田口俊樹のレビュー一覧
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作品紹介・あらすじ
植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは? 小説自動作製機は何を成し遂げるのか?教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は?……短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。従来未収録だった短篇2作を新たに加えた新訳決定版 【収録作品】 サウンドマシン/満たされた人生に最後の別れを/偉大なる自動文章製造機/クロードの犬/ 〔特別収録〕ああ生命の妙なる神秘よ/廃墟にて
第1集を読んだ時の感想で「ダークで毒の強い作品は好きな方なのだけれど、この人の毒は僕の体には合わなかった。第2集も手元にあるので、とりあえずそちらも読んでみようかと思う。もしかしたらそちらの毒は体に合うかも」と書いたのだけれど、結局この第2集も体には合わなかった。僕の好きな作家ではない。ただ最後の「廃墟にて」だけは別。たった2頁だけの短い作品なのだけれど、悲惨な情景がくっきりと瞼に浮かんでくるような、ダークなディストピア作品だった。願わくば現実にならないことを祈って。 -
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作品紹介・あらすじ
ワインの銘柄を当てる大博打の結末は? 夫殺しの凶器の行方は? ラスト一行に襲いかかるショックとは? 常軌を逸した賭けの行方や常識人に突然忍び寄る非常識な出来事など、短篇の名手が残酷かつ繊細に描く11篇を、すべて新訳で収録!
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うーん……。
読む人によっては凄く面白いのだろうな、とは容易に想像できる。
インパクトはあるし、最後までスススと読み進めさせる推進力もあると思う。
でも僕との相性は悪いみたい。
ブラックユーモアなのだろうか……それにしてはユーモアの欠片もないように思える。
ダークで毒の強い作品は好きな方なのだけれど、この人の毒は僕の体には合わなかった。
毒が体に合わないってのも変な表現だけれど。
第2集も手元にあるので、とりあえずそちらも読んでみようかと思う。
もしかしたらそちらの毒は体に合うかも。 -
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ネタバレいっちばん最後の最後でうわぁ〜って声が出てしまった。あぁああ。こわぁ〜。。
他の方のレビュー見たら、どうやらシリーズは5作出ていて、そのうち2作目までは翻訳されることが決まってるらしい。
アレックス読んだ時も思ったが…翻訳モノは苦手かもしれないなぁ。というか、ジェフェリーアーチャーとかスティーブンキングとか、ほとんどアメリカの作家さんしか読んでないからかも…アガサクリスティは読んだけど、数十年前で昔の訳って感じあるし。
あ、そもそも非英語→英語→日本語 って訳されてるのね。え、これどういう意味?みたいなことが多々あってなかなか読み進むのに骨が折れた…
ベリエルが何を感じて何を考えているのか?
主人公の過去や感情が伏せられたままで話が進むパターンはたくさんあるけれど、それが作者の意図なのか、私が文章読みきれてないからなのか、掴みかねたままだった。。
前半もしかして犯人はベリエルの過去絡み?と思っていたら、怪しかった女が実は子供の頃の同窓生ででも公安警察で、でもさらにもう一枚あったのが、個人と組織の力の違いが見せつけられてよかった。
タイトルの「時計仕掛け」はどういうことなのかな?英題「Watching You」。えええ?って感じ。それってヴィリアムが、ベリエルを、てこと?タイトル知ってたら読んだ感じもまた違ったかも。
でも前半と後半で展開が変わった後も、ベリエルの性格パターンが今ひとつわからないのでなかなか感情移入できなかったんだよな…
前半の歯車や、ベリエルの不安定さや、ちょいちょい挟まってる何かの過去の記憶?、後半は違う意味での不安(誰が敵か?)、全体的に不安要素がいっぱいで、最後に彼が死んでも何も明確にならず(文字通り、何も!明確には)
モヤモヤが続いたままラストでアレ。。。。
やっぱりコレ、ちょうどこの間まで見てたエルピスで、関係者が口封じに殺されるアレかな??っていう。。。
でもラストのあれのおかげで続きが読みたくなった。ISとかイスラムとか出てきてたし、なんか壮大な話になるのかな… -
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ネタバレ「これが私の最後の事件となるでしょう。そして、これまでで最も興味深い事件となるでしょう。なにしろこれまでで最も興味深い人物が犯人なのですから」
ポアロシリーズ最終話にしてアガサ・クリスティーの遺作。
あのポアロも老齢と病によりすっかり痩せこけて車椅子生活に。
けれど事件の真犯人に立ち向かう情熱が消えることはない。長年の友・ヘイスティングズと共に次々にに起こる難事件の謎を解き明かす。
これまでのシリーズと違い、全体的に物哀しさが漂う。いつもとは違うポアロの様子に終始ざわざわさせられた。
仲間であるはずのヘイスティングズを翻弄したりたきつけたり、と手の内をなかなか明かさないポアロの言動により、ますます物語全体が不穏な空気に包まれていく。
そしてこのラスト。ポアロの人生最後の事件は淋しい余韻がずっと残るものだった。もっと別の方法はなかったのだろうか、とポアロの最後の決断には悔やんでも悔やみきれない。
「殺人者になる素質は誰にでもある」
ポアロの遺言のようなこの言葉を胸に刻む。
山田正紀さんの解説にもグッときた。 -
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【あらすじ(背表紙より)】
憤怒――それを糧に、ボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を連れ去った残虐なカルト集団を。やつらが生み出した地獄から生還した女を友に、憎悪と銃弾を手に…。鮮烈 私にして苛烈な文体が描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。発表と同時に作家・評論家の絶賛 を受けた、CWA新人賞受賞作。
『音もなく少女は』で大ファンになったボストン・テランのデビュー長編です。”暴力の詩人”と呼ばれる謎多き著者によるカルト集団を題材にしたバイオレンス・ミステリー。山上容疑者が安倍元総理を銃撃した事件をきっかけに、そういえばカルト題材の小説を持っていたなと思い出して、積んでいた本棚から引っ張り出して読みました。
全編カリフォルニアの砂漠を舞台にしていてその描写が第一の鑑賞ポイントだと思います。映画『ファーナス』や『MUD』などでも描かれているような貧しい田舎のアメリカです。決して行儀の良くない合衆国市民=犯罪者達の活き活きとした蠢き。そして犠牲者家族でもある主人公の一人ボブ・ハイタワー保安官の鬱屈と、職業人そして父親としての奮起が第二の鑑賞ポイントでしょう。前半に「おそらく彼が主人公なのだろう」と読者に示され舞台に引っ張り出されながらもどうにも情けないグズグズな性格付けで描かれる伏線が本当に良く出来ています。保安官の上司と反目してまで自主捜査に乗り出したものの腰の引けたところのある主人公ボブの心理描写はその後の相棒ケイスとの問答に説得力を持たせる大事な設定でした。さらに彼がカソリック白人男性であることで相棒ケイスに対して無自覚に差別的な言動をとっていることを描写することもこの作品では非常に重要な要素であります。
そして私が思うに本作の最大の鑑賞ポイントはヒロインであるケイスのキャラクターです。保安官ボブのバディ役をつとめるのは薬物依存のリハビリ施設から出てきた「脱会者」の女性です。なんと彼女はボブの元妻を殺し、娘を誘拐したカルト集団にもともと属していた女性なのです。保安官と元薬物常習者のカルト脱会者がバディを組む!導入部ではずいぶんと危なっかしい不安定さで描かれるケイスですが、ボブの娘を探す旅に出てからは徐々にそのタフさと魅力を読者に見せつけ始めます。
” 耐久性に加味されるリヴォルヴァーの美しさは、扱いの簡単さにある。彼女はシリンダーを回転させる。引き金も撃鉄もスムーズに動いているのがボブのところからもわかる。
が、何よりボブの眼にとまったのは彼女の手と指だ。リヴォルヴァーの美しささえ色褪せそうなほど、銃に触れる彼女の手つきは優雅で見事だ。顔にも緊張はうかがえない。筋肉も張りつめていない。まるで禅道場から出てきたばかりの人のように落ち着き払っている。
(中略)
彼女の動きにはある種の生々しさがある。手と武器の機械的な動きがいつのまにか詩的な舞踏のように見えてくる。太陽に照らされ、彼女は汗をかいている。腋の下に汗をかいている。彼女の汗に銃までいつしか濡れているかのように見えはじめる。ボブには何もかも免疫のないことだ。”立入禁止”と書かれたドアが一瞬開き、またすぐ閉じるまえにその中の何かを見て、何かを感じたような......そんな気がする。(P.152)”
中略した部分には銃のギミックに関する緻密な描写があって、それはそれで大変魅力的な部分ではあるのですが、私はここの過剰に蠱惑的であったり性的イメージに引き寄せ過ぎないケイスの描写が大好きです。ボブと、そして作者の「節度」が感じられるのです。その「節度」は作品を通してボブとケイスの関係性に一本筋を通しています。ドラックとレイプと暴力に溢れたこの作品で、主人公たちが主人公たり得るのは正義感や義侠心ではなく、この節度にあるのではないかとさえ感じます。敵役であるカルトのボス、サイラスの狂気や、ボブとケイスの協力者でもある彫師のぶっ飛びキャラもそれぞれがとても魅力的であるので、その線引きとして倫理観や規範意識ではなく「節度」・・・いや、お互いに対する敬意と言ったほうがよいかもしれませんが、言外にほのめかされるそういった美徳を採用しているのでしょう。それをもってしてようやく読者はボブとケイスに感情移入できます。それだけこの作品の世界は苛烈で暴力的です。主人公のボブでさえ差別意識や猜疑心にゆらゆらと思考を揺さぶられ決して善人には見えない瞬間もある。ケイスにいたっては来し方があまりにも犯罪的で素直にヒロイン的な行動原理が飲み込めない。そのどちらも作者の計算づくの造形であるのですが。
徹底的に荒廃した情景、容赦ない暴力の中に突然差し込まれる静謐で怜悧な思索。私はこれがボストン・テランの作風の一番の魅力だと考えています。そしてケイスは「脱会」の過程で、薬物依存からの回復の過程で、書物を味方にできたために作者の問いかけの代弁者たり得る知性を備えました。
”正しくあること、それは悲しみ以外の何物でもない。そして、悲しみそのものがもはや彼女には邪悪なものになっている。だから、意識しないことだ。ただやってみることだ。それこそわれわれが人生と呼ぶ暗い創造物のすべてではないか。死をもって正せない正しさなどありはしない。(P.150)”
ケイスは、ピエール・ルメートル 『その女アレックス』のアレックスに並ぶくらい、私の大好きなキャラクターになりました。
最後に蛇足にはなりますが、作者も意図せずして日本のニュースや世相をえぐる一節がありますので、そちらを紹介して終わりにします。
”「狂ってることにまちがいはないけど、彼にも動機はある。だからあたしは思うんだよ、彼があの家にはいったのには何かわけがあるって。何もなくてあんたの......その、子供をわざわざ連れてったりはしないはずだって。彼は精神異常者じゃない。そんなふうに見ると、まちがっちゃう。彼の宗教は、すべての宗教がそうであるように、とても政治的なものさ」
「政治的?」
「あたしが欲しいもの対あんたが欲しいものという政治の力学」
(P.210)” -
Posted by ブクログ
実は著者の翻訳した作品をほとんど読んだことがなかった。それでも本書は面白く、一気に読み終えた。たぶんその理由は、著者がやらかしたエピソードや失敗エピソードが惜しげもなく書かれており、こうしたエピソードが著者と読者の距離を一気に縮めてくれるからではないだろうか。もちろん翻訳にまつわるエピソードも興味深く、なんだか翻訳本に対して肩の力を抜いて接することができるようになった気がする。
特に印象深いのは、原作者であるジョン・ル・カレにコンタクトをした際に怒らせてしまい、ダメージコントロール会議をエージェントや編集者と行ったという話。翻訳者でもこんなことあるんだなとか「ダメージコントロール」という言葉を使っているところに、なんだか翻訳者の存在がぐっと身近になった気がした。 -
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ネタバレ名前は知っていたけれど、初読みの作家。
解説は北上次郎氏、訳は田口俊樹氏というキャストからして実力作家なのだろうけど、たぶん最初はこれじゃない方が良かったんだろうなと。
パンデミック到来後の世界の未来を描いたディストピア小説。
第一章の出だしは「おっ、かっこいい家族小説か?」とも思ったのだけれど、その後は主人公の老人家族以外ほとんど登場人物が出てこない。
そしてインターネットはおろか、テレビ、新聞、口コミですら情報の流入がない世界を生きる物語。
どこまで行っても息苦しく、希望が薄い。
まぁ、こんな世界にしてはいけないという思いばかりは強く感じた。
訳者あとがきで、主人公の老人のやさしさを称えて、”やさしくなれないようじゃ、私など息をしている値打ちもなくなる”と、かのハードボイルドのレジェンドも言っていた、と引用を用いるが、「ん?これって彼のセリフだと思うけどなんか違和感」
と思ったら最近創元推理文庫で出た新訳は田口俊樹氏だたのですね、納得。(ひっそりと宣伝が含まれていて笑)