【感想・ネタバレ】ダ・フォース 下のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 夏休みは伊吹山2合目にある、ロッジ山へ。

 天気が悪く、外には出歩けなかったが、眼前に拡がる琵琶湖をテラスから眺め、終日本書を読んでいた。コーヒーを飲むこと、本を読むこと以外が無い、良い休日でした。

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2022年08月21日

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重厚が半端ない上巻に比べ下巻は、マローンの進退がきになってほぼ一気読み。
ニュヨークを愛し警官という仕事を愛し、一緒に働く仲間を家族を愛している、悪徳ヒーロー警官マローン。
綺麗事では済まさせない腐敗しきった現実を生き抜く汚職警官マローン。巷には正義など何処にも無く、誰もが権力や富を欲しがり、そして悪に落ち犯罪に手を染める。それでも…人種差別、ドラック、銃、ドアの向こうには死が待っているかもしれない町で、身体を張り住民を守る警察官一人一人への敬意が感じられる。

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2019年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

汚職警官の自滅していく過程かと思いきや……最後まで目が離せなくなりました。
汚れながらも街を守る警察官への敬意が、この作品を単なるクライムノヴェルでない、奥の深いものにしています。
もう、圧巻と言うしかない警察小説です。

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2018年12月08日

Posted by ブクログ

汚れた刑事の落ち着く先は、一つですね。

汚れきったとは言えども、どこかに刑事と言う意識はあるし、かといって、以前の様な汚れていない刑事でもなく見方も居ない。結果については、因果応報と言う言葉だけで語るのも、面白くない気がします。

いやぁ、それでも、汚れた警官って、西部劇の話かと思っていましたが、今でも小説になるほど居るのか・・・。って言うか、日本でもいるかもしれないので、あまり他人の事は言えないか。

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2018年08月05日

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仲間を売ったネズミにまで堕ちたニューヨーク市警特捜部「ダ・フォース」のマローン刑事部長。ダーティなお巡りがどこまで堕ちていくのか、人は自分のためにどこまで他人を犠牲にできるのかが問われているかのようだ。

最初はマローンの意志だったかもしれない、それがいつの間にか自分では制御できなくなるまで深刻になる。悪いことはできないなあと思う反面、現場では綺麗事だけですまないことも事実。それは自分達の身の回りで起こっていることからも分かるだろう。マーロンは最終的に正義を貫いたと思う。彼なりの正義だけれども。

クライマックスは、そのまま映画の脚本になりそうで、カット割りやBGMまで聞こえそうなくらい芸術的だった。

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2018年07月18日

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ネタバレ

自業自得と言ってしまえばそうなのだけれど、それだけではない物語がここにはある。ニューヨークという街を守るために現場に出て活動する刑事たちの危険で命がけの毎日。失望、裏切り、怒り。その全てが降りかかった時のマローンの感情には圧倒され、自業自得とは思いつつ悲しくなり胸が詰まる。司法の腐敗への怒り。そして仲間、家族との別れ。命がけで街を市民を守ってきた男の誇り。何もかも失った男の叫び。圧巻の物語。

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2018年04月12日

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人種差別による暴動が小説の中で起こり、現実にアメリカで暴動が発生し、ちょっとこのシンクロ感は不思議な感じがした。
報道されている内容に捕捉するようにこの小説の内容が思い浮かぶ。
警察にも殉職者は多くいて、白人以外の人種もいて、街にはドラッグと銃があふれ。

この物語からは、緊迫した世界でギリギリの精神状態のまま毎日をやりくりする人物が見事に描かれている。

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2020年06月14日

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ダーティヒーローを書かせたら、
この人の筆力に勝るものはないなぁ。

裏切り者として追い込まれていく主人公。
市警本部長、警部、判事、弁護士、そして市長。
誰もが、金と保身のために他人を蹴落とす。
ニューヨーク市警はカルテルだ、と言い切るマローン刑事部長。
正義と悪は、人を裁く剣の表裏。

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2020年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

等身大の登場人物たちが、正義の境界線を徐々に超え、戻れなくなる。

俺たちはやってる。平和に貢献している。
毎日命を張り、悪いやつらを刑務所に送り込んでいる。
だから、多少のことは、少しぐらいの小遣い稼ぎぐらいはいいだろう。
家族のためだから。

一線を超えると次は正義ではなく家族のためになる。
して元に戻れなくなり、何でもやるようになる。
本来であれば正義のために行わなければならない行為も。。

警官としてかっこよく生きたかったのに。
正義のために命を張っているからこそ超えてしまう境界線。

主人公デニーを通し人の弱さと正義について叙事詩のように歌い上げるウィンズロウの手腕に脱帽。

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2019年03月09日

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ネタバレ

”ネズミ”となり追い込まれて行く、主人公。
ここから冒頭の牢屋のシーンに辿り着くのかと思いきや、話はドンドン加速していく。
”汚れた”代償として次々に命を狙われ、利用される主人公が周り全てを巻き込みながら疾走する熱いドラマは圧巻で、下巻は一気に読み終わる迫力だった。

が、やはりいくら主人公の論理では正義であっても、既に一線を何歩も超えた正義は肯定できず、それが読後感に響いている。

しかし、ドン・ウィンズロウの筆力は衰えるどころかますます熱くなってくる。「カルテル」以降、「報復」「失踪」と少し軽めだったがここに来て本領発揮。
しかも「カルテル」の続編もあるらしい!

何より、リドリー・スコットで「犬の力」「カルテル」が映画化もあるらしい。楽しみ!
(マイケル・マンで撮って欲しかった気もするが)

今作も映画にすれば、優秀な監督であれば相当な傑作になりそう。このジャンルでは「セルピコ」や「プリンス・オブ・シティ」などもあるしね。

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2018年11月17日

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なんとか現状から抜け出そうと、もがき続けるマローンに、更なる圧力をかける連邦検事とFBI。
本来なら保護されなければならないマローンの供述調書が、何者かによってギャングに流され、四方八方から追い詰められる。

上巻から続く緊張感に読んでいて脳が酸欠になりそう。
行きつく先は見えているのだから、いっそひと思いにやってくれー!とマローンの代わり叫びたくなる。

ベストな終わり方だったと思う。
願わくば最後の会合に出席したすべてのメンバーが彼以上の苦しみを味わいますように・・・。
そしてナスティ・アスが安らかに眠れますように。

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2018年10月18日

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作者は警察関係者に綿密に取材しているようなので、本書の内容は相当程度現実を反映していると思われるが、正義というか治安維持を実現するために悪徳に手を染めなければならないというのが現実だとすれば、かなり絶望的状況ということになるが、多分にウィンズロウ的世界ということなのか。

とはいえ人は絶望的な現実から目を背けつつ、一方で現実と折り合いを付けながら生きていくしかないのだが。

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2018年09月18日

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現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻薬に関わる者は全て死する運命にあるという暗鬱なる黙示録。現在進行形の鋭利な文体を駆使して生々しい諸悪を抉り出した現代ノワールの境地。どの作品もページを捲る手が白い粉と紅い血に染まっていくような錯覚に陥ったほどだ。現時点での最終作「ザ・ボーダー」に取り掛かる前に構想した本作は、馴染みの〝ウインズロウ節〟が炸裂する犯罪小説の延長線上にあるが、根幹に麻薬戦争を置いており、三部作を補完する作品といっていい。

「ダ・フォース」では、米国/麻薬取締局(DEA)とメキシコ/カルテルは登場しない。フォーマットは悪徳警官物だ。舞台はニューヨーク。物語は、ここから一歩も離れることはない。それだけに分厚い。富裕/貧困という歴然とした格差社会保持の潤滑油としても機能/蔓延する麻薬。吹き荒れる暴力の嵐。ウィンズロウは、通り名や店名などの固有名詞を執拗に列挙してリアリティを高め、汚れた街に生きる者どもの生態を克明に描写する。

主人公はNY市警マンハッタン・ノース特捜部(通称〝ダ・フォース〟)部長刑事デニス・マローン。叩き上げの刑事で、荒々しく狡猾。不条理な犯罪を憎みつつも、男を突き動かすのは、徹底して打算的なエゴイズムだ。そのために小さな綻びから破滅を招くこととなる。マローンは、冒頭で既に何もかも失った男として姿を現す。つまり長大な本篇は、男がいかにして転落の道を辿ったのかという記録なのである。

この街を浄化したいというマローンの理想/清廉さは、ニューヨーク最下層の現実を前に脆くも崩れ去り、体内から腐り切る利己主義へと変転する。焦燥と居直り。私利私欲を貪り、掴んだ権力を過信した果てに堕ちてゆく泥沼。すべては偽善と虚構であった、とマローンが気付く時には、何もかもが手遅れになっている。

本作で特に印象に残るのは、独善的な正義と悪を主人公と共有し、常に行動を共にする「マローン班」各々の関わり方だ。そこには仲間意識よりも、おれたちの縄張り/特権を守るためには不正/暴力を辞さないという閉鎖的で排他的な帰属意識がある。平然と大物麻薬ディーラーを殺し、莫大なカネに代わるヘロインを掠め取り、懐に捩り込む。共犯関係にあるマローン一味は、限界を超えた傲慢に起因する事件を機に崩壊し、強固であったはずの信頼/愛情から、不信/裏切りへと急転直下し、互いを憎悪する最悪の結果へと至る。己の命を捨ててでも〝友〟を守り抜くと誓った男たち。マローンは、それが幻想に過ぎなかったことを、追い詰められ、易々と国家権力に屈する己の甘さを前に痛感するのである。終盤で延々と続く羞恥心の吐露。アンチ・ヒーローの末路は憐れではあるが、敢えて読み手の共感を拒むが如く、作者は主人公を突き放し、正義と悪に境界など無いことを示唆して、物語を断ち切る。

快楽に通じる歪んだ自愛こそが人生の麻薬である。ウインズロウの達観は、さらに深まっている。

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

ダーティーな刑事が、裏切者の枠の中でもがき踏み止まろうとするストーリー。ミステリ要素はほとんどない。彼らは汚職で手にした金で贅沢するのではなく、子供たちをいい大学に通わせるための資金にしようとするなど、あくまで目的は現実的。少し前に見た海外ドラマ『シェイズ・オブ・ブルー』を連想してしまう。下巻に入った辺りから徐々に歯車が動き出す。

そこで描かれるのは、腐敗の底なし沼と圧倒的なリアリズム。マローンが目指すところは、ニューヨークの犯罪組織を根こそぎ撲滅することではなく、犯罪組織を管理し現状を維持すること。このスタンスに現場の警察官のハードさがよく表れているように、作者の刑事に対する共感や敬意が本作品の根底にある。巻頭に列挙された殉職警察官のリストは印象的。

帯には”犬の力 ザ・カルテル すべてはこの作品のプロローグに過ぎなかった!”とあるが、それは過大評価。スケール、熱量、どれをとっても二作品の方が上回っている。マローンのキャラにしても途中から「刑事の王」に見えなくなってきたし、ツッコミたくなるシーンもちらほらあったかな。

ジャンルとしてはノワールでしょう。これを「警察小説」とすると、汚職刑事を肯定するようでイヤなので、個人的には犯罪小説として読んでほしいです。

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2018年05月13日

Posted by ブクログ

こういうのを力業って言うんだろうなあ。主人公は、賄賂を贈り受け取り、押収薬物をかすめ取り、私刑をためらわずに殺人まで犯す悪徳警官。おまけにこいつは街の「キング」を自認する、ヒーロー気取りが鼻について仕方がないヤツなのだ。まあウインズロウなので、お話は面白く、上巻は我慢してつきあってやるかという気持ちだったのだが、あーら不思議、下巻の途中からはいつのまにか、このマローンに肩入れしてハラハラしながら読んでいるではないか。

およそ共感を呼ぶタイプとは言えないこういう主人公を造型し、最終的には感動的なラストへ持って行くというこの離れ業。ウインズロウの凄さをあらためて見せつけられた気がした。むせかえるような熱気がページから立ちのぼり、特に終盤の迫力は圧倒的だ。「本の雑誌」の新刊ガイドで「あまりのかっこよさに身もだえ必至の血みどろ外道ポリス・アクション・ノワールの傑作」と紹介されているが、確かにそうだろうと思う。

しかし、これを「かっこいい」と言い切るのは、私は抵抗がある。読みながらまるでヤクザやマフィアものみたいだなあと思ったが、それらと決定的に違うのは、マローンが権力の側にいることだ。現場はもとより、警察上層部や行政幹部、果ては司法に携わる者にまで深く腐敗ははびこり、何が正義かわからない混沌とした状況の中、自分の体を張って少しでも害悪を取り除こうとしたマローンの生き方には心を揺さぶられるものがある。それでも、悪には悪で対抗するという姿勢を肯定してしまってはいけないんじゃないか。

もちろんウインズロウは単純な暴力礼賛を書いているのではなくて(当然だけど)、どうしようもなくそこに向かって一歩一歩進んで行ってしまう、人間の苦悩を描いている。そこに人を惹きつける力があると思う。それでもやはり私は、同じ米国警察小説で言えば、コナリーの書くボッシュが好きだ。1対1の状況でシリアルキラーを追い詰めながら、ボッシュは引き金をひけなかった。そいつが当然償うべき罪から逃れるかもしれないとわかっていたのに。そのことで苦しみつつ、「自分が戦う相手と同じものになる」ことを拒む姿を断固支持するのだ。

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2018年05月12日

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