田口俊樹のレビュー一覧
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ネタバレ人間というものは最終的に、それぞれ異なる
多種多様な独立した住人たちの住む純然たる集合体
として理解されるようになるだろう。
抑制が利かず、汚辱にまみれる私も、白日のもと、
知識の蓄積や、人の悲しみや苦悩の救済に勤しむ私も
「どちらも同じ私」だった、と振り返るジキル。
ここの部分を読んで
平野啓一郎さんの分人主義を思い出した。
平野さんは「人間が複数の人格の集合体である」
と捉えることを前向きに捉えていたと思うけど、
逆にジキルはこれが悩みの種になっている。
「相容れない二本の薪がひとつの束に
くくりつけられていることこそ、
人類の呪いなのではないか。
悶え苦しむ意識という子宮の中で、
北極と南極ほどにもへだたった双子が
ひっきりなしに取っ組み合っていることこそ。」
二つの両極端な人格を切り離せる薬、
一時的にジキルの人格を抑える薬を
ついに作ることができた。
純粋な悪だけを備えているハイドに良心は無い。
体が軽く、何でも欲望のままにできる気分だった。
実際、通りすがりの子供を踏みつけ、
高齢の紳士の骨を杖で粉々に砕き、殺してしまう。
憎悪が心身を支配している。
しだいにジキルにとって変身のための薬は、
薬物やたばこやアルコールのように
手放せないものとなっていく。
だんだんジキルに戻るのが難しくなる、
薬がなくてもハイドに変身してしまう、
引き返せない、引き返し方が分からない、
確実に破滅に近づいていく様子が恐ろしかった。
誰にでもある良心と欲望だけど、
どちらか一つではたぶん苦しくて
バランスをとって生きるのが良いのかもしれない。
ジキルの隠し持っていた欲望は、
社会で受け入れられないものだった。
でも欲望自体を無理やり消したら
それはジキルではなくなってしまうとも思う。
アタスンは、凶器がジキルの杖だったり
ハイドの筆跡がジキルに似ていて明らかに怪しくても、
ジキル自身が悪というよりは
あくまで一時的におかしくなっているだけ、
と信じているようだった。
救われてほしかった。
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プロローグ
“神は銃弾”
神のような絶対的存在ですら、たった一発の銃弾の前には成す術がないのであろうか!?
人間は、絶対的な暴力の前には無力なのか!?
その答えは……
本章
『神は銃弾』破壊的な★3.5
アメリカ探偵作家クラブ賞 ノミネート
英国推理作家協会賞新人賞受賞
このミス1位
ゼロ年代ベストミステリー3位
ボストン・テランの錚々たる賞を引っさげた、
輝かしいデビュー作である
ドラッグ、セックス、ヴァイオレンス、猟奇的殺人、エログロ…アメリカの闇を全て詰め込んだ作品だ
これは、傑作なのか!?
それとも、只のヴァイオレンスなだけの作品なのか!?
私は後者をとる
そう感じた!!!
エピローグ
本書が刊行されたのが2001年である
“羊たちの沈黙“に代表されるハンニバルシリーズや
タランティーノやたけしの初期の作品にみられる、猟奇的で暴力的な特異なキャラクターを配したヴァイオレンス作品が一世を風靡していた時代の影響なのかこういった作品がもてはやされたのかもしれない
20年以上経過した現在では通用しないし流行らない
何かが足りないのだ
大切な何かが!
その答えは……
プロローグとエピローグの答えは、結局見つからなかった
いったい銃弾は何処に行ってしまったのか!?
そう思った(¯―¯٥)8v♪
完
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リューインさんのファミリー物(といっていいのか…?)
病名は書いてないものの、世界的パンデミックにより崩壊したアメリカが舞台。
設定ではあるけれど、この設定が受け入れられるほどにはアメリカでのコロナの被害はすごかったのだろうと思わせる。
感染症で妻を亡くした老人、その娘、孫である少年が、ただ生きているだけの日々。
だけどそこに一匹の犬と、そして一人の少女が合流して、家族の物語が動き出す、というストーリー。
淡々と、フードバンクに並んだり廃墟に忍び込んで暮らしたりといったパンデミックで崩壊した世界を生きる親子の生活と絡めて彼らの過去がわかるのだが、老人も彼の娘も割としんどい過去を持っていることがわかる。それでも、学校も友達も何もかも奪われた少年よりはマシだという気持ちを持つふたり。
少年はそんな祖父と母親に過剰に守られながらも子供らしい冒険心を発揮していく。
少年の姿に気持ちを変えた老人と母親は、家族を守るために、家族の人生を変えるために決断し、行動していく。
崩壊したディストピア世界をこれから生き延びていかなければいけない家族を前に、大人として祖父は決断し行動し、そして祈りを捧げる。
他にもシリーズのように人が死ぬわけでもなければ事件が起こるわけでもない。でもこの世界では毎日の食事を得ること自体が、必死の出来事だったりするわけだ。そしてそんな世の中でも警察がいてバッチを振り回していたり、フードバンクとして食料品を供給するルートがあったりと、権力というのは恐ろしいと感じられる。
正直、小説としてはそこまで「面白い」ものではなかったが、世界が変わったら?ということを想像、喚起させる小説として面白かった。
これをしっかり小説として成り立たせるあたり、さすがベテランと言わざるを得ない。 -
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テーマは良いが、思ったより読みにくかった。難しいという読みにくさではなく、個人的に分かりづらい書き方(淡白すぎるのか?)な気がした。解説にもあったが、この本はミステリー要素も感じるし、『オペラ座の怪人』に似た、ゴシック味も感じた。基本的に暗い調子で、話の筋だけなら最後の手紙部分だけで十分だが、友人側と本人側両方から見れる作りになっているのは凝っている。だが読んでいる時は、特に友人パートが分かりにくさを感じがちだったので、最後の手紙による告白が良かったと思った。なかなか建物の様子とか街並み、時代背景を理解できていないと、情景のイメージが付きにくかった。次第に薬を飲まずともハイドになってしまい、自分(ジキル)がハイドに乗っ取られていく様子は良かった。そしてハイドからジキルに戻るのが困難になっていくのも。次第に浸食されていくような恐ろしさや、ジキルはハイドのことを気にしているのに、ハイドはジキルのことを気にせずやりたいことをやりたいようにやってしまうこと。「ジキルとハイド」という言葉は有名だが、原作を読むと、その葛藤などが見れて、良い。
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Posted by ブクログ
ローレンス・ブロックの、私立探偵スカダーのシリーズとして、最初に読んだのは「八百万の死にざま」だったと思う。相当昔の話だ。その作品で、ローレンス・ブロックも、スカダーのシリーズも好きになり、ずっと読んでいる。
この作品が、スカダーのシリーズは最終作になるらしい。
ただ、この作品は、「私立探偵」としてのスカダーが事件に取り組む話ではなく、スカダーが探偵になるまでの話を、回顧しているという仕立ての物語。私立探偵ものとしてのスカダーのシリーズは、そういう意味では前作で終わっていたのだ。この本が面白くなかったとは言わないけれども、最後の作品であれば、やはり私立探偵スカダーに合いたかった。