田口俊樹のレビュー一覧

  • キス・キス〔新訳版〕

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    のどかさとブラックユーモアの配分が心地よい。
    色んな意味で「ひでえなぁ」てのもいくつがあるけど、夫婦のやつはどれも楽しく読んだ。

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    2021年10月23日
  • 八百万の死にざま

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    原題はEIGHT MILLION WAYS TO DIE
    このタイトルの意味は、作中のあるセリフによって分かる
    主人公が自分のアルコール中毒と闘っているさまがサイドストーリーとして語られる
    もちろん主人公はコールガール惨殺事件を一方で追っていくわけだが、読後の印象としては「事件捜査」と「アルコールの誘惑との闘い」が半々くらいかな
    ある登場人物の横顔がはっきり浮かんでくるのがよい
    ミステリも小説である以上、キャラクターの魅力は重要だと思う

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    2021年09月28日
  • ランナウェイ

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     ニューヨークに住む裕福な家族の娘ペイジが家を出て麻薬中毒の男アーロンと一緒に暮らしていたが、ある日自宅アパートメントでアーロンが殺されペイジは行方不明になっていた。父親サイモンはペイジの行方とアーロン殺しの犯人を調べ始めた矢先に妻イングリッドが撃たれて重症を負う。

     娘がアーロン殺しの犯人の可能性も否定出来ずに家出していたペイジの知らない荒んだ生活が見えて来る。

     一方で親を知らない里子として育ったアッシュとディーディーは、カルト宗教の依頼を受け無差別殺人を繰り返している。

     娘ペイジを必死に探すサイモンと意識不明のイングリッド、カルト教団からの依頼で殺人を繰り返す里子の二人。

     ストーリーはサイモンと里子の行動がやや緩慢に流れるが物語の後半から凄まじく展開が早くなりカルト教団の殺人依頼の目的や里子の行動、ペイジの行方とイングリッドの不幸な過去が次々と明らかになり息吐く暇も無く意外な結末を迎える。

     この作品は、カルト教祖も麻薬中毒の娘を持つ父親と母親も家族を守る為に起きた事件で家族愛が背骨に有ります。作品は読み易く先が読めない展開に興味が沸き項が進みます。

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    2021年09月12日
  • 音もなく少女は

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    原題WOMAN。女、姉妹、友達、母。永遠という字の手話。読み進めるのに難儀した。途中で挫折しそうにも。

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    2021年08月09日
  • 日々翻訳ざんげ

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    ミステリー翻訳家の田口さんが自身の翻訳作品を振り返りつつ、よもやま話を聞かせてくれるエッセイ集。長年の経験で培った翻訳手法に加え、失敗談の数々も明け透けに公開してくれるのが実に清々しい。印象的だったのは日本的な解釈に傾向し過ぎると西洋文化への憧憬が失われてしまうという件で、思わず大きく頷いた。<殺し屋>シリーズのケラーとドットの掛け合いなんて、あの調子でないと面白さが半減しそう。しかし、チャンドラーの悪文については同業者間の共通認識なのですね。差し当たって、私は「オルタード・カーボン」を漁ってみようかと。

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    2021年06月14日
  • 娘を呑んだ道

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    犯人に意外性がなかったような気はしたが、全体を通して読みやすく楽しめた。
    北欧の作品らしい森の描写が良かった。

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    2021年06月13日
  • 日々翻訳ざんげ

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     海外ミステリー翻訳家の道を歩んできた著者が、その40年にわたる翻訳家人生を振り返りながら、翻訳の在り方についての考察、「は」と「が」の使い分け、主語の訳し方、現在形文の表現方法といった翻訳技術についての留意点、自らの誤訳を晒しての反省、そして原作者とのやり取りに関する舞台裏などを綴ったものである。

     今であればインターネット検索で分かりそうなものについて、とんでもない訳をしてしまったところなどを読むと、時代を感じさせられる。
     ジョン・ル・カレに不用意なメールを送ってしまい機嫌を損ねた話など、著者には申し訳ないが笑ってしまった。

     チャンドラー『待っている』には、名だたる翻訳者の既訳があるのだが、著者は新しく訳した際に"新発見"をする。『待っている』は読んだこともあるのだが、その部分は読み飛ばしてしまっていたようだ。チャンドラーが好きだった著者の熱量が感じられる。


     翻訳ミステリーがいろいろな版元から次々と刊行されていた時代の作品が紹介されているのだが、自分の好きなジャンルとは違うので、読んだことのあるものは、残念ながらあまり多くない。 
     それでも、こうした翻訳家の皆さんの努力によって、楽しく楽に読めることに、感謝の気持ちを贈りたい。

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    2021年05月04日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    ネタバレ

    始まりは3人の連続誘拐事件を追う、スウェーデンミステリーの少し暗い話かと思ったが、途中から一変。
    暗い、もの悲しい雰囲気はそのままにサスペンスミステリーへ。
    なかなか面白くはあったが、動機等納得がいかないところもいくつかあり。次作ではっきりするのか。
    あんな終わり方をされると次作を読まざるをえない。

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    2021年05月03日
  • ゴーストマン 時限紙幣

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    犯罪の後始末屋<ゴーストマン>がいわく付きの強奪金回収に挑むクライムサスペンス。一人称で紡がれるハードボイルドな文体と犯罪手法に関する緻密なディテールからは想像し難いが、若干23歳で完成させたデビュー作とのこと。新人作家とは思えない洗練された筆致ではあるものの、肝心の本編は平坦かつご都合主義な展開で少々残念。しかし、今後が大いに期待出来る才能なだけに、オーバードーズによる早逝(享年28歳)が実に惜しまれる。ドラッグについてこれだけ調べ上げているとなると、身をもって体験したいという欲求もあったのだろうか…。

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    2021年04月29日
  • 日々翻訳ざんげ

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    大好きなブロックやウィンズロウの訳者につき即購入。やっぱり翻訳って大変やなーって感じつつ誤訳なんかもあるんやと知る。文中のお勧めや翻訳ミステリー大賞をチェックしてみよう。

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    2021年04月16日
  • 暴露―スノーデンが私に託したファイル―

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    【感想】
    この本を読んでいるとき、通信傍受に関する事件が日本国内でも発生していた。

    LINE株式会社が自社のサーバーを中国に置いており、LINEに登録されている日本人の個人情報やプライベートな会話を、システム管理を委託していた中国企業の技術者が閲覧可能な状態にあった。その後同社は中国からのアクセスを完全に遮断し、サーバーを日本国内に移すことを発表している。

    このニュースを見て、私は、「今さらなんだ」という感想を抱いてしまった。LINEが個人情報を外国に流していることなど周知の事実であり、それを割り切りながらサービスを使っていたのではなかったのか、と考えてしまったのである。

    そして同時に、スノーデンが抱いていた「プライバシー保護への意志」が、私の中に根付いていないことを知り、悲しくなってしまった。

    スノーデンが暴露を行ってから8年近く経とうとも、NSAの責任が追及されることはない。それどころかアメリカは中国をますます「スパイ国家」と認定し、中国製電子機器の締め出しを強化している。アメリカの首脳陣も、NSAの幹部も、自国が構築した監視網は棚に上げ、彼らは罰則を受けることなく今日まで存在しつづけている。

    もうこれは、割り切るしかないのだと思う。今さらインターネットを捨てることはできず、したがってアメリカが構築した監視網から逃れるすべはない。
    全てが覗かれている世界の中で、少なくとも自分だけは誠実なふるまいをし、火の粉が降りかからないよう生きていくしかない。政府への抗議活動や反対運動を起こそうと思っても、自分だけは捕まらないように注意して行動するしかない。そんな諦めの気持ちが、自分の中に芽生えてしまっている。

    スノーデンの「大規模監視システムが存続すべきかどうかを人々に問いたい」という思いは、宙ぶらりんのまま潰えようとしている。悲しいことに、アメリカはあの事件から全く前に進んでいないのだ。


    【本書の概要】
    NSAが日常的に世界中の通話記録とメールを収集・定量化していたことを、元NSA職員であるスノーデンが暴露した。
    NSAと主要ウェブサービス会社、連邦政府は蜜月の関係にあり、「テロから自国を守る」ことを口実に、世界の国々に対して大規模な通信傍受をおこなっていた。
    NSAが監視プログラムに対して、「監視しようとしているのは、悪い人間から悪い人間に対する通信だ。いかなる違法活動にも携わっていないアメリカ国民は、何も恐れることはない」と言う。しかし、他者の視線を感じている時に人が考慮できる選択肢の幅は、プライベートな領域での行動時よりもはるかに限られてしまう。「監視されている」という事実自体が行動を歪めてしまうのだ。
    スノーデンの暴露に対して、政府よりのメディア、ジャーナリストから誹謗中傷が届いた。
    ジャーナリズムの世界に身を置く多くの者にとって、政府から「責任ある」報道というお墨付きをもらうこと(足並みをそろえること)が名誉の証となっている。
    アメリカのジャーナリズムは堕落している。


    【本書の詳細】
    1 スノーデンとの初接触
    郵便物の検閲、電話の傍受といったように、歴史上起こってきた大量監視はいずれも、反対派を抑圧し従順を強制することが目的であった。
    アメリカの指導者は、テロへの対策という名目で大量監視を擁護し、極端すぎる政策を正当化してきた。

    かつてのスパイ・システムはすべて限定された用途に用いられたものであり、望めば回避することも可能であったが、インターネットは違う。インターネットが大量監視システムに変貌してしまえば、人間のほとんどすべてのやりとり、計画、思考まで国家の眼にさらされてしまうのだ。

    元NSA職員であるスノーデンから、秘匿回線を通じて送られてきた文章は衝撃的なものだった。
    連邦裁判所が、ベライゾンビジネス社(アメリカの大手通信業者)に、
    (1)アメリカと海外とのあいだでの通信、(2)アメリカ全土の詳細な通話記録のすべて をNSAに提出するよう命じていた。眼に見えない国家の監視システムがいつでもどこでも、そのシステムを監督する者もチェックする者もいない状態で、秘密裏に何千万人のアメリカ人の通話記録を収集していたのだ。
    同時に、こうしたアメリカ人の通話記録の大規模な収集活動は、愛国者法第215条(9.11テロにより制定された対テロ法)により認められていると明記されてもいた。

    スノーデンが筆者に情報提供を持ちかけた理由は次の通りである。
    「プライバシーやインターネットの自由、国家による監視の持つ危険性について、世界中で議論するようになってほしいのです」。
    そのためにスノーデンは、自分の実名を公表することを決意した。例え情報漏洩の罪で刑罰を受けることになろうとも。


    2 スノーデンの略歴と彼へのインタビュー
    スノーデンは若くしてCIAの請け負いという立場からフルタイムのスタッフになり、2007-2009年まで、外交官に偽装してスイスのジュネーヴに駐在していた。CIAを離れてNSAに戻ると、2009年には日本のNSAで勤務するようになる。
    スノーデンは上級サイバー工作員となるべく訓練を受けていた。上級サイバー工作員とは、他国の軍隊や民間のシステムに侵入し、情報を盗んだり、攻撃準備を整えたりするスタッフのことである。
    各国の監視業の高度なアクセス権限を得て目にしたのは、合衆国政府が広範囲にわたって人々を盗聴しているさまだった。NSAの目的は、世界中のあらゆるプライバシーを消滅させ、すべての電子通信をNSAに掌握させることだったのだ。

    こうした監視は倫理的に問題である、と上司に訴えても、即座に「お前の権限ではない」と言われ、目をつぶるように促された。上層部において権力と説明責任を切り離すのはとても容易なのだ。こうした現状を変えるべく、スノーデンは機密情報をNSA内部から盗み出し逃亡をはかった。

    彼が自分のキャリアのすべてを犠牲にし、重罪犯として扱われる危険を冒してまで暴露した理由は、道義的責任と使命感によるものだった。
    彼は次のとおり語る。「人間のほんとうの価値は、その人が言ったことや信じるものによって測られるべきではありません。ほんとうの尺度になるのは行動です。自らの信念を守るために何をするか。もし自分の信念のために行動しないなら、その信念はおそらく本物ではありません」
    「プライバシーも自由も存在しない世界には住みたくありません。インターネット独自の価値が奪われた世界には」
    「そうしたシステムを破壊したいわけではありません。ただ、そのシステムが存続すべきかどうかを人々に問いたい」

    また、彼は自らの身に起こりうることを予想しこう語っている。
    「1917年のスパイ活動法に違反する、と政府は主張するでしょう。なるべく刑務所には行かずにすませたいが、政府からどんな仕打ちを受けようとも、私は耐えて生き続ける。しばらく前にそう決めたんです。何もせずにただ黙って生きることはできません」。
    自分の身に起こること、そしてアメリカを敵に回すことへの覚悟を、驚くほど冷静に語っていた。
    そんな彼の姿勢に、筆者は強く心を打たれた。


    3 リーク記事の発表
    スノーデンのリーク記事の第一報はガーディアン紙から発表された。
    「NSAがベライゾン加入者数千万人の通信履歴を収集」

    この記事への反響は凄まじい規模であった。
    政府は「通話履歴収集プログラムは、国をテロリストの脅威から守るために不可欠なツールだった」との声明を発表するが、賛同はほぼ皆無だった。

    第二報はPRISM計画の暴露である。
    マイクロソフト、Google、Yahoo!、Facebook、Appleなど、9つのウェブサービスを対象に、ユーザーの電子メールや文書、写真、利用記録、通話など、多岐に渡るサービスの情報をNSAが自由に獲得できる計画の全貌である。これによりNSAは「いかなる外国人」も監視することが可能になり、外国人と連絡を取ろうとするアメリカ人の情報も、容疑の証明無しに取得することができる。

    前回同様、反応は爆発的であった。しかも今回はインターネット企業という地球規模にまたがる会社の情報だったため、反応も世界規模だった。

    さらに「バウンドレス・インフォーマント・プログラム」の記事が発表される。これはインターネットや電話回線を傍受して得たメタデータの量を国ごとに表示し、分析するためのソフトウェアである。

    また、NSAが日常的に世界中の通話記録とメールを収集・定量化していたことを指し示す記事も発表された。NSAは、外国の情報のみに集中すると法的に定義していたはずなのに、外国の通信システム利用者のみならず、アメリカ国民も同様にNSAのターゲットにされていた事実をこの資料が証明していた。


    4 NSAと民間企業の提携
    4本目のリーク記事の後、ついにスノーデン自身にインタビューする12分の動画が、ガーディアンのウェブサイトにアップされた。スノーデンが潜伏していた香港のホテルに記者が殺到する。合衆国政府はすでに、香港政府にスノーデンの逮捕と身柄引き渡しを要求していた。

    NSAと民間企業は蜜月の関係にあった。
    NSAは正式には公的機関であるものの、民間企業と幅広くパートナーシップ契約を結び、主力業務の多くを外部委託している。アメリカの諜報予算の70%は民間企業に支払われていると言われており、インターネット企業や電話会社と協力して、顧客情報を入手しているのだ。

    PRISMプログラムの運用により、フェイスブックやスカイプ等のやりとりの履歴が政府に渡されていたことが発覚する。
    特に政府と蜜月だったのはマイクロソフトだ。同社は、顧客に提供している自前の暗号化システム――プライバシー保護のために不可欠だとうたったシステム――を回避するシステムを、NSAと協働で構築してしまっていた。
    これは何もマイクロソフトだけではない。ツイッター以外の会社は、政府機関が情報を入手しやすいシステムを構築することに協力していたのだ。
    しかも、情報の収集基準は、「合法的な外国の情報収集の助けになるかどうか」という一点のみであり、例えアメリカ人同士の会話を誤って収集していたとしても、全面的許可が与えられることが慣例となっている。


    5 諸外国との関係
    NSAと諸外国の関係には3つのカテゴリーが存在する。
    A層がオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリスで構成される「ファイブ・アイズ」と呼ばれる国で、NSAとの通信傍受に関して技術協力や提携を行う密接な国である。
    B層が限定的協力国であり、特定の活動に協力する国であると同時に、求めてもいない監視をされている国でもある。A層以外の多くの先進国(日本やドイツ、ギリシャ、イタリア、韓国など)が当てはまる。
    第3層がアメリカが日常的に監視し、協力関係がほとんどない国で構成される。先進国でいえば中国やロシアなどが当てはまる。


    かつてアメリカは、「バックドアが仕込まれている」という口実(確証を得ていたわけではない)をもとに、ファーウェイとZTEの機器やサービスの禁輸措置を行っていた。
    しかし、NSAは国外に輸出されるルーター、サーバー、その他のネットワーク機器を定期的に受領、応酬し、それらの機器にバックドアを仕込んで出荷していることが分かっている。中国機器に監視機器が埋め込まれている可能性はおおいに考えられるが、アメリカもまさに同じことをしているのだ。
    中国製品に対する合衆国政府の非難の背景には、中国が監視をおこなっているという事実について世界に警告を発したいという思いがあったのだろう。しかし、中国製品にアメリカ製機器のシェアを奪われてしまえば、NSAの監視網が弱まってしまうというのも大きな動機としてあったはずだ。

    2007年、NSAのサーバーとシステムの増強、そして新しいプログラム「XKeyscore」が開発された。これらを使えば、Eメールアドレスさえわかればどんな人間でも監視できることが明らかになった。XKeyscoreによって30日間で収集されたデータの量は、SSO部門だけで400億件を超えている。

    世界中のあらゆるものをスパイできるシステムは、外交操作を可能にし、経済における優位性を獲得できるだけでなく、世界そのものを把握し続けられる。アメリカがあらゆる存在の行動、発言、思考、計画をすべて把握できるようになったとき、アメリカから誰も逃れられず、アメリカを誰も監視できなくなる。いかなる透明性も説明責任も無い、無限の権力の誕生である。


    6 プライバシーについて
    プライバシーを保護したいという願望は、人間が人間らしく生きるために必要不可欠なものとして、われわれ全員が共有する願望だ。
    個人的な領域とは、他者の判断基準に左右されない場所であり。逆に、他者の視線を感じている時に人が考慮できる選択肢の幅は、プライベートな領域での行動時よりもはるかに限られる。つまり、プライバシーの否定は、人の選択の自由を著しく制限する作用がある。
    監視は人々を委縮させ、人々の被害妄想と正当な警戒心の境界はますます曖昧なものになっていく。言い換えれば、国による大量監視は、弾圧へとつながるのだ。

    大規模監視のリークに対する合衆国の言い分は次のとおりである。
    「監視しようとしているのは、悪い人間から悪い人間に対する通信だ。いかなる違法活動にも携わっていないアメリカ国民は、何も恐れることはない」
    しかし、権力組織にとっての悪い事の中には、違法行為や暴力活動、テロ計画だけではなく、重要な反対行動や純粋な抵抗活動も含まれる。単純な抗議運動を不正行為あるいは脅威と同一視するのは、権力側のさじ加減である。
    「権力の拡大によって影響を受けるのは特定の個別グループだけだ」と政府が国民を説得し、自分たちの抑圧的な行為には眼をつぶるように国民を言いくるめている。

    政府に同調する市民はこう言う。
    「彼らが私を探す動機はなく、大量のデータから私を見つけ出すことも困難である。そのため、市民の自由に対する脅威は(個人レベルでは)大したものではない」
    しかしながら、社会の自由をはかる本当の尺度は、その社会が反対派やマイノリティをどう扱っているかにあるのであって、「善良な」信奉者をどう扱っているのかということにあるのではない。

    また、NSAの監視プログラムは過剰な量の情報を傍受しているため、本物のテロリストが企てている本物の計画を目立たなくし、国家をかえって脆弱にしているとの指摘もある。


    7 メディアの堕落
    スノーデンの暴露後、一部のジャーナリストやメディアがスノーデンと筆者を売国奴や犯罪者とみなし攻撃した。
    「機密情報のリークは、国家の安全をおびやかす行為だ」という理由である。

    同様の理由から、司法省がFOXニュースのワシントン支局長であるローゼンの行為を犯罪視した。しかしながら、ローゼンの行為はすべて伝統的なニュース番組の範疇に収まるものであった。言い換えれば、オバマ政権はジャーナリズムそのものを犯罪視したのだ。

    政府とメディアは反対派の人間を人格障害と結びつけ、攻撃した。誹謗者の中にはニューヨーク・タイムズといった政府寄りの一流新聞社も含まれていた。
    大企業の構造の中で生きる者は、組織の秩序を乱そうとせず、組織におもねるようになる。こうして彼らは組織の力を自らと同一視し、それと戦うのではなく、服従するすべを身に着けるようになってしまうのだ。
    今日、ジャーナリズムの世界に身を置く多くの者にとって、政府から「責任ある」報道というお墨付きをもらうこと(足並みをそろえること)が名誉の証となっている。そしてそれが、アメリカのジャーナリズムが不正を監視する姿勢をどれだけ失ってしまったかを如実に物語っている。

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    2021年04月14日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    映画っぽい。主人公は男性と女性のビジネスパートナー。脇役はすっと出てきてさっと消える。捜査の流れで地味なところは削って、映える瞬間だけを切り取って見せる。ISとかあるので映画はちょっとアレかもですが。文体はややくどい。

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    2021年04月03日
  • 飛行士たちの話〔新訳版〕

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    最近読んだ2冊よりは好きかも。
    でも戦争の話だから複雑だけど。
    「彼らは歳を取るまい」を読んで、この光景映画で見たような・・・
    と思ったら「紅の豚」のワンシーンだった。
    そういえば宮崎さんは飛行機がお好きですもんね。
    「マダム・ロゼット」がちょっと痛快だった。

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    2021年03月22日
  • あなたに似た人〔新訳版〕 II

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    少し前に「Ⅰ」も読んでるので、こちらも。
    「満たされた人生に最後の別れを」はわかりやすかったけど、最後がジワリ。嫌いじゃない。
    他の2編も複雑すぎる内容。
    「クロードの犬」は1回読むだけじゃわからない。
    海外の短編は高難度だわ。

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    2021年03月12日
  • キス・キス〔新訳版〕

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    ダールといえばチョコレート工場とかのファンタジーなイメージだったので、強烈なブラックユーモアには驚いた。かなり毒が強いと思う。女主人、天国への階段が特に面白く感じた

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    2021年02月16日
  • キス・キス〔新訳版〕

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    小学生の時によく読んでいたロアルド・ダール。児童書以外にも書いているのを知らなくて、久しぶりに読んだけど面白かった。ぞくぞくする、人間の闇の部分が全ての話で見られた。児童文学でもグロテスクな表現が多かったけれど、それよりもミステリアスで独特な世界観があるなぁと思った。

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    2021年02月06日
  • その犬の歩むところ

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    まるで聖書を物語にしたようなお話で、構成が面白い。
    実話を元にいしていてそれなりのアメリカンな感動物語なんだろうけど、なんとも救われなさ過ぎてなかなかに辛い。
    動物モノをアメリカ人が書いたらこうなるんだろうなといういい見本小説。
    筋書きが見えすぎているので読みやすいがぐっとくるほどではなかったかな。

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    2021年01月07日
  • 時計仕掛けの歪んだ罠

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    ネタバレ

    CL 2021.1.5-2021.1.12

    出だしとラストは全く違う様相。
    前半は好きになれなくて、終盤面白くなってきたと思ったのに、あのラストはまた好きじゃないなー

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    2021年01月12日
  • 最後の巡礼者 下

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    スリリングな過去の展開に比べてイマの事件を追うバーグマンにイマイチ惹かれなかった。約40年前の事件との結びつきも関係者が死亡していたり名前を変えていたりで、ミステリーとしてもしっくりこなかった。

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    2020年11月28日
  • 最後の巡礼者 上

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    現代と過去を遡ってていくミステリー。アグネスの場面は、ハラハラし通しでそれだけでも独立した本が成り立つと思った。

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    2020年11月28日