【感想・ネタバレ】アンナ・カレーニナ 3のレビュー

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Posted by ブクログ

第5部と第6部を収録。リョーヴィンの結婚にまつわる諸事と、徐々に行き詰まるアンナとヴロンスキーを描く。

リョーヴィン編は婚礼から新婚生活にいたるまで、出来事や心理が微細に描かれていて楽しい。しかし身近な人の死によって、自らの生死観に向き合わなくてはならなくなり、深い思索を重ねていくくだりには、誰にとっても他人事ではない切実さと、生活の忙しさにかまけてスルーしてしまっている「死」という現実への態度をどうとるかということを、強く考えさせられた。兄コズヌィシェフの求婚するかしないか?のエピソードはどこかリアルで、個人的には「その気持わかる」という結末だった。

いっぽうアンナは社交界でつまはじきにされ田舎に引き込むが、徐々にヴロンスキーとの関係や彼女自身の心に陰が生じていく。息子に無理やり会いに行くシーンはどうしたって泣ける……。不倫への淡い憧れやアンナへの好意を保ちながらも、自らの育児と家庭生活に立ち返っていくドリー。リョーヴィン側とアンナ側という、対比がより際立っていく2つのカップルの間を行き来する彼女の視点が興味深い。

恋愛や結婚だけではなく、様々な要素が織り込まている本作。3巻では重層的な物語空間に人々がいきいきと生きている感覚が強まり、どっぷりとこの世界にハマらせてくれる。

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2022年11月06日

Posted by ブクログ

5部はとにかくカオスで面白い。

まずはリョービンとキティの結婚式から始まるのだが
リョービンのあの性格ゆえ、そう簡単には行かない。
やはり自分などキティが愛してくれるのだろうか?
思いとどまるなら今だと、キティに告に行くが…
たぶん5分後には仲直り。
式の当日には、シャツを荷物と一緒に馬車で送ってしまったとかなんとかで…花婿大遅刻!

リョービンの兄、ニコライの最後。
看取りのためについて行くと聞かないキティに困惑するリョービン。しかし、キティは、保養所での経験を活かし、ニコライに誰よりもつくし、働く。
その姿にまた己の情けなさに落ち込むリョービン。

そして、私の心配どころセリョージャ!
彼は誕生日にママが会いに来てくれるとどこかで信じている!!
カレーニンは、イワーノヴナ伯爵夫人の手中にあり、宗教へと導かれる。
そこへ、アンナ!私たちのアンナ!
全てを振り切って、札束を小間使いに投げわたし、家に入ってゆく。愛しいセリョージャの誕生日祝いに。

後半6部は、
ドリーが子どもたちとリョービン夫妻の家で過ごす夏。彼女の主婦らしさ。
そして、リョービンの家から馬車でアンナを訪問に行く。
アンナとヴロンスキーの贅沢な暮らしぶりに辟易としつつも、彼女は決して人前で悪く言わない素晴らしい女性。幸せにいて欲しい。

リョービン、ヴロンスキー、オブロンスキーたちは選挙へ。

留守中のアンナの精神状態。
もうアンナはヴロンスキーに好かれるために必死。
ドリーにも説得され、カレーニンとの離婚を考え始める。。

と、こんなカオスぶり。
リョービンとキティの幸福な家庭ぶりと、
見せかけだけの、壊れてゆくようなアンナとヴロンスキーの行く先との対比を描く、
とくにアンナとリョービンの中にある感情のゆらぎ方とか、
トルストイの表現の上手さといったら!

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2021年06月18日

Posted by ブクログ

社交界から排除されたアンナ、ヴロンスキーと農村生活を送るキティ、リョーヴィンそれぞれの交友関係の描写が面白い。家族にしろ地域社会にしろ地方行政や官僚組織にしろ、システム化されているように見えても結局、動かしているのは人であることがわかる。人であれば、厳格、安定してるようであっても、脆さもあり、そのあたりの微妙な心理状態を上手く描いていると思う。

「「結局、あの時アンナさんが来てくれて、キティは助かったのね」ドリーは言った。「ただしあの方にとっては不運だったけれど。本当に、すっかり逆になったわけね。あの時はアンナさんがとっても幸せそうで、キティは自分を不幸に思っていたでしょう。まったくどんでん返しじゃない」p303
「アンナはもっぱら談話のリードの面でホステス役を務めていた。このような少人数の食卓で、おまけに管理人や建築士のようにまったく別世界の人間が混じって、慣れない贅沢な環境に怖気づかぬようがんばりながらも、全体の談話に長くは混じれないでいるような場合、ホステス役が談話を盛り上げるのはきわめて難しいものだ。だがドリーの見るところ、アンナは持ち前の如才なさで、その難しい役割をいとも自然に、むしろ喜んで勤めているようであった」p486
「享受している権利に見合った義務の感覚がないために、そうした義務を否定してしまうわけです」p493

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2020年06月27日

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内容も面白いが最後の読書ガイドが素晴らしい
長編だからついつい以前のエピソードの事を忘れてしまいそうだけどこれを読み事により全体を把握出来大きな流れを失わずにいられる。

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2018年10月09日

Posted by ブクログ

ぐいぐい引き込まれる面白さがある。
長編だが、「だれる」感じが全くない。

本巻巻末の解説は、本書のみならず読書一般に深みを与えてくれるものかもしれない。

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2016年10月28日

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面白い。それなりの長編だけど、おもしろさは変わらない。あと一冊だ。どうなることやら。
読み終わったら、映画を観る。

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2016年01月24日

Posted by ブクログ

一番長い巻でしたが問題なく読めました。
やっぱり面白いね。
ロシア文学は長くて、難しい。
そんなイメージばかり抱いていましたが
全然。面白いじゃないですか。

きっとキティーとリョーヴィンが光
アンナとヴロンスキーが闇なんだと思います。
そして終盤のそれは光と闇の迎合。

最後はどうなるのでしょうか

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2013年07月23日

Posted by ブクログ

ここまでいろいろ盛り込まれてる上に面白いなぁと思うと4をつけれない。他の4と別格ゆえに5しかありえないみたいになる。

リョーヴィンの童貞臭さがすごく好きだわ。

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2013年06月19日

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トルストイを読んでいる時、同時代のドストエフスキーのことをつい考えてしまう。ドストエフスキーは貧困と底辺の生活に喘ぎながらもその中から無数の声無き声を聞き取り、分裂し矛盾する人間というものを混沌的に暴き出した。それに対してトルストイは、社会に翻弄される個人というものを観察しながら人間が人間として生きようとする感情に寄り添おうとした作家だと言えるだろう。それ故に登場人物の感情の機微は丁寧に描かれ、全編通して唯一副題の付く5部20章でニコライが死に至る描写はその最たる箇所であり、凄惨ながらも祝福的ですらある。

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2013年05月09日

Posted by ブクログ

ヴロンスキーとのイタリア旅行から帰国したアンナは、どうしても息子に会いたい一心でかつての我が家に戻る――。一方、新婚のリョーヴィン夫妻は、新しい生活をスタートさせるが――。

2巻の感想で、アンナの心情がさっぱりわからない、と書いたけれど、3巻を読んでいくうちに、それも当然のことだったのかもしれない、と思うようになってきた。
この巻でも、やはりアンナの行動ははっきりしない。自分が心の内で思っていることと矛盾した行動を取り、時にヒステリックなまでに感情を高ぶらせ、それでも輝くばかりに美しく聡明である。
彼女自身も混乱しているのだ。どうしたらいいのか、ほんの数時間、数十分先のことさえわからないでいるのだ。今手の中にあるものだけが頼りで、これを離したら、それこそ自分はどうして生きているのかわからない、という状態にまで来ているのかもしれない。
だからこそ、彼女は異様なまでにヴロンスキーを自分に繫ぎとめておきたいと思うのだろう。

しかしそれでも、アンナの行動ははたから見れば、自分勝手で利己的としか映らないであろう。彼女自身も、そのジレンマに身を焦がさんばかりに苦しんでいることだと思う。
だからこそ、彼女は美しくあろう、聡明であろうとしているのかもしれない。たとえどんなに道徳的、社会的に認められない存在であろうと、その二つを維持することで、彼女のプライドが保てるならば、彼女はいくらでも美しく聡明になる努力をすると、私は思う。だから、アンナが輝くばかりに美しい理由も、わからないではない。
しかし、その意地だけで本当に「美しく」見えるのかとなると、少々疑問だが・・・。

アンナともっとも対照的な家庭生活を営んでいるであろうドリーの視点から、アンナの生活を観察する場面は非常に興味深かった。この場面があったから、アンナの心情に深みが増したと思う。
リョーヴィン夫妻の新生活のほうは、幸せいっぱいでお互いがお互いをこの上なく愛していながらも、細々とした悩みに煩わされる様子がリアルだった。

物語の蕾が膨らんだ3巻。最終巻でこれがどういう形で満開となり、また散るのか、わくわくどきどき。

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2011年08月05日

Posted by ブクログ

アンナがどんどん嫌な女になっていってさすがにかわいそうだけどアンナの娘もかわいそう…。
解説がすごく参考になった。

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2010年02月20日

Posted by ブクログ

アンナさん、生まれてくる時代を間違えた?
21世紀だったら、この生き方全然ありのような。
あるいは、それならそれで、もっと破天荒になってんのかな?
まともな感想は最終巻で。

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2018年08月17日

Posted by ブクログ

 “自由と束縛。愛ゆえの苦悩。”というキャッチコピーがまさに。時代を、国を、こえていきますね、このテーマは。
 アンナとヴロンスキーもそうですが、個人的にはリョーヴィンとキティの側の方が面白い…。とにかく、ものすごく感情移入できる。人心理描写が絶妙で。これは、今の私だからこそ面白いんだろうな。今の彼と出会う前に読んでも、たぶんこういう感想はなかった。これを、結婚した後で読んだらまたすごく面白いんだろうな…!

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2013年02月28日

Posted by ブクログ

アンナとリョーヴィンの状況が段々すり替わっていくかのように、アンナは不幸にリョーヴィンは幸せに近づいている感じがする。

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2018年11月25日

Posted by ブクログ

リョービンとコズヌィシェフのやり取りを読んで、都市の住民の「田舎」と地元の人の「田舎」の感じ方の違いってどこも似たようなものなのねと思いました。

ますますアンナの物語を読むのが苦痛になってきてるけど、彼女の不安定な立ち位置を考えると同情してしまう。
女性の社会的地位の弱さね……。

あと一冊

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2014年03月24日

Posted by ブクログ

リョーヴィンが念願叶ってキティと結婚。
さすがヲタだけあって結婚にも恐ろしいほどの
理想を抱いててちょっと笑える。

アンナとヴロンスキーは・・・
男女の気持ちってこうやってすれ違っていくのね。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

2008.10
やはりアンナのカップルより、キティとリョーヴィンの方がずっと好感が持てる。ヴロンスキーは身勝手な人間に見える。

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2009年10月07日

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