あらすじ
青年将校ヴロンスキーと激しい恋に落ちた美貌の人妻アンナ。だが、夫カレーニンに二人の関係を正直に打ち明けてしまう。一方、地主貴族リョーヴィンのプロポーズを断った公爵令嬢キティは、ヴロンスキーに裏切られたことを知り、傷心のまま保養先のドイツに向かう……。激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの代表作。真実の愛を求め、苦悩する人間たちが織りなす一大恋愛叙事詩。
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Posted by ブクログ
恋に落ちたり、不倫をしたり、それをたしなめたり、噂したり、不信に落ちたり。あまりにもその過程の描写が迫真だ。翻訳もいいのだろうが、やはり古典恐るべしである。
メモ:
・冒頭の列車での事故は、何かの暗示だろうか
・オブロンスキーの不貞は、何かの暗示だろうか
・ウマの背骨が折れたのは、何かの暗示だろうか
・ウソをつかないことの両義性。欲望に正直。しかし、世間体は無視できず、正直に従いたい。良心以上の倫理の存在の主張か。
Posted by ブクログ
19世紀後半のロシア。ひとつの不倫から始まるドラマを軸に、貴族社会の多様な人間模様を描く恋愛小説の名作。
「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」
有名な書き出しから始まる第1部は、不倫から始まり不倫に終わる。『出会ってしまった!』という感じ。美しいロシアの情景と細やかな心理描写が読みやすく、冒頭から興味を引く展開が連続して続いていくので、面白くない部分がないというか、ダレることなく一気に読めた。主役となるアンナ&ヴロンスキーだけでなく、青年貴族リョーヴィンと、彼に関わる令嬢キティの物語もそれぞれ独自に進み、人間関係のバランスが絶妙に設定されていて興味が尽きない。個人的にはやや内向的で真面目なリョーヴィンくんに共感してしまった。
第2部では、行くところまで行くふたり、農業に専念するリョーヴィン、手本となる人物に出会うキティ、というところまで描かれる。手に汗握る競馬レースのシーンは迫力があって面白かった。登場人物たちがこれからどうなっていくのか、続きが本当に楽しみだ。
Posted by ブクログ
19世紀後半のロシア貴族社会における恋愛物語。
複数の主人公が登場し、各々が様々な恋愛模様を生きる。
単に恋愛にのみとどまらず、当時のロシアの社交界、貴族秩序、家庭、政治、経済など、多様なテーマが描かれる。
100年以上前の、異国ロシアにおける物語とはいえ、各登場人物の心の動きなどは、非常にリアリティのあるものとしてこちらに迫ってくるようである。
訳文はとても読みやすく、次巻以降も楽しみでならない。
Posted by ブクログ
この本は実はタイトルの女性は
少しページを読み進めてこないとでてきません。
いきなりすごいことになるわけではないので
そこのところ、お間違えなく。
本当に文章が巧みに尽きる作品です。
ロシア文学と聞くとクソ難解という
悲しいレッテルを貼られがちですが
この本はそうではありません。
確かに長いですが決して難解ではなく
彼の文章に惹かれることでしょう。
本当の主人公はアンナなのですが
私は失意の底に落ちたキティが気に入っています。
彼女の再生の模様を見ていきたいです。
Posted by ブクログ
リョービンとキティのパートがよかった。多元的でとても人間臭い。農業、労働、宗教に対する考え方に非常に刺激をうけた。
一方でアンナとヴロンスキーはまさに悲劇のヒロイン。情熱に浮かされて自分で自分を追い詰めていく様に人間の恐ろしさを感じた。
Posted by ブクログ
村上春樹の「ねむり」に出てきたので急に読みたくなりました。
全巻一気によめました。たぶん新訳だからでしょう。
思った以上に、現代でも通用するテーマ。
アンナはもっと古くさいヒロインなのかと思っていましたが、
美人でおしゃれで魅力的なのが新鮮でした。
鉄道が新しいものとして重要なモチーフとなっているのが、
かえって時代を感じさせます。
同じロシアの古典の「カラマーゾフの兄弟」よりは、
たいくつな箇所がありません。4巻ですが読みやすいので、
それほど気合いを入れる必要はありません。
ちょっとはまりたい、そんな時におすすめです。
Posted by ブクログ
最後まで読み終わった。
も
の
す
ご
く
お
も
し
ろ
か
っ
た
!
!
!
!
思わず、強調しまくってしまうほど(笑)
いやあ、おととしくらいにカラマーゾフ読んで、そっちには、いや~やっぱり昔の人の考えてることはよう分からんわ~お話やから仕方ないか~、みたいなぬるいテンションで読んでしまったんだけど、アンナは始終、なんたるアクチュアリティー!!!!とコーフンしまくってました。
日頃自分が考えてるようなことが、分かりやすく適切な言葉で表現してくれてる感覚で、読んでて実に爽快。訳のリズムも好きで、単語の選択とか表現のセンスがほんと良かった。
や~、私これまで読んだ本の中ではブッデンブロークがお気に入りナンバーワンの座ちゃうか、思ってたけど、いきなりアンナに座を明け渡してもいいかと思ったよ!(笑)
もうそういうことにしとこうかな!!
Posted by ブクログ
フロベールの『ボヴァリー夫人』は不倫という点で共通しているが、タイトルは〇〇夫人となっている。『アンナ・カレーニナ』が「カレーニン夫人」という題ではないことは、誰かのものではなく一個人であることを主張しているのではないか、と思うのは考え過ぎだろうか。もう1人の主人公リョーヴィンとキティの行末を楽しみにしながら、読み進めていこうと思う。
Posted by ブクログ
自分は浮気者の気持ちは全くもってわからないし、まして、他人を不幸にしてまで恋に走る人の気持ちなんて理解できそうもない人間だが、丁寧な心情描写により、これはもう仕方がないと思わせるのはさすが世界的文豪のなせる技か。とはいえ、より胸に迫るのは、穏やかに整然と農作業に打ち込むリョービンや、侮辱されたと思い、悩むキティ、朗らかな人に尽くすワーレニカなど、周辺人物で、リョーヴィンやワーレニカのように私も生きたい…
Posted by ブクログ
ロシア文学、古典の傑作という事でかなりの密度だったが、おすすめされた光文社古典新訳文庫訳で挑戦
物語は2つの主旋律が進んでいくイメージで、
時系列や相関が複雑に絡み合っていく
また、主要人物の深層心理がどこまでも掘り下げられており、
更に当時のロシアの貴族社会の風俗的な描写、今後の帝国主義の崩壊の萌芽も相まって、
理解を進めるのには多次元的な整理がいるかもしれない
刹那に向かうことで狭まっていくことと
理解できないことが最後には広がっていくこと
その対比を俯瞰していくと様々な絵が見えてくると思った
Posted by ブクログ
すれ違いってこうやって起こるんだなという感想。あと心理描写が繊細で読んでいて自分も心当たりがあると思うことがしばしば。言語化してくれる本だった。
ロシアの文化、風俗に疎いので分からないこともあったけど十分読めました。
Posted by ブクログ
古典的名著。活発で気高くも愛への熱情が抑えきれぬアンナとヴロンスキーとの情事の変遷、そして夫の貴族としての面子と誇りを持った仕打ち、一方でキティに振られ傷心のリョーヴィンの立ち振る舞い。文豪トルストイの壮大な時代背景と機微ある人物描写がある一方、大衆向けメロドラマの趣で面白い。
Posted by ブクログ
読むぞー!と意気込んで全巻まとめて購入したのは何年前だったか、すっかり書棚の番人となっておりましたが、突然のこのタイミングで読み始めることにしました。
「幸せな家族はどれもみな似ているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。」という書き出しが与えるインパクトがいきなり鮮烈だ。
1870年代ロシアの貴族社会での愛憎劇で、うまく物語に入り込めるか少し不安だったけど全然問題なかった。徹底したリアリズムの小説なので、それこそ登場人物の全員に感情移入しながら読める。
猛烈な吹雪のなか汽車を降り、追いかけてきたヴロンスキーとアンナが再会、そこに生まれてしまう愛を確信するシーンのなんと美しいことか!今まで読んできた小説でもベスト3に入るほど美しく激しい描写だった。
禁断の愛に身を落としついには彼との子を孕んでしまったアンナ。その関係が夫にも完全にバレてしまいどうなることか。
Posted by ブクログ
20ページに一度くらいハッとさせられるような心理描写が出てくる。必要十分な描写という感じで、無駄が全然ないのである。
アンナとリョーヴィンという二人の主人公がいるが、キャラクターとしてはリョーヴィンのほうが個人的に好きになれた。一番好きなシーンはリョーヴィンとキティが黒板上でお互いの気持ちを打ち明け合うところ。こんな恋をしてみたい。
Posted by ブクログ
ロシア文学特有の感じがあり、最初はとっつきにくいのだがすぐに慣れてこの世界に入り込んでしまうのは流石。
この作品が100年以上前だとはとても思えないような普遍的なテーマなんだと思い知った。
人間そんなに変わらないよね。って思ってしまう。
早く続きが読みたい。
Posted by ブクログ
不倫が結構当たり前というか。みーんな知ってますよ状態。
カレーニンの“「どうしてここまで放っておいたんだ?こんな見苦しい状況をどうして解消しないのだ?」と義憤を覚えたものだった。”
まさに読者がそれをカレーニンに言いたくなる。
好きなシーンがあって、ヴロンスキーの競馬のシーン。疾走感、躍動感があり、自分自身がヴロンスキーになって走っているかのような描写だ。
タイトルにあるのだから、アンナは主人公になるんだろうけど、なんだか影がうすい… 上流の綺麗な女、恋に流された女っていう印象で。これからパッとしてくるのかな?
最後の方の無理をしているキティの姿が描かれていて、そりゃ無理をしたらいつかしんどくなると思った。でも、若いというのはそういった部分があり、気付いていくものだと思う。決断についても。
続きはどうなっていくのやら?
Posted by ブクログ
当時の華やかな社交界の様子や人物描写を詳細に書き記している。第一巻は割と展開が早く感じたが、2巻以降は緩やかになるのだろうか。物語そのものは非常に取っつきやすくさらさら読めた。アンナとヴロンスキーの二人の行く末が非常に気になるが、オブロンスキー・ドリー・キティ・リョーヴィンがそれぞれどうなるかも楽しみ。
Posted by ブクログ
不倫物語。
男は~とか女は~っていうところではちょっとフェミっちゃうし、結婚どころか恋すらまともにしたことがない私には理解し難い部分ばかり。
それでも面白くてサクサク読めてしまうのは、この作品が超名作だからなのか、新訳が上手に訳してくれてるからでしょう。
舞台となっている時代のロシアや西欧の知識が全く無いので、知識の不足を強く感じてしまう。
なぜ彼らはロシア語だけでなくフランス語、英語、ドイツ語を使って会話するのか?
貴族社会や、当時のロシア社会そのもの等、勉強してみたくなります。
この調子で、今月中に全四巻読破したいなあ。
視線で会話しすぎ。
Posted by ブクログ
「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」そうそう、平凡と言われる家庭こそ実は何より幸福なのに、そんな家庭なんてどこにも見当たらないのは今も昔も変わらない。二組の夫婦の不倫劇と若者間の三角関係のすれ違い、粗筋だけ見ると単純だけどそれを精緻な人物描写で陰影を深め、資本主義と社会主義、貴族制度と議会制度といった具合にあらゆる社会要素が併存していた19世紀後半、動乱のロシアを舞台とすることで圧倒的な奥行きを与える事に成功している。当時の鉄道についての解説は興味深い。
Posted by ブクログ
「人間のこわさ」が物凄くリアル。抉る感じでも、皮肉ってる感じでもない。ただ、登場人物の挙動と心情をありのままに書くことが、こんなにおそろしいのかと思った。腹黒い、んではないんです。誰もがそういう意味での「腹」を持っていることが、こわい。そして何より、それに共感してしまう自分、そういった純粋な騙しあいに爽快感すら感じでしまう自分がこわい。人間って本当にこわいと思う。
物語としての続きもとても気になる。昼メロもいいとこです。どこでも修羅場です。笑
そして、情景描写というか、比喩がとても素敵。面白かったり、きれいだったり、思わず付箋をつけてしまう行がたくさんありました。ただ、たまに喋りすぎというか、説明しすぎな感が否めないところもあったり。(何様だ、という感じだけれども。苦笑)
とりあえず、カラ兄からはまったこの古典新訳シリーズ、本当に好きです。個人的に、このシリーズによって光文社が赤丸急上昇です。このシリーズで読んでから、気に入った作品は新潮やら岩波やらで再読したいなーと思う。
Posted by ブクログ
ロシア系の登場人物、覚えにくい。
オブロンスキー、ヴロンスキー、しまいにはぽっと出でオヴァンスキーみたいな人物も出てきたり。笑
題になってるアンナ・カレーニナが出てくるまで、何が繰り広げられているんだ…とちょっと苦しかった。
競馬の場面の描写は、自分が騎手になったかのようで夢中になって読んでしまった。
Posted by ブクログ
名作を読もうシリーズ。とっつきやすさから光文社の新訳文庫で。村上春樹の「眠り」という短編で主人公がむさぼり読んでいた小説。そのころから気になっていたものを10数年越しで。
Posted by ブクログ
初トルストイ。
アンナの不倫シーンは昼ドラのようで、ついつい読んでしまう。体裁を気にするばかりで自分のことを見てくれない夫と、若々しい愛情を素直にぶつけてくる青年。この青年は思わせイケメンなのでつまり女の敵。夫もまぁまぁなクズなので、アンナかわいそう。
「小説」として読もうとするとリョーヴィンの田舎シーンは死ぬほどつまらないが、舞台が近代化の機運高まるアレクサンドル2世代(農奴解放etc.)であることを考えると、「歴史書」をも包含したものとしてスラスラ面白く読める。
巻末に当時の結婚観などが読書ガイドとして付されているのが嬉しい一冊。
個人的な推しは、どこか影のある優しい女性ワーレニカ。
Posted by ブクログ
基本はメロドラマではないか。
名作と言われる所以はこの巻では分からない。
作者が同じだからか、登場人物が「戦争と平和」と被ることが多い。
Posted by ブクログ
トルストイ3作目
やっぱり他の外国人作家に比べ読みやすい。
十九世紀後半のロシア上流社会の出来事って言うのが概要です。
都会の社交界と田舎暮らしという対比は今回もあって、彼の得意技だなって思いました。
タイトルのアンナが最初から出ていなくて戸惑いました。
まだ序盤(後三巻あるのかよ…)なので評価しようがないのですがとりあえず3つ星とします。
Posted by ブクログ
あ~やっと読み終わった
あらゆる要素が注ぎ込んである小説だった。 恋愛結婚宗教政治戦争思想もうぜんぶ入ってる。
好きなとこ
アンナの魅力の書かれよう
ヴロンスキーに遊ばれた後の弱りキティ
良い年したリョービンの浮かれっぷり
リョービンの猟のシーン
リョービンの畑仕事
娘を生んだ時の狂いアンナ
140年前のロシアの貴族生活のあり様
ウォトカ
四巻後半アンナとリョービンそれぞれの死の考察 ここはかなりきた
総合小説ってなに?って思ってたけど、これ読んで理解。ぜんぶ入ってるってことだ。
ぜんぶ入ってるから、人によって面白いとこと面白しろくないとこと出てくる。自分の興味の偏りが知れる。
Posted by ブクログ
古典的名作を読もうという課題を勝手に作り、
去年はファウスト、カラマーゾフの兄弟を読みましたが、
どちらも「これは…!」という予想外の面白さだった。何というか、破天荒な。
それに比べたら、今のところアンナ・カレーニナは、「ああ、まぁ…」というレベルです。
予想の範疇の面白さというのかしら。
確かに展開は巧みで、群像劇だけど混乱もしないし、却って飽きが来ない。
んー、嫌いじゃないのですが。19世紀イギリス小説テイスト。
どんな劇的な展開でも、なんか枠からはみ出さない感があるというか。
これがトルストイ先生の個性なのかな。
とはいえ、面白くないわけではない。
なんせ今のところ、手放しで素敵な女性、男性というのが一人もいません!
それこそが、本当の人間なのねー、という感じ。
ヒロインのアンナが、美しく思いやり深く完璧な女性と思いきや、
意外とダメな子だったりしたのも、ガッカリな半面ニヤリとしなくもない。
そんな両面を持ってる私もまた、素敵な女性からは程遠い。
今のところ、そんな感じで、高みから人間観察をしてるという感じで読み進んでます。
第一巻は、たいてい人物紹介で終っちゃうからね。次からに期待。