田口俊樹のレビュー一覧

  • ザ・ボーダー 上

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    「犬の力」「カルテル」に続く3作目。最近は後から追加されて全3部作、という作品が多い・・・

    主人公ケラーが主人公なのは同じだが、前2作目とは趣が違う。今まではバレーラという強大な敵がいたわけだが、今回はバレーラ亡き後の跡目争いと乱立した組織同士の闘い、そしてDEAとの戦いとまさに三つ巴、四つ巴の闘いとなっていて、登場人物が今までにも増して多い。

    それぞれの視点で描かれるので話の展開も目まぐるしいため、今一つ感情移入しにくい。
    果たして後半、このドラッグウォーズはどんな展開に、そしてどんな決着を迎えるのか?

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    2020年02月12日
  • 八百万の死にざま

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    このシリーズもいつの間にか何冊も読んでいて、前に読んでから間が空いてるのに、読み出すと思い出す。さすがマットさん。
    今回もコツコツと地道に仕事を進めて、最後の解決に至るところまで実に地味なわけで。コナンくんみたいに犯人はおまえだ、的なこともなく。なんだけど、このコツコツいく拳の使い手の道のりを辿るのは嫌いじゃないなー。
    毎回一緒のような気もするけど、でも時々忘れた頃に読んでみて、読んだあとで、ふぅー、と一息つくのが、なんとも不思議な魅力。

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    2020年02月12日
  • ダ・フォース 下

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    ダーティヒーローを書かせたら、
    この人の筆力に勝るものはないなぁ。

    裏切り者として追い込まれていく主人公。
    市警本部長、警部、判事、弁護士、そして市長。
    誰もが、金と保身のために他人を蹴落とす。
    ニューヨーク市警はカルテルだ、と言い切るマローン刑事部長。
    正義と悪は、人を裁く剣の表裏。

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    2020年02月12日
  • ザ・ボーダー 下

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    ネタバレ

    ケラーの戦争が終わった。

    最後は合衆国大統領まで敵に回し、孤独になり、そして独白して終わる。

    良い小説を読むと、読後も予熱みたいなものが続くが、読み終わって一週間以上経つというのに、その熱が冷めない。

    正義とは何か?
    常にその問いを突きつけられているような気がしてならない。

    ケラーのように自らの正義を貫き通すことができるのか。
    それとも生きるため、正義に目をつぶるのか。
    人は人の弱みにつけ込み、ビジネスは弱い人を飲み込んでいく。
    現実はケラーのようには生きられない。
    命が大事だし、生きていくことに精一杯だからだ。

    だからケラーの生き方が物語になる。

    ラスト、ケラーに安息の地を用意し

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    2020年02月11日
  • 一抹の真実 ~A GRAIN OF TRUTH~

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    シャツキ検事シリーズ第二作。女性が切り刻まれ殺される事件。凶器はユダヤ人が肉用に使う日本刀のように鋭利な刃物。反ユダヤ授業が根底にあるのか?そして第二の殺人が。

    意外と楽しめた。ポーランドの反ユダヤ主義蘊蓄がこれでもかと出て来る。教会にユダヤ人がキリスト教徒を惨殺してる絵が飾られている所もあるそうだ。ナチスドイツの迫害以前そして以後も根強く存在してる。事件と関係あるかどうかと関係なくこの話は面白かった。そして真相もわりと好みだった。

    そしてバツイチのシャツキは女性にモテモテ、にもかかわらず苦悩を抱える。彼の内面を読むのも(共感なのか反感なのか、その両方なのか)興味深い。

    どうでもいいこと

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    2020年02月06日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    アメリカの書評で話題だったので気になっていましたが、和訳が出たので早速読みました。これを手に取るのはやっぱりみんなホッパー付きの人だと思うのだけれど、私もその一人で、で、読んでいる中で、お、と思うタイミングでホーッパー作品が出てくるので読んでて心地よかったです。いろんな作家さんの短編小説が入っていて、初めて知る人もいて、それも良いです。ただちょっとこじつけじゃないの?と思ってしまう組み合わせもありましたが、それもまあ楽しみかと。なによりこういう本を企画し実行した編集さんがすごい。

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    2020年02月03日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    明日には飢餓で死ぬか爆撃で死ぬか。ドイツ軍に包囲されたレニングラードで言い渡された処刑を免れるたったひとつの命令は、1ダースの卵を調達すること。
    かくして二人の青年が卵調達隊として飢えに喘ぐ戦時のロシアを彷徨うことになる。

    当然行き合う出来事は悲惨なものばかりなのに、妙に軽快な雰囲気は卵の捜索というちぐはぐな設定のせいか、下ネタにまみれた凸凹コンビの会話のせいか。
    戦争という特別な状況でも、何も特別でない人達が必死に、そして普通に生きている。そんな事を思わせる二人だから、戦争と卵と読者という奇妙なピースを繋いで読み手の深い所にまで届けてくれる。

    クソが出ただけで笑ったのは某金塊漫画以来だけ

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    2020年01月28日
  • カーテン

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    ネタバレ

    再読。いくつかポアロ物を読んでから読まないと、ちょっと良さがわかりづらいんじゃないかと思う。シニカルな部分もあるし、ジュディスの安楽死容認発言も気になる。老いや伴侶を失う寂寥、夫婦関係への洞察など、ここまで年月が経たないとここまで書けないだろうなというところに、筆者と登場人物の経年と円熟を感じる。そして遠回しな反戦も読み取れるように思う。
    苦い。そう、ジンセイって多かれ少なかれこんなふうに苦いものだよね。苦いものを抱えて生きていくものだよね。

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    2020年01月27日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワードエドワード・ホッパーの絵を題材にした短編集。
    絵と物語を楽しめる。
    「オートマットの秋」「牧師のコレクション」「音楽室」が面白かった。

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    2020年01月26日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーの絵をもとに
    17人の作家の17つの短編。
    序文でローレンス・ブロックも言っているけど、本当にバラエティ豊かだ。
    色白で、表情が虚ろにも見える人びと。
    (そのせいなのかちょっと死体と犯罪が多い)
    スウェーデンの映画監督、ロイ・アンダーソンの作品にでてくる人みたい。

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    2020年01月18日
  • ザ・ボーダー 下

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    麻薬戦争に絡む群像劇がくりひろげられ、これはあとこれくらいで収集するのだろうか?とおもいますが、見事に終わっています。
    ドラマ化の話しかあるようなので、楽しみです、

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    2020年01月16日
  • ザ・ボーダー 下

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    まぁ、一応、“正義は勝った”感じにはなりますが、スカッとスッキリという感じでも無いですねぇ。最終的に、アート・ケラーは、自爆したわけでもありますから。

    劇中に出てくる、大統領がなんとも・・・。かの大統領にも、様々な疑惑があるので、この作品で描かれている事も、途中まで「マジか・・・」と思っていました。モチーフ的には、ロシア疑惑だったみたいですが、これも無い事でも無いかな。

    『ザ・ボーダー』と言うタイトルですが、色んな意味がありますね。文字通りのボーダーであり、アート・ケラーのやっている事だったり、彼の立っている立場であったり。

    上巻は中々読みにくかったのですが、下巻に入ると面白くて一気に読

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    2019年12月23日
  • ザ・ボーダー 上

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    多数の登場人物があり、それぞれの立場での視点で各種シーンが次々と描かれるので、シーンの切替わりが早く、最初は取っつき難い印象です。

    ですが、物語が進むにつれ、画が返れている内容は、徐々に重みを増やしていき、読み手のこちらは話に引き込まれていきます。

    某第45代アメリカ合衆国大統領みたいな登場人物がいるような気がしますが、たぶん、気のせいだと思います。

    下巻で、どの様に話が進むのか期待です。たぶん、ハッピーエンディングじゃないんだろうなと思いながら。

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    2019年12月21日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーという画家の絵から、17人の作家たちがそれぞれの物語を紡いでいく、いっぷう変わった趣向の短編集。

    文章に合わせた絵ではなく、一場面を切り取った絵から背景にある物語を想像するというのは、なかなか興味深い。皆それぞれ個性的で、そこまで想像の世界を広げていくのかと驚く。
    知っているのはキングとキャロルオーツくらいだったが、大御所キングの作品は絵そのままという感じでいちばん凡庸だった。
    自分ならこの絵からどんな物語を作るだろうと、読む前に考えるのも楽しかった。

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    2019年10月02日
  • ダ・フォース 上

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    ウインズロウらしい。まさに清濁併せ吞む?リアルティのある正義とはこういうものか。
    マローンが最後までカッコ良くいて欲しいけど・・

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    2019年09月18日
  • 八百万の死にざま

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    ネタバレ

    東西ミステリー100の21位にランキングされている本書は、さすがと思わせる出来栄えです。
    ミステリーよりもハードボイルド小説であるのは間違いなく、さらに言えばプロットよりも登場人物たちの生き様や会話の方に本書の魅力が凝縮しています。
    特に、ダーキン刑事と依頼人のチャンス、情報屋のダニーの人物造形は素晴らしく、交わされる会話の内容も妙にリアリティがあります。
    後半100頁の疾走感、最後の1行でこの小説を不朽の名作たらしめたのは間違いありません。

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    2019年09月17日
  • ザ・ボーダー 下

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    『犬の力』は麻薬カルテルが第一世代から第二世代に引き継がれるまで。『ザ・カルテル』はその後日談で、前作のような二項対立ではなく、闘争劇を掘り下げる。そして完結編となる本作品は、第三世代が主役となる話ではあるが、領土の奪い合いに終始するわけではなく、第一世代と第三世代の対立の構図が重要な意味を持つ。そこに闘いを挑むケラーはついにDEA長官となり、その権力をフルに発揮し、自己否定ともとれる大胆な作戦でアメリカ側からカルテルを追いつめていく。

    ストーリーは、メキシコ側とアメリカ側に分かれ、場面展開を繰り返しながら並走していく。ケラーが長官になったことで、政治的色合いの濃い完結編となったが、熾烈な

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    2019年09月15日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    19世紀半ばのアメリカ。詐欺師の親子が「奴隷制度廃止運動のため」と称して巻き上げた大金を巡るロード・ノヴェルだ。開始早々、たった1人で行動することを余儀なくされた少年は、父が騙ったでまかせを実現するため遥かな地を目指し困難な旅に出る。それは贖罪ではない。プライドの問題なのだ。少女→犬→少年と追ってきたが、すべて期待以上の作品だった。すごいなテラン。最近ようやく入手した過去作も早く読まねば。

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    2019年08月18日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    ネタバレ

    他のレビューにもあるとおり、起きていることの悲惨さを跳ね返す道中掛け合いの明るさが、読者に希望を失わせず読み進めさせる原動力になっていると感じた。だからこそコーリャと卵をめぐる結末には切なさ、味気なさ、歯がゆさを感じた(いい意味で)。
    あとがきで気づいたが、ノンフィクションのような形をとりながらフィクションであることにも驚いた。まあ確かにドイツ軍と対峙する場面やヴィカとの再会(アメリカ的!!)は事実っぽくはなかったな。

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    2020年01月24日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    ネタバレ

    エドワード・ホッパーの絵画を基に、17人の作家が想像を膨らませたアンソロジー。編者はローレンス・ブロック。海外小説通の方ならご存知なのかもしれないが、ぼくはスティーヴン・キングとローレンス・ブロックしか知らなかった。好きな作品も、どうだろうと思う作品もあったが、嫌いな作品はなかった。アンソロジーでは稀有なことだと思う。そして一緒に収録された絵画も素晴らしかったが、これを観て1本の小説を書き上げてしまう作家たちの才能に、ただただ敬服した。

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    2019年08月11日