田口俊樹のレビュー一覧
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ネタバレ家族をカルトに誘拐された男が、かつてそのカルトから逃げた元信者と協力して娘の行方を追う、ただそれだけの話。
しかし、なんと濃厚な作品だろう。どこまでも人間の善と悪の本質に切り込み切り刻んでいく。
比喩や暗喩だらけの文章は、まるで文芸作品のように噛みごたえがある一方で、残酷なまでにリアルな暴力描写がいたるところに散りばめられ、主人公とヒロインの地獄めぐりが描かれる。
どこにも善良な人間はおらず、通常は善である主人公ですら境界を踏み越えていく辺りの描写は迫力がありリアル。
ハードボイルトというよりバイオレンスに近いかもしれないが、家族や仲間に対する思いがあるゆえに共感することが出来る。
さらに強力なのがヒロインのキャラ。まるで「ミレニアム」のリズベットの原型の様だし、モラルを踏み越えていく主人公の姿はグレッグ・ルッカのキーパーシリーズを彷彿とさせる。色々な作者に影響を与えるような作品だが、この世界は唯一無二かもしれない。 -
Posted by ブクログ
英国が誇る、ブラックなショートショートがお得意のダールの短編集。読んでいて気付いたが、彼の作品は夫婦が出てくることが非常に多い。且つ、どちらかがどちらかを出し抜こうとするor男女の考え方の違いに焦点を当てることが多いので、表題が「キス・キス」というのと皮肉が効いていて良い。
可愛らしいタイトルと、ピンクがベース、黒一色でポップな自体と、同じく黒一色で収録話の関連イラストがシックな絵柄で散りばめられており、思わず手に取ってしまう表紙が個人的にはかなり好き。
「天国への道」
「ロイヤルゼリー」
が後味の悪さも含めて強烈。
でも読んじゃう、悔しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ静か、ひたすら静か。
それがたとい、酔っ払いで途中
元刑事の勘で犯罪者予備軍(?)を殴ったとしても。
まるで遠めで、
セピアの風景を眺めているかのよう。
現実なはずなのに、夢のごとく。
酔いどれ探偵スカダーが挑むことになった
9年前のアイスピック連続殺人で
一例だけ異なったケース。
特徴として、このケースだけは
両目を貫かれていなかったのです。
そしてこの女性には、
ある事実も判明していますが…
真相は意外な盲点を
ついている犯罪です。
私たち日本人ではわからないことでしょう。
あ、元の国でもローカルだから無理か。
犯行理由はあまり深く
考えないほうがいいですね。
なんだろう、狂気が招いた
悲劇なんだと思います。
うん、静かに始まり、静かに終わったね。 -
Posted by ブクログ
スノードンの問題は、現時点でも未解決の問題としてメディアでも度々話題になっている。
米国情報機関の機密情報の取り扱い、ということ以上に、インターネット社会における情報の取り扱いについて、一石投じた事件として、当時、どのような動機、背景で、何が起こったのか知ることは重要なことだと思う。
インターネットこそが国境を越え、自由に情報を展開することができる場であると同時に、それを管理することが可能であれば、それを誰かがコントロールし、その自由を抹殺することすらできる。
本著は”暴露”した側が書いたものであるが、これを否定的に取る側の論理にも触れられているし、事の本質にも深く踏み込んでいるので、頭の整理としても一読の価値があると思う。
サイバーセキュリティの問題は、IOT化が進むにつれて、益々、脚光を浴びてくるだろうし、情報の取り扱いの考え方自体をコペルニクス的発想の展開を以って変えていかないと、解決の糸口が見つけられないような気もする。(それが何かは全く見当がつかないが)
以下引用~
わが国(米国)の憲法の起草者たちは、幸福の追求のために望ましいい条件を確保することを保障し、人間の精神性や感情、知性の重要性を認めた。彼らは、物質的幸福は人生の痛みや喜び、充足の一部でしかないことを認識し、合衆国国民の多種多様な信条、思想、感情、感覚を保護することを求めた。政府との関係においては、誰からも干渉されない権利を国民に付与した。
(最高裁判所判事ルイス・ブランダイス)
パノプティコン(一望監視装置)
閉じこまれた者に常に見られているという意識を植えつけ、権力が自動的に作用する状態を作り出す。
肉体的な安全より上位にある中心的な価値とは、国家をプライベートな領域ー合衆国憲法修正第4条で定義される”身体、家屋、書類、個人資産”-に関与させないことだ。それはこの領域が人生の質を左右する多くの特質ー創造力、探究、親交といったものーのるつぼのようなものだからだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルの『コンカッション』とは「脳震盪」のことだ。NFL(全米アメリカンフットボールリーグ)におけるプレー時の衝撃がプレイヤーの脳に与える影響をひとりの医師が究明していく過程を描いたものだ。
主題はふたつ。ひとつはNFLという大きなスポーツビジネスにおける致命的な脳神経系における健康障害の実態。もうひとつは、ナイジェリア生まれの医師で、それがゆえに被ったであろう差別や不利益を産む現実。そして、このふたつに関してビジネス利権を背景にした不誠実な圧力が絡んでくることになる。
読書前に期待していたのは後者のストーリーよりも前者の現実や危険性や対策についての科学的な分析や知見であった。そういう意味では映画化の原作であることも理由であろうが、後者に重きを置いているところは若干不満が残った。またノンフィクションとしての出来を問うのであれば、NFL側について不誠実な対応をすることとなった科学者たちへのインタビューなどが必要であろう。
それにしても、元プロボクサーの言動や調子がおかしいことをもはや笑うべきではないのだと思う。脳の繊細さを知るとともに、脳の可塑性に着目したリハビリ技術の向上にも期待したい。
しかし、おそらくはほとんどの日本人がコンカッション(Concussion)が脳震盪のことだとはわからないのではないか。さらに言うと、そのタイトルからはNFLのプロスポーツにおける身体障害の危険についての警鐘というテーマが伝わらない。原題含めて「NFL」や「アメフト」という名前やそれを示唆するタイトルをつけることは難しかったのではという勘繰るのはうがちすぎなのだろうか。いずれにせよ、映画のタイトルにもなっているので仕方がないのかもしれないが、本としてのタイトルには工夫の余地があるのではと思う。
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この本の主人公でもあるBennet Omaluが次のような本を出している - ”Play Hard, Die Young: Football Dementia, Depression, and Death”。どうやら日本語化の予定はないようだけれど読んでみたい本だ。