田口俊樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ邦題がセンスある。
これ、何で評価低いんだろうな。私は結構面白かった。
私はミステリに明るくないので、厳密に言えば違うのかも知れないけど…俗に言う"信頼できない語り手"ってこういうことかな。
何でそう思ったかと言うと、主人公のノーラの感情の起伏が激しいことや、強迫観念が強すぎて、何が本当かわからないんだよ。
ジャンルとしてはミステリだと思うんだけど、謎解きがメインじゃない。
客観的状況とか事実とか殆ど書かれてないし、メインはノーラが見聞きしたことや、心象や思考だと思う。
読んでいるうちに物語に引っ張られて、ざわざわした気持ちになってくるし、段々とノーラが薄ら怖く感じ -
Posted by ブクログ
ネタバレスウェーデン。少女失踪事件の有力な手掛かりを得て現場に踏み込んだべリエルたちだが,すでにそこには誰もいなかった。これは連続殺人事件なのか。当日撮影した写真の中に,あるヒントを見つけたが。
またも北欧ミステリ。森林が多くて寒くてという感じが不気味さを盛り上げております。冒頭から,べリエルが時計大好きぽいことがわかるのですが,タイトルの意味と,なぜべリエルがこの事件に執着しているのかと,途中でえっまさかそっち・・・と思いきや展開がまた二転三転するのとで,読んでいてちょっと疲れます笑 いや,面白いけど。
そして最後・・・事件解決のカタストロフィーは持たせつつも,最後・・・。
続きものだったのか・ -
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Posted by ブクログ
いつまでも語り継がれ、愛される私立探偵フィリップ・マーロー。またの名をハードボイルドの代名詞。卑しき街をゆく騎士道精神。作者チャンドラー亡き後、遺構を引き継いだロバート・B・パーカーの二作『プー
ドル・スプリングス物語』、『夢を見るかもしれない(文庫版で『おそらくは夢を』と改題)』、ベンジャミン・ブラックによる『長いお別れ』の続編『黒い瞳のブロンド』。そこまではマーローを如何に復活させるかを意図して書かれたもの。しかし本書は少し違う。
老いたマーローの活躍をえがく本書では、マーローは72歳。足を悪くし、杖を突く。一線から身を引いてメキシコに隠遁していたが、保険会社から詐欺の疑いのある事故 -
Posted by ブクログ
19世紀のアメリカ。奴隷解放運動は萌芽しているが、社会は苛烈だ。命の価値は軽く、人権は一部の権力者達のもので、普遍性はない。人権どころか、一部富裕層以外は人ですらない。
その頃、主人公の父親は詐欺師で、奴隷解放運動のためとしてだまし取った金を別の悪党に狙われ殺されてしまう。少年はだまし取った金を奴隷解放運動家に届ける旅に出るが、それは金を狙う悪党から逃げる旅でもあった。
自らが白い黒人として奴隷にされたり、悪党を撃ち殺したり・・・。少年が成年へ成長する過程で支払った対価は大きい。聡明な少年の視線を通して見る19世紀アメリカの風景が静かな筆致で描かれ、読み手の心も静かに満たされていく。