トルストイのレビュー一覧

  • アンナ・カレーニナ 4

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    トルストイの長編小説。非常に文量の長い作品であるが、大変読み応えがあり、さすがは世界の大文豪、と舌を巻いた。

    正直、ドストエフスキーやら何やらこの手の世界文学的古典には手も触れたことがなかったが、本作品を読み、その凄みをありありと感じた。これを皮切りに世界文学の世界に足を踏み入れていきたい。

    *   *   *

    本長編作品に、登場する二人(男女)の主人公、アンナとリョービン、時に二人は光となり闇となり、同じロシアを舞台としながら、全く別の世界をパラレルに生きていく。

    アンナとリョービン、この二人に共通する点は、「自分を偽れない」という点だと思う。ある意味とても純粋素直で、そのため通俗社

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    2010年08月29日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    自分はリョーヴィンとキティの筋がメインプロットで、アンナはサブプロットな感覚で読んだ。まあ、アンナの筋の方が心理劇としては鬼気迫るけど、それがメインだと重いから。

    いづれにしろ、社会に生きる人々の様々な行為や決定にまつわる心理が細密に書かれていて、素晴らしい名作だと思った。今も昔も社会や人間の大枠は変わらないもんだな。
    人はひとりでは生きていけない。それで、社会と折り合いをつけ、社会性を持って生きることへの葛藤と救い。そしてまた疑い。ライフゴーズオンで物語は続いていく。

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    2010年07月20日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    最後まで読み終わった。
















    思わず、強調しまくってしまうほど(笑)
    いやあ、おととしくらいにカラマーゾフ読んで、そっちには、いや~やっぱり昔の人の考えてることはよう分からんわ~お話やから仕方ないか~、みたいなぬるいテンションで読んでしまったんだけど、アンナは始終、なんたるアクチュアリティー!!!!とコーフンしまくってました。
    日頃自分が考えてるようなことが、分かりやすく適切な言葉で表現してくれてる感覚で、読んでて実に爽快。訳のリズムも好きで、単語の選択とか表現のセンスがほんと良かった。
    や~、私これまで読んだ本の中ではブッデンブローク

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    2010年06月27日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    アンナがどんどん嫌な女になっていってさすがにかわいそうだけどアンナの娘もかわいそう…。
    解説がすごく参考になった。

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    2010年02月20日
  • 戦争と平和 (五)

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    レフ・ニコラエヴィチ・トルストイは、99年前の1910年11月20日に82歳でなくなったロシアの小説家ですが、今回の池澤夏樹個人編集の世界文学全集全24巻には残念ながら入っていませんが、まぎれもなく池澤センセの世界文学の概念からすると本当は落としてはいけない一人なのですが、今更というか、すでに。『戦争と平和』は中2の夏休みと高2の春休みに

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    2011年07月19日
  • アンナ・カレーニナ 4

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     まさかアンナが自殺してしまうとは。
     そこに至るにあたってのアンナの壊れぶりが凄まじい。ここまで自殺者の心境に迫ったトルストイは、物凄く追い詰められたのではないかと思う。目に映るすべてが「負」としてしか捉えられなくなり、すべてが厭世を引き起こし、自己嫌悪の対象になるアンナ。環境がプロセスを作り上げて結果に至るのではなくて、「自殺」という結果ありきで、そこに至ることを目的にプロセスが意識的にゆがめられていく恐ろしさ。「死が明らかに生き生きと彼女の脳裏に浮かび上がった。死こそ彼の心に自分への愛情をよみがえらせ、彼を罰し、自分の心に住み着いた悪霊との間に行われていた戦いに勝つための、唯一の手段」と

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    2013年02月28日
  • 戦争と平和(四)

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    最後の最後まで、完璧。
    トルストイの中でもっとも感銘を受けた作品となった。
    こんな作品に出会える事が、あと何回あるだろう?
    そう思って寂しくなるほど。

    でもエピローグは読む必要がないと思う。

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    2009年10月04日
  • 戦争と平和(三)

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    切れ目なく続く展開と交差の連続。
    瀕死のアンドレイと、一度は彼を裏切ったナターシャの再開があまりに美しく、震えた。
    導かれるまま、いやらしくもない、劇的な場面の応酬で、☆五つ。

    指導者がすべての手綱を握っているかのように思われがちだが、そうではない、抗いがたい何かによって時代が動いていく。
    指導者は戦争を始める事もできなければ、終わらせる事もできない。そこに彼の感情や思想はなんの影響力ももたない。
    ではいったい、戦争とはなにか?
    実際の戦争を細かに描写しながら、個人の心の中や民衆の生活の中にあるそれを見事に浮き彫りにしていく。
    戦場と社交界
    個人感情と神
    それぞれのものだと思っていたものが、

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    2009年10月04日
  • 戦争と平和(二)

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    ☆五個じゃ足りん。
    まだこれがやっと折り返し地点なんて。

    ナターシャから放たれる輝き。ニコライとの兄弟愛。
    ソファ室での親密な告白。そして音楽と踊り。
    その感じ易い性格から違う男に惹かれる自分に気づかないナターシャ。
    華やかで感動的な場面を多く見せる第二章。


    結局は愛だ恋だの一悶着なんよね。
    おれは、ナターシャの不貞も、アナトーリの傲慢さも、容認派。
    許せないけど、仕方ないと思う部分も大きい。
    自分もきっと同じようにしてしまうので。

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    2009年11月16日
  • 戦争と平和(二)

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    作品中最も美しい第2巻。
    夢のような舞踏会と窓辺のナターシャとソフィー、アンドレイの場面が印象的。

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    2009年10月04日
  • 戦争と平和(一)

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    登場人物を覚えるのが大変!汗
    ロシア語って覚えにくい、、けど物語が壮大で意外にサクサク読み進められる。

    戦闘シーンは個人的に興味が浅いのか、あまり面白いとは思えなかったけど当時の戦争に対して、それぞれの立場からどのように考えていたかが知れて示唆深い。なんといっても現代を生きる私たちでは理解し得ない感情も、地位や性格含めなるほどだからかと多少納得できたのはとても良い読書体験だった。

    戦争をイケナイと考えることはそうだしその通りなんだけど、ここまで深く学ぶことにも人間が同じ過ちを繰り返さないためにもとても意義のあることな気がする。感情的にだけじゃなく、当時の背景を知るって凄い大切なことやな。

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    2025年12月08日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    トルストイの転換点『人生論』と同年、1889年に『クロイツェル・ソナタ 悪魔』は書かれた小説。しかし、『悪魔』はトルストイの死後1911年に公開される。内容が私小説的色彩が強い作品だったのが理由と言われている。

    現代でも『クロイツェル・ソナタ 悪魔』はありそうな話ではある。浮気現場を目撃されて刃傷沙汰になり死人が出たり、元カノと別れられずにズルズルと...最後には家庭が崩壊し誰も幸せにはならないとか。人間のやっていることは昔から変わらないし、たぶんこれからも変わらないのかもしれないね。

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    2025年11月24日
  • イワン・イリッチの死

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    人は一人で生まれて、一人で死んでいく。

    死んだことがないので、ここに書かれている心理描写を評価はできないが、病気になった時、これと同様に感じたことがある。

    意識だけが働いて、希望を覚えたかと思えば、次の瞬間には絶望する。心から同情して欲しいのに、皆自分たちのことで忙しく、思ったような感情は振り向けてもらえない。

    薄っぺらい(物理的に)本だったが、とても深い本だった。

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    2025年11月17日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    ネタバレ

    望ましいのは絶対の純潔を続けることであり、徹底的に一夫一婦の原則を守り通すことがいいと考えているトルストイ。道楽は絶対許してはならないというメッセージ性が強い。
    「クロイツェル・ソナタ」嫉妬や思い込みが激しく、勢いで妻を殺してしまう。ベートーヴェンの作品だが何度か出てくる。
    「悪魔」すざまじい話…性欲っておそろしい。最後の結末はもうひとつ別のパターンもあって、エヴゲーニイはステパニーダを射殺したものがあるとのこと。どっちの結末も救いがない。だめだ。。トルストイ自身の実話も絡んでいるようだ。面白かった!

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    2025年10月14日
  • 戦争と平和 (六)

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    物語部分より、エピローグ2(トルストイの歴史考察)が強烈過ぎる。
    そのため、小説の印象が薄くなってしまった。

    考察を読んで思ったことは、トルストイはギリシャ哲学も学んでたんだなということ。
    物語の方で、級数(数学Ⅱ・Bで習う)という単語も出てきたり、著者の学識の深さに驚いた。

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    2025年10月11日
  • 人生論

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    ネタバレ

    人間の生命について曖昧な定義を明確にしようという発想が新鮮でした。人間の生命とは理性的な意識を持って自分ではなく他人の幸福のために生きること、また他人を平等に愛することであり、これにより生命は時間や空間とは離れ、死にすら臆すことがなくなる、というのが筆者の考えかと思います。
    筆者はこの精神を持つことで、死の恐怖すら超越できたのか…晩年の筆者の心情が純粋に気になりました。

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    2025年10月01日
  • 人生論

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    死に対する捉え方が印象的だった。これを執筆した時トルストイが死を覚悟していたからなのだろう。大抵ウンウンと同意しながら読めると思う。こんなに共感できると思っておらず、自分自身の感性に対しても新たな発見であった。

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    2025年09月19日
  • 戦争と平和(三)

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    3巻は、ボロジノの会戦の記述(ナポレオン登場)多く、戦争が人々の日常生活にまで及びます。トルストイの戦争に関する考察も入ってきます。戦場の様子は身の毛もよだつ恐ろしさ。

    登場人物それぞれの境遇が大きく変化し、読みどころ多し。再会を果たす人々もあり、期待感増し増し。戦場で負傷したアンドレイの心情描写は、白眉です。ピエールの行動にはビックリで、ナターシャと共に心の成長が見られます。

    起承転結の“転”に当たる3巻は、まさに「戦争」と「平和(人々の様子)」の核心に迫っているのではないかと思いました。

    以下、ネタバレ的感想、つれづれです。



    ・アンドレイの妹マリヤの身に大きな変化(父の死、領地

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    2025年09月11日
  • 戦争と平和(一)

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    ロシア国内と国外(戦争の場面)に分かれます。

    【国内】5つの家庭(ドルベツコイ家、ロストフ家、ボルコンスキイ家、クラーギン家、べズーホフ家)の人間模様が混み入っています。貴族の社交場がはじめに描かれますが、考えようによっては、人間同士の駆け引きは戦争のようです。

    遺産を巡る争いで、父の財産を受け継ぐのがピエール(男性)。純粋といえば純粋ですが、ごちゃごちゃ色々考えているわりには、何だか肝心なところがはっきりしない人。

    そんなピエールの財産目当てに付け込むワーシリイ公爵。自分の娘エレンとピエールを結婚させようと画策します。

    そのエレンが魔性の女のようで、うわー怖い!エレンがピエールを誘惑

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    2025年09月07日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ネタバレ

    以前(と言っても2025年の6月の樫本大進)、ヴェートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いた時に、トルストイがそれを踏まえて小説を書いていると知って、次にもしクロイツェルを聞くことがあったら、読もうと思っていたところ、案外早くその機会が訪れそうなので、読みました。
    収録されている「イワン・イリイチの死」も面白かった、し死への向き合いシミュレーションとして、真に迫るものがあって、トルストイすごい…と概ねなっていた。何も背景なく本作を手に取ったら、むしろ「イワン・イリイチの死」の方が面白かった&好きだったかも

    「クロイツェル・ソナタ」
    …そもそもわれわれ男性だけが知らないこと、それも知りたくない

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    2025年08月24日