田口俊樹のレビュー一覧

  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    北欧モノの例にもれず、陰鬱なトーンが全体を支配している。そして残酷な殺人事件…。

    文章が細密で、序盤の取り調べシーンの濃厚な描写は迫力満点。しかもそこからのプロットの展開も見事で、ラストまで一気に楽しめる。
    比喩や暗喩が多いうえに緻密な文章で読み応えあり。

    しかし、完全に事件は解決しておらず続編に続く、かな?

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    2021年12月08日
  • 日々翻訳ざんげ

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     2021年2月刊。筆者の単著を読むのは初めて。筆者は英米ミステリを中心に訳し続けて40年余りのキャリアを持つ翻訳家。その筆者が、過去に自分が翻訳を手掛けた書籍を俎上に上げて、当時の苦労などを回顧したエッセイ。筆者の訳書を、私は『刑事の誇り』『卵をめぐる祖父の戦争』、(筆者が金銭的に困窮して訳した)とある自己啓発本の計3冊だけしか読んでいないし、筆者の名前を、訳者として特に意識したこともないのだが、書名に惹かれて、本書を手に取った。
     一番印象的だったのは、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの『パナマの仕立屋』の翻訳を担当した際、ル・カレへの質問と共に、個人的なメッセージを拙い英文で送ったら(翻

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    2021年11月18日
  • ランナウェイ

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    多読の作家ハーラン・コーペンを久々に読んだよ。いわゆる「巻き込まれ型」のストーリーなので展開の意外さとスピード感が勝負。前半がやや思わせぶりすぎるきらいがあったけど、後半はさすがの面白さでした。もうちょっと主人公に感情移入できるようなエピソードとかが欲しかったな。なんだか全体的に薄味な感じ。3.6

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    2021年11月09日
  • 八百万の死にざま

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    ハードボイルド系だと思って敬遠していた作品。これが中々おもしろかった!

    主人公はアル中の探偵スカダー。しかし、酒を飲んで立ち回るような豪快な探偵ではない。
    アルコール断ちの集会に真面目に参加し、酒を飲みたいという葛藤と常に戦い続けている。


    淡々とした渇いた文章、盛り上がりの少ない展開、孤独な私立探偵が主人公…ハードボイルド三拍子が揃っているが、
    ハードボイルドの定義が、【暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する】作品であり、【感情に動かされないクールな生き方】を指すものなのだとすれば、本作はハードボイルドではないのだろう。
    スカダーはまだ、暴力と無意味な死が溢

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    2021年11月06日
  • ザ・ボーダー 上

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    40年に及ぶ麻薬戦争3部作完結編の上巻。
    作者畢生の大作である。
    犬の力から読み始めて15年が経った。
    評価云々関係なし。勿論面白い。
    絶対おすすめです。

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    2021年10月24日
  • ザ・ボーダー 下

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     著者が20年をかけて表現した世界は、暴力に満ちていた。「犬の力」、「ザ・カルテル」では麻薬供給元のメキシコの情勢を、最終章の「ザ・ボーダー」では、顧客となるアメリカの情勢が描かれている。

     密売人や中毒者も描かれているが、その背景に筆は至り、固定化された階級社会であったり、麻薬をしのぎとして利用する公職者も描かれている。トランプ前大統領がモデルの人物も登場する。

     主人公の公聴会での証言をクライマックスに物語は完結する。読み応え十分、現実の一つを見せつけられたシリーズでした

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    2021年10月17日
  • 日々翻訳ざんげ

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    かなり以前の話であるが、ハードボイルド小説を多く読んでいた時期があった。好きな作家は多かったが、ローレンス・ブロックのマット・スタガーシリーズ、マイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンシリーズと、リーロイ・パウダー警部補シリーズは特に好きなシリーズで、その多くの翻訳を担当していたのが、本書の著者である、田口俊樹さんであった。
    もちろん、誰が翻訳を担当していたかは、それらの作品を読んでいた当時は気にしていたわけではなく、ただ、田口俊樹さんという名前の翻訳家がいるということを、ローレンス・ブロックやマイクル・Z・リューインの本を多く読むことによって知っていたという程度の話であった。
    そんな田

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    2021年10月12日
  • ザ・ボーダー 上

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     平置きされているこの文庫本を手に取ると、どの本よりも厚い感触に、まず手が驚く。765ページだ。『犬の力』、『ザ・カルテル』に続くこの3部作は、ボリュームだけでも作者の執念を感じる。

     主人公は今や麻薬取締局DEAの局長になっており、上巻では彼の直接的な活躍より、麻薬を取り巻く周辺(すなわち主人公の人生なのだが)の人物を描いていく。
     麻薬カルテルの首領の首をすげ変えてもすぐに次の顔が現れるように、麻薬の売人から中毒者まで、次から次へと登場人物に不足はしない。また、登場人物にトランプ大統領のモデルが登場するように、この物語は現実社会に基づいている。作者の執念はジャーナリズムに根差していると強

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    2021年09月29日
  • ザ・ボーダー 上

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    ネタバレ

    米国の麻薬捜査官による執念の追跡の物語
    政治任用により高官となり、メキシコからの麻薬流入を食い止めるために囮捜査を指揮。米国大統領候補の娘婿の運用するファンドが、麻薬マネーを受け入れ、マネーロンダリングに手を貸しているとの情報が入る。
    政治的圧力を受ける中、追求しきれるか。
    同時並行で、ニカラグアから少年が脱出し、米国密入国を目指す。マフィアを逃れてきたものの、結局はその一味になってしまうのか。
    ドラマ仕立てで面白い。上下巻

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    2021年09月12日
  • 狩られる者たち

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    ネタバレ

    スウェーデンミステリーらしい作品。
    次々と高レベルの作家が登場するなぁ。
    そして前作に続いて、また次作が待ち遠しいというラスト…

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    2021年09月10日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

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    ギャロッピングフォックスリー、面白かったなぁ。

    何かに囚われ過ぎた人間の滑稽さがスマートに描かれている感じ、、ロアルドダールに興味が湧いた。

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    2021年08月15日
  • ザ・ボーダー 下

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    終わった。膨大な3部作。ここに書かれていたのはメキシコの麻薬の歴史であり、アメリカの麻薬の歴史でもある。

    アメリカが買い続ける限り、メキシコのマフィアが儲かる。

    取締を強化すれば、価格が高騰して結局マフィアが儲かる。
    儲かるからマフィアはもっと儲けようとする。
    効率良く運べるように、もっと効き目の強い常習性の高い製品を開発する。
    設けは膨大でマフィアの規模は大きくなる。
    また、取締を強化する。
    ずっとそれの繰り返し。いたちごっこ。

    善と悪のボーダー、アメリカとメキシコのボーダー、主人公ケラーはそのボーダーのどちら側にも存在することで物語はついに完結する。


    この上下巻で、トリステーサの

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    2021年07月20日
  • ザ・ボーダー 上

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    前作で、悪の化身を倒した。しかし地獄は地獄のままで、いや悪化していく。
    実際のメキシコで発生した醜悪な事件が取り入れられており、人間の恐ろしさ、おぞましさが、これでもかと描かれている。


    1作めの「犬の力」で唯一の希望の光だった、あの二人が登場する。

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    2021年07月20日
  • ザ・ボーダー 上

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    やっと上巻を読破。次の下巻は文庫本なのに800ページ以上。このシリーズを最初から読んでいるがとにかく登場するメキシカンの名前が覚えられない。しかも3シリーズ上下巻ずつでどんどん登場人物が累積される。しかもあだ名も出てくるしなぜかファーストネーム、ファミリーネーム入り乱れ。でもなぜかこのメキシコ麻薬戦争に引き付けられる。

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    2021年07月20日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    以前「あなたに似た人Ⅰ」を読んでようやく今回Ⅱを読むことができた。
    読み始めた最初、あれあんまり面白くないかと思ったが、ページを捲るたびに引き込まれていった。
    なぜだかはわからないが、展開が気になって仕方がないのだ。
    自分が本作で気になったのは、「ああ生命の妙なる神秘よ」である。
    話の展開が妙に頭に残る感じで好きな話だ。

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    2021年07月18日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    それぞれの作家の個性が存分に発揮されているので、読者側がホッパーの絵をどう見るかによって、意表をつかれたり、違和感があったり、またぴったりとハマったり感想が分かれるだろう。
    個人的にはホッパー研究者の作品が(これは半ばノンフィクションかもしれないが)最も印象に残った。

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    2021年05月29日
  • 神は銃弾

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    ケイスの宗教観?が彼女の知性を感じさせ、その経験と相まって神は銃弾のタイトルが響いた。私的には若干読みづらかったが面白かった。読んで良かった。

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    2021年05月16日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    ネタバレ

    短編集。個人的に外れがなく面白かったです。
    Ⅰより好きです。性格の良い登場人物がいないので
    彼(彼女)が失敗しても遠慮せずに笑えます。

    サウンドマシン…植物の声を聴いてしまったら。

    満たされた人生に最後の別れを…ロマンチックなタイトル
    だけど内容は切なくもおバカな男性の末路を描いている。

    偉大なる自動文章製造機…将来的にはできそうな機械。

    クロードの犬…私とクロードの短編集(「ネズミ捕り
    の男」「ラミンズ」「ミスター・ホディ」
    「ミスター・フィージー」)。
    ああ生命の妙なる神秘よ…ラミンズとクロードの話。

    クロードは憎めないけど、実行力はある切れ者ではないっていう人は実際にいるし、だ

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    2021年05月05日
  • 日々翻訳ざんげ

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    CL 2021.4.21-2021.4.25
    マット・スカダーをけっこう読んでいるので田口俊樹氏の訳書はもっとたくさん読んでいるつもりだったけど、本書に登場する作品を意外と読んでないのは残念だった。
    でも、翻訳の裏話とっても面白かった。

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    2021年04月25日
  • ただの眠りを

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    レイモンド・チャンドラーの生んだ私立探偵フィリップ・マーロウは、多くのミステリー作家に愛されている。本書も老境に達したマーロウが登場するパスティーシュとして書かれた。 マーロウファンとしては読むしかない。

    探偵業は10年前に引退し、メキシコで余生を送る72歳のマーロウの元に、保険会社からの依頼が舞い込んだ。 溺死した富豪の件を調べて欲しいという。 久しぶりの調査に乗り出したマーロウは、若く美しい未亡人に出会うが....

    チャンドラーが生前に残したのは「プードル・スプリング物語」の最初の数章までなので、その後のマーロウがどのような人生を歩んだのかはわからない。 そこは読者が自由に想像して良い

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    2021年04月11日