田口俊樹のレビュー一覧

  • 祖父の祈り

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    コロナ禍の影響が大きく反映されたディストピア小説。

    ディストピア物らしい大事件が起きそうで起きない、老人が過去を懐かしみながら退廃した世界を家族とサバイバルする日常を描いているのが独特。

    事件が起きそうな材料が出てもスルーするからモヤっとする。でもラストは良い。

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    2023年01月01日
  • WIN

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    人間関係の処理が見事。グレーな結末には思いが残る。ただ、彼女が救出されたときに、彼がメディア等でそれと気づかなかったのかという疑問が。

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    2022年12月28日
  • 業火の市

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    ときどきやってくる「翻訳も読んでみよう」という気分から。
    初めての作家さんでした。
    なんと続くんですね。
    たくさん人物がでてくるので巻頭の人物一覧と相関図はありがたかったです。
    主人公が嫌いではなかったので次巻も読んでみたいと思います。

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    2022年12月18日
  • カーテン

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    ネタバレ

    「これが私の最後の事件となるでしょう。そして、これまでで最も興味深い事件となるでしょう。なにしろこれまでで最も興味深い人物が犯人なのですから」

    ポアロシリーズ最終話にしてアガサ・クリスティーの遺作。
    あのポアロも老齢と病によりすっかり痩せこけて車椅子生活に。
    けれど事件の真犯人に立ち向かう情熱が消えることはない。長年の友・ヘイスティングズと共に次々にに起こる難事件の謎を解き明かす。

    これまでのシリーズと違い、全体的に物哀しさが漂う。いつもとは違うポアロの様子に終始ざわざわさせられた。
    仲間であるはずのヘイスティングズを翻弄したりたきつけたり、と手の内をなかなか明かさないポアロの言動により、

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    2022年11月14日
  • 八百万の死にざま

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    <酔いどれ探偵マット・スカダー>シリーズ初読み。シリーズ五作目にして最高傑作と謳われる作品らしい。御三家の作品を読んできた所為か、やたらと弱さを曝け出す<ネオ・ハードボイルド>世代の探偵たちに慣れ親しめなかったのだが、今作は流石にグッと来るものがあった。ミステリーとしては全く評価出来ないが、ハードボイルドの神髄が人生を描き出すことならば、ラストシーンの衝撃はひとしおだろう。チャンスやダーキンといった脇役の面々も実に良い味を出している。混沌渦巻くニューヨークにおよそそぐわないマットの不器用な生き様が沁みた。

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    2022年11月09日
  • 神は銃弾

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    このあいだ読んだウィンズロウの『失踪』も、さらわれた女の子を探すプロットは一緒だった。主人公コンビの凸凹ぶりはドラゴンタトゥー(1巻しか読んでいないけれど)みたい

    評判になったのも成程と思わせる出来だが、イマイチ乗り切れないところがある。悪役がなんとなくショボいせいだろうか

    南カリフォルニアの砂漠っぷりはこの物語にぴったり。マウント・ボルディの北側は本当に殺風景なんだよね

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    2022年10月30日
  • カーテン

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    ポアロ最後の事件であるせいか、他の話とは雰囲気が違うという印象を感じた。そもそも作中で起きていることもなんだかややこしく、実は裏でこういうことがあったのだ、と真実を語られても、すっきりした気分にはなれなかった。個人的には名探偵と犯人の在り方に色々と思うところがあるので、この解決方法は賛否両論あるのではないかと思っている。ただ、ポアロはヘイスティングズのために動いた一面もあると考えると、一概に悪いとは言えない気持ちにもなる。

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    2022年10月28日
  • 森から来た少年

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    タイトルと小学館文庫ということで、勝手に児童書だと思っていました。読み始めたらなかなかに大人な内容、というか、むしろ大人向け。
    私にとって翻訳ものは、独特のジョークや言い回しに読みにくさを感じることが多々あるのですが、本作はキャラクターも良くてサクサク読めました。

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    2022年10月09日
  • 神は銃弾

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    【あらすじ(背表紙より)】
    憤怒――それを糧に、ボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を連れ去った残虐なカルト集団を。やつらが生み出した地獄から生還した女を友に、憎悪と銃弾を手に…。鮮烈 私にして苛烈な文体が描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。発表と同時に作家・評論家の絶賛 を受けた、CWA新人賞受賞作。

     『音もなく少女は』で大ファンになったボストン・テランのデビュー長編です。”暴力の詩人”と呼ばれる謎多き著者によるカルト集団を題材にしたバイオレンス・ミステリー。山上容疑者が安倍元総理を銃撃した事件をきっかけに、そういえばカルト題材の小説を持っていたなと思い出し

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    2022年10月06日
  • 日々翻訳ざんげ

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    実は著者の翻訳した作品をほとんど読んだことがなかった。それでも本書は面白く、一気に読み終えた。たぶんその理由は、著者がやらかしたエピソードや失敗エピソードが惜しげもなく書かれており、こうしたエピソードが著者と読者の距離を一気に縮めてくれるからではないだろうか。もちろん翻訳にまつわるエピソードも興味深く、なんだか翻訳本に対して肩の力を抜いて接することができるようになった気がする。

    特に印象深いのは、原作者であるジョン・ル・カレにコンタクトをした際に怒らせてしまい、ダメージコントロール会議をエージェントや編集者と行ったという話。翻訳者でもこんなことあるんだなとか「ダメージコントロール」という言葉

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    2022年09月27日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

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    ポール・オースターが別名義で執筆した幻のデビュー作品。巧みな語りは正にオースターそのものだが、今作は王道の王道を行くド直球のハードボイルド私立探偵小説である。炸裂するワイズクラックに錯綜した人間関係、美女との逢瀬に裏社会のドンとの確執など、お約束を全て網羅した職人的な仕事ぶり。主人公の家族周りの設定も気が利いており、痒い所にも手が届く。強いて言うなら、上手過ぎて逆に特出すべき所が見当たらないのが欠点と言えるかも。<ニューヨーク三部作>は定型的な探偵小説に対する一種のアイロニーと捉えるのは流石に考え過ぎか。

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    2022年09月25日
  • 祖父の祈り

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    ネタバレ

    名前は知っていたけれど、初読みの作家。
    解説は北上次郎氏、訳は田口俊樹氏というキャストからして実力作家なのだろうけど、たぶん最初はこれじゃない方が良かったんだろうなと。

    パンデミック到来後の世界の未来を描いたディストピア小説。
    第一章の出だしは「おっ、かっこいい家族小説か?」とも思ったのだけれど、その後は主人公の老人家族以外ほとんど登場人物が出てこない。
    そしてインターネットはおろか、テレビ、新聞、口コミですら情報の流入がない世界を生きる物語。
    どこまで行っても息苦しく、希望が薄い。
    まぁ、こんな世界にしてはいけないという思いばかりは強く感じた。

    訳者あとがきで、主人公の老人のやさしさを称

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    2022年09月24日
  • 神は銃弾

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    この翻訳者、山の手育ちじゃねえの?パンクのボキャブラリーに「悪臭を放つ」なんて言葉はねえよ。ジャンキーが「道路脇の灌漑用水路」なんてニュースキャスターみたいな言葉使うか?それに「トチ女」ってなんだよ?造語?「トチ狂った女」?「大人になったとちおとめ」かと思ったぜ。こんなのググらせんなよ。極めつけは「ちん○こ」、これには流石のオレ様も笑っちまったぜ。「こ」がかわいすぎるんだよ「ぽ」で止めろよな。BiSH見習え。
    それに長い修飾語を逐語訳して「ゆるやかな水の動きの向こう側に射している一日の最後の陽の光」とか、クソ真面目かよ。"fuckin ○○"とか"goddamn

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    2022年09月22日
  • ランナウェイ

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    上手い。
    でも、殺し屋2人の話だけ違和感がある。
    その人を形造る居場所、信仰と家族について対比するために配置したのか?

    誰を主役視点で読むかで話の印象が違う。

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    2022年09月20日
  • その犬の歩むところ

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    2018年このミス海外編8位、本屋大賞翻訳小説部門3位。
    この作者の「神と銃弾」が読みにくかったのを思いだしてテンション下がったけど、今回はそれほどでもなかった。
    犬(ギブ)の一生が話の中心でいろいろな人と出会いながら流転の生涯を過ごす。出会った人たちがそれぞれ主役級で、その生き様が個性的かつドラマチックであり、ギブとの振れ合いが生き生きと描かれている。お話の流れが予想できず展開していき最後につながっていく構成もよい。
    犬に興味がない自分も楽しめた。
    ただ、少し文章が難解で読み進めるのが若干しんどかった。

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    2022年09月03日
  • 森から来た少年

    nao

    購入済み

    続編・映像化前提?

    話がテキパキ進むのと、前回のように人がバンバン死なないのは良かったかなー
    でも、主人公とその周辺の人たちが超人で、やる事全て上手くいくし
    タイムリミットがあっても、サクサク新事実が出てくるので「あと何分」とか出てきてもイマイチピンと来ず…
    結構な生い立ちの主人公が出てくるのに、浅ーい感じで終わったので、これは続編があったり、映像化を前提にしてるのかなーと思いました
    最近、そういう小説が多いですよねー

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    2022年08月20日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    北欧のミステリを続けて読むと同じ作家の本かと錯覚し、物語も錯綜してしまう。
    北欧の小説から独特の気候を感じる。日本の小説では一度も思った事がない。凄い!

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    2022年08月09日
  • ただの眠りを

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    ネタバレ

    タイトルだけで選んでしまったが、チャンドラーの作品ではなかったんですね。
    マーロウってこんなアクティブで打算的かなとも思ったけど、最後に会いに行った人が誰かわかるとなかなか人情味がある。

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    2022年07月23日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    人間の言語を介さないコミュニケーションやプレッシャーの掛け合いのままならなさと抗い難い魅力、思い込みと自意識によって失敗する人間が表現されている。
    登場人物たちの多くは常識人で突然、極限状態に放り込まれるが、彼らの思考や動揺はタイトル通り、私たちに似ているのが面白い。
    「極限状態でその人の本性が現れる」というが、ダールは人間の本性というものが、案外似通っているということに気がついていたのかもしれない。

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    2022年07月22日
  • ランナウェイ

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    ネタバレ

    KL 2022.6.2-2022.6.6
    麻薬中毒になって行方不明になった大学生の娘を捜す父親。娘を麻薬中毒にしたろくでなしのボーイフレンドが殺されて、夫婦で捜しに行った先で母親は撃たれて昏睡状態へ。そこから話はどんどん複雑になって、私立探偵や殺し屋がからみ、どうなっていくのかと思ったけど、最後にはちゃんと繋がって伏線回収。ただ、意外な結末で、個人的にはあまり好きな展開ではないな。私立探偵のエレナが殺されてしまったのは残念。

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    2022年06月06日