田口俊樹のレビュー一覧
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It was fascinating! I know it’s a classic novel, but I wish I had read it earlier. I think everyone has multiple personalities. When you talk with someone, you don’t always say what you really want to. Instead, you unconsciously try to be polite or maintain a pleasant conversation. We can all be like Jekyll and Hyde at any time, even without medicine. Especially now, with the internet, people can interact with others using different personas without any face-to-face contact. I’m sure there are many people like him around us.
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マット・スカダ―の自伝だ。
えっ・・・あのシリーズものの主人公のマット・スカダ―?
小説の主人公が自伝?
御年84歳になったスカダ―がローレンス・ブロックに促されて書いたんだそうだ。
めちゃくちゃ面白そう、楽しみ
自伝なので幼少期の父親のこと母親のこと、幼くして死んでしまった弟が原因で、家族が少しづつ変わっていったこと。
父の死のこと
少年時代のアルバイトのこと、ニューヨークでの警官時代のこと、実はこの時代のことが多く語られていて、
題名なんかは思い出せないけど、あの話に出てきたことかなとぼんやり思い当たるシーンなど出てくる。
そのあとの結婚、離婚、エレインとの出会い、TJなども出てきて、本当にこんな人がいてこんな人生を歩んできたんだ、なんて思えてくる。
あとスカダーにとってアルコール依存症は結構深刻な問題として、毎回話に出てきた気がするけど、自身はその件についてはあまり詳しく触れていない。
長きにわたり続いてきた、マット・スカダ―シリーズ、これをもって一応終了であるらしい。
時間があればもう一度読み返してみたい。
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「ゴッドファーザー」をジャンル分けしにくいように、この作品もジャンル分けしにくい。
NYの外れ、狭いエリアで共存していたアイルランド系ギャングとイタリア系ギャングの友情と反目、抗争を描いている。
そのきっかけが一人の女性から、というところが話のポイント。麻薬でも金でもない。そこが話のサイズを象徴しており、従来の「犬の力」などとは大きく違う。
長く共存していたことから、2代目達は小さい頃から一緒に育った仲間・知人で会ったにもかかわらず、やがてそれぞれのコミュニティに属するギャング(と言っても日本の小さな任侠ヤクザという感じ)になって、互いに望むことなく闘いに身を投じていくさまがリアルで、切ない。
オープニングのパーティシーンがどこか「ゴッドファーザー」とダブる。 -
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アメリカ国民に広く根付き、意識せずとも行動規範となっているキリスト教。このことは一神教を持たない日本人には理解し難いことも多々あると思うが、一方でキリスト教の教えとは程遠いモラルの中で病んでいるアメリカ。
この作品に登場する元ジャンキーのケイス、サイコキラーのサイラスが語る言葉は、哲学的で、現代を反映した過激だが新しい宗教的な響きがある。
それは世界中に広まったキリスト教やその他の一神教が、世の中をパラダイスにするどころか、血みどろの世界を創っている元凶なのではないかという疑念さえあるからではないか。
心底、神を畏れ、その教えに従うものはもうアメリカには少ない。しかし一方で銃弾の力を信じ、それに取り憑かれた社会がアメリカということなのか。 -
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邦題は詩的で印象的なタイトルである。
原題は簡潔にGiv(ギヴ)。物語の軸となる犬の名である。副題はThe Story of a Dog and America、1頭の犬と「アメリカ」の物語。
原著発行は2009年。つまり、9・11の同時多発テロを経たアメリカだ。心を病んだ多くの帰還兵を抱え、ハリケーン・カトリーナの甚大な被害にも見舞われたアメリカだ。
そのアメリカを1頭の犬が流転する。犬はあるときは奪われ、あるときは自ら選んだ人に寄り添う。犬は時に人を救い、時に人に救われる。
彼の数奇な運命は人と人とをつなぎ、奇跡と言ってもよいような希望をもたらす。
物語の語り手はディーン・ヒコック。
イラク帰りの退役軍人だ。分隊でたった1人の生き残りである彼は、心に大きな傷を負い、生きる意味を見失っている。
雨の中、車を走らせていた彼は、道路で1頭の死にそうな犬を見つける。その犬、ギヴを助けたことで、ヒコックの人生は動き出す。
物語はギヴの「犬生」を追う形で進む。
最初の飼い主はハンガリーからの移民の女性。次の飼い主はミュージシャン志望の兄弟。それから兄弟の弟の恋人となった娘。そして帰還兵。
移民の国であり、映画や音楽の国でもあるアメリカを、ギヴは旅し、さまざまな人々と出会う。
物語はどこか寓話めき、時に神話のようにも映る。
物語の鎖には、欠けている部分もある。エンデの『はてしない物語』で「けれどもこれは別の物語、いつかまた、別のときに話すことにしよう」と語られるように、物語はところどころ、完結しないのだ。
ギヴがいかにして悪徳業者に虐待されるに至ったのか。また、ギヴの父親がどのような人々と出会い、どのように彼らに寄り添ったのか。
語り手であるヒコックはいずれその物語に辿り着くのかもしれないし、辿り着かないのかもしれない。
それもまた1つの余韻となっている。
著者は作中人物の多くについて、実在の(時には行きずりの)人々からヒントを得たという。彼らの多くに血肉が通っていると感じられるのは、そのためだろう。彼らの視点はよくも悪くもアメリカの外へは向いていないとも感じるのだが、一方で、本作に描かれるような「よき隣人」がいるのもアメリカの美点ではある。
悲惨な事件が描かれないわけではない。だが、一方で、多くの善意の人々もいる。そしてそこに寄り添うまっすぐな犬もいる。
そんな世界で生きていくのは、案外悪くはないかもしれない。 -
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初期(「音もなく少女は」まで)のボストン・テランの小説でわたしが読みたいのは、繊細で美しく複雑で荒々しい、とにかくカッコいい文章とそこに幾重にも厚くかけられる比喩のベール。シンプルなストーリーの上で語られる窮地に陥り人生を解決しようとする人々それぞれにある、こだわり、理、世界をどう観ているかの視点。そして、女性が、虐げられたものが、自らに手で独立を、尊厳を取り戻す物語だ。
「そう、神は白人で、男なんだよ。だけど、あたしの意見を言えば、それこそ、そもそもの罪だ。それでもう先例ができちまったんだから。神性ー完璧ーは男だって言っちまったんだから。それこそ息子に引き継がれるべき白人の文化で、だから、それ以外の人間は誰でも、それ以外のものは何もかも、それよりひとつ劣るんだよ。女も、黒人も、インディアンも、動物も、ゲイも」
故にボストン・テランは女性の、虐げられたものの新しい神話を書くのだ。一年の最後の日に、1stを再読してそんなことを言い切りたくなったのでした。
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ボストン・テランの文章は集中していないと置いていかれてしまいそうになるけれど、それでもとてもカッコ良い。付箋も立つ。引用というか、書き残しておきたくもなってしまうのでした。
「見なよ。これこそ完全な命の形だ。至高の芸術形式だ。誰にも平等な偉大なるものさ。これは政治の境界も宗教の境界も全部越える。これはなんのしがらみもない。だから、誰もえこひいきしたりしない。向こうもこっちもどっちにも傷を負わせる。これは、ゴミみたいに偉ぶったたわごとを並べて、聖書が撒き散らすくそ寓話のどれにも負けないくらい単純で深いものだ。これはその背に歴史を背負って、眼のまえにあるものをすべて薙ぎ倒す。信仰はすべてこの処女真鍮の莢の中にあるんだよ。これこそ処女交降誕なんだよ、ベイビー。そうとも。これこそ新しい宗教を生み、古い宗教をやっつけるものだ。コヨーテ、神はいるよ。だから、不幸や苦痛なんか、にっこり笑って耐えるんだね」
「ホーナデイ社の弾丸を手に彼女が語った、真実の世界で完全な力を維持しているものに関する二分間の哲学。」
神は銃弾。 -
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「一本の通りを歩いているだけで五つの言語が聞こえ、六つの文化のにおいが漂い、七つの音楽が聞こえ、百もの人種とすれちがい、千もの物語が存在する。そのすべてがニューヨークだ。」
「そうしておまえは略奪者になった。純然たる犯罪者に。それでも自分は犯罪者じゃないと自分に言い聞かせた。奪う相手は銀行ではなく、ヤクの売人なんだから。ヤクを奪うのに人を殺したことはないんだから、と。」
上巻はニューヨーク、マンハッタン、その街、“City”の話。街の名所やそこにあるカルチャー、エピソード、ヒーロー刑事、あるいは貧富の差や人種差別、ドラッグ、そして警察、市政の汚職。綺麗な部分も汚れてみえる部分もどちらも詳細に書き込まれ立ち上がってくる街の物語。
下巻はその街に魅せられ同時に捉われてもいるヒーロー刑事、汚職刑事、“City”の“King”が一線を超えていたことに気付かされ、自らが嫌悪していたものにまで落ちていきながらもそれでも這いあがろうと、自らの人生も街の問題も”解決“しようと、“崩れ落ちてきた”街をもがき這いずり回る、ひとりの男の人生の物語。
というのはザックリし過ぎているけれど、そんな風に読んだ。憧れのニューヨークの街の光景が思い浮かんだ。男のもつ人生のルールに少し憧れた、それを崩してしまうのも人生だ、と哀しくも思った。もう転がり切ったかと思ったところから二転三転する展開に興奮した。ドライヴしながらも繊細に細やかに掬い上げていく文章、文体、翻訳も素晴らしかった。めちゃくちゃ面白かった。
そして読み終わった後には、これは「正義」に関する物語だったのかもしれない、と思っていた。「正義」もそれを果たすためのやり方もそれぞれにある。絶妙なバランスで成り立っていたそれらが崩れたとき、街も人生も同時に崩壊に向かっていく、という風にも読めた気がする。
現実もそんな風に成り立っていたり崩れたりしているとも思うけれど、正義とは個人や個別にそれぞれあるものではなく、もっと大きく広く受け入れられるべき、公共とも言えるようなものなのでは、と悪意と私欲としか言えないものを“正義”として堂々と語る人をみたときに考えたことがあったのも思い出した。その公共みたいな考えは、この小説でもおそらく「正義」と訳されている「Justice」という単語が公正という意味を多分に含んでいるということを考えると、あながち間違ってないのではないかと思えるのだった。全ての人に「公正」な「正義」は、もしかしたらないのかもしれないけれど、それでもわたしは悪意や私利私欲をそれぞれの「正義」とは呼びたくないな、と改めて思ったのだった。
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「ナズの『N.Y.ステイト・オブ・マインド』が気分を盛り上げてくれる。
おれは眠らない、睡眠は死のいとこだから
知性の壁を越えた先で人生は決まる
ニューヨークの気分になるとき、おれは犯罪のことを考える」
わたしも行ったことのないニューヨークの気分になって盛り上がりたいので、久しぶりに『Illmatic』を再生するのでした。あとでBIG L(はあの壁画に言及されるだけで曲は出てこないにだけど)の『ifestylez Ov Da Poor And Dangerous』も聴こう。
しかし、スタテンアイランド出身のアイリッシュの刑事がラップ・ミュージックが好き、というのもニューヨークな話な気がして最高でしたね。 -
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とても良かった。本の中で、たくさんの人が死んでいるので、良かったなんて言ってはいけないのだが ほんとうに良い本だったと思う。読みながら、ところどころで涙が滲んだ。戦争の時代に生まれる命と そうでない命の選別は、一体誰がおこなっているのだろう。考えても 分からないことをたくさん考えながら読んだ。言葉にならない感情も 幾度か浮かんできた。飛行機の中で ひとりで死ぬことはたぶん とても寂しいことなんだと思った。空の上で操縦桿を握っていた強ばった手が 女の柔肌を夢見る。誰かが死ぬ間際 同じ視界に小さな花を捉える。遥か上空で見つけるちっぽけな人間の命の重さを やがて 手遅れになった場所で問い掛ける。累々とした死体と錯乱寸前の精神が蔓延する渦中でも 魂はその内側に思い出をきざむ。自分以外の誰かに触れ、体温を感じ取る。あたしの体があるこの場所にも かつて 別の人の肉体があった。透明になったそのひとのかたちをしたものたちと あたしは常に重なっている。何も語らず 忘れられたその透明な何かが 話を聞かせてくれた、そんな気持ちになった。
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最初、設定が4MKシリーズに似てるなと思っていたけど、途中から、もう一人の主人公が現れて、とても面白い展開になる。
雨のシーンが執拗に書かれ全体的に暗いムードなのは北欧ミステリぽっい。
読んで、ぐいぐいと引き込まれて行く。読み応えがある作品。
だけど、読み終えて驚愕の事実を知る。これ続くんだよ!いわゆる3部作らしい。
ところがだよ、この続き「狩られる者たち」は出版されているのに、その先が無い!
アネル・ダールはすでに、このシリーズを5作品、出版してるけど日本では2作目までしか、出版されていないんだ。
これ最悪!2冊目を読むかどうかも迷って、さらにイライラするのが嫌なので、次の作品を読むのを躊躇してる。
小学館文庫!最後まで責任もって出版しろよ!
結構、面白いのに売れ行きが悪かったのか?でもさ、でもさ、この気持ちをどうしてくれるんだ。 -
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主人公ダニー・ライアンがラスヴェガスで実業家として成功した姿から最終章は始まる。
ラスヴェガスでカジノ事業を展開する実業家にマフィアの影は禁忌だが、ダニーがマフィア出身であることが色々なほころびから見えてくる。また、ライバルのホテル王ワインガードのマフィアとの関係も露になる。ライバル関係は抗争を呼び、ダニーの古くからの仲間や、ビジネスパートナーも犠牲になる。第2部の陽炎の市では、なりを潜めていた暴力要素が爆発だ。
最終章ではダニーの子供イアンが事業を引継ぎ、発展させている様子が描かれる。世代交代がマフィアとの関係をロンダリングしたかのようだ。
ラスヴェガスでのカジノビジネスの、公然とマフィアが関与した時代、マフィアとの関係を隠していた時代、そしてマフィアとの関係が立ち切れた時代と推移したが、マフィアマネーが元であることに間違いはない。いや、フィクションだけどね。
第1部で明らかになっていたように、ドン・ウインズロウさんは本作をもって筆を置かれる。『犬の力』3部作は面白かったし、それに輪をかけて『ダ・フォース』も面白かった。本3部作も最高に面白かった。同じ時代を生きて本作品群を読むことができて幸運だった。感謝の意を直接届けたいくらい…。