田口俊樹のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
アメリカの作家ローレンス・ブロックの長篇ミステリ作品『八百万の死にざま(原題:Eight Million Ways to Die)』を読みました。
『殺しのリスト』、『殺しのパレード』、『頭痛と悪夢―英米短編ミステリー名人選集〈4〉』に続き、ローレンス・ブロックの作品です。
-----story-------------
〔マット・スカダー・シリーズ〕
アームストロングの店に彼女が入ってきた。
キムというコールガールで、足を洗いたいので、代わりにヒモと話をつけてくれないかというのだった。
わたしが会ってみると、その男は意外にも優雅な物腰の教養もある黒人で、あっさりとキムの願いを受け入れてくれ -
Posted by ブクログ
現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻薬に関わる者は全て死する運命にあるという暗鬱なる黙示録。現在進行形の鋭利な文体を駆使して生々しい諸悪を抉り出した現代ノワールの境地。どの作品もページを捲る手が白い粉と紅い血に染まっていくような錯覚に陥ったほどだ。現時点での最終作「ザ・ボーダー」に取り掛かる前に構想した本作は、馴染みの〝ウインズロウ節〟が炸裂する犯罪小説
-
-
-
Posted by ブクログ
ニューヨークに住む裕福な家族の娘ペイジが家を出て麻薬中毒の男アーロンと一緒に暮らしていたが、ある日自宅アパートメントでアーロンが殺されペイジは行方不明になっていた。父親サイモンはペイジの行方とアーロン殺しの犯人を調べ始めた矢先に妻イングリッドが撃たれて重症を負う。
娘がアーロン殺しの犯人の可能性も否定出来ずに家出していたペイジの知らない荒んだ生活が見えて来る。
一方で親を知らない里子として育ったアッシュとディーディーは、カルト宗教の依頼を受け無差別殺人を繰り返している。
娘ペイジを必死に探すサイモンと意識不明のイングリッド、カルト教団からの依頼で殺人を繰り返す里子の二人。
ス -
Posted by ブクログ
海外ミステリー翻訳家の道を歩んできた著者が、その40年にわたる翻訳家人生を振り返りながら、翻訳の在り方についての考察、「は」と「が」の使い分け、主語の訳し方、現在形文の表現方法といった翻訳技術についての留意点、自らの誤訳を晒しての反省、そして原作者とのやり取りに関する舞台裏などを綴ったものである。
今であればインターネット検索で分かりそうなものについて、とんでもない訳をしてしまったところなどを読むと、時代を感じさせられる。
ジョン・ル・カレに不用意なメールを送ってしまい機嫌を損ねた話など、著者には申し訳ないが笑ってしまった。
チャンドラー『待っている』には、名だたる翻訳者の既訳があ