田口俊樹のレビュー一覧

  • ジキルとハイド

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    元祖二重人格ホラーサスペンスです。
    正直に言うと、どんな小説でもオチが二重人格だと、夢オチと同じくらいすごくガッカリですが、著書のクオリティが世紀を跨いで愛されるほど高いので、真似したくなる気持ちもわからなくないです。

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    2026年03月05日
  • ジキルとハイド

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    新潮の大ネタバレ装丁でも、物語がするするとテンポよく展開するので、最後まで弛まずに愉しめた。

    社会的地位や経済力のない破廉恥な私は、ジキル博士の苦悩とは無縁であるが、博士の抱く心理的相克には共感できる部分も多かった。

    そして、ハイドのように倫理やモラルを意に介さず、反射的な感情に従って振る舞いたいと思ったことは、誰しもあると思う。私自身、電車の中で変なヤツを見たり、クレーム対応をしたりするときは、よくそう思う。

    日常で、私の中のハイドが顔を出してこないことを願うばかりだ。

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    2026年04月13日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    ネタバレ

    真相が案外あっさりな上に個人の怨恨が無理に関係してくる。
    長い長い読破の先に『終わらない終わり方』が待っていた。

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    2026年02月08日
  • ジキルとハイド

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    新訳だけど、描写、セリフが難しく頭を整理しながら読むのが私にはなかなか困難だった。
    有名なキャラクターなので、この物語の核となる「ジキルとハイド」の正体を知っていたけれど、当時、初めて読んだ人達はそれは衝撃を受けたんだろうな。
    大切な友を失くし、真実を知ったアタスンのことを思うと心に重たいものを感じる。

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    2026年01月26日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    オースターがデビュー前に別名で執筆した本作、練られた展開、ウィットに富んだ台詞の応酬、感情に流されない私立探偵と、帯の言葉通りの「ハードボイルドの王道」。淡々と綴られる物語の中、主人公が息子と野球観戦に行く場面にオースターが香る。

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    2026年01月25日
  • マット・スカダー わが探偵人生

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    ローレンス・ブロックの、私立探偵スカダーのシリーズとして、最初に読んだのは「八百万の死にざま」だったと思う。相当昔の話だ。その作品で、ローレンス・ブロックも、スカダーのシリーズも好きになり、ずっと読んでいる。
    この作品が、スカダーのシリーズは最終作になるらしい。
    ただ、この作品は、「私立探偵」としてのスカダーが事件に取り組む話ではなく、スカダーが探偵になるまでの話を、回顧しているという仕立ての物語。私立探偵ものとしてのスカダーのシリーズは、そういう意味では前作で終わっていたのだ。この本が面白くなかったとは言わないけれども、最後の作品であれば、やはり私立探偵スカダーに合いたかった。

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    2026年01月17日
  • ジキルとハイド

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    最初はジキルとハイドを別人物だと思って読み進めていましたが、アタスンやラニヨンら(ジキルの旧友)のやりとりを通して少しずつ同一人物であるということが明らかになっていく、ミステリー小説として楽しめました。この作品が書かれた1800年代、産業革命以後のイギリス社会での人々の生活やキリスト教への信仰、社会的地位への関心が垣間見れたところも古典ならではで読んでよかったと思います。生まれ持った体は精神を作り上げた力の霊気や輝きにすぎないという表現からは肉体ではなく精神こそが自己の本質であると考えるジキル(作者スティーブンソン)の考え方が読み取れました。また、人々に賞賛され、幸福に生きられる「善」の自分で

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    2025年12月20日
  • ジキルとハイド

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    極端すぎる二面性に苦しむ主人公の姿が痛々しく描かれた作品です。

    実社会でも、己の欲望を隠し抑えながら、日常を過ごす人間はたくさんいることを考えさせられました。

    もし変身が現実的に可能であれば、誰しも普段と違う行動を試みようとすると思います。
    そんな時、自分だったら何をするかな。と考えました。

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    2026年03月16日
  • 最後の巡礼者 上

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    なかなか状況の理解が追いつかずに読み進めるのに時間が掛かった前半だったけれど、現代と過去の繋がりがちょっと見えてきたあたりから俄然続きが気になって読むスピードも上がりました。
    最後も絶妙な場面で終わっていて、下巻も楽しみです。

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    2025年12月03日
  • その犬の歩むところ

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     ボストン・テランはエエはなし書かはるなぁ。

     「その犬」の名前はギヴ(give)。人がギヴに寄せる愛や、ギヴが人に感じさせる優しさが通底する、ギヴとギヴに関わる人たちの物語だ。語り手は湾岸戦争の復員海兵隊員で、戦場で追った心の傷をギヴの物語を追体験する中で和らげ、かつての自分を取り戻してゆく。

     アメリカは第2次大戦以降も世界で戦争を続ける好戦国ではあるが、市民生活は至って平穏な面を見せる。本書は古き良きアメリカの善意に包まれていて、悪意の現れも一部あるが、全体に古いアメリカ映画を観ているような気分に浸れる。最近のアメリカ大統領が振っている旗印に反吐が出る思いを感じるなか、包容力あるアメ

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    2025年11月18日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    特に前半、人間の業の深さを「皮肉」や「ブラックユーモア」、あるいは「奇妙な味」として表現しているようにうかがえる。

    後半は『クロードの犬』というクロードを主人公とする連作短編だが、この連作短編は正直あまり面白いとは感じなかった。

    一方で前半の短編が面白く、『満たされた人生に最後の別れを』『偉大なる自動文章製造機』はそれぞれテーマ性があって非常に面白かった。

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    2025年11月08日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    『あたなに似た人 Ⅰ』が非常に面白かったので購入したロアルド・ダールの第一短編集。

    しかし『あなたに似た人』とは全く異なる趣で、戦闘機パイロットだからこそ見える世界、景色、心理をリアルに描いた「読み物」「物語」といった感じ。ミステリではない。

    最も好きだった作品は『彼らは歳を取るまい』。
    文章だけで某映画作品の某シーンが思い浮かぶ。
    後世に多大な影響を与えた幻想譚、とのこと。

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    2025年11月08日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    スノーデン氏から著者へ接触があったのは2012年。この告発により、オバマ政権下でのアメリカ市民への盗聴が大きな話題になった。2008年に出版されたティム・ワイナー氏の「CIA秘録」では、CIA設立時から各総理大臣の対応が詳細に書かれている。そこにはオバマ政権も含まれているが、市民への盗聴は、なにも彼の政権下でのみ行われたことではない。「CIA秘録」は機密解除された内部文書をもとにした情報であり、出版当初は大変話題になったそうだ。

    それから数年の時を経て、より多くの人がスマホを持ち、インターネットを使用するようになり、情報に触れる機会が増えた。そこでスノーデン氏の告発が一番インパクトのあるタイ

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    2025年10月28日
  • ジキルとハイド

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    ネタバレ

    赤毛のアンに出てきたお話。ハイドが思った以上に悪いやつやった。舞台もあると知り、興味。肝心のところは、ほとんどの人がそうであるように知ってたので驚きはなかった。あまり、ジキルの告白にもついていけなかった部分はあった。ただ、あとがきに書いてあったように、ファンタジーのようにも、人格が分裂した人の話のようにも、善と悪の話のようにも思えるところが名作である理由なのだと感じた。

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    2025年10月05日
  • 終の市

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    ネタバレ

    ダニーの人生は終わった。
    もっと過酷な運命が待ち受けていると思ったが、最後は以外にも平穏な日々が待っていた。

    ロードアイランドで生まれ、逃亡し、西海岸で一旗上げて、ラスヴェガスで成功する。
    しかし、欲望と憶測とちょっとした偶然で抗争が始まる。
    最後、ダニーはラスヴェガスの利権を手放し、命をかけて復讐する。

    ダニーの物語は何だったんだろうか。
    アメリカの暗部をさらけ出し、移民、人種に通じた血を血で争う抗争を描きたかったのか。

    今までの作者の犯罪小説に比べたら、ライトでカジュアルだ。
    映画を見るようなスタイリッシュでクールな感じもする。

    作家として最後の最後まで、作品ごとのスタイルを模索し

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    2025年08月29日
  • ジキルとハイド

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    ジキルとハイド、という名前はもちろん知っていたが実際に読んだのは初めて。
    弁護士の主人公を軸に、ミステリーや怪奇要素もありつ善悪の境界に苦しむジキル博士の内省が描かれる終盤までとてもテンポが良かった。

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    2025年08月25日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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     巻末の解説にある如く『型破りなミステリ・シリーズ』である。
    勘による捜査。ネットワークを駆使した現代的調査。警察のみではなく、よりグローバルに広安警察が絡む。随所に描かれる主人公・ベリエルの心象風景。
     
     次作が楽しみな展開の結末に、
    ジェフリー・ディーヴァーやジョー・ネスボに推薦される作家、アルネ・ダールと出会えた幸運を思う。

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    2025年07月18日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    仄暗い雨の描写と執念。信じられるのは自分だけ。幼い頃の体験から逃れられない彼ら…しかし一連の事件は序章にすぎない。この一冊がまるまるプロローグかのような驚愕のラスト。

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    2025年06月29日
  • プレイバック

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    ネタバレ

    言わずと知れた名作。10代ではわからない、会話のやり取り、人間関係、立ち居振る舞い。歳を重ねて、ようやくわかり始めた。
    かのセリフは新訳では、「こんなにタフな男性がどうしてこんなにやさしくもなれるの?」と彼女は言った。ほんとうに不思議そうに。「タフじゃなければここまで生きてはこられなかった。そもそもやさしくなれないようじゃ、私など息をしている値打ちもないよ」

    清水訳は若い頃に挑戦だが、半分も理解できない。村上訳は整理的に受け付けず。ハードボイルドは、やはり読者の経験も問われる。

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    2025年06月28日
  • レイチェルが死んでから

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    3.4

    姉のレイチェルを殺害した犯人を追う、妹ノーラの物語。
    姉に関わった人をだいたい疑ったり、つけ回したりするほど、ノーラは精神的に不安定で、読者もノーラを信頼していいのかどうか、迷いながら読み進めることになります。
    後半、事件解決に一気に近づく出来事が起こるのだけど、本当にそれが急展開で、自分もそのあたりでようやく目が覚めました。
    それまでは少し退屈に感じていたのだ。
    評価が低いのが多いのだけど、なかなかどうして面白かったです。
    犯人を当てることを楽しみにして読むと、つまらなく感じてしまうのかもしれません。

    この邦題、好きだなあ。

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    2025年06月23日