トルストイのレビュー一覧

  • 戦争と平和(二)

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    ネタバレ

    第一巻で整えられた舞台と、大きな大きな予感とが交錯し、絡み合って、目にも綾な物語が織りなされる第二巻。

    本当にどれも素晴らしいエピソードばかりで、何から、そして誰から言えばいいのかわからない。
    だがあえて言えば、前半がピエールで後半がナターシャ、だと思う。

    ピエールがフリーメーソン会員になるのには本当に驚いてしまった。一体彼はどうなってしまうのだろう、宗教的なものに目覚め、彼と言う人間は変わってしまうのだろうか、ととても心配した。
    しかし、ピエールはやはりピエールのままだった! 彼は苦悩し、求め、そして行いをするが、それは彼にとって結果を生まない。物事は常に彼の思い込みを嘲笑うかのように、

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    2013年12月02日
  • 戦争と平和(一)

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    秋なので、思い切って大長編に挑戦!! ということで、かなり背伸びしてみるのもいいだろう、と思い『戦争と平和』を手に取る。

    しかし、意外や意外。思っていたよりも、全然、難しくない!! むしろ、すごく読みやすーい!!
    描かれているのが19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入ということと、俗にいう「登場人物500人超」に読む前から尻込みしていたのが嘘みたい。登場人物はいきいきしており、展開がスムーズで、雰囲気は明朗である。

    特に人物描写の素晴らしさには、目を見張るばかりだ。いろいろ言ってはキリがないのだが、とにかく、膨大な数のそれら登場人物が、ことごとく第一印象を裏切らないのである。
    これは別の言い

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    2013年10月21日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聞いてから気になって手にとった。
    トルストイの作品の中でも”性”について扱う中編二作品を収録。どちらのタイトルも抗いがたい欲望の引き金を象徴している。
    特に『クロイツェル・ソナタ』で行われる、列車の長旅の中で行われる人物たちの対話はとてもおもしろく感じた。
    どちらの作品もazuki七さんが常日頃感じているように、愛というものをどんな形にするのか、よくわからなくてイライラしてしまう。人間の動物的欲求を克明に描き出していると共に、そんな中でも清くあれと叫んでいるような感じがそれでもしてしまう。
    トルストイ自身も愛というものを探していたのかもしれない。

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    2014年03月14日
  • 戦争と平和(二)

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    ネタバレ

    「過ちをおかした女を許してやるべきだとぼくは言った、しかし、ぼくが許すことができるとは、言わなかった。」

    ナターシャの恋愛事情。
    戦争前の平和なロシアでの社交界。

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    2013年09月04日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    本当にこの人の本は本を読んだという
    思いを私たちにさせてくれます。
    ロシア文学は難しいなんて
    言われますが、そうではないと思います。

    どちらも「死」がテーマとなる作品です。
    特に後者は妻殺しをした男の
    告白となります。
    だけれども、そこまで至る経緯は
    ここまで極端ではないものの
    誰しもが抱いたことのある
    感情ばかり。

    結婚前に読むか読まないかでも
    だいぶ違いそうな本です。

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    2013年08月31日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ロシア文学に早く出会えなかったことに
    本当に損をしたな、と感じました。
    人生における事柄が網羅されています。
    恋、苦悩がそこに。

    確かにアンナのとった行動は
    世間一般では相容れられない行為です。
    だけれどもそれを頭ごなしに批判することは
    出来ないと思います。

    誰しも、アンナほどではないですが
    大きい、小さいに関わらず
    道に外れてしまう、というのは
    少なからずありますので。

    目先の出来事からの逃避も
    その1つかと思いますので。

    そしてリョーヴィンに関して。
    彼の苦悩も本当に分かります。
    でも、それに気づいたのは
    大きな成功ですね。

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    2013年07月31日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    一番長い巻でしたが問題なく読めました。
    やっぱり面白いね。
    ロシア文学は長くて、難しい。
    そんなイメージばかり抱いていましたが
    全然。面白いじゃないですか。

    きっとキティーとリョーヴィンが光
    アンナとヴロンスキーが闇なんだと思います。
    そして終盤のそれは光と闇の迎合。

    最後はどうなるのでしょうか。

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    2013年07月23日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    はじめはこのページの多さに辟易しちゃう。
    でもいったん読み始めてしまうと
    そのコメントはどこへやら、になっちゃう不思議さ。

    扱っている世界が社交界という
    貴族の世界なのもやはり惹かれる理由かな。
    普通では体感できない世界というのが。

    私はメインのアンナよりも
    不器用で、時に意見を言うときにも
    何かと後悔ばっかりしている
    リョーヴィンが好きです。

    農業経験のある私は
    この描写は全然退屈じゃなかったなぁ。
    人によっては退屈かなぁ。

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    2013年07月19日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    この本は実はタイトルの女性は
    少しページを読み進めてこないとでてきません。
    いきなりすごいことになるわけではないので
    そこのところ、お間違えなく。

    本当に文章が巧みに尽きる作品です。
    ロシア文学と聞くとクソ難解という
    悲しいレッテルを貼られがちですが
    この本はそうではありません。
    確かに長いですが決して難解ではなく
    彼の文章に惹かれることでしょう。

    本当の主人公はアンナなのですが
    私は失意の底に落ちたキティが気に入っています。
    彼女の再生の模様を見ていきたいです。

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    2013年07月03日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    アンナの他人からみた時の美しさの描写、猟の描写、リョーヴィンキティの掛け合い、リョーヴィンの最期の悟りの部分、特に良かった。ありとあらゆるテーマが緻密に書き込まれていていながらわかりやすいダブルプロットでとても読みやすく☆5を付けざるをえない。とても楽しかった。

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    2013年06月21日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ここまでいろいろ盛り込まれてる上に面白いなぁと思うと4をつけれない。他の4と別格ゆえに5しかありえないみたいになる。

    リョーヴィンの童貞臭さがすごく好きだわ。

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    2013年06月19日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    純潔に夢見てるトルストイらしい真摯さというか真面目さの見えるお話。罪と信仰と性に関して、理想持つ立場から書き綴られています。
    こんな風にキリスト教的な精神の葛藤を題材にした小説は多いけれども、仏教や神道では寡聞にしてあまりそういうのを見かけない気がする。

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    2013年05月14日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    トルストイを読んでいる時、同時代のドストエフスキーのことをつい考えてしまう。ドストエフスキーは貧困と底辺の生活に喘ぎながらもその中から無数の声無き声を聞き取り、分裂し矛盾する人間というものを混沌的に暴き出した。それに対してトルストイは、社会に翻弄される個人というものを観察しながら人間が人間として生きようとする感情に寄り添おうとした作家だと言えるだろう。それ故に登場人物の感情の機微は丁寧に描かれ、全編通して唯一副題の付く5部20章でニコライが死に至る描写はその最たる箇所であり、凄惨ながらも祝福的ですらある。

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    2013年05月09日
  • 戦争と平和 (六)

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    歴代Best3に入る愛読書。
    愛読書といっても社会人になったばかりのときに一度読んだきりだが、その感動は語り尽くせないほどであった。
    最初は登場人物多くて苦戦したが、後々その人間関係が複雑に絡み合って繋がっていく壮絶なストーリーに大興奮だった。
    戦争という大きな時代の中だからこそ見つけられた本当の平和。
    いつかもう一度読み返したい!

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    2013年03月03日
  • 戦争と平和(一)

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    これを一人の人間が書いたのか!とおもう。500人を超える登場人物をひとりひとり緻密に書き分け、みな血が通った人間にしたてあげている。友人から「どういうストーリー」ときかれてうーんとうなってしまった。ピエールのことをいえばいいのか、アンドレイか、ナターシャか、ナポレオンか・・・一人一人の人生が生き生きと、そして丁寧にえがかれている。いくつもの物語が交錯して、まったくどう説明していいか見当もつかない。これはその時代のロシアを偉大な文豪が鋭利な刀で切り取ってきた作品ですとでもいえばいいのか。

    歴史はどうしてつくられるのか。一部の有名人によって形成されるのか。作者はちがうという。目に見えない動き、と

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    2013年01月15日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    『クロイツェル・ソナタ』の方は光文社文庫で読んだので、こちらは『悪魔』のみの感想をば。

    エヴゲーニィという真面目な青年の悲劇。
    人間なら誰もが抱くであろう感情に苦悩し敗北してしまった人。
    こんなにも苦しんだのに誰一人彼の苦悩を理解しない結末。
    もしかしたら、それは現代人にも通用することで、今現代で同じ悩みを持つ人間がいたなら、恐らくその人も誰にも理解されないのではないだろうか…。
    エヴゲーニィはあの女性を“悪魔”と言っていたけど、悪魔は常にエヴゲーニィの中に居たんじゃないかな。それは誰の中にも居るだろうものだと思う。

    エヴゲーニィとリーザは良い夫婦だと思う。身重のリーザをお姫様抱っこしたシ

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    2013年01月12日
  • 人生論

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    トルストイが小さな怪我から重い病気になり死を意識する。なぜ何ために死はあるの理性と感情が保てない、という見舞いの手紙に返事したのが元となりトルストイ思想を知る本にもなる。というものの中盤は難解至極で凹む。人は真の理性をもてば死は怖くない、誕生から死しても未来へ永遠に続くものそれはあなたの愛で、自分の幸せ願望は他人も同じ、戦争なぞ無い未来が来る。だけども、苦や痛みは人生に当然あるもの、その中に幸せがあると理解せよ。顕微鏡で覗いても宇宙へ行っても見つからない。つまり、快楽のみにボ〜っと生きるなということかな。

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    2013年01月04日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    数人の閑人が人の幸福について語るが誰一人幸福でないといった、結局口先だけで論じ合うのが関の山というプロローグから始まる本書。トルストイが考える人の真の幸福の生き方はキリスト教に答えがあった。理想(キリスト教)と現実(俗世)的な生き方をする登場人物2人の言い分はともに正論に思える。若き読者は老いるまで老いた読者は死ぬまでの経験する総てが本書150頁の中にあるかもしれない。読みながら自身の過去を想い、先を思い、右往左往する。《彼は喜びのうちなお20年生き延び肉体の死が訪れたのも知らなかった》果たして我が身は。

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    2013年01月03日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ネタバレ

    幸福の虚妄と言う点で文学の優れた業をみせている。裕福に暮らすロシアの中流階級層の人間が、世俗の欲望を追うこと意外に生きる意味を見出せない時、愛欲、嫉妬、憎悪といった利己心の中で、人間の「幸福」の条件を焼き滅ぼしてしまう、という内容。

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    2012年11月24日
  • 戦争と平和 (一)

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    ネタバレ

    何年も前から新潮文庫の方を何十回も本屋で開いては文章に謎の拒否感を感じて本棚に戻していたこの小説。
    他の人の訳なら、脳が突っ張ねることもないかと、この岩波版を購入してみました。結果としては、他の方のレビューある通りにこちらも決して読みやすい訳文ではありませんが、それでも内容にぐいぐい引き込まれて最後まで(と言ってもまだ一巻だけですが)読み通すことができました。

    この巻に収録されているのは第一部の第一遍と第二編。第一遍はモスクワの貴族社会が舞台で、主人公挌の青年ピエールの遺産相続の顛末。第二編は一転して対ナポレオン戦争の最前線で、主人公格の一人アンドレイを軸に戦場での日常風景から始まり、侵攻し

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    2012年10月14日