のひ孫と言う設定です。
    何だかルパン三世みたいですが、しかしポアンカレの方は以下でご紹介する粗筋からも伺える様に、かなり成熟したキャラクターです。
    なお、本書の特徴として結構長いミステリーとなっている他、フラクタルにちなんだ挿絵が随所に差し込まれている等があり、独特の"風味"を持つ一冊となっています。

    では前置きはこの位にして以下で粗筋をご紹介。

    長年インタポールの捜査官として第一線で活

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    2013年09月22日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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     俗っぽいけど敢えて言いたい。
     
     「やべえ、ちょー、おもしれえ!」

     出来ることなら、文字のサイズを倍にしたいくらい面白かった。

     以下、ブクレポ。
     
     主人公のレフはある日、落下傘で空から落ちてきたドイツ兵の死体を発見し、死体からナイフを盗んだことから、窃盗の罪で投獄される。そして時を同じくして、戦線離脱の脱走罪で投獄されてきた赤軍兵士コーリャに出会う。

     人の命など屁とも思わないスターリン体制下のソ連では、二人は死刑が確実。しかし大佐から、ある条件をクリアできれば自由にしてやる、との思いがけない言葉をかけられた。
     その条件とは… 「卵を一ダース手に入れる」こと。
     
     ナ

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    2017年08月15日
  • こうして世界は誤解する――ジャーナリズムの現場で私が考えたこと

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    オランダ人である著者が、新聞社時代に特派員として赴いたエジプトやイスラエル、イラクの取材を通じて感じた報道の実態を明らかにしている。

    報道する側やされる側、受けとる側の三者が抱える不条理が、著者の徹底した中立的な視点で語られているところが興味深い。

    イスラエルやイラクでも、ボスニアのようなPR会社が暗躍していたのだろう。財政難のパレスチナは欧米諸国のメディア戦に翻弄される、儚い存在なのだろうか。
    イスラエルやパレスチナでも「我々は和平を望んでいる」としながらも、「相手は我々を憎んでいる」と民衆は口を揃えて言うのだとか。僅かな解決の糸口はここにあるような気がする。しかし、独裁政権は身の安定こ

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    2012年12月05日
  • 音もなく少女は

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    すばらしい。
    聾唖者の少女と60年代アメリカの貧困社会でおこる、悲しみの連鎖。サスペンス。
    その背景と物語が感動的。

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    2014年06月17日
  • こうして世界は誤解する――ジャーナリズムの現場で私が考えたこと

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    中立な報道をするand知るためには条件があるが、それが忘れられているのか、気づいていないのか、条件なんてないと思っているのか。
    この本はそれを教えてくれる。

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    2012年09月04日