田口俊樹のレビュー一覧

  • 最後の巡礼者 上

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    なかなか状況の理解が追いつかずに読み進めるのに時間が掛かった前半だったけれど、現代と過去の繋がりがちょっと見えてきたあたりから俄然続きが気になって読むスピードも上がりました。
    最後も絶妙な場面で終わっていて、下巻も楽しみです。

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    2025年12月03日
  • その犬の歩むところ

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     ボストン・テランはエエはなし書かはるなぁ。

     「その犬」の名前はギヴ(give)。人がギヴに寄せる愛や、ギヴが人に感じさせる優しさが通底する、ギヴとギヴに関わる人たちの物語だ。語り手は湾岸戦争の復員海兵隊員で、戦場で追った心の傷をギヴの物語を追体験する中で和らげ、かつての自分を取り戻してゆく。

     アメリカは第2次大戦以降も世界で戦争を続ける好戦国ではあるが、市民生活は至って平穏な面を見せる。本書は古き良きアメリカの善意に包まれていて、悪意の現れも一部あるが、全体に古いアメリカ映画を観ているような気分に浸れる。最近のアメリカ大統領が振っている旗印に反吐が出る思いを感じるなか、包容力あるアメ

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    2025年11月18日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    特に前半、人間の業の深さを「皮肉」や「ブラックユーモア」、あるいは「奇妙な味」として表現しているようにうかがえる。

    後半は『クロードの犬』というクロードを主人公とする連作短編だが、この連作短編は正直あまり面白いとは感じなかった。

    一方で前半の短編が面白く、『満たされた人生に最後の別れを』『偉大なる自動文章製造機』はそれぞれテーマ性があって非常に面白かった。

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    2025年11月08日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    『あたなに似た人 Ⅰ』が非常に面白かったので購入したロアルド・ダールの第一短編集。

    しかし『あなたに似た人』とは全く異なる趣で、戦闘機パイロットだからこそ見える世界、景色、心理をリアルに描いた「読み物」「物語」といった感じ。ミステリではない。

    最も好きだった作品は『彼らは歳を取るまい』。
    文章だけで某映画作品の某シーンが思い浮かぶ。
    後世に多大な影響を与えた幻想譚、とのこと。

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    2025年11月08日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    スノーデン氏から著者へ接触があったのは2012年。この告発により、オバマ政権下でのアメリカ市民への盗聴が大きな話題になった。2008年に出版されたティム・ワイナー氏の「CIA秘録」では、CIA設立時から各総理大臣の対応が詳細に書かれている。そこにはオバマ政権も含まれているが、市民への盗聴は、なにも彼の政権下でのみ行われたことではない。「CIA秘録」は機密解除された内部文書をもとにした情報であり、出版当初は大変話題になったそうだ。

    それから数年の時を経て、より多くの人がスマホを持ち、インターネットを使用するようになり、情報に触れる機会が増えた。そこでスノーデン氏の告発が一番インパクトのあるタイ

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    2025年10月28日
  • ジキルとハイド

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    ネタバレ

    赤毛のアンに出てきたお話。ハイドが思った以上に悪いやつやった。舞台もあると知り、興味。肝心のところは、ほとんどの人がそうであるように知ってたので驚きはなかった。あまり、ジキルの告白にもついていけなかった部分はあった。ただ、あとがきに書いてあったように、ファンタジーのようにも、人格が分裂した人の話のようにも、善と悪の話のようにも思えるところが名作である理由なのだと感じた。

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    2025年10月05日
  • 終の市

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    ネタバレ

    ダニーの人生は終わった。
    もっと過酷な運命が待ち受けていると思ったが、最後は以外にも平穏な日々が待っていた。

    ロードアイランドで生まれ、逃亡し、西海岸で一旗上げて、ラスヴェガスで成功する。
    しかし、欲望と憶測とちょっとした偶然で抗争が始まる。
    最後、ダニーはラスヴェガスの利権を手放し、命をかけて復讐する。

    ダニーの物語は何だったんだろうか。
    アメリカの暗部をさらけ出し、移民、人種に通じた血を血で争う抗争を描きたかったのか。

    今までの作者の犯罪小説に比べたら、ライトでカジュアルだ。
    映画を見るようなスタイリッシュでクールな感じもする。

    作家として最後の最後まで、作品ごとのスタイルを模索し

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    2025年08月29日
  • ジキルとハイド

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    ジキルとハイド、という名前はもちろん知っていたが実際に読んだのは初めて。
    弁護士の主人公を軸に、ミステリーや怪奇要素もありつ善悪の境界に苦しむジキル博士の内省が描かれる終盤までとてもテンポが良かった。

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    2025年08月25日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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     巻末の解説にある如く『型破りなミステリ・シリーズ』である。
    勘による捜査。ネットワークを駆使した現代的調査。警察のみではなく、よりグローバルに広安警察が絡む。随所に描かれる主人公・ベリエルの心象風景。
     
     次作が楽しみな展開の結末に、
    ジェフリー・ディーヴァーやジョー・ネスボに推薦される作家、アルネ・ダールと出会えた幸運を思う。

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    2025年07月18日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    仄暗い雨の描写と執念。信じられるのは自分だけ。幼い頃の体験から逃れられない彼ら…しかし一連の事件は序章にすぎない。この一冊がまるまるプロローグかのような驚愕のラスト。

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    2025年06月29日
  • プレイバック

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    ネタバレ

    言わずと知れた名作。10代ではわからない、会話のやり取り、人間関係、立ち居振る舞い。歳を重ねて、ようやくわかり始めた。
    かのセリフは新訳では、「こんなにタフな男性がどうしてこんなにやさしくもなれるの?」と彼女は言った。ほんとうに不思議そうに。「タフじゃなければここまで生きてはこられなかった。そもそもやさしくなれないようじゃ、私など息をしている値打ちもないよ」

    清水訳は若い頃に挑戦だが、半分も理解できない。村上訳は整理的に受け付けず。ハードボイルドは、やはり読者の経験も問われる。

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    2025年06月28日
  • レイチェルが死んでから

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    3.4

    姉のレイチェルを殺害した犯人を追う、妹ノーラの物語。
    姉に関わった人をだいたい疑ったり、つけ回したりするほど、ノーラは精神的に不安定で、読者もノーラを信頼していいのかどうか、迷いながら読み進めることになります。
    後半、事件解決に一気に近づく出来事が起こるのだけど、本当にそれが急展開で、自分もそのあたりでようやく目が覚めました。
    それまでは少し退屈に感じていたのだ。
    評価が低いのが多いのだけど、なかなかどうして面白かったです。
    犯人を当てることを楽しみにして読むと、つまらなく感じてしまうのかもしれません。

    この邦題、好きだなあ。

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    2025年06月23日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    ネタバレ

    序盤は、何が起きているのかも各キャラクター像も掴みきれないまま展開していく。どうやら主人公のベリエルたち警察は少女の誘拐・監禁事件を追っていて、ベリエルだけがこれは連続した事件だと睨んでいるらしい。そして彼はすべての現場に写り込む一人の女性の存在に気付き、その女性ブロームを特定して尋問する。ところがそこから物語はひっくり返る。追っていたはずのベリエルはまんまとブロームの罠に嵌ったのだった。
    ベリエルとブロームの二人は同級生で、まだ10代だった遠い昔、彼らの学校にヴィリアムという奇形の転校生がやってきた。ヴィリアムはその容貌から酷いいじめを受けていたことから、ヴィリアムは特定の年代の少女に恨みを

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    2025年04月27日
  • 業火の市

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    登場人物が多すぎて訳が分からなくなりました、当然イタリア系かアイルランド系かもわかりませんでした。
    ただストーリーは分かりやすく一気に読み終わりました。

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    2025年03月21日
  • カーテン

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    ネタバレ

    この話は個人的にアガサの
    そして誰もいなくなったを彷彿させるものがあった
    殺人犯を立証できない犯人はわかっているが
    それを立証できない事件というのは推理小説では必ず取り上げられる話だと思う

    今回は最初と同じ舞台スタイルズ荘で事件が起こるというストーリーになっている
    さすがクリスティー最初と最期の舞台を同じ場所にするというのがさすがのセンスだと感じる

    ただ最初の時と違って随分とキャラクターも様変わりしていた
    ヘスティングスはすでに妻を亡くしていて子供たちも自立している
    ただ1人の娘であるジュディスを除いて
    ポアロに関しては死期がもうそこまで迫っている状態でありベットで寝たきりの状態

    それで

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    2025年03月16日
  • 捜索者の血

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    ネタバレ

    超富裕層がお金の力で鑑定結果も証拠物件も好きなように変えたり紛失したり、真実とは違う証言者もいくらでも調達できてしまうという設定には正直言って食傷気味。
    逃亡シーンのハラハラドキドキもよくできてるなぁとは思います。

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    2025年03月16日
  • 偽りの銃弾

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    元陸軍特殊部隊でヘリコプターのパイロットだったマヤはイラクでの赴任中に民間人を殺してしまい、今もPTSDに悩まされているが、数ヶ月前に姉が押し込み強盗に射殺されたのに引き続き、今度は夫も暴漢に射殺されてしまう。しかし夫の死に疑問を抱いたマヤが独自に調べてみると…というサスペンス・ミステリ。
    「他人に協力を要請するが、かと言って他人を信用しているわけではない」というマヤの性格の悪さが中盤は鼻について、やや中だるみだが、終盤はどんでん返しの後にハッピーエンドなエピローグで、読後感は良い。

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    2025年03月15日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    オースターの幻のデビュー作。オースターだとわかって読んでいるのでオースターっぽいなと思うところもある。ハードボイルド探偵小説。余韻が好き。

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    2025年03月06日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    あなたに似た人Ⅱ 2025/2/24
    初読。Ⅱもおもしろかった。
    『偉大なる自動文章製造機』は生成AIが実用化された今の時代に読んだからこそ、いっそうおもしろいと思った。
    『サウンドマシン』は医者がかわいそうだった。

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    2025年02月24日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

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    初読。どの話も不穏で緊迫感がある。すきとかこのみとはちょっと違う感じだけど、おもしろかった。
    『南から来た男』『プールでひと泳ぎ』『毒』あたりが自分は印象深かった。

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    2025年02月11日