あらすじ
「ゴッドファーザーのような警察小説」――スティーヴン・キング
『犬の力』『ザ・カルテル』のウィンズロウが
エリート特捜部の栄光と転落を描く話題作!
麻薬や銃による犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部、通称“ダ・フォース”。
ニューヨーク市警3万8千人の中でも最もタフで最も優秀で最も悪辣な警官たちを率いる
デニー・マローンは市民のヒーローであり、この街を統べる刑事の王だった。
だが、ドミニカ人麻薬組織の手入れの際におこなったある行動をきっかけに、
栄光を約束されたマローンの人生は、転落の道をたどりはじめる……。
感情タグBEST3
グレー
面白い。
フィクション的な加工はあるだろうけれど、なんか生に近い迫力がある。
これはニューヨークの話だけど、知り合いの警察官は、これに遠からずの現実のなかで仕事をしているのかも、とか想像したりする。
結末がどうなるか、さきが気になる。
Posted by ブクログ
生産・流通を担っている麻薬カルテルを描いてきた著者が、一大市場であるニューヨークの麻薬市場を書いた作品が本書だ。麻薬を取り締まる警察官の活躍が描かれるが、蛇の道は蛇で、警察官の守る正義は一筋縄ではない。
知らず知らずに正義を踏み外していく刑事たちは、なぜ踏みとどまれなかったのか。それは一歩一歩、少しづつ踏み外していったからだ。ただ、彼らの胸の内にあふれる正義感は熱くあふれている。
冒頭で留置されている刑事が書かれ、過去にさかのぼり正義から逸脱していく様が語られる。終盤、伏線を回収するように逸脱の背景が書かれ、刑事たちの哀愁が立ち昇るように感じられる。
市警察、市行政、連邦捜査局、アメリカの警察組織は複雑で、それを理解することもエンターテイメントの一つだ。映画を観ているような感覚で、一気にページがめくられていく。
Posted by ブクログ
ニューヨーク市警特捜部のマローン部長刑事。NYの治安を守るために日々の仕事に邁進する。全体的には正義のヒーローなのだが、その裏では事件現場の麻薬や現金を盗んだり、マフィアとつながっていたり、悪いこともしている。それが当然であるかのように...。
そんなマローンが罠に嵌められる。上巻は罠に嵌まったマローンが、ダークサイドの入口まで堕ちていくところまで。大きな犯罪を取り締まるための小さな犯罪は見逃してもいいのかといった倫理的なものを読者にも考えさせられる。単純に主人公のマローンに共感してよいのか迷いながら下巻に続く。
Posted by ブクログ
ドン・ウィンズロウ『ダ・フォース 上』ハーパーBOOKS。
珍しくハーパーBOOKSから刊行されたドン・ウィンズロウ作品。まだ上巻の物語のほんの入口だと言うのに非常に面白い。
通称『ダ・フォース』、麻薬や銃犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部を率いるデニー・マローンを主人公にした驚愕の警察小説。マローンら『ダ・フォース』の面々は賄賂に収賄、麻薬の横取りと警察にあるまじき悪行の限りを尽くすが…
流石、ウィンズロウというべき大興奮の圧倒的傑作!
Posted by ブクログ
ニューヨーク市警のなかで選び抜かれたチーム。そのなかで最も優秀な男デニー・マローン。ニューヨークを愛しニューヨークを守るためなら汚いことをやってでも守る。そんなヒーローがその座から転落していく。その終わりの始まりが描かれていく。マローンになにがあったのか。なぜ落ちていくはめになったのか。まだ物語は半分終わったところだけれど圧倒され傑作と言い切っていいほど。すごいすごい。
Posted by ブクログ
ドン・ウィンズロウを初めて読みました。
話の中に入るのに少し時間がかかってこのまま読み続けようかどうしようか考えたのですが、だんだんと話に引き込まれました。
ただ、舞台がニューヨークだから?なのか、言葉遣いのひどさには閉口しました。
久しぶりに長編の一気読みをしたような気がします。
Posted by ブクログ
最初はどんな物語かのみ込めなかった。警察対マフィア?ではなかった。汚職、正義、人種差別に王とネズミの話し。
後半に向けて物語は急展開し、加速していく。
Posted by ブクログ
待ちに待ったドン・ウィンズロウの新作。
しかも上下2巻の厚さ。
今回は汚職刑事が主人公で、汚職故に留置されているところから物語が始まる。
・・・という事で、ここからいつもの作品と違う。
正義を実行するための手段として”汚職”という世界に足を踏み入れた、という訳だけでもないし、ひたすら主人公の言い訳めいたモノローグが多く、今一つキャラに共感できない。
しかも、まるでニューヨーク賛歌でもあるがごとく、街の裏表を含めた様々なエピソード紹介が多い。確かに興味深く読めるエピソードは多いし、作者の博識ぶりはよくわかるが、その分、物語のリズムがそがれ、名作「犬の力」や「カルテル」のような物語のダークな疾走感がない。
”転落”が始まるであろう後半に期待。
Posted by ブクログ
麻薬に汚染された街、マンハッタン。
ギャングと警察がイタチごっこを繰り返す。
デニー・マローンは悪辣な刑事だと思う。
でも悪辣な中にも彼なりの正義があると私は思っていた。
その彼が仲間を売る『ネズミ』へと落ちていく。
一つ階段を踏み外すと、そこから這い上がることは出来なくなってしまうのだろうか。
正義を語るFBIも、連邦検事も、誰もかれもがマンハッタンの街のように汚染されている。
読んでいて息苦しい。
でも読むのをやめられない。
これがドン・ウィンズロウなのか!