トルストイのレビュー一覧

  • 戦争と平和 (六)

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    ペーチャとカタラーエフの死が前半で、どちらもあっけなく戦場で亡くなり、戦争と平和というタイトルの感じでした。多くの登場人物が亡くなる中で、捕虜の苦しい生活に陥りながらも生きながらえるピエールは、幸運に恵まれた人物と言えると思います。最後はピエールとナターシャ、ニコライとマリアの夫婦の穏やかな生活で締めくくられます。ソーニャのニコライへの片思いが実らなかったのが残念でした。一番最後のエピローグの2の評論文は難解そうなので読んでいません。世界の名作文学と言われた戦争と平和をだいたい読み通せたことがうれしいです。最後になりましたが、レフ・トルストイというとアニメ「月とライカと吸血鬼」という私の好きな

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    2025年12月18日
  • 戦争と平和(四)

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    圧巻だった。
    最後のトルストイの歴史観は精緻な言語化と崇高な思考力にあっぱれを送りたい。

    今まで読んだ本のなかで暫定一位になったかも。にしても登場人物559人はうける
    そのどれもが生き生きとしてて自然な思考で、凄いなーほんとに

    過去にこれを書いた人がいるという事実と、この本に出会えたことに感謝!

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    2025年12月14日
  • 戦争と平和(三)

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    描写が美しいから、戦時中の辛い様子を描くところでも、気持ち的に休み休みしながら読める

    にしても登場人物の人間感情がリアルすぎ
    こんなに「人間」について克明に描いた作家いるのかな?ってくらい、ほんとそこに感動する…

    そして結局諸行無常なんだけど、たまに現実世界でも起こりそうなくらいに幸福な瞬間や愛もあって、だからまた救われるというか

    そしてたまにでる作者の鋭い観察眼による金言が舌を巻く。3巻にしてできた推しはアンドレイ公爵

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    2025年12月12日
  • 戦争と平和 (五)

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    この長編もいよいよ後半。モスクワ市街がフランス軍に制圧され市の大半が焼失、その中でピエールはナポレオン暗殺を考えるが、あっけなく捕虜にされ容疑者たちが銃殺される現場を見る。以来ピエールの中で宗教や政治、妻エレンのことは遠ざかってしまう。捕虜生活の中でプラトンという男と知り合う。これがトルストイの傾倒した老荘思想の持主ということらしい。しかし東洋的なことを言うわけではない。モスクワから逃げ延びたロストフ一家は負傷したアンドレイと偶然落合い、ナターシャとマリアはその臨終に立ち会う。末期のアンドレイも現世のことには興味がなくなっていたようだ。このあたり作者の無常観が漂っている感じだった。そんな中でニ

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    2025年11月27日
  • 戦争と平和(一)

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    ナポレオンのロシア侵攻を取り上げたトルストイの小説第1巻。全部で4巻。自分をだまして結婚する生活の虚しさや、戦争の愚かさが感じ取れる。戦闘の場面と、日常の場面の切り替えがあるため状況をつかみづらいと感じたところもあるが、時系列で進んでいると思って読んだので問題はなかった模様。

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    2025年11月18日
  • 戦争と平和 (四)

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    この巻は前半はマリアの父ボルコンスキー公爵の死 後半はナポレオンのロシアでの初めての敗北のボロジノ戦が描かれています。読んでいてじわじわ来たのは、私のように戦争経験のない人間にはわからない、軍事進攻の残酷さです。特に前半のアンドレイの故郷の荒廃ぶり、彼らが土地を転々としている事実、むろん彼らは裕福な何ヘクタールも農場を所有している豪農の領主なのですが、しかし物語で語られている時間経過でそれは感覚として理解できました。いわば都落ちです。後半の戦場の残酷な描写も克明であり、この時代の戦争ではあるのですが、指導者と現実の戦場の乖離など、読んでいてそうであろうと納得させられました。そんな中でアンドレイ

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    2025年11月12日
  • 戦争と平和 (三)

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    この巻は戦争関連の事柄は退き、ロストフ家とボルコンスキー家の縁組の話が主で、いろいろな結婚話が出てきます。年若いナターシャを巡る恋愛話が主なのでヒロインかなと思いますが、ソーニャが脇役で地味ながら聡明なこと、またアンドレイの妹のマリアが老父に支配され結婚もできずにいることなど、私もこの歳で読んでみて若い頃には気づかなかったであろう点が多々あり、非常に示唆に満ちた読書体験でした。持参金のあるなしで縁談もうまくいかないことも何度も出てきて、非常にシビアな作品だと思います。また登場人物らの心理描写が巧みで、ほんのちょっとしたことで気持ちが移りかわっていく描写が多かったです。まだ半分まで来たところなの

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    2025年10月26日
  • 戦争と平和 (二)

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    ピエール、ニコライ、アンドレイの三人を軸に話が進み、決闘や賭博、フリーメーソンと多彩な当時の庶民の暮らしの先端部分が描かれた巻。アンドレイは戦争で負傷し妻をお産で亡くし、フリーメーソンに入会して意気があがっているピエールと距離ができてしまう。またニコライは、妹のソーニャに思いを寄せたが断られたドーロホフに賭博で負けてしまう。ドーロホフはその前にピエールとその妻エレンを巡りピストルでの決闘で負けている。戦争はこの巻ではその背景に退き、複雑な人間模様が主として描かれる。フリーメーソンがこの先どう描かれているか知らないが、この巻での描写は新興宗教のようで不気味に思えた。ピエールはその教義に基づき農民

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    2025年10月15日
  • イワン・イリッチの死

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    解剖で忙しかったから読むのに時間かかった。
    死の受け入れ方昔から興味があるから、この本は面白かった。死にリアリティがない学生時代だからこそ楽しめた気がする

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    2025年10月12日
  • イワン・イリッチの死

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    ひとりの男の生涯と死に至るまでが、100ページという短い中に重厚に描かれている。死とは身近なものである、という事実を突きつけられる。赤の他人の何気ない小さな事故から、死が近づいてくる心理描写がとても生々しく、死は他人事ではないことを痛感する。途中で視点が変わるのも無駄がない。

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    2025年09月19日
  • 戦争と平和(二)

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    2巻は、平和の場面中心です。狩り、舞踏会、雪原をそりで走る場面が印象的で、描写が素晴らしい。翻訳者の方の日本語力に魅了されます。

    人物描写もこれまたすごい。読みはじめは人物がたくさんいて大変!と思いましたが、それは早合点。美容室で、“週刊誌を見て芸能人の動向を知る”そんなおもしろさ?!があります。人間模様は、時代、国が違っても興味をそそります。

    男女関係はかなり、もつれにもつれて。登場人物一人ひとりの心情がジェットコースターのように変化していきます。後半にいけばいくほど、物語に引き込まれました。2巻だけでもお腹いっぱいの満足感!人間模様が多く語られた2巻だったので、3巻は戦争のことだろうと

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    2025年09月10日
  • 戦争と平和6

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    エピローグで主要な登場人物たちの大団円が描かれる中、ソーニャについて語られるシーンは薄影のように切ない。著者の歴史論に捧げられたかのようにあっけなく戦死したペーチャよりもむしろ、ソーニャを無駄花と評するナターシャの台詞が割り切れない印象を残す。ソーニャは可哀想なのか? 物語の中でピエールやアンドレイが達した心境、あるいはそれを体現するプラトンの世界観で解釈するとどうなるのだろうか? ピエールが覚醒時に感じた「ただ生きていく」ことの価値に共感できれば、この物語でのソーニャの意味が深く染みわたってくる。実在するなら身近にいて欲しい人だと思う。

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    2025年09月11日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    トルストイが言いたかったことは結局この本に要約されているのではないか。トルストイの本で一番好きです。

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    2025年07月08日
  • イワン・イリッチの死

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    ネタバレ

    あーーー良かった。今読みたい本だった。痒いところに手が届く本だった。
    イワンはバカだなあと思う気持ち(イワンのバカなだけに)と、果たして自分は絶対にイワンのようにはならないとは言えるのか、不安になった。怖くなった。
    イワンは本当にバカだ。世間での評価しか頭になくて、本当に自分が大切にしたいもの、魂の声を全く聞いていなかった。世間の評価がなぜ大事なのか考えたこともなかっただろう。俗っぽい、つまらない人生。
    でも、魂の声を聞き続けるのも大変。そんなのすぐに答えが見つかる問いではない。聞き続ける、探し続けることその自体に意味がある、その行為自体が目的になってしまうようなことだと思う。自分はまだ声を聞

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    2025年07月07日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    若き将校との許されない愛に走るヒロイン・アンナと、神を信じることができない地主貴族リョーヴィンの、交差しない二人の主人公の人生が描かれる。この大部の小説を通じて、トルストイは同時代(1870年ごろ)のロシアという国全体を描き切る野心を持っていたのではないか--そんな風に思える。

    首都の貴族社交界の華やぎから田舎の農夫の草の刈り方まで、あらゆるディテールがおよそ想像で書くのは不可能な詳細さで描き込まれ、トルストイの筆致の巧みさに感嘆せざるを得ない。

    しかしそれだけで終わってしまっては、この作品は最高の風俗小説であるという結論になってしまう。この作品を傑作ならしめる深みは、登場人物それぞれの苦

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    2025年06月02日
  • 戦争と平和6

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    ネタバレ

    ロシアの大地に生きる「民」の姿と価値、重要性をトルストイは『戦争と平和』で描いたのではないか。しかし、それはロシアだけのものではなく、日本のものでもある。いや、国籍など問わない、世界共通の価値だろう。

    それにしても、エピローグ第2編の歴史学への言及やのちの「数言」は、これ以上の蛇足を他書に感じたことはなかった。小説部分のニコールシカで終わる結末ももう少しなんとかならなかったのか、という想いもある。以上が本作への2つの不満である。あとは優勝だ。

    〈メモ〉
    4-3-11 ペーチャの戦死
    4-3-14 プラトンの無実の爺さんの話し。プラトンの銃殺
    4-4-14 モスクワの復興、ラストプチンのビラ

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    2025年05月30日
  • 人生論

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    生命には、根本的な矛盾がある。それは、個人の幸福を追求していけば、奪い合いの世界になり、争いが起き勝った者と負けた者との世界となる。個人の追求は、全体の幸福を作らない。これを解決するためには、個人が自己中心的な欲求を解消することをやめ(自己中心的な、選り好みした愛、自分が良ければいいという考え)他人への献身こそが、人間の心の志向であるということに気づかなければならない。人間の精神の根底にある真の心の志向は、万人が共通して持っているものである。万人が共通して持っている心の志向とは、他人を喜ばせること、他人を幸せにすることが自分の心を充足させることにつながるという精神である。

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    2025年05月21日
  • 戦争と平和5

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    ネタバレ

    英雄主義を排した歴史観のもと、様々な人物の内面、所作を丁寧に描く。

    <メモ>
    3-3-7 エレーヌの身勝手さ。ピエールへの離婚のお願いの手紙。
    3-9-9 アンドレイ公爵の死(それもピエールへの伝聞という形で!)。
    3-9-10 ピエールの消失。
    4-1-12 まろやかでまるい、ロシアの化身 プラトン・カラターエフとの出会いから銃殺刑の目撃で崩壊した世界がまた元通りになる。
    4-1-16 アンドレイの死。マリアとナターシャは厳粛な死の秘蹟に接して。伯爵は自分も同じ道を歩むことを思って泣いた。婦人はソーニャを思って泣いた。

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    2025年05月16日
  • 戦争と平和4

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    ネタバレ

    戦争は悪と断じながらも、戦争の原理ともいうべきものを克明に、そして、深く論じる慧眼に唸らされた。
    解説でもあるようにいきなり語り手が前面に出てくる巻であった。

    メモ
    3-1-1 トルストイの歴史観
    3-2-8 ボルコンスキー老公爵の最後、マリヤの葛藤
    3-2-11 マリヤと農民の抜き差しならない対面
    3-2-24 アンドレイの思索。死を目前にして。
    ボロジノの戦いにおけるピエールのピエロぶりとは何を象徴しているのか。

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    2025年05月14日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ネタバレ

    アンナが汽車に轢かれて自殺するシーンは、表現力が素晴らしく、まるで自分も死んでしまう気がして恐怖心が芽生えてくる。

    線路の真ん中まで来て、汽車と衝突する直前、一瞬我に返り、「自分は何をしてしまったんだ!」と思ったのも束の間。すぐに「何か巨大なもの、容赦のないもの」が彼女の頭をドンと突いたのだった。

    そのあとはと言うと、ヴロンスキーの喪失感、リョーヴィンの哲学的探究。

    アンナの夫カレーニンが妻の浮気にどう対応するかと言うときにもキリスト教が影響を与えていたし、リョーヴィンにもキリスト教が根付いている(というか、後になって自分と宗教的価値観のすり合わせをしている)。

    アンナの恋路ではなく、

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    2025年04月22日