トルストイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年夏にみた映画「生きる」カズオ・イシグロ版がとても良くて気に入る→お正月にそのオリジナルである、黒澤明の「生きる」を見る。なんかすごい話だな、志村喬の目の演技すごいな…。これの元になった小説があるんだ、しかもトルストイなのか→この本に辿り着く。
こんな流れで読み始めた。
トルストイは実ははじめて読んだ。
戦争と平和、アンナ・カレーニナ。
ドストエフスキーと並ぶ長大重厚露文作家である。
私は長大も重厚も得意ではなく、読めた露文は、ツルゲーネフ(でももう忘れた)、チェーホフ(同じく)、プーシキン(面白かった)くらい。
本書はトルストイの後期の中編が二本という構成。
◯イワン・イリイチの死
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Posted by ブクログ
1巻と同じく相変わらず戦史ものとして読むとしたら物足りない。前半はアウステルリッツ戦なのだが、全く戦いの進展も両軍の作戦も分からないうちにどちらが勝ったかもよく分からず終わってしまう。
しかしながら、1巻よりロシア文学(トルストイ?)特有のどろどろとした人間の内面を描くという部分は面白くなってきている。人間の多面性を描くという点では、俊逸だと思う。所詮人間一人が知りえることは自分の周りのことだけであり、周りのことを意図的に作られてしまうと真実は分からないという当たり前のことが上手く描かれている。ロシア人のしたたかさ、当時の皇帝に対するロシア人の憧憬が良く分かる。 -
Posted by ブクログ
最終巻である
後半から最後にかけてトルストイの独白の分量がさらに増え、
ああ、トルストイはこれほどの思いを伝えるために血肉を削いでこの小説を描いたのだ!
受け止めきれないほどの重厚な内容を紐解くのだが…
注)ネタバレあります
■ヘズーホフ家
大資産家メガネ太っちょのピエールの家
フランス兵の捕虜となったピエール
目の前でロシア人捕虜がフランス兵に処刑されるのを目の当たりにし、常に死の恐怖と向かい合わせの状況を経験
しかし究極の貴い精神と素朴な心を持つ大した地位のない元百姓カラターエフと出会い、心が洗われる
ピエールはこの劣悪な状況下とカラターエフとの出会いにより「苦悩の限界と自 -
Posted by ブクログ
3巻は今までとは違い随所にトルストイの肉声をハッキリ感じる場面が多い
物語を登場人物たちに任せておけず、どうにも我慢できず本人が思わず登場しちゃったの⁉︎…という感じから始まり、もう我慢できない!とばかり彼の強い思いがあふれ出る
ナポレオンの登場回数もかなり増え、いよいよ大詰めの「ボロジノの戦い」が始まる
非常にリアルな戦場描写と百姓から商人から貴族から兵士から官僚からあらゆる立場の人たちが描かれており、彼らの心情の変化などが読み手を巻き込んでいく
■ヘズーホフ家
大資産家メガネ太っちょのピエールの家
私生活では相変わらずの放蕩男ピエール
妻のエレンのイカれぶりもエスカレート(同時 -
Posted by ブクログ
ナポレオンのロシア侵攻によって引き起こされた世界史の大きな流れと、
ロシア貴族の家庭(主に三家若しくは四家)の出来事を2つの軸とした壮大な物語
こちらは以前読んだ「20の古典で読み解く世界史」で
トルストイ曰く「歴史を動かすのは英雄でもなく傑物でもなく名もなき民衆それぞれの生活なのだ」というこの一文に心惹かれ
これは死ぬまでに絶対読まなくては!と意気込んだのだ
が…
予想はしていたものの、読み始めは辛くちっとも進まない…
相変わらずの長ったらしい「ロシア名+〇〇侯爵、〇〇子爵、〇〇伯爵夫人…」
そんな彼らのサロンで繰り広げられる噂話もりだくさんの会話(はぁ…)
ブツブツ文句言いながら頑張っ