田口俊樹のレビュー一覧
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英国が誇る、ブラックなショートショートがお得意のダールの短編集。読んでいて気付いたが、彼の作品は夫婦が出てくることが非常に多い。且つ、どちらかがどちらかを出し抜こうとするor男女の考え方の違いに焦点を当てることが多いので、表題が「キス・キス」というのと皮肉が効いていて良い。
可愛らしいタイトルと、ピンクがベース、黒一色でポップな自体と、同じく黒一色で収録話の関連イラストがシックな絵柄で散りばめられており、思わず手に取ってしまう表紙が個人的にはかなり好き。
「天国への道」
「ロイヤルゼリー」
が後味の悪さも含めて強烈。
でも読んじゃう、悔しい。 -
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ネタバレ静か、ひたすら静か。
それがたとい、酔っ払いで途中
元刑事の勘で犯罪者予備軍(?)を殴ったとしても。
まるで遠めで、
セピアの風景を眺めているかのよう。
現実なはずなのに、夢のごとく。
酔いどれ探偵スカダーが挑むことになった
9年前のアイスピック連続殺人で
一例だけ異なったケース。
特徴として、このケースだけは
両目を貫かれていなかったのです。
そしてこの女性には、
ある事実も判明していますが…
真相は意外な盲点を
ついている犯罪です。
私たち日本人ではわからないことでしょう。
あ、元の国でもローカルだから無理か。
犯行理由はあまり深く
考えないほうがいいですね。
なんだろう、狂気 -
Posted by ブクログ
スノードンの問題は、現時点でも未解決の問題としてメディアでも度々話題になっている。
米国情報機関の機密情報の取り扱い、ということ以上に、インターネット社会における情報の取り扱いについて、一石投じた事件として、当時、どのような動機、背景で、何が起こったのか知ることは重要なことだと思う。
インターネットこそが国境を越え、自由に情報を展開することができる場であると同時に、それを管理することが可能であれば、それを誰かがコントロールし、その自由を抹殺することすらできる。
本著は”暴露”した側が書いたものであるが、これを否定的に取る側の論理にも触れられているし、事の本質にも深く踏み込んでいるので、頭の整 -
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タイトルの『コンカッション』とは「脳震盪」のことだ。NFL(全米アメリカンフットボールリーグ)におけるプレー時の衝撃がプレイヤーの脳に与える影響をひとりの医師が究明していく過程を描いたものだ。
主題はふたつ。ひとつはNFLという大きなスポーツビジネスにおける致命的な脳神経系における健康障害の実態。もうひとつは、ナイジェリア生まれの医師で、それがゆえに被ったであろう差別や不利益を産む現実。そして、このふたつに関してビジネス利権を背景にした不誠実な圧力が絡んでくることになる。
読書前に期待していたのは後者のストーリーよりも前者の現実や危険性や対策についての科学的な分析や知見であった。そういう意 -
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1998年から5年間、中東特派員として数々のニュース報道に携わったオランダ人ジャーナリストによる「報道されない真実」を赤裸々に描き出した迫真のルポタージュ。
中東という複雑に入り組んだ歴史をもつ地域において「真実を知る」ことの難しさ、また同じ事象でも見る人の立場によって全く異なる「真実」が存在するという矛盾、さらには真実よりも虚実の方がニュースバリューが高いとみなされるジャーナリズムの構造的問題、そして何時の間にかそれらに「慣れてしまっている自分」への嫌悪感…悩み抜いた著者だからこそのユーモアを交えた語り口調に、圧倒的なリアリティを感じずにいられない。
もちろん、本書が書かれた2006年当 -
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2013年6月、香港にて本書の著者やその他数人に対し、
アメリカ合衆国NSA元職員のスノーデンが自身の良心に従って、
行きすぎたアメリカの監視体制に関する機密文書数万点を暴露したことは、
日本でも大ニュースになり、みなさんもご存じだと思います。
その機密文書の内容は、アメリカやイギリスの新聞社から記事として発信され、
スノーデンはモスクワに移動して逮捕を逃れ、
本書の著者であるグリーンウォルドも共犯者とみられる向きもあり、
ブラジルのリオデジャネイロに住んでいながらも、
アメリカに帰国した際には連行される危険性も否定できないらしいです。
そんな危険を冒してまで、
政府に屈せずに報道をしていく -
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