田口俊樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世界を震撼させた告発の全容がこの一冊です。
スノーデンがNSAの内部情報を告発するに至った経緯とその内容の一部が書かれています。
ただし、この一冊はNSA秘密裏に行っていた監視のみを告発した一冊ではありません。政府と癒着し、真実を報じれないジャーナリズム、都合の悪いことは力づくで押さえ込もうとする政府権力に対する告発であり、挑戦の一冊であると思います。
ただ、告発内容が専門用語や暗号だったりするので読みにくいですし、英語も読めなかったりする部分があったので、ちゃんと解説や日本語に直した資料を添えて欲しかった。
秘密保護法の可決や、日本版NSAの設立の動きのある日本だからこそ今一読して考える価値があると思います。 -
Posted by ブクログ
なぜか読み逃してきてしまったこのシリーズ。何かの折に読もうと思いつつも、新刊にばかり先に手が伸びるため、古いシリーズの追いかけの時間をなかなか作れないでいる。だから、こういう本を読むことができる時間というのは、実は貴重で贅沢なものだ。
泥棒が、もっと凶悪な犯罪に巻き込まれて四苦八苦するようなこの手の巻き込まれ型作品だけで、よくシリーズが成立するものだと思う。だからこそ、書き手の持つ才能が目立つということも言えるわけだが、今回は泥棒に入った場所で、クローゼットに隠れている間に、殺人が起こってしまうという典型的な巻き込まれ型ストーリー。
主人公バーニーのところに結局は警察の手は伸びてきてしまい、自分で事件を解決し、真犯人を見つけ出さなければ、バーニーが刑務所へ、という切迫した状況へと追い詰められてしまう。泥棒という職業がばれてしまうという最悪の結末も、刑務所行きに自然と付随してしまう事実なのであり、このあたりが素人が巻き込まれる型の状況に較べるとだいぶ分が悪い。
しかし、だからと言ってそう悪いことばかりでもないのだ。何しろミスター泥棒には、鍵を開けて住居に侵入するというという特技がある。この特技を、真犯人探しにどう活かし、役立てるかといったところが、このシリーズの見ものなのかもしれない。特異な状況はどこにでもあるが、泥棒という限定された特異な主人公はシリーズとしては、そう滅多にあるものではない。
悪党パーカーは、強盗であり、暗黒街に生きるノワール系の主人公だが、泥棒バーニーは庶民的でありながら、職業だけが泥棒という、明るい親しみの持てる主人公である。いわば同じブロックのシリーズ主人公である殺し屋ケラーが、親しみの持てる殺し屋であるのと同様に。殺し屋の場合はどうしても黒い要素が濃くなってしまうのは否めないにしても。
いずれにせよ、ブロックのシリーズは、スタークのシリーズとは似て非なるものである。そうでなければ、ウェストレイクが、わざわざ悪党パーカーのためにスターク名義に変え、作風を変える理由などどこにもない。ブロックは、スカダーみたいな真面目で根暗主人公のために、名前を変えることはないのである。同じブロックの中の別の抽斗(ひきだし)というところが、ウェストレイクの「区別」とは異なるところである。
この時代の小説世界には、携帯電話もなければ、便利なパームトップ・コンピュータも存在しない。だから現代ではあり得ないシチュエーションが随所に散らばる。携帯の存在は、これがない時代にはとても主人公たちに不便を強いるものであり、携帯がないゆえに、人間の所在が掴みにくい。それでいて、人と人の距離感、ということに関して言えば、この時代のほうがよほどまっとうなように感じられるあたりが、何より皮肉である気がしてしまうのだが。