田口俊樹のレビュー一覧

  • 業火の市

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     アメリカ東海岸の港湾都市を仕切るアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアの対立を描いた小説で、3部作の第1作にあたる。作者のドン・ウインズロウが本シリーズをもって筆を絶つ宣言をしているので、心して読まねばと意気込むが、巻頭の登場人物一覧表と、人物相関図を見ると、憶えきれるかどうか不安が沸き起こる。

     不安は杞憂に終わり、読み始めこそ相関図を確認するが、キャラクターが立っているので自然に全体が把握できる。アイルランド系マフィアの一人が主人公となり、悪徳FBI捜査官と組んだイタリア系マフィアに追われる形で、彼らのシマである東海岸の港湾都市を追われることになる顛末が魅力的に描かれている。いろい

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    2024年09月28日
  • THE MATCH

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    前作、「森から来た少年」よりすっきり終わり、面白かった。
    謎の多いワイルドの出自も判明。リアリティ番組の闇など社会の問題点もあり、読み応えもあり。

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    2024年09月23日
  • ジキルとハイド

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    名前はよく聞くが読んだのは初めてであった。
    やはり古典名作と言われるだけあり、斬新な作りだった。
    ミステリー要素もあるが、かなり薄くすぐ読めてしまう。しかし、内容はとても詰まっていた。
    誰しもが抱えたことのある、建前の自分と本来の自分とのギャップ。
    如何なる自分も本来の自分ではあるものの、知らず知らずのうちに、それぞれに明確な区別や優劣が出来てしまい、苦しんでしまう。

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    2024年09月18日
  • 偽りの銃弾

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    人には出来ることと出来ないことがある

    出来ないことを努力して出来るようになることは素晴らしいことだ
    そうやって人は成長していくのだ
    あるいはそれが生きるということなのかもしれない

    だがしかし
    どうしても出来ないことというのはある
    残念ながらある
    向き不向きというものがある
    努力では覆すことができない才能というものもある
    残念ながらある

    どうしても乗り越えられない壁に出会ったとき
    無理に超えようせず
    迂回して別の道を進むことも必要だ
    あるいは壁の向こう側に行くことをあきらめ
    引き返したっていい

    人生にはそういった壁が存在する

    例えばハーラン・コーベンをどうしてもハーラン・ベーコンと読ん

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    2024年09月15日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

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    外国人の書いた本を初めて読みました。
    翻訳特有の言い回しがちょっと難しかったけど、面白かったです。
    どの話も何か居心地の悪さを感じ、最後は息を呑む結末です。
    『南からきた男』が私はおすすめです!

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    2024年08月27日
  • 終の市

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    CL 2024.8.15-2024.8.18
    ダニー•ライアン三部作の完結編。
    まっとうでない世界でまっとうに生きようとしたダニー•ライアンの一代記。
    どれほど成功して富を得ようとも、ダニーをまとう哀しさはなくなることはなく、どこか切ない。
    ジミーやアルター•ボーイズたちが集まってきてからの後半が断然面白い。
    ドン•ウィンズロウ最後の作品。残念すぎる。ある書評家が書いていたようにいつだって戻ってきてくれていいんだよ。

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    2024年08月18日
  • ガイズ&ドールズ(新潮文庫)

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    1930-40年代のブロードウェイを舞台にした粋なショートストーリー集。中でも素敵なのはやはり恋の話で、生粋の大物ギャンブラーのスカイが惚れたのは魂の救済のため布教活動をする清廉な美女サラ・ブラウンだった。賭場でギャンブラーに声をかけて金を賭けて勝ったら相手に布教活動を手伝わせようとするスカイを、賭場に乗り込んでたしなめ、同じ条件で賭けようと言い出すサラ。その恋の行方は…、名作「ミス・サラ・ブラウンの恋の物語」。愛に多額の金を使いまくるブレインが死を前にして選んだ相手は「ブレイン、わが家に帰る」、荒んでいた俺を立ち直らせてくれた親父さんと少女リリーのために「サン・ピエールの百合」などビュアな気

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    2024年08月08日
  • 終の市

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    三部作、
    やめられなくて短期間で読みました。

    すっきりと品がある文体読み易く、
    殘酷な描写も
    相殺されてしまうかも。

    あとストーリーに夢があるのがいいですね。

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    2024年07月21日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    煉瓦本に近い、頁数、2段組み。
    読み応えありすぎ。
    だが、本人はもとより、当初から相棒としてメインキャストになっているコーリャのキャラの濃さ、下ネタ満載の語りが引っ張る。
    全米30万部を超える大ベストセラーだそうな・・日本人としてはそう面白いとは思えなかったのが正直なところ。やっぱり、国民性の違いだろうね。

    とはいえ、舞台となっている時代背景が独ソ攻防で歴史に名を遺すレニングラードである。
    映画で見た事しか知識がない私に取り、底流に流れるユダヤ系ロシア人の考え、生活、周囲を取り巻く「他」民族と摩擦などは面白い。

    巻末の解説を読まなくあ分からないのが「当作品は全くのフィクション」という事。

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    2024年06月28日
  • ジキルとハイド

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    世界で最も有名な二重人格者についての怪奇小説。
    ゴシック小説でもありミステリーとしても読める気がする。
    ジキル博士の友人の弁護士アタスンがハイド氏について調べる部分は探偵ものの証拠集めの段階で、後半のジキル博士の独白は謎解きのパートの二部構成ともいえそう。

    ラストのジキルの独白による、善悪という人間の普遍的な二面性についての考察は面白い。
    ジキルの持つ悪性からハイドという人格は生まれているし、ハイドの行う悪事を見てジキル自身の快楽が満たされていた。ジキル=善、ハイド=悪という完全な二元論ではなく、ジキルから悪性は生まれたものともとれる。
    そんな人間の内面の複雑さを手紙の告白という形で綴られる

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    2024年06月25日
  • カーテン

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    やっとここまで来たか…という感慨に浸りながら読んだポアロシリーズ最終作。
    数年かけて読み続けていたので、思い入れもひとしお。
    年月と共に名探偵も老いて弱っていくけれど、その分作品の深みが増しているように思える。
    事件の全容についてはある程度予想できた。
    では、この最後の事件を彼はどう締め括るのか。
    スタイルズ荘に始まり、スタイルズ荘に終わる。
    良い幕引きではないでしょうか。

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    2024年06月23日
  • その犬の歩むところ

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    読み始めは「何?この読みにくさ!」と思ったけどギヴという犬と彼に関わる人間の温かなドラマ、そしてその後の悲劇に引き込まれた。読むのが辛くなるような展開もあるけれど、先が気になってやめられない。馳星周の「少年と犬」のように、ギヴを現実離れした奇跡の存在にせず、リアルな犬らしく描いていて犬への愛おしさが増したい。

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    2024年06月13日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ポール・オースター没に合わせて、なぜかここから手を取ってしまった。
    事故で選手生命を失った野球選手が、政治家に転身しようという最中に脅迫状を受けて、それを調査する途中で死んでしまう…という話。ハードボイルド。
    ハードボイルドをよく知らないので、メモしておくと、登場人物みんな人生に苦労しているので、タクシーの運転手や雇われのゴロつきもなんかカッコいい台詞を言っていく感じのミステリー小説です。

    個人的には真相よりも、主人公を痛めつけてきたボスが、実は依頼人が野球賭博をしていたんじゃないか、という怒りが明かされることが衝撃。もちろん個人的な利害もあるが「野球はアメリカの偉大なスポーツなんだ」という

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    2024年06月11日
  • ジキルとハイド

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    人は欲望には勝てない。理性は欲望によって社会的に生きづらくなることを防ぐブレーキのようなものなのだろうか。いつでも、だれでも、我々の体は欲望に身を任せたいと感じているのだろう。禁欲的な教えなどいくらでもあるが、生物にとって必要不可欠なものである以上、それに従ってみることが案外良いことなのだろう。

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    2024年06月05日
  • カーテン

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    読もう読もうと思っていて、ようやく読めた、ポアロ最後を飾る納得の一冊‼️クリスティにはいつも驚かされるが(私の中では、「アクロイド殺し」等)、こちらも驚きを隠せない展開。この時代に読んでも、全く色褪せない傑作。

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    2024年06月03日
  • 業火の市

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    長年均衡を保っていた関係が、些細なこと(あるいは1人の身勝手な行動)で急激に崩れ去る。そんなマフィアの物語です。主人公は今のところ何をやっても上手くいってないですが、第二部以降の巻き返しに期待します!

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    2024年05月27日
  • 業火の市

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    ウィンズロウ新三部作。

    ロードアイランドのアイルランド系マフィアとイタリア系マフィアはそれぞれの縄張りをもって、共存していた。

    しかし、一人の女性が現れたことにより共存が崩れていく。

    たった一人の女性で過去からの共存が崩れるのか?とも思うが、そこはウィンズロウのうまいところ。ストーリーを破綻させることなく、現実味を帯びた展開で読む人を腹落ちさせる。

    ネタバレになるので、多くは語らないが今までのマフィア物長編とは違うタッチで進むのも面白い。

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    2024年05月24日
  • ゴーストマン 消滅遊戯

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    最終話となってしまったゴーストマンの2作目。
    今回は、恋する女性を助けるために追われるストーリー、
    ゴーストマンは死を怖れないから冷静&強気、そして超カッコよい。
    師匠のアンジェラは主役を張れる位のイイ悪女。
    他にも際立つキャラがいたので終了が残念。
    クセの無い翻訳で非常に読みやすい作品でした。

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    2024年04月26日
  • 来訪者〔新訳版〕

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    大人向けのお話でも、変わらずダールワールドに引き込まれる!
    あとがきでプレイボーイに対しての描き下ろしと知って納得。笑

    オズワルド叔父の日記、是非全巻読んでみたいものです…

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    2024年04月24日
  • キス・キス〔新訳版〕

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    その後の展開を想像して「笑う」「痛快さに痺れる」「後味の悪さに震える」といった短編が収められている。「天国への道」と「牧師の愉しみ」が個人的には好み。

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    2024年03月31日