田口俊樹のレビュー一覧
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最初はジキルとハイドを別人物だと思って読み進めていましたが、アタスンやラニヨンら(ジキルの旧友)のやりとりを通して少しずつ同一人物であるということが明らかになっていく、ミステリー小説として楽しめました。この作品が書かれた1800年代、産業革命以後のイギリス社会での人々の生活やキリスト教への信仰、社会的地位への関心が垣間見れたところも古典ならではで読んでよかったと思います。生まれ持った体は精神を作り上げた力の霊気や輝きにすぎないという表現からは肉体ではなく精神こそが自己の本質であると考えるジキル(作者スティーブンソン)の考え方が読み取れました。また、人々に賞賛され、幸福に生きられる「善」の自分でいたいという気持ちと、そうでなく人々に忌み嫌われ軽蔑されるがそれに罪悪感さえ抱くことのない「悪」の自分でいたいという欲望が一人の人間のなかで対立し、その苦痛と不安の狭間に居続けなければならないということも描かれていましたが、私にも共感できるなぁと思いました。最終章の「ヘンリー・ジキルが語る事件の全容」で物語の答え合わせがされて、点と点が繋がりスッキリします。
薬を飲めば他方の自分に変身できるというところはさながらプリキュアのようなファンタジー要素もあって面白かったです。 -
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ボストン・テランはエエはなし書かはるなぁ。
「その犬」の名前はギヴ(give)。人がギヴに寄せる愛や、ギヴが人に感じさせる優しさが通底する、ギヴとギヴに関わる人たちの物語だ。語り手は湾岸戦争の復員海兵隊員で、戦場で追った心の傷をギヴの物語を追体験する中で和らげ、かつての自分を取り戻してゆく。
アメリカは第2次大戦以降も世界で戦争を続ける好戦国ではあるが、市民生活は至って平穏な面を見せる。本書は古き良きアメリカの善意に包まれていて、悪意の現れも一部あるが、全体に古いアメリカ映画を観ているような気分に浸れる。最近のアメリカ大統領が振っている旗印に反吐が出る思いを感じるなか、包容力あるアメリカの復興を願わずにはいられない。 -
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スノーデン氏から著者へ接触があったのは2012年。この告発により、オバマ政権下でのアメリカ市民への盗聴が大きな話題になった。2008年に出版されたティム・ワイナー氏の「CIA秘録」では、CIA設立時から各総理大臣の対応が詳細に書かれている。そこにはオバマ政権も含まれているが、市民への盗聴は、なにも彼の政権下でのみ行われたことではない。「CIA秘録」は機密解除された内部文書をもとにした情報であり、出版当初は大変話題になったそうだ。
それから数年の時を経て、より多くの人がスマホを持ち、インターネットを使用するようになり、情報に触れる機会が増えた。そこでスノーデン氏の告発が一番インパクトのあるタイミングで炸裂したのだと思う。政府にとって不都合な真実を隠そうとする圧力や妨害行為に対しては、今更何も驚かない。いくら有名な新聞社であっても、崇高な理念だけでは資本社会で生き残れないのだ。
そもそも、他人が作った「インターネット」というものを利用しておきながら、自分のプライバシーが守られているという考え自体が甘いのではないかと思う。公共の通信を使用しているのだから、そこへ入力した内容や送信したデータが見られる可能性があることは頭に入れておくべきである。手紙にしても、第三者が配達することにより、開封される恐れがある。ただ「開封しない」というルールをもとにお互い信用しているだけで、実際いつでも開封して、痕跡を残さず閉じ直すことも可能なはず。
プライバシーに関する問題は昔からあったと思うが、インターネットがあまりに便利で簡単に使えるのに、複雑な仕組みをしていることから一般人を煙に巻きやすく、それを提供する側がプライバシーの保護を約束し過ぎたのもよくなかったかもしれない。企業や政府の言葉は建前に過ぎない。自分がコントロールできないものを使用する時は、基本的に誰もなにも信用してはいけないのだ。それでも私たちは他者を信じることでしか世界を動かせない。だからこそ、どこまで信用するかを自分で定義する必要がある。 -
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ネタバレダニーの人生は終わった。
もっと過酷な運命が待ち受けていると思ったが、最後は以外にも平穏な日々が待っていた。
ロードアイランドで生まれ、逃亡し、西海岸で一旗上げて、ラスヴェガスで成功する。
しかし、欲望と憶測とちょっとした偶然で抗争が始まる。
最後、ダニーはラスヴェガスの利権を手放し、命をかけて復讐する。
ダニーの物語は何だったんだろうか。
アメリカの暗部をさらけ出し、移民、人種に通じた血を血で争う抗争を描きたかったのか。
今までの作者の犯罪小説に比べたら、ライトでカジュアルだ。
映画を見るようなスタイリッシュでクールな感じもする。
作家として最後の最後まで、作品ごとのスタイルを模索した結果だったのかもしれない。
これで、作者は筆を置く。
残念でならない。 -
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ネタバレ序盤は、何が起きているのかも各キャラクター像も掴みきれないまま展開していく。どうやら主人公のベリエルたち警察は少女の誘拐・監禁事件を追っていて、ベリエルだけがこれは連続した事件だと睨んでいるらしい。そして彼はすべての現場に写り込む一人の女性の存在に気付き、その女性ブロームを特定して尋問する。ところがそこから物語はひっくり返る。追っていたはずのベリエルはまんまとブロームの罠に嵌ったのだった。
ベリエルとブロームの二人は同級生で、まだ10代だった遠い昔、彼らの学校にヴィリアムという奇形の転校生がやってきた。ヴィリアムはその容貌から酷いいじめを受けていたことから、ヴィリアムは特定の年代の少女に恨みを抱き、無差別に誘拐・殺害していると二人は推理した。
北欧ミステリらしいダークな雰囲気がクセになる。日本でもスウェーデンでも、公安という存在は興味を掻き立てる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの話は個人的にアガサの
そして誰もいなくなったを彷彿させるものがあった
殺人犯を立証できない犯人はわかっているが
それを立証できない事件というのは推理小説では必ず取り上げられる話だと思う
今回は最初と同じ舞台スタイルズ荘で事件が起こるというストーリーになっている
さすがクリスティー最初と最期の舞台を同じ場所にするというのがさすがのセンスだと感じる
ただ最初の時と違って随分とキャラクターも様変わりしていた
ヘスティングスはすでに妻を亡くしていて子供たちも自立している
ただ1人の娘であるジュディスを除いて
ポアロに関しては死期がもうそこまで迫っている状態でありベットで寝たきりの状態
それでも彼の灰色の脳細胞だけは昔と変わらないと彼自身自負していた
今回のストーリーは答えをいってしまうと
殺人者はエルキュールポアロだ。彼が自ら殺人を犯してしまう
これだけでも興味が湧いてくる人と絶対に読みたくない人と別れるだろうけれど
一つ言えるのはポアロが殺した相手こそどうにもできない犯罪者だったということ
犯罪そのものを自分から誘発はするが手はくださない
だから絶対に逮捕されない
そしてヘスティングスは相変わらずのポンコツぶりだけれどそれに拍車がかかっていた
ポアロは誰が殺人者かヒントを与えていたのに
そこに気が付かなかった
それがかれの美徳なところだとポアロもほめてはいたけれど
最期のポアロに手記は泣ける
最期の最後までかれは友人を思って逝った
きっと若い時に一緒に過ごした時間が本当に彼にとって幸せだったのだろうと思えた
それは小説というよりドラマでデビットスーシェさんが長年演じたポアロから私が感じたことだ
小説もいいけれどぜひドラマも見て欲しい
そうすることでよりこのカーテンという作品に思いを寄せることができると思う