【感想・ネタバレ】時計仕掛けの歪んだ罠のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年08月15日

 日本では8年前に『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査官』一冊しか邦訳されていないが、スウェーデン本国では大御所の作家であるようだ。複数捜査官による警察小説を得意としつつ、別名義で純文学を書き、文芸評論家であり詩人でもあるいわゆる表現のプロ。そのイメージはページを開いたところからがつんと来る筆力を見る...続きを読むと、なるほどごもっとも。

 冒頭、二人の少年の印象的なシーンから、いきなり犯罪現場らしき場所での警察突入シーンに視点が移る。読者はこれですぐに持っていかれるだろう。

 少女たちの連続失踪事件を追うベテラン刑事の目線で語られる一部から、マークされた怪しげな女性の事情聴取と尋問が始まるが、その辺りから本編は逆転に次ぐ逆転という驚くべき展開を見せる。すべては見た通りではなく、錯綜した裏がある。

 そう。最初に見えたのがすべてではなく、次に見えてくるものも不確かと思えてしまう捩じれた世界。事件の全体像が見えるまでの緊張はラストまで途切れることなく続くが、作中の世界は変容を重ね、真実が幾様にも姿を変え、人間たちは見たままではなく、意外な展開を見せてゆく。

 挿入される少年たち少女たちのシーンが驚きの展開を見せ、作品に重要な光を投じる。現在と過去は複雑に繋がる。フーダニットのミステリーから、プロットを楽しめる全体像となってゆく。何よりもこれは新シリーズの第一作なので、この事件のその後まで気になるという驚くべきシーンで終わりを迎える。いや、始まりを迎えるのか?

 登場人物の多さも、この後の作品への布石になるのかもしれない。予想外の死体発見シーンが読者を混乱させ、何一つ確信させてくれないところが、日本語タイトルにも反映された何ものかであるのだろうか。

 印象的な部分は、主人公と犯罪者の双方の、時計へのこだわり。各章が月日と時刻でしっかり刻まれる。仕掛けへのこだわり。組織同士の化かし合い。時に過去が入り込むこと、などなど。

 二人のヒーロー&ヒロイン像の個性とパフォーマンスが良いので、今後のシリーズに期待ができる。次作の邦訳も進められているという巻末の解説に少しほっとするし、これは二作以降も読まざるを得ない。決着のついていないことが多いように思う。次作まで持ち越しの宿題なのか? 

 全体的にエンターテインメントとして申し分のない読書時間を供給してくれた作品である。次作が待ち遠しい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月24日

初のアルネ・ダール。
翻訳ミステリ大賞シンジケートで紹介されていて読みたくなったので。

評判どおり、物凄く面白かった!
食傷気味だった北欧ミステリかつはみ出し刑事ものではあるけど、そんなこと吹っ飛ばすほどに面白かった。

話の入りは北欧刑事ものではあるが、特に第二部の取調室の攻防以降、印象がガラリ...続きを読むと変わる(この攻防自体も面白い)。ここまで先が気になり、ページをめくる手が止まらない小説も久しぶりだった。

最後は、多分賛否両論なんだろうけど、個人的にはいい知れぬゾッとする感じも素晴らしいと思った。
シーズンが続くというか。

シリーズとしては5作くらい出てて、ただ翻訳は2冊目までらしい。非常に楽しみにしているので、どうか最後まで翻訳されますように。

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Posted by ブクログ 2023年10月04日

「怒涛の展開」
こんなにこの言葉が似合うミステリーは、滅多にない。

どんな感想を書こうとしても、全てネタバレになるような気がして、書けない。

北欧ミステリーは好物だけど、またひと味違う。
印象的なのは「雨」……。

でも、最後だけは気に入らない。
次を「読まなければいけない」のと、「読みたくて仕...続きを読む方ない」は、違う。
だからちょっと残念。
なぜそう思うかは、やっぱりネタバレ。

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Posted by ブクログ 2022年08月10日

 今までに経験した事がないストーリー展開。一体どんな結末をむかえるのか。そして次作へと引っ張るその嫌らしさww。北欧ミステリーはこうでなくっちゃ!!

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Posted by ブクログ 2021年12月08日

北欧モノの例にもれず、陰鬱なトーンが全体を支配している。そして残酷な殺人事件…。

文章が細密で、序盤の取り調べシーンの濃厚な描写は迫力満点。しかもそこからのプロットの展開も見事で、ラストまで一気に楽しめる。
比喩や暗喩が多いうえに緻密な文章で読み応えあり。

しかし、完全に事件は解決しておらず続編...続きを読むに続く、かな?

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Posted by ブクログ 2020年10月08日

一年七ヵ月の間にスウェーデン国内で起きた、三件の十五歳の少女失踪事件。ストックホルム警察犯罪捜査課のサム・ベリエルは同一人物による連続殺人だと主張するが、上司はそれを否定しまともに取り合おうとしない。しかしベリエルの主張の裏には、彼だけが知っている根拠があった。そしてついに彼は、容疑者へと辿り着く。...続きを読むだが尋問に臨んだベリエルを待ちかまえていたのは、予想を遥かに超える驚愕の事実だった―。『靄の旋律 国家刑事警察特別捜査班』が印象に残る作品だったので、翻訳が途絶えのを残念に思っていた。新シリーズはツイストがやや効き過ぎ。しかも次作に続くとは。楽しみである。

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Posted by ブクログ 2020年09月27日

三人の15歳の少女の失踪から始まる物語。三人はどこへ消えたのか。主人公のベリエルの捜査と途中で挿入される一つの挿話。緊張感や不安感が伝わってくる展開と徐々に犯人の姿が見えてくると同時に増していく狂気。シリーズの一作目としてすごく面白く、ラストの展開で次作が非常に楽しみになった。

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Posted by ブクログ 2020年09月23日

調子良過ぎる感があるけど、迷路に誘われ置いてきぼりにされた様な感覚の内容。章ごとに入れ替わる不思議感。他の方も書いていらしたが、先入観なしで読んで頂きたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月23日

スウェーデン。少女失踪事件の有力な手掛かりを得て現場に踏み込んだべリエルたちだが,すでにそこには誰もいなかった。これは連続殺人事件なのか。当日撮影した写真の中に,あるヒントを見つけたが。

またも北欧ミステリ。森林が多くて寒くてという感じが不気味さを盛り上げております。冒頭から,べリエルが時計大好き...続きを読むぽいことがわかるのですが,タイトルの意味と,なぜべリエルがこの事件に執着しているのかと,途中でえっまさかそっち・・・と思いきや展開がまた二転三転するのとで,読んでいてちょっと疲れます笑 いや,面白いけど。

そして最後・・・事件解決のカタストロフィーは持たせつつも,最後・・・。
続きものだったのか・・・。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月15日

監禁ものはつらいな、と思いつつ、

もう一人の主人公の登場の仕方、それがバチバチ後相棒になっていく過程がかなり意外で面白い。

早く次作を読みたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月04日

いっちばん最後の最後でうわぁ〜って声が出てしまった。あぁああ。こわぁ〜。。

他の方のレビュー見たら、どうやらシリーズは5作出ていて、そのうち2作目までは翻訳されることが決まってるらしい。

アレックス読んだ時も思ったが…翻訳モノは苦手かもしれないなぁ。というか、ジェフェリーアーチャーとかスティーブ...続きを読むンキングとか、ほとんどアメリカの作家さんしか読んでないからかも…アガサクリスティは読んだけど、数十年前で昔の訳って感じあるし。
あ、そもそも非英語→英語→日本語 って訳されてるのね。え、これどういう意味?みたいなことが多々あってなかなか読み進むのに骨が折れた…

ベリエルが何を感じて何を考えているのか?
主人公の過去や感情が伏せられたままで話が進むパターンはたくさんあるけれど、それが作者の意図なのか、私が文章読みきれてないからなのか、掴みかねたままだった。。

前半もしかして犯人はベリエルの過去絡み?と思っていたら、怪しかった女が実は子供の頃の同窓生ででも公安警察で、でもさらにもう一枚あったのが、個人と組織の力の違いが見せつけられてよかった。

タイトルの「時計仕掛け」はどういうことなのかな?英題「Watching You」。えええ?って感じ。それってヴィリアムが、ベリエルを、てこと?タイトル知ってたら読んだ感じもまた違ったかも。

でも前半と後半で展開が変わった後も、ベリエルの性格パターンが今ひとつわからないのでなかなか感情移入できなかったんだよな…

前半の歯車や、ベリエルの不安定さや、ちょいちょい挟まってる何かの過去の記憶?、後半は違う意味での不安(誰が敵か?)、全体的に不安要素がいっぱいで、最後に彼が死んでも何も明確にならず(文字通り、何も!明確には)
モヤモヤが続いたままラストでアレ。。。。

やっぱりコレ、ちょうどこの間まで見てたエルピスで、関係者が口封じに殺されるアレかな??っていう。。。

でもラストのあれのおかげで続きが読みたくなった。ISとかイスラムとか出てきてたし、なんか壮大な話になるのかな…

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Posted by ブクログ 2022年08月09日

北欧のミステリを続けて読むと同じ作家の本かと錯覚し、物語も錯綜してしまう。
北欧の小説から独特の気候を感じる。日本の小説では一度も思った事がない。凄い!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月03日

始まりは3人の連続誘拐事件を追う、スウェーデンミステリーの少し暗い話かと思ったが、途中から一変。
暗い、もの悲しい雰囲気はそのままにサスペンスミステリーへ。
なかなか面白くはあったが、動機等納得がいかないところもいくつかあり。次作ではっきりするのか。
あんな終わり方をされると次作を読まざるをえない。

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Posted by ブクログ 2021年04月03日

映画っぽい。主人公は男性と女性のビジネスパートナー。脇役はすっと出てきてさっと消える。捜査の流れで地味なところは削って、映える瞬間だけを切り取って見せる。ISとかあるので映画はちょっとアレかもですが。文体はややくどい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年01月12日

CL 2021.1.5-2021.1.12

出だしとラストは全く違う様相。
前半は好きになれなくて、終盤面白くなってきたと思ったのに、あのラストはまた好きじゃないなー

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ネタバレ購入済み

えーっ嘘でしょー!

nao
2020年10月25日

嘘でしょ、が最後を読んだ感想です

現場を見て何かを感じるとどこかに行ってしまうか思考の深みにはまって動かなくなるか、という大変迷惑な主人公で、いかに有能でもこんな上司を持った部下は大変だーとウンザリしながら読んでいました。
自分だけわかっている独り言が多く、挫折しそうな時に第二部の後半で新た...続きを読むな展開になります。
結局、私は犯人が誰か分からなかったのですが、それは今後明らかになるんですかね?
モヤモヤしながら最後まで行くとかなりの衝撃が待っています
私はすごくショックでした
あー、気が進まないけれど続きは気になるー
全部シリーズが終わってから読みたかったです

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Posted by ブクログ 2020年10月17日

久々のアルネ・ダール。前作は若干モヤモヤした感じの読後感だったので、過剰に期待しないよう読んでみた。

トラップ、歯車、連続失踪事件と、どうしてもジェフリー・ディーヴァーを連想してしまう序盤の展開に自然と不安感が増していったが、容疑者との尋問で不安な気持ちは吹っ飛んだ。ここまでのプロセスもいいし、だ...続きを読むからこそのこの緊迫感は期待以上。十分すぎるページ数を残しての展開に浸っていたら、実は二重底のさらに奥にストーリーの素顔が隠されていたという驚愕の構成。

犯人像もいいし、謎解きの部分も面白く読めたけど、事件の背後にあるものがパーソナルな事柄だったのが肩透かし。前半は警察小説で、後半は人間ドラマのような印象。でも続編に繋がる鋭い切り込みに食指を動かされたので、多分読むのだろうと思います。

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Posted by ブクログ 2020年09月03日

待望の新シリーズ第一弾。本当の敵(黒幕)に対峙?する二作以降を期待させる出だし、という感じ。雌雄コンビを結びつける過去のエピソードが唐突に明らかになるのは我田引水の感があるが、熟成していくであろう二人の連係とは別に、鹿の目をした「弟子」との関係がどうなっていくのか楽しみ。

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