田口俊樹のレビュー一覧

  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    久々のアルネ・ダール。前作は若干モヤモヤした感じの読後感だったので、過剰に期待しないよう読んでみた。

    トラップ、歯車、連続失踪事件と、どうしてもジェフリー・ディーヴァーを連想してしまう序盤の展開に自然と不安感が増していったが、容疑者との尋問で不安な気持ちは吹っ飛んだ。ここまでのプロセスもいいし、だからこそのこの緊迫感は期待以上。十分すぎるページ数を残しての展開に浸っていたら、実は二重底のさらに奥にストーリーの素顔が隠されていたという驚愕の構成。

    犯人像もいいし、謎解きの部分も面白く読めたけど、事件の背後にあるものがパーソナルな事柄だったのが肩透かし。前半は警察小説で、後半は人間ドラマのよう

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    2020年10月17日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    待望の新シリーズ第一弾。本当の敵(黒幕)に対峙?する二作以降を期待させる出だし、という感じ。雌雄コンビを結びつける過去のエピソードが唐突に明らかになるのは我田引水の感があるが、熟成していくであろう二人の連係とは別に、鹿の目をした「弟子」との関係がどうなっていくのか楽しみ。

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    2020年09月03日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    アメリカの度を越したぶりを内部告発し、大きなニュースとなり一躍名が広がった元NSAとCIAに勤めたスノーデン。ジャーナリストである著者が彼から受け取った多くの機密文書とともに、告発に至った経緯を綴る。定番のやりとりなんかはスパイ映画さながらで、これがリアルに行われていたのだからなおさらドキドキ。US政府やマスコミによるキャンペーンの実情や大手通信会社とのつながり。監視にかけられている税金額もすごい。みんなが知っておくべきことだと感じた。

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    2020年08月26日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    あなたに似た人Ⅱです。短編6つを収録。最初の3つは面白かった。どんなオチなんだ?という好奇心でワクワクしながらどんどんページをめくっていった。残りの4つは同じシリーズ的なものでびっくりするくらい面白くなかった笑 読み進めるスピードの遅いこと、遅いこと笑 まあ、好みもあります。

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    2020年08月16日
  • レイチェルが死んでから

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    姉の殺害現場の発見から始まる。その後捜査が始まる。妹は警察の捜査に協力させられながら自分も犯人を捜す。後書きに主人公が怪しいと書いてある。犯人目線にて読み進む。なんか姉との関係は外側から見ればそうなのかもしれないが、仲間や本人からしてみたら、本当に家族か?と感じる程の何かはない。職業も園芸家らしいが記述はなく、この人生きてる人?本当に魂の息吹きが全く感じられない語り手と読み進む事件。事件も真実を知りたいと思う人はこの世にいるのか?と覇気のないゾンビ集団のゾンビ話、と自分は思った。サラッと最後で真相。

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    2020年07月09日
  • ブラウン神父の無垢なる事件簿

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    新訳様様。
    ブラウン神父の邦訳本は、古いものしか読んでこなかったので、新しく訳しなおされたという点だけで、非常にありがたい。
    今までで一番読みやすく、理解しやすく、面白かったブラウン神父の話でした。

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    2020年04月04日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    ネタバレ

    CL 2020.3.10-2020.3.14
    釈然としないことがいろいろ。

    主人公が生き延びるために他の人が死ぬことに抵抗を感じる。
    ディクシー・ジャックはバトラーを拐って競りにかけ、イードンの母親に落札させ、その後バトラーがフルトンに向かったら殺すために追いかけた。だったらどうして拐うのではなくて殺さなかったのか。
    バトラーはケープジラードを出る時、どうしてイードンを連れて行ったのか。そのためにイードンはもはや母のもとに二度と戻れなくなった。

    あと、悪党の二人組、優秀すぎる。それと一番人種差別をしていないのはトゥーリなんじゃないかと。

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    2020年03月15日
  • 神は銃弾

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    長らく積ん読になっていた、ボストン・テランのデビュー作。
    ノワールの括りで紹介されているが、基本的にはロードノベル型のハードボイルドだと感じた。
    娘を誘拐された父親が、元ジャンキーと協力してカルト教祖とその一味を追跡していく。
    この事件の背景は少し強引であるが、エピソードやシーン描写が非常に映像的な部分が多く、筆力は高いと思う。
    余談だが、本書を読書前にニコラス・ケイジ主演の「マンディ」を視聴しており、内容が似ていたのでその印象に引っ張られているのかもしれないが…

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    2020年03月09日
  • ザ・ボーダー 上

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    ドラマのグッドファイトなどで見られたような現トランプ政権へ直接的な中傷が多く時事的な政治色の強さが合わなかった。トランプ政権が終わった後だと楽しめたかもしれない。

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    2020年03月05日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    作家17人による「画家エドワード・ホッパーの作品を主題にした短編」アンソロジーなので、さまざまな文体・内容の作品がおさめられているのだが、全体として強烈に【アメリカ】を感じた。
    行ったことのない国だが、長く暮らして骨を埋めるのはつらいかもしれないな・・

    それぞれに印象的でしたが、なかでも『海辺の部屋』『夜のオフィスで』が好きです。どちらも本質として慈愛をかんじる美しい話でした。
    好き、とは違うのですが『音楽室』はぎゅっとつまって短く、きりりと怖く、よかった。

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    2020年02月28日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーの絵画から生まれた十七の短編。
    それぞれ全て異なる作家の手によって物語が編み出されており、短編好きも、絵画好きも、うまく取り込まれてしまう。
    正直なところ、絵画を眺めているだけでも楽しい。
    絵画は、18枚修められている。一枚は、読者が自分で話を作ってみてね、という序文の心憎さよ。
    翻訳物なので、独特のクセがある。
    決して変な日本語ではないし、つまらないわけでもない。
    翻訳者も12人(贅沢!)いるので、この翻訳者だと合わない、といったことがあるわけでもないのだが、やはり「ニュアンス」「空気」という見えないものを取り入れることは、難しいのだろうか。

    「キャロラインの話」はある

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    2020年02月23日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    ネタバレ

    一枚の絵画から、著名な作家たちが物語(短編)を作っていく手法。
    時間がなくて、スティーブンキングのしか読めなかった。
    でも、キングはやっぱり長編が好きかも。
    時間がある時にじっくり読みたい本。

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    2020年02月20日
  • 一抹の真実 ~A GRAIN OF TRUTH~

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    ネタバレ

    3部作の2作目。
    3→1→2の順で翻訳されたのだが、確かに順番に読んでいくと1番出来が良いと思われる「怒り」まで到達できる人は少ないかも。
    ポーランドにおけるユダヤ人問題の部分がサクサクとは読めないせいだと思うが、シャッキのひねくれたキャラクターは好きだ。
    ポーランドの鬱屈と、美しい地方都市にも興味がわく。

    魅力的な登場人物も多数。でも長いと感じる。

    「怒り」を読み返したくなるエンディングだが…。

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    2020年01月24日
  • 偽りの銃弾

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    殺人事件で夫を失った元特殊部隊パイロットのマヤ。2歳の娘を案じ自宅に設置した隠しカメラに写っていたのは、2週間前に殺されたはずの夫ジョーだった。ジョーの死に潜む謎を追ううちに、マヤは4か月前に惨殺された姉クレアの死、そして17年前のある事件の真相へとたどり着く……。 (概要より)

    料理は嫌い、階級の低いものがする仕事だ。と言う考え方の性格なのに、大富豪の一族である夫の家族の考え方に眉をひそめるのとか、いまいち主人公が好きになれなかった。
    秘密を話さないと決めたのに、軍人でもない人に話す等。行動が…

    PTSDに悩んでるけど、強いから耐えれてる怒りで突っ走りながら考えるタイプ…そりゃ間違いも起

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    2020年01月22日
  • その犬の歩むところ

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    GIVと呼ばれた犬の物語。

    人間の都合で連れ去られたり、虐待を受けたり、

    しかし「生きる」気力で親切な人に助けてもらって元の持ち主へ

    犬しか持ち得ない不屈の愛。

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    2020年01月17日
  • もつれ

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    ワルシャワ、精神科のグループセラピーの参加者の一人が眼に串を刺され殺された。検察官のシャツキが捜査に関わる。セラピーはコンステレーションという参加者が他の参加者の家族を演じるというものだと分かる。しかし動機がなかなか分からない。

    三部作の第一作。長いし、そしてラストの謎解きもとっても分かりにくい。なのに何故か読み進んでしまったのは、シャツキの内面や街の描写などストーリーとは直接関係無いところが良かったからか。それと第ニ作、三作の評判がいいから我慢したのもあり。

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    2020年01月13日
  • 卵をめぐる祖父の戦争

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    お祖父ちゃんの物語。17歳、ドイツ軍によるレニングラード包囲戦のさなか、脱走兵として捕まっていた男とともに、1週間の卵探しの旅。祖母に出会い、親友ができ、ドイツ人をふたり殺した週。

    戦時下、統制下にある一般市民にとっての厳しい状況。短期間の特定個人的状況を克明に描くことで、見えてくるもの。

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    2019年12月18日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    米国の画家エドワード・ホッパーの絵にインスパイアされた掌編集。様々な作家が感じたホッパーの絵。どれも古き良き(?)米国という感じ。

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    2019年10月11日
  • カーテン

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    ポアロとヘイスティングの出会ったスタイルズ荘が再び舞台となり、今度はポアロの招待でヘイスティングがやってくる。執筆は1943年なので舞台はその頃だ。ヘイスティングの妻は亡くなっており子供4人は独立して1人暮らしになっている。

    過去に起きた5件の殺人事件は犯人が確定されていたが実は本当の犯人は別にいて、今このスタイルズ荘で第6の殺人が起きようとしていて、本当の犯人はまたもや別人を犯人に仕立て上げようとしているというのだ。

    奇抜なストーリー、しかしポワロ最後の事件として書かれているだけあって重い解決がなされる。


    1975発表(執筆は1943年)
    2011.10.15発行

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    2020年02月22日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    コンセプトがいい、物語より本の装丁とかが好き。
    ランズデールは良かった、読んだことある気もしたけど。

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    2019年08月05日