トルストイのレビュー一覧
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トルストイの長編小説。非常に文量の長い作品であるが、大変読み応えがあり、さすがは世界の大文豪、と舌を巻いた。
正直、ドストエフスキーやら何やらこの手の世界文学的古典には手も触れたことがなかったが、本作品を読み、その凄みをありありと感じた。これを皮切りに世界文学の世界に足を踏み入れていきたい。
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本長編作品に、登場する二人(男女)の主人公、アンナとリョービン、時に二人は光となり闇となり、同じロシアを舞台としながら、全く別の世界をパラレルに生きていく。
アンナとリョービン、この二人に共通する点は、「自分を偽れない」という点だと思う。ある意味とても純粋素直で、そのため通俗社 -
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最後まで読み終わった。
も
の
す
ご
く
お
も
し
ろ
か
っ
た
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思わず、強調しまくってしまうほど(笑)
いやあ、おととしくらいにカラマーゾフ読んで、そっちには、いや~やっぱり昔の人の考えてることはよう分からんわ~お話やから仕方ないか~、みたいなぬるいテンションで読んでしまったんだけど、アンナは始終、なんたるアクチュアリティー!!!!とコーフンしまくってました。
日頃自分が考えてるようなことが、分かりやすく適切な言葉で表現してくれてる感覚で、読んでて実に爽快。訳のリズムも好きで、単語の選択とか表現のセンスがほんと良かった。
や~、私これまで読んだ本の中ではブッデンブローク -
Posted by ブクログ
まさかアンナが自殺してしまうとは。
そこに至るにあたってのアンナの壊れぶりが凄まじい。ここまで自殺者の心境に迫ったトルストイは、物凄く追い詰められたのではないかと思う。目に映るすべてが「負」としてしか捉えられなくなり、すべてが厭世を引き起こし、自己嫌悪の対象になるアンナ。環境がプロセスを作り上げて結果に至るのではなくて、「自殺」という結果ありきで、そこに至ることを目的にプロセスが意識的にゆがめられていく恐ろしさ。「死が明らかに生き生きと彼女の脳裏に浮かび上がった。死こそ彼の心に自分への愛情をよみがえらせ、彼を罰し、自分の心に住み着いた悪霊との間に行われていた戦いに勝つための、唯一の手段」と -
Posted by ブクログ
切れ目なく続く展開と交差の連続。
瀕死のアンドレイと、一度は彼を裏切ったナターシャの再開があまりに美しく、震えた。
導かれるまま、いやらしくもない、劇的な場面の応酬で、☆五つ。
指導者がすべての手綱を握っているかのように思われがちだが、そうではない、抗いがたい何かによって時代が動いていく。
指導者は戦争を始める事もできなければ、終わらせる事もできない。そこに彼の感情や思想はなんの影響力ももたない。
ではいったい、戦争とはなにか?
実際の戦争を細かに描写しながら、個人の心の中や民衆の生活の中にあるそれを見事に浮き彫りにしていく。
戦場と社交界
個人感情と神
それぞれのものだと思っていたものが、 -
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登場人物を覚えるのが大変!汗
ロシア語って覚えにくい、、けど物語が壮大で意外にサクサク読み進められる。
戦闘シーンは個人的に興味が浅いのか、あまり面白いとは思えなかったけど当時の戦争に対して、それぞれの立場からどのように考えていたかが知れて示唆深い。なんといっても現代を生きる私たちでは理解し得ない感情も、地位や性格含めなるほどだからかと多少納得できたのはとても良い読書体験だった。
戦争をイケナイと考えることはそうだしその通りなんだけど、ここまで深く学ぶことにも人間が同じ過ちを繰り返さないためにもとても意義のあることな気がする。感情的にだけじゃなく、当時の背景を知るって凄い大切なことやな。
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3巻は、ボロジノの会戦の記述(ナポレオン登場)多く、戦争が人々の日常生活にまで及びます。トルストイの戦争に関する考察も入ってきます。戦場の様子は身の毛もよだつ恐ろしさ。
登場人物それぞれの境遇が大きく変化し、読みどころ多し。再会を果たす人々もあり、期待感増し増し。戦場で負傷したアンドレイの心情描写は、白眉です。ピエールの行動にはビックリで、ナターシャと共に心の成長が見られます。
起承転結の“転”に当たる3巻は、まさに「戦争」と「平和(人々の様子)」の核心に迫っているのではないかと思いました。
以下、ネタバレ的感想、つれづれです。
・アンドレイの妹マリヤの身に大きな変化(父の死、領地 -
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ロシア国内と国外(戦争の場面)に分かれます。
【国内】5つの家庭(ドルベツコイ家、ロストフ家、ボルコンスキイ家、クラーギン家、べズーホフ家)の人間模様が混み入っています。貴族の社交場がはじめに描かれますが、考えようによっては、人間同士の駆け引きは戦争のようです。
遺産を巡る争いで、父の財産を受け継ぐのがピエール(男性)。純粋といえば純粋ですが、ごちゃごちゃ色々考えているわりには、何だか肝心なところがはっきりしない人。
そんなピエールの財産目当てに付け込むワーシリイ公爵。自分の娘エレンとピエールを結婚させようと画策します。
そのエレンが魔性の女のようで、うわー怖い!エレンがピエールを誘惑 -
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ネタバレ以前(と言っても2025年の6月の樫本大進)、ヴェートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いた時に、トルストイがそれを踏まえて小説を書いていると知って、次にもしクロイツェルを聞くことがあったら、読もうと思っていたところ、案外早くその機会が訪れそうなので、読みました。
収録されている「イワン・イリイチの死」も面白かった、し死への向き合いシミュレーションとして、真に迫るものがあって、トルストイすごい…と概ねなっていた。何も背景なく本作を手に取ったら、むしろ「イワン・イリイチの死」の方が面白かった&好きだったかも
「クロイツェル・ソナタ」
…そもそもわれわれ男性だけが知らないこと、それも知りたくない