田口俊樹のレビュー一覧

  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「心配するな、友よ。きみを死なせはしない」
    まだ十七だった。愚かだった。だから彼を信じた。

    ナチス包囲下のレニングラード。ドイツ兵の死体からナイフを盗んで捕まったレフは、脱走兵コーリャとともに大佐の娘のために卵の調達を命じられる。
    美形で饒舌なコーリャと、神経質なレフのコンビが面白いものの、あまりにも下ネタが多すぎるのと、17歳主人公の一人称が“わし”なのが気になる。パルチザンと行動を共にしてドイツ兵に捕まる展開はわくわくしたし、卵も無事手に入れたけど、コーリャとの別れがあっさりしていて残念。もう会えないと思っていたヴィカと再会し、冒頭に出てくるパワフルな祖母だとわかるラストはとても良い。

    0
    2023年10月14日
  • その昔、ハリウッドで

    Posted by ブクログ

    映画のシーンを思い浮かべながら読めました。映画にはなかったシーンや心の中の描写など、表現が豊かで面白く読み進められた。映画の知識に関する話題がとても長く、それはちょっとついていけなかった。

    0
    2023年09月02日
  • 月明かりの闇 フェル博士最後の事件

    Posted by ブクログ

    2013/7 初読時のメモより

    解決部分を読んでも、トリックの所が今ひとつピンと来ない。ほかのカー作品にも言える事だが、見取り図があると親切(原作からして、無かったのだろうけど)。

    0
    2023年09月02日
  • 来訪者〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    59点:「もう、オズワルドったら、いい加減にして!」女性たちは眼を輝かせながらそう叫ぶのだった。

     遺産として受け取ったオズワルド叔父さんの日記を厳選して出版したという態で、ひょっとしたら自叙伝の大傑作なのではとハードルをめちゃくちゃ高くした上で披露される小話。
     それぞれのオチはまあおもしろいけど、それ以上にオズワルド自身がおもしろいのでぐいぐい読んでいける。女性観は正直ひどいので、こんなの書いたら怒られるよと思いながら読み進めるけど、まあホラ話ということで許されるのか、な。

    0
    2023年08月28日
  • ブラウン神父の無垢なる事件簿

    Posted by ブクログ

    読めました!
    以前この本を紹介されたものを読んだ時、順番に読むことと書いてあり、守りました。それは正解でした。フランボーというサブキャラのことを考えると…キャラ転換が、激しい…(フランボーのファーストネームはエルキュール…)
    さらに、1話目に出てくるヴァランタンという警視総監が、2話目でえっ⁉と…びっくりですよ…

    12話収録。(順不同…)
    サラディン公爵の罪 がちょっと好きかな。
    まちがった形 というのは、なんだかアガサのある有名な話を思い出しました。
    アポロの眼 もひどい話…罪が2重じかけ… 
    折れた剣の看板 名誉とか名声とか。さらにそれを崇める人たちとか…ことわざと思っていたあるフレーズ

    0
    2023年08月14日
  • 最後の巡礼者 上

    Posted by ブクログ

     ノルウェーというあまりなじみない国の物語。現代である2003年に森で昔々の死体が発見される。そして物語はそれと並行して、1942年の第二次政界大戦のさなかに起きた殺人事件も進んでいく。60年も前の事件が関係しているとすれば、それを解き明かすことができるのか。登場人物が多くて混乱しやすい。そして何よりも、第二次世界大戦のときにノルウェーとドイツナチスとの関係をある程度知っていないと物語の把握は難しいように思う。はらはらとしてどんどんと読み進めることができる、とい本ではなかった。

    0
    2023年08月08日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    デビュー前のロアルド・ダールのも含めた短編集。ゾワッとした話や切ない話など、、、
    「彼らは年をとらない」が好きだった。

    0
    2023年08月07日
  • 娘を呑んだ道

    Posted by ブクログ

    スェーデン北部の村で起こった失踪事件。娘を失った父親が執念の捜索を続ける。森や湖の美しい描写、人間心理への深い探究と、残酷な犯罪、、、スェーデンミステリーの読み応えある一冊。

    0
    2023年07月29日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    オシャレだと思った
    マックス・クラインのキャラクター性がすごく良い
    私がクラインだったら、燃え尽き症候群になりそう

    0
    2023年06月21日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

    Posted by ブクログ

    ブラックでシニカルな雰囲気が漂う短編集。
    ハッキリとオチを明言しない話も多く、それがこの奇妙な味に繋がってると思う

    0
    2023年05月13日
  • 最後の巡礼者 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この小説、ノルウェー、北欧で、有名な賞を3つも取った、とあったので読んでみた。警察物で、ミステリーの要素がありながらのサスペンス小説。上巻を読み終わった後、ちょっと時間を置いて下巻を読み始めた。時間を置いたのは、私だけかもしれないが、読み辛くて疲れると思ったから。こういったカタカナが頻繁に出てくる外国の小説は、人名も地名も馴染みが無い上、その国の人なら知っている、或いは知らなくても何となく分かるであろう地理的な事や歴史、文化、そして習慣などが、私にはよく分からない事の方が多い。そう言った読み辛さはあるものの、小説自体は結構面白く読ませてもらった。話は、2003年の主人公であるバーグマンの行動と

    0
    2023年05月04日
  • もつれ

    Posted by ブクログ

    「怒り」は結構感触良かったので期待してみたが、これはどうも。。。事件が起こってその関係者がセラピーに通っていたとのことだが、そのセラピー仲間とセラピーの内容や効能なんかの比重が多く、本来この作者は物を書く能力がすごくあるので、描写が必要以上に自分にはしんどく、永らく翻訳されなかった理由はやっぱりあるんだなーと。実際壮年男性はこんなもんだろうが、奥さんにはそこそこ性的魅力を感じていながらも、物足りなさを感じており、女性全て(容姿良さのみ対象)との妄想に耽る様子も、読むうえで疲れる要因。

    0
    2023年04月08日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

    Posted by ブクログ



    祖父の戦時中の体験を取材し回想として語られる。
    第二次世界大戦の戦時下。
    ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた17歳の頃の祖父。

    ことの発端はある日、撃墜されたドイツ爆撃機から落下傘で脱出したドイツ兵が落ちてくるのを発見する。
    しかし、ドイツ兵は既に死んでいた。
    そのドイツ兵が身に付けているものを漁っているとソ連軍に捕まる。

    秘密警察の大佐に呼び出されると、翌週に控えた娘の結婚式で作るウェディングケーキを作るために卵が足りないという。

    飢餓が続く状況下で卵を探す旅が始まると。

    戦時中の狂った地獄の描写が実に惨たらしいが、陰鬱さよりも淡々とした印象が強い。
    戦争の愚かさが行間か

    0
    2023年04月02日
  • スクイズ・プレー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    著名な元大リーガーからの依頼で、脅迫者を追う私立探偵を主人公にしたハードボイルド。人物描写も良いし、なかなか巧みに書かれてはいると思うが、どうしてもその前日に読んだ「真珠湾の冬」作品と比べてしまうので辛口の☆になった。

    0
    2023年02月13日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

    Posted by ブクログ

    作品紹介・あらすじ

    植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは? 小説自動作製機は何を成し遂げるのか?教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は?……短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。従来未収録だった短篇2作を新たに加えた新訳決定版 【収録作品】 サウンドマシン/満たされた人生に最後の別れを/偉大なる自動文章製造機/クロードの犬/ 〔特別収録〕ああ生命の妙なる神秘よ/廃墟にて

    第1集を読んだ時の感想で「ダークで毒の強い作品は好きな方なのだけれど、この人の毒は僕の体には合わなかった。第2集も手元にあるので、

    0
    2023年01月31日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 I

    Posted by ブクログ

    作品紹介・あらすじ

    ワインの銘柄を当てる大博打の結末は? 夫殺しの凶器の行方は? ラスト一行に襲いかかるショックとは? 常軌を逸した賭けの行方や常識人に突然忍び寄る非常識な出来事など、短篇の名手が残酷かつ繊細に描く11篇を、すべて新訳で収録!

    *****

    うーん……。
    読む人によっては凄く面白いのだろうな、とは容易に想像できる。
    インパクトはあるし、最後までスススと読み進めさせる推進力もあると思う。
    でも僕との相性は悪いみたい。
    ブラックユーモアなのだろうか……それにしてはユーモアの欠片もないように思える。
    ダークで毒の強い作品は好きな方なのだけれど、この人の毒は僕の体には合わなかった。

    0
    2023年01月28日
  • 長い別れ

    Posted by ブクログ

    客観的かつ簡素な文体の作品がこれほどドライに感じるなんて、読むまで分からなかった。
    探偵モノだけれど友情に主軸を置いたストーリー。
    感情移入できるような場面でも傍観者の立場で眺めている気分になる。
    その反動か、“別れを告げるということは、ほんの少し死ぬことだ。”の一文がとてつもなく感傷的に思えた。

    0
    2023年01月25日
  • 最後の巡礼者 下

    Posted by ブクログ

    過去編は組織の思惑に翻弄されるアグネスと彼女を巡る男達の命運、現代編はバーグマンとヴァルトホルストの対峙など見所も多く、捜査の過程を丹念に描く警察小説の面白さ、そして蓋を開けたら意外とオーソドックスな筋書きも相まって、十分読ませる作品ではあったが、如何せん人間ドラマの書き込みが浅く、真相が明かされる終盤がいまいち盛り上がらず、上巻で積み上げた重厚感が薄れてしまった。犯人が敢えてヒントを差し出す動機にも説得力のある理由付けが欲しいところ。ピルグリムの心変わりをしっかり描いていたら印象はまた違ったのだけれど。

    0
    2023年01月04日
  • 最後の巡礼者 上

    Posted by ブクログ

    <ガラスの鍵賞>を含む北欧のミステリー賞三冠に輝いた作品で、ノルウェー人作家としては初の快挙らしい。大戦の英雄が惨殺された事件を追う現代編と大戦下の諜報活動を描く過去編が交互に展開する警察小説とスパイ小説の合体作品といった趣。読者が戦時中の諾独瑞英の関係性について当然予備知識がある前提で話が進むので、読み進めるのに少々骨が折れた。過去編の語り手・アグネスが諜報員を志した経緯が些か不明瞭で、今ひとつ乗り切れない部分もあるが、惨殺事件の動機には戦時下における複雑な事情が絡んでいそうで、続きが気になる。下巻へ。

    0
    2023年01月04日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いっちばん最後の最後でうわぁ〜って声が出てしまった。あぁああ。こわぁ〜。。

    他の方のレビュー見たら、どうやらシリーズは5作出ていて、そのうち2作目までは翻訳されることが決まってるらしい。

    アレックス読んだ時も思ったが…翻訳モノは苦手かもしれないなぁ。というか、ジェフェリーアーチャーとかスティーブンキングとか、ほとんどアメリカの作家さんしか読んでないからかも…アガサクリスティは読んだけど、数十年前で昔の訳って感じあるし。
    あ、そもそも非英語→英語→日本語 って訳されてるのね。え、これどういう意味?みたいなことが多々あってなかなか読み進むのに骨が折れた…

    ベリエルが何を感じて何を考えているの

    0
    2023年01月04日