田口俊樹のレビュー一覧
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海外ミステリー翻訳家の道を歩んできた著者が、その40年にわたる翻訳家人生を振り返りながら、翻訳の在り方についての考察、「は」と「が」の使い分け、主語の訳し方、現在形文の表現方法といった翻訳技術についての留意点、自らの誤訳を晒しての反省、そして原作者とのやり取りに関する舞台裏などを綴ったものである。
今であればインターネット検索で分かりそうなものについて、とんでもない訳をしてしまったところなどを読むと、時代を感じさせられる。
ジョン・ル・カレに不用意なメールを送ってしまい機嫌を損ねた話など、著者には申し訳ないが笑ってしまった。
チャンドラー『待っている』には、名だたる翻訳者の既訳があ -
Posted by ブクログ
【感想】
この本を読んでいるとき、通信傍受に関する事件が日本国内でも発生していた。
LINE株式会社が自社のサーバーを中国に置いており、LINEに登録されている日本人の個人情報やプライベートな会話を、システム管理を委託していた中国企業の技術者が閲覧可能な状態にあった。その後同社は中国からのアクセスを完全に遮断し、サーバーを日本国内に移すことを発表している。
このニュースを見て、私は、「今さらなんだ」という感想を抱いてしまった。LINEが個人情報を外国に流していることなど周知の事実であり、それを割り切りながらサービスを使っていたのではなかったのか、と考えてしまったのである。
そして同時に、 -
Posted by ブクログ
二〇〇三年六月八日、第二次世界大戦の英雄カール・オスカー・クローグの死体が自宅で発見された。ノルウェー貿易相まで登り詰めた老人は鳥のくちばしにつつかれたように切り刻まれ、犯人に強い殺意があったのは明らかだ。だが、手掛かりは凶器―ナチスの鉤十字が刻まれたナイフしかない。警察本部では犯人像を見いだせず、捜査は行き詰まってしまう。そんな中、トミー・バーグマン刑事は二週間前に発見された三体の白骨死体との関連性を見出す。戦時中に殺された三人は、親ナチ派のノルウェー人実業家グスタフ・ランテの娘のセシリア、婚約者のアグネス・ガーナーとメイドだった。彼女たちはグスタフの近親者ゆえにグローグらレジスタンスの標的
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